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セオドアさまのお屋敷
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<side真守>
明さんとアロンにお別れの挨拶をしてから、真琴くんには帰国するまでにもう一度会うことを約束して、僕はセオドアと一緒に家を出た。
僕の腕にはクマさんだけ。
あとの荷物は全てセオドアが持ってくれた。
ガレージに置いていた車に乗り込み、車はゆっくりと動き始めた。
『マモル、これから一緒に暮らすわけだが、心配はしなくていい。何か欲しいものや困ったことがあればなんでも言ってくれ。マモルにはのびのびと過ごしてほしい』
『はい。ありがとうございます』
セオドアが僕のことをすごく大切にしてくれる気持ちが伝わってくる。
だから、僕はこんなにも安心していられるんだ。
20分ほど車を走らせると、大きなお屋敷が並ぶ住宅街が現れた。
この地区の入り口には警備員さんが常駐していて、ここの地区の住人、もしくは住人から招待を受けた証明書を持っている人でないと中に入れないとされている場所だと、先日のパーティーに出席するときに明さんから教えて貰ったんだ。
あの時は初めてのパーティーにドキドキして、住宅街を眺める余裕もなかったけれど今日はじっくりと眺めていられる。
ここは他のお家もどれもすごく大きなお屋敷ばかりだ。
『マモル、我が家はもうすぐだぞ』
『はい。なんだか別世界みたいでドキドキします』
『今日からはマモルもここの住民なのだから緊張しなくていいぞ』
セオドアは優しくそう言ってくれるけれど、やっぱりドキドキしてしまう。
明さんと住んでいた地区も高級住宅地だったみたいだけど、やっぱりここは桁違いな気がする。
一際広く高い壁に囲まれたところを走り、到着したのはとてつもなく大きなお屋敷。
初めて見たらお城だと思ってしまいそうなくらい広くて大きなお屋敷に到着すると自動で門が開いた。
その中を進んでいくと綺麗に手入れされたお庭が出迎えてくれる。
これぞイングリッシュガーデンというんだろう。
綺麗に手入れされたお庭には色とりどりの鮮やかな薔薇の花が咲き乱れ、あまりの綺麗な姿に感嘆の声が漏れる。
『素敵なお庭ですね』
『マモルは薔薇が好きか?』
『はい。お花はなんでも好きですけど、特に真っ白な薔薇が綺麗だなって思います。ここのお庭には真っ白な薔薇がたくさんあって見ているだけで癒されます』
『真っ白……そうか。そんなに気に入ってくれたなら我が家の庭師が喜ぶだろうな』
しばらく庭を走った先にある大きな玄関の前に車が止まった。
すると、すぐに中からたくさんの人たちが出てきた。
『わっ!』
『ふふっ。心配しなくていい。我が家の執事と使用人たちだ』
『えっ、こんなに?』
『それぞれに専属の使用人をつけているからだが、そこまで多くはないよ』
セオドアにとってはこれが普通なのだろうな。
僕は庶民だからドキドキしてしまう。
運転席の扉が開けられ、セオドアが颯爽と降り立つ。
僕はその姿にぼーっと見惚れていると、セオドアは車の正面を通って助手席の扉を開けてくれた。
『さぁ、マモル。おいで』
エスコートされるように手を差し出され、そのあまりの優雅な仕草に思わず手を取ってしまった。
セオドアは嬉しそうに僕の手を取ると、そのまま腰に腕を回して僕にピッタリと寄り添って彼らの元に連れて行ってくれた。
みんなの視線がものすごく注がれている気がするけれどセオドアは何も気にしていないみたいだ。
『おかえりなさいませ。旦那さま』
『ああ、ローマン。お前に私の大事な人を紹介しよう。みんなもしっかり聞いていてくれ。彼はマモル。私の伴侶だ。いいか、グランヴィエ家総帥の私の伴侶ということはこの屋敷の中で最も身分が高いということだ。私以上にマモルを敬うように。マモルに対して不遜な態度を持つものはこの屋敷にはいないと思うが、そのようなことを見かけた場合は即刻解雇する。わかったな』
『はい』
セオドアの言葉にローマンさんという執事さんが深々と頭を下げると、それに倣うように一斉に使用人さんたちも頭を下げた。
僕みたいなこんな子どもにそんな態度を取られて驚きしかない。
『マモル、この屋敷の中で困ったことがあればなんでも私にいってくれ。私がいない時はこのローマンに伝えたらいい。彼らにも言ったが、マモルはこの屋敷の中で一番偉いのだ。だから好きに過ごしてくれていいのだぞ。マモル、何か希望があればなんでも好きに言ってくれ』
そう言われて僕はゆっくりと口を開いた。
『あの……希望を伝えてもいいのですか?』
『ああ、なんでも言ってくれ。マモルの望むようにしよう』
『あの、それじゃあ僕……みなさんと仲良くしたいです』
『えっ?』
『セオドアさまからも紹介していただきましたが、僕はマモルといいます。こんなにもすごいお屋敷に住むのは初めてで慣れないことばかりでご迷惑をおかけするかもしれないですけど、僕よりもずっとずっとこのお家に詳しいみなさんにはいろんなことを教えて貰って楽しく過ごしたいです。みなさん、これからどうぞよろしくお願いします』
笑顔でそう挨拶すると、みんな目を丸くして僕を見つめていたけれど、執事さんだけが僕を笑顔で見てくれた。
明さんとアロンにお別れの挨拶をしてから、真琴くんには帰国するまでにもう一度会うことを約束して、僕はセオドアと一緒に家を出た。
僕の腕にはクマさんだけ。
あとの荷物は全てセオドアが持ってくれた。
ガレージに置いていた車に乗り込み、車はゆっくりと動き始めた。
『マモル、これから一緒に暮らすわけだが、心配はしなくていい。何か欲しいものや困ったことがあればなんでも言ってくれ。マモルにはのびのびと過ごしてほしい』
『はい。ありがとうございます』
セオドアが僕のことをすごく大切にしてくれる気持ちが伝わってくる。
だから、僕はこんなにも安心していられるんだ。
20分ほど車を走らせると、大きなお屋敷が並ぶ住宅街が現れた。
この地区の入り口には警備員さんが常駐していて、ここの地区の住人、もしくは住人から招待を受けた証明書を持っている人でないと中に入れないとされている場所だと、先日のパーティーに出席するときに明さんから教えて貰ったんだ。
あの時は初めてのパーティーにドキドキして、住宅街を眺める余裕もなかったけれど今日はじっくりと眺めていられる。
ここは他のお家もどれもすごく大きなお屋敷ばかりだ。
『マモル、我が家はもうすぐだぞ』
『はい。なんだか別世界みたいでドキドキします』
『今日からはマモルもここの住民なのだから緊張しなくていいぞ』
セオドアは優しくそう言ってくれるけれど、やっぱりドキドキしてしまう。
明さんと住んでいた地区も高級住宅地だったみたいだけど、やっぱりここは桁違いな気がする。
一際広く高い壁に囲まれたところを走り、到着したのはとてつもなく大きなお屋敷。
初めて見たらお城だと思ってしまいそうなくらい広くて大きなお屋敷に到着すると自動で門が開いた。
その中を進んでいくと綺麗に手入れされたお庭が出迎えてくれる。
これぞイングリッシュガーデンというんだろう。
綺麗に手入れされたお庭には色とりどりの鮮やかな薔薇の花が咲き乱れ、あまりの綺麗な姿に感嘆の声が漏れる。
『素敵なお庭ですね』
『マモルは薔薇が好きか?』
『はい。お花はなんでも好きですけど、特に真っ白な薔薇が綺麗だなって思います。ここのお庭には真っ白な薔薇がたくさんあって見ているだけで癒されます』
『真っ白……そうか。そんなに気に入ってくれたなら我が家の庭師が喜ぶだろうな』
しばらく庭を走った先にある大きな玄関の前に車が止まった。
すると、すぐに中からたくさんの人たちが出てきた。
『わっ!』
『ふふっ。心配しなくていい。我が家の執事と使用人たちだ』
『えっ、こんなに?』
『それぞれに専属の使用人をつけているからだが、そこまで多くはないよ』
セオドアにとってはこれが普通なのだろうな。
僕は庶民だからドキドキしてしまう。
運転席の扉が開けられ、セオドアが颯爽と降り立つ。
僕はその姿にぼーっと見惚れていると、セオドアは車の正面を通って助手席の扉を開けてくれた。
『さぁ、マモル。おいで』
エスコートされるように手を差し出され、そのあまりの優雅な仕草に思わず手を取ってしまった。
セオドアは嬉しそうに僕の手を取ると、そのまま腰に腕を回して僕にピッタリと寄り添って彼らの元に連れて行ってくれた。
みんなの視線がものすごく注がれている気がするけれどセオドアは何も気にしていないみたいだ。
『おかえりなさいませ。旦那さま』
『ああ、ローマン。お前に私の大事な人を紹介しよう。みんなもしっかり聞いていてくれ。彼はマモル。私の伴侶だ。いいか、グランヴィエ家総帥の私の伴侶ということはこの屋敷の中で最も身分が高いということだ。私以上にマモルを敬うように。マモルに対して不遜な態度を持つものはこの屋敷にはいないと思うが、そのようなことを見かけた場合は即刻解雇する。わかったな』
『はい』
セオドアの言葉にローマンさんという執事さんが深々と頭を下げると、それに倣うように一斉に使用人さんたちも頭を下げた。
僕みたいなこんな子どもにそんな態度を取られて驚きしかない。
『マモル、この屋敷の中で困ったことがあればなんでも私にいってくれ。私がいない時はこのローマンに伝えたらいい。彼らにも言ったが、マモルはこの屋敷の中で一番偉いのだ。だから好きに過ごしてくれていいのだぞ。マモル、何か希望があればなんでも好きに言ってくれ』
そう言われて僕はゆっくりと口を開いた。
『あの……希望を伝えてもいいのですか?』
『ああ、なんでも言ってくれ。マモルの望むようにしよう』
『あの、それじゃあ僕……みなさんと仲良くしたいです』
『えっ?』
『セオドアさまからも紹介していただきましたが、僕はマモルといいます。こんなにもすごいお屋敷に住むのは初めてで慣れないことばかりでご迷惑をおかけするかもしれないですけど、僕よりもずっとずっとこのお家に詳しいみなさんにはいろんなことを教えて貰って楽しく過ごしたいです。みなさん、これからどうぞよろしくお願いします』
笑顔でそう挨拶すると、みんな目を丸くして僕を見つめていたけれど、執事さんだけが僕を笑顔で見てくれた。
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