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番外編
宮古島旅行 8
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おそらく余裕で10話超えそうです。
もう諦めました。
だって書いてると楽しいんですもん(笑)
今回はちょっとトラブル発生です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「少し大きな箱だから、家に着くまで俺が持っているよ」
「ふふっ。ありがとうございます。でも、これ何が入ってるんでしょうね? 箱に書かれていたウサギの絵が可愛かったからお願いしたんですけど。ちょっと見てみてもいいですか?」
「そうだな。どこかで座ってみてみようか?」
「わーい! 兄さんたちも一緒に見てみよう!」
「うん、なんだろうね」
無邪気に喜ぶ真琴と悠真さんを横目に、俺はなんとなく胸騒ぎがしていた。
おそらく安慶名も同じことを思っていただろう。
祭りに来ている他の客たちからかなり注目を浴びているのがわかるが、相変わらず真琴も悠真さんも全く感じていないようだ。
やっぱりこの二人だけで外に出してはいけないなと改めて思う。
「悠真、静かに休憩できるところはありませんか? 人混みで少し疲れてしまいまして」
「伊織さん、大丈夫ですか?」
「ええ、少し休めば落ち着きますから」
「あっ、じゃああっちの舞台の裏なら誰も来ないからゆっくりできますよ。真琴、あっちにしよう」
「はーい」
なんとか安慶名の機転で、人前で箱を開けるのは阻止できた。
連れて行かれたのは、元々伝統舞踊を踊るための舞台があったという場所の裏側にある、小さな東屋だった。
「ここ、雰囲気がいいですね」
「でしょう? 宮古島はハブもいないので、草むらでも安心なんですよ」
そうか。
確か宮古島を含めて幾つかの離島はハブがいなかったな。
「ねぇ、真琴。箱を開けてみて」
「うん。なんだろうね」
楽しそうな二人とは対照的に俺と安慶名は顔を見合わせて不安に思っていた。
「わぁーっ!!」
「可愛いっ!!」
二人の嬉しそうな声に、視線を向けると箱の中から出てきたのは、ウサギ耳のついたカチューシャ。
しかも、まっすぐな耳と垂れた耳の二種類。
やっぱりか……。
変なコスチュームでなかっただけ、まだマシだったがそれにしても可愛すぎる。
人前で開けなくて本当によかった。
「二つあるから兄さんに一つあげる」
「えっ? いいの?」
「だって、優一さんには可愛すぎでしょ?」
「ふふっ。確かにそうだけど……成瀬さん、せっかく取ったのに私が貰ってもいいですか?」
「ええ! もちろんですよ、私より悠真さんの方が似合いますから」
「それもちょっと恥ずかしいけど……」
そう言ってはにかむ悠真さんは本当に可愛らしいと思った。
もちろん、恋愛感情なんかでは絶対にないけれど。
それにしても可愛いウサギ耳のカチューシャ。
悠真さんが受け取ってくれて助かった。
俺がそれをつけることになったら……考えただけでも恐ろしい。
真琴がどうしてもというのなら断ることはしないが、積極的につけたくはない。
きっと安慶名に笑われる。
だが、安慶名にしてみれば悠真さんが受け取って困ることになるだろう。
だって……
「わぁっ、兄さん! 可愛いっ!」 「ふふっ。真琴もよく似合ってる。可愛いよ」
「ねぇ、優一さん。どうですか? 似合いますか?」「ぐぅ――っ!!」
「伊織さん、どうですか? 可愛いですか?」 「くっ――!!!」
このウサギ耳に合わせたんじゃないかと思うほど、浴衣の色が耳の色によく似ていて、垂れたウサギ耳をつけた真琴がとてつもなく可愛い。
もう真琴のために作られたんじゃないかと思うほど可愛くて、気づけばスマホを取り出し写真を撮っていた。
「可愛い、真琴……すごく可愛いよ」
あまりの可愛さに何十枚も撮っている気がする。
「よかったです。気に入ってくれて……」
「――っ!! ああ、もう可愛すぎるな」
俺は真琴を抱きしめ、垂れた耳と一緒に髪を撫でると真琴は嬉しそうに身体を震わせた。
「真琴……今夜、部屋でもう一度カチューシャをつけてくれるか?」
真琴の耳元でそう囁くと、真琴は一気に顔を赤らめた。
「えっ、それって……」
「可愛いウサギの真琴を抱きたいんだ……」
「でも、母さんたちが……」
「大丈夫、絶対にバレないようにするから。真琴のあの部屋で愛し合いたいんだ。いい?」
「はい……本当は僕もそう思ってました」
「――っ、真琴」
もう外だということも忘れて、真琴の唇を奪った。
甘い甘い唇を貪っている最中も柔らかな白いウサギ耳が真琴の頭上でゆらゆらと揺れていた。
ゆっくりと唇を離し、真琴が俺の胸に倒れ込んできてから、安慶名たちの存在を思い出した。
安慶名の気配を感じる方に視線を向けると、安慶名と悠真さんが抱き合っているのが見える。
とは言っても全て安慶名の身体に隠されてしまっているが……。
なんだ、あっちも同じか。
まぁそうだな。
こんな可愛い姿見せられて、何もしないわけがない。
ただでさえ、可愛い浴衣姿を見せられて昂ってるんだ。
当然だな。
しばらく少し離れた場所でお互いにイチャイチャとした時間を過ごし、気づけばもうすぐ日も落ちそうな時間になっていた。
「安慶名、そろそろ帰ろうか」
そう声をかけると、びくりと肩を震わせた。
どうやら俺たちよりもっとイチャイチャしていたようだな。
安慶名もこんな感じなのか。
珍しいところが見られたな。
「真琴、この耳は箱にしまっておこう。可愛いが、変なのが寄ってくると困りからな。それに……ウサギになっていいのは、俺の前だけだ」
「ふふっ。優一さんったら」
素直な真琴はすぐにウサギ耳を箱に戻した。
「成瀬、これも頼む」
渡された悠真さんのウサギ耳も箱に戻し、元の場所へと向かおうとしていると
「こんなところに連れ込んで何やってんのぉー」
といかにもバカっぽい声が聞こえてきた。
みれば、見るからにチンピラのような男たちが5人ほど俺たちに近づいてきていた。
「可愛い子連れて、ひと気のないところでやらしいことでもしてたんじゃねーの?」
「ずるいなー。俺たちも混ぜてよ」
「そうそう、一緒に遊ぼうよー」
「あっ、でっかいお兄さんたちはいらないから、かわい子ちゃんだけ置いてってぇ」
「ハハッ。そうそう、でっかい方はいらない~! かわい子ちゃんだけ可愛がってやるよー」
本当にバカな奴らだな。
話している言葉から、地元の人間ではなさそうだ。
こんなとこまできて、何やってるんだか……呆れてものも言えない。
「ほらほら、俺たちにかわい子ちゃん置いてどっか行けよ!」
俺たちが何も反応しないことに痺れを切らしたのか、大声で怒鳴り始めた。
俺も安慶名もあまりの馬鹿さ加減にどう反応したらいいのかもわからなかっただけなのに。
「ゆ、優一さん……」
「真琴、心配はいらないよ。だから、ここで座って目を瞑ってて」
「えっ、でも……」
「大丈夫。俺を信じろ」
そういうと、真琴は静かに頷き、俺のいう通りに座って目を閉じた。
安慶名に視線を送ると同じようにしている。
やっぱり俺たちは同じだな。
二人が座ったのを確認して、急いで男たちの元に近づく。
下駄だろうが浴衣だろうがなんの障壁にもならない。
「安慶名、そっちの二人頼む」
「ああ。任せとけ」
「なんだよ、やる気か? こっちの人数わかってんの?」
そう言って男たちは揃ってポケットからナイフを取り出した。
これで、こっちの状況が有利になるな。
ナイフをちらつかせ調子のいいことを話している男のナイフを蹴り飛ばし、驚いている間に男の両手の親指を後ろ手で結束バンドで縛り上げる。
残りの二人も同じように縛り上げている間に、安慶名も二人を縛って動けないようにしていた。
仕事柄いつでもどんな時でも何かあった時のために結束バンドを持ち歩いているが、安慶名にも渡しておいて正解だったな。
「安慶名、警察呼んでくれ」
祭り会場に警官が配備されていたおかげで、場所を説明するとすぐにものの数分で警官が数名走ってきた。
警官たちに奴らが刃物を所持して襲ってきたことを説明し、俺と安慶名と二人の名刺を差し出すと、一気に顔色を変えた。
なんと言っても俺たちは刑事事件では負け知らず。
東京ではそこそこ知られていると思ったが、こんな遠い場所でも名前が知られているのはありがたい。
連絡先を教え、男たちは警察に連れて行かれた。
「真琴、ごめん。遅くなったな。じゃあ、帰ろうか」
「優一さん、僕……心配で……」
「いい子だったな。ちゃんと目を瞑っていたんだな」
「だって……優一さんがそう言ったから」
「そうだな。あとでご褒美をあげような。さぁ、お義母さんたちが待っているから帰ろう」
「あの、優一さん……僕、怖くて腰が抜けたみたい……」
「いいよ。じゃあ、抱っこして行こう」
真琴は恥ずかしそうにしていたが、可愛い真琴をお姫様抱っこして帰れるなんてご褒美でしかない。
みれば、悠真さんも安慶名に抱っこされている。
それを見て、真琴は少しホッとしたように笑っていた。
もう諦めました。
だって書いてると楽しいんですもん(笑)
今回はちょっとトラブル発生です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「少し大きな箱だから、家に着くまで俺が持っているよ」
「ふふっ。ありがとうございます。でも、これ何が入ってるんでしょうね? 箱に書かれていたウサギの絵が可愛かったからお願いしたんですけど。ちょっと見てみてもいいですか?」
「そうだな。どこかで座ってみてみようか?」
「わーい! 兄さんたちも一緒に見てみよう!」
「うん、なんだろうね」
無邪気に喜ぶ真琴と悠真さんを横目に、俺はなんとなく胸騒ぎがしていた。
おそらく安慶名も同じことを思っていただろう。
祭りに来ている他の客たちからかなり注目を浴びているのがわかるが、相変わらず真琴も悠真さんも全く感じていないようだ。
やっぱりこの二人だけで外に出してはいけないなと改めて思う。
「悠真、静かに休憩できるところはありませんか? 人混みで少し疲れてしまいまして」
「伊織さん、大丈夫ですか?」
「ええ、少し休めば落ち着きますから」
「あっ、じゃああっちの舞台の裏なら誰も来ないからゆっくりできますよ。真琴、あっちにしよう」
「はーい」
なんとか安慶名の機転で、人前で箱を開けるのは阻止できた。
連れて行かれたのは、元々伝統舞踊を踊るための舞台があったという場所の裏側にある、小さな東屋だった。
「ここ、雰囲気がいいですね」
「でしょう? 宮古島はハブもいないので、草むらでも安心なんですよ」
そうか。
確か宮古島を含めて幾つかの離島はハブがいなかったな。
「ねぇ、真琴。箱を開けてみて」
「うん。なんだろうね」
楽しそうな二人とは対照的に俺と安慶名は顔を見合わせて不安に思っていた。
「わぁーっ!!」
「可愛いっ!!」
二人の嬉しそうな声に、視線を向けると箱の中から出てきたのは、ウサギ耳のついたカチューシャ。
しかも、まっすぐな耳と垂れた耳の二種類。
やっぱりか……。
変なコスチュームでなかっただけ、まだマシだったがそれにしても可愛すぎる。
人前で開けなくて本当によかった。
「二つあるから兄さんに一つあげる」
「えっ? いいの?」
「だって、優一さんには可愛すぎでしょ?」
「ふふっ。確かにそうだけど……成瀬さん、せっかく取ったのに私が貰ってもいいですか?」
「ええ! もちろんですよ、私より悠真さんの方が似合いますから」
「それもちょっと恥ずかしいけど……」
そう言ってはにかむ悠真さんは本当に可愛らしいと思った。
もちろん、恋愛感情なんかでは絶対にないけれど。
それにしても可愛いウサギ耳のカチューシャ。
悠真さんが受け取ってくれて助かった。
俺がそれをつけることになったら……考えただけでも恐ろしい。
真琴がどうしてもというのなら断ることはしないが、積極的につけたくはない。
きっと安慶名に笑われる。
だが、安慶名にしてみれば悠真さんが受け取って困ることになるだろう。
だって……
「わぁっ、兄さん! 可愛いっ!」 「ふふっ。真琴もよく似合ってる。可愛いよ」
「ねぇ、優一さん。どうですか? 似合いますか?」「ぐぅ――っ!!」
「伊織さん、どうですか? 可愛いですか?」 「くっ――!!!」
このウサギ耳に合わせたんじゃないかと思うほど、浴衣の色が耳の色によく似ていて、垂れたウサギ耳をつけた真琴がとてつもなく可愛い。
もう真琴のために作られたんじゃないかと思うほど可愛くて、気づけばスマホを取り出し写真を撮っていた。
「可愛い、真琴……すごく可愛いよ」
あまりの可愛さに何十枚も撮っている気がする。
「よかったです。気に入ってくれて……」
「――っ!! ああ、もう可愛すぎるな」
俺は真琴を抱きしめ、垂れた耳と一緒に髪を撫でると真琴は嬉しそうに身体を震わせた。
「真琴……今夜、部屋でもう一度カチューシャをつけてくれるか?」
真琴の耳元でそう囁くと、真琴は一気に顔を赤らめた。
「えっ、それって……」
「可愛いウサギの真琴を抱きたいんだ……」
「でも、母さんたちが……」
「大丈夫、絶対にバレないようにするから。真琴のあの部屋で愛し合いたいんだ。いい?」
「はい……本当は僕もそう思ってました」
「――っ、真琴」
もう外だということも忘れて、真琴の唇を奪った。
甘い甘い唇を貪っている最中も柔らかな白いウサギ耳が真琴の頭上でゆらゆらと揺れていた。
ゆっくりと唇を離し、真琴が俺の胸に倒れ込んできてから、安慶名たちの存在を思い出した。
安慶名の気配を感じる方に視線を向けると、安慶名と悠真さんが抱き合っているのが見える。
とは言っても全て安慶名の身体に隠されてしまっているが……。
なんだ、あっちも同じか。
まぁそうだな。
こんな可愛い姿見せられて、何もしないわけがない。
ただでさえ、可愛い浴衣姿を見せられて昂ってるんだ。
当然だな。
しばらく少し離れた場所でお互いにイチャイチャとした時間を過ごし、気づけばもうすぐ日も落ちそうな時間になっていた。
「安慶名、そろそろ帰ろうか」
そう声をかけると、びくりと肩を震わせた。
どうやら俺たちよりもっとイチャイチャしていたようだな。
安慶名もこんな感じなのか。
珍しいところが見られたな。
「真琴、この耳は箱にしまっておこう。可愛いが、変なのが寄ってくると困りからな。それに……ウサギになっていいのは、俺の前だけだ」
「ふふっ。優一さんったら」
素直な真琴はすぐにウサギ耳を箱に戻した。
「成瀬、これも頼む」
渡された悠真さんのウサギ耳も箱に戻し、元の場所へと向かおうとしていると
「こんなところに連れ込んで何やってんのぉー」
といかにもバカっぽい声が聞こえてきた。
みれば、見るからにチンピラのような男たちが5人ほど俺たちに近づいてきていた。
「可愛い子連れて、ひと気のないところでやらしいことでもしてたんじゃねーの?」
「ずるいなー。俺たちも混ぜてよ」
「そうそう、一緒に遊ぼうよー」
「あっ、でっかいお兄さんたちはいらないから、かわい子ちゃんだけ置いてってぇ」
「ハハッ。そうそう、でっかい方はいらない~! かわい子ちゃんだけ可愛がってやるよー」
本当にバカな奴らだな。
話している言葉から、地元の人間ではなさそうだ。
こんなとこまできて、何やってるんだか……呆れてものも言えない。
「ほらほら、俺たちにかわい子ちゃん置いてどっか行けよ!」
俺たちが何も反応しないことに痺れを切らしたのか、大声で怒鳴り始めた。
俺も安慶名もあまりの馬鹿さ加減にどう反応したらいいのかもわからなかっただけなのに。
「ゆ、優一さん……」
「真琴、心配はいらないよ。だから、ここで座って目を瞑ってて」
「えっ、でも……」
「大丈夫。俺を信じろ」
そういうと、真琴は静かに頷き、俺のいう通りに座って目を閉じた。
安慶名に視線を送ると同じようにしている。
やっぱり俺たちは同じだな。
二人が座ったのを確認して、急いで男たちの元に近づく。
下駄だろうが浴衣だろうがなんの障壁にもならない。
「安慶名、そっちの二人頼む」
「ああ。任せとけ」
「なんだよ、やる気か? こっちの人数わかってんの?」
そう言って男たちは揃ってポケットからナイフを取り出した。
これで、こっちの状況が有利になるな。
ナイフをちらつかせ調子のいいことを話している男のナイフを蹴り飛ばし、驚いている間に男の両手の親指を後ろ手で結束バンドで縛り上げる。
残りの二人も同じように縛り上げている間に、安慶名も二人を縛って動けないようにしていた。
仕事柄いつでもどんな時でも何かあった時のために結束バンドを持ち歩いているが、安慶名にも渡しておいて正解だったな。
「安慶名、警察呼んでくれ」
祭り会場に警官が配備されていたおかげで、場所を説明するとすぐにものの数分で警官が数名走ってきた。
警官たちに奴らが刃物を所持して襲ってきたことを説明し、俺と安慶名と二人の名刺を差し出すと、一気に顔色を変えた。
なんと言っても俺たちは刑事事件では負け知らず。
東京ではそこそこ知られていると思ったが、こんな遠い場所でも名前が知られているのはありがたい。
連絡先を教え、男たちは警察に連れて行かれた。
「真琴、ごめん。遅くなったな。じゃあ、帰ろうか」
「優一さん、僕……心配で……」
「いい子だったな。ちゃんと目を瞑っていたんだな」
「だって……優一さんがそう言ったから」
「そうだな。あとでご褒美をあげような。さぁ、お義母さんたちが待っているから帰ろう」
「あの、優一さん……僕、怖くて腰が抜けたみたい……」
「いいよ。じゃあ、抱っこして行こう」
真琴は恥ずかしそうにしていたが、可愛い真琴をお姫様抱っこして帰れるなんてご褒美でしかない。
みれば、悠真さんも安慶名に抱っこされている。
それを見て、真琴は少しホッとしたように笑っていた。
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