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一生守ると誓うよ
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<sideラミロ>
『カズホ。今日はどこに泊まる予定なんだ?』
『えっ、あの……成瀬さんたちと同じホテルの部屋を――』
『悪いが、それはキャンセルさせてもらうぞ』
『えっ? キャンセル、ですか?』
『ああ、もうカズホと少しの時間でも離れていたくないし、それにこれからのことを話し合う時間も欲しい。今の私たちには一分一秒も離れて過ごす時間などあってはいけないんだ。わかってくれるだろう?』
『は、はい。ですが……成瀬さんにはなんと言ったら……』
『それなら心配しないでいい。私が話をつけるよ。カズホは安心して私の腕の中にいてくれたらいい』
そういうと、カズホは頬を赤らめながら
『嬉しいです……』
と言ってくれた。
ああっ、カズホが私と過ごすことを了承してくれた。
もうこれで一生手放したりしない。
このままずっと一緒に過ごすのだ。
『そうと決まればすぐに話に行こう!』
『えっ、もう?』
『ああ、一分一秒も惜しいと言ったろう?』
『ラミロさま……』
恥じらいながらも嬉しそうに笑うカズホを腕に抱いたまま、急いでアキラたちのいる部屋に戻る。
扉をたたき、中に入ると部屋はセオドアの姿があった。
だが、近くにマモルの姿が見えない。
セオドアなら私と同じく少しの間でも離れているわけがないと思ったが……。
『ラミロ……どうやら、お前もうまくまとまったみたいだな』
『お前も、ということはセオドアもか? それにしてはマモルの姿が見えないようだが……』
『ああ、今部屋で荷物をまとめているんだ。今日から私の自宅に連れていくことにしたからな』
『ああ、そうか。それなら納得だ』
セオドアが手放すわけがないと思った。
やはり私たちはよく似ている。
親友になるべくしてなったということか。
『ナルセと言ったか。悪いが、今日のカズホの宿はキャンセルしてもらおう。これからのカズホのことは私に任せて欲しい』
『承知しました。それでは帰国も別便にされますか?』
『そうだな。私の自家用機で送るつもりだから、飛行機のチケットも必要ない』
『えっ……自家用機、ですか?』
私の言葉に目を丸くして驚いているカズホが可愛い。
『世界中を飛び回っているからね、自家用機の方が楽なんだよ』
そう説明したが、カズホはいまいち理解していないようだ。
『ふふっ。一度乗ってみればわかるよ』
そう言ってカズホの綺麗な髪にキスをすると、カズホが恥ずかしそうに顔を赤らめた。
『あ、あの……あの事件とは別件でラミロさまとセオドアさまにお伝えしたいことがあるのですが……』
おずおずと聞こえてきた声に視線を向けると、そこにはジャスティンの姿があった。
『ジャスティン、いつの間に来ていたんだ?』
『はい。先ほど伺いまして、事件のことについてはもうお話ししたところですが、あのサンドイッチの件をお伝えしたくて、ラミロさまがお越しになるのをお待ちしていました』
『ああ、そうだったな。悪い。それであれはどうだった?』
『はい。あのサンドイッチに混入していた薬の成分がこれまでに数件起こっていた同様の事件と一致しておりました。あの店員にはかなりの余罪があると見て、緊急逮捕いたしました』
『そうか……他の被害者を生まないためにも今回見つかってよかったというわけだな』
『はい。ご協力感謝いたします』
『ジャスティン、この件に関してはマモルには知らせないようにしてくれ』
『承知いたしました』
セオドアの言葉にマモルへの愛が感じ取れた。
それにしても今日のマモルは二人もの不審者に狙われたというわけか。
アキラが心配して外に出さなかったというのがよくわかる。
マモルがあの広場で私が来るのを一人で待っていたら……と思うと、生きた心地がしないな。
いや、もし、それがカズホだったら……?
私は絶対に家まで迎えに行ったことだろう。
決して一人にはさせない。
愛しい人をそんな危険に晒そうとしたんだ。
セオドアがあんなにも怒った理由がわかるな。
『私はもう絶対にカズホを一人にはしないよ』
私の腕の中にいる愛しいカズホを抱きしめながらそういうと、
『ラミロさま……嬉しいです』
と小声で返してくれた。
ああ、本当にカズホを守ると誓うよ。
一生をかけてな。
ガチャリと扉が開き、
『あの、荷物まとめました……』
とマモルの声が聞こえた。
『ああ、マモルっ! 無理をしなくても私が荷物を取りに行ったのだぞ』
セオドアが慌てて入り口に走っていく。
そんな慌てるセオドアの姿を見るのも楽しい。
セオドアに手を引かれ、中に入ってきたマモルの腕には可愛らしいクマのぬいぐるみがある。
『ふふっ。あのクマはマモルのお気に入りなのか?』
カズホに問い掛ければ、
『あれは、父から真守くんへの最後の贈り物なんです。事故に遭う前に真守くんに似ているからと買ってくれたんだそうで……あのクマがいてくれたから、真守くんは助かったんです』
と教えてくれた。
そうか……もしかしたら父親は何かを察していたのかもしれないな。
それにしてもあのクマ、マモルによく似ている。
父親が似ていると思って買ったのもわかる気がするな。
『カズホ。今日はどこに泊まる予定なんだ?』
『えっ、あの……成瀬さんたちと同じホテルの部屋を――』
『悪いが、それはキャンセルさせてもらうぞ』
『えっ? キャンセル、ですか?』
『ああ、もうカズホと少しの時間でも離れていたくないし、それにこれからのことを話し合う時間も欲しい。今の私たちには一分一秒も離れて過ごす時間などあってはいけないんだ。わかってくれるだろう?』
『は、はい。ですが……成瀬さんにはなんと言ったら……』
『それなら心配しないでいい。私が話をつけるよ。カズホは安心して私の腕の中にいてくれたらいい』
そういうと、カズホは頬を赤らめながら
『嬉しいです……』
と言ってくれた。
ああっ、カズホが私と過ごすことを了承してくれた。
もうこれで一生手放したりしない。
このままずっと一緒に過ごすのだ。
『そうと決まればすぐに話に行こう!』
『えっ、もう?』
『ああ、一分一秒も惜しいと言ったろう?』
『ラミロさま……』
恥じらいながらも嬉しそうに笑うカズホを腕に抱いたまま、急いでアキラたちのいる部屋に戻る。
扉をたたき、中に入ると部屋はセオドアの姿があった。
だが、近くにマモルの姿が見えない。
セオドアなら私と同じく少しの間でも離れているわけがないと思ったが……。
『ラミロ……どうやら、お前もうまくまとまったみたいだな』
『お前も、ということはセオドアもか? それにしてはマモルの姿が見えないようだが……』
『ああ、今部屋で荷物をまとめているんだ。今日から私の自宅に連れていくことにしたからな』
『ああ、そうか。それなら納得だ』
セオドアが手放すわけがないと思った。
やはり私たちはよく似ている。
親友になるべくしてなったということか。
『ナルセと言ったか。悪いが、今日のカズホの宿はキャンセルしてもらおう。これからのカズホのことは私に任せて欲しい』
『承知しました。それでは帰国も別便にされますか?』
『そうだな。私の自家用機で送るつもりだから、飛行機のチケットも必要ない』
『えっ……自家用機、ですか?』
私の言葉に目を丸くして驚いているカズホが可愛い。
『世界中を飛び回っているからね、自家用機の方が楽なんだよ』
そう説明したが、カズホはいまいち理解していないようだ。
『ふふっ。一度乗ってみればわかるよ』
そう言ってカズホの綺麗な髪にキスをすると、カズホが恥ずかしそうに顔を赤らめた。
『あ、あの……あの事件とは別件でラミロさまとセオドアさまにお伝えしたいことがあるのですが……』
おずおずと聞こえてきた声に視線を向けると、そこにはジャスティンの姿があった。
『ジャスティン、いつの間に来ていたんだ?』
『はい。先ほど伺いまして、事件のことについてはもうお話ししたところですが、あのサンドイッチの件をお伝えしたくて、ラミロさまがお越しになるのをお待ちしていました』
『ああ、そうだったな。悪い。それであれはどうだった?』
『はい。あのサンドイッチに混入していた薬の成分がこれまでに数件起こっていた同様の事件と一致しておりました。あの店員にはかなりの余罪があると見て、緊急逮捕いたしました』
『そうか……他の被害者を生まないためにも今回見つかってよかったというわけだな』
『はい。ご協力感謝いたします』
『ジャスティン、この件に関してはマモルには知らせないようにしてくれ』
『承知いたしました』
セオドアの言葉にマモルへの愛が感じ取れた。
それにしても今日のマモルは二人もの不審者に狙われたというわけか。
アキラが心配して外に出さなかったというのがよくわかる。
マモルがあの広場で私が来るのを一人で待っていたら……と思うと、生きた心地がしないな。
いや、もし、それがカズホだったら……?
私は絶対に家まで迎えに行ったことだろう。
決して一人にはさせない。
愛しい人をそんな危険に晒そうとしたんだ。
セオドアがあんなにも怒った理由がわかるな。
『私はもう絶対にカズホを一人にはしないよ』
私の腕の中にいる愛しいカズホを抱きしめながらそういうと、
『ラミロさま……嬉しいです』
と小声で返してくれた。
ああ、本当にカズホを守ると誓うよ。
一生をかけてな。
ガチャリと扉が開き、
『あの、荷物まとめました……』
とマモルの声が聞こえた。
『ああ、マモルっ! 無理をしなくても私が荷物を取りに行ったのだぞ』
セオドアが慌てて入り口に走っていく。
そんな慌てるセオドアの姿を見るのも楽しい。
セオドアに手を引かれ、中に入ってきたマモルの腕には可愛らしいクマのぬいぐるみがある。
『ふふっ。あのクマはマモルのお気に入りなのか?』
カズホに問い掛ければ、
『あれは、父から真守くんへの最後の贈り物なんです。事故に遭う前に真守くんに似ているからと買ってくれたんだそうで……あのクマがいてくれたから、真守くんは助かったんです』
と教えてくれた。
そうか……もしかしたら父親は何かを察していたのかもしれないな。
それにしてもあのクマ、マモルによく似ている。
父親が似ていると思って買ったのもわかる気がするな。
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