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第四章 (王城 過去編)
フレッド 24−1※
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「特に問題はなかったか?」
「はい。物音ひとつございませんでした」
部屋の前で警護をしていた騎士に尋ねたが、特に問題はなかったようだ。
1時間もかかっていないのだから大丈夫だろうとは思っていたが、あの女が地下牢とはいえまだこの屋敷にいると思うとやはり警戒せずにはいられない。
なんせあの警備をくぐり抜け我々の部屋に忍び込んできたくらいだ。
まぁ、あの女が何かしでかすと踏んで違う部屋に移っていたので直接の被害はなかったが。
流石に地下牢から抜け出すことは難しいとは思うが、警戒するに越したことはない。
引き続き騎士たちに警備を頼んで部屋に入ると、しんと静まり返っている。
眠っているだろうシュウを起こさないように、そして可愛い寝顔を見て癒されるために、音を立てないようにゆっくりと寝室の扉を開けて中に入った。
大きなベッドの真ん中にこんもりと布団が盛り上がっている。
ふふっ。小さく丸まったりして可愛らしい寝相だ。
そっと近寄って布団をゆっくりとめくると、
「えっ? どういうことだ?」
シュウがいない!
可愛らしい天使のような寝顔が見れると思っていたのに。
どこに行ってしまったんだ?
まさか本当にあの女が?
もしかしたら仲間でもいたというのか?
ほんのりと温かい布団がまだシュウがいなくなってそれほど時間が経っていないことを知らせてくれる。
だとしたら、攫われたとしてもまだ近くにいるはずだ!
カッと頭に血が上った私は布団をその場に放り投げ、すぐに部屋の入り口へと戻った。
「ブルーノ、ブルーノを呼べ!」
「アルフレッドさま、何事かありましたか?」
私の勢いにかなり押された様子で騎士たちに尋ねられたが、それどころではない。
「部屋にシュウがいないんだ! どこかに連れて行かれたのかもしれない! 急いで屋敷中を探すんだ!!」
その言葉に1人の騎士は顔を真っ青にしてすぐにブルーノを呼びにいき、もう1人の騎士は屋敷の中を探しに走っていった。
「アルフレッドさま、シュウさまが部屋にいらっしゃらないと報告を受けましたが……」
バタバタと騎士と共に走ってやってきたブルーノに事の経緯を話すと、途端に顔色を変え、
「部屋からは出ていらっしゃらないのですか?」
と震える声で騎士に尋ねたが、騎士からの
「申し訳ございません。私はずっと部屋の前におりましたが、お姿は何も見ておりません」
という言葉にブルーノは思わず膝から崩れ落ちた。
シュウが目を覚まさなかったあの時のことを思い出しているのかもしれない。
それとも、奴等に傷つけられた時のことを思い出しているのかもしれない。
どちらにしても、ブルーノにとってシュウは孫のような存在なのだ。
シュウの姿が見えなくなったことをとても恐ろしく思っているに違いない。
ブルーノは身体を震わせながら、屋敷の中を見て参りますと言ってよろよろと立ち上がった。
私は騎士に部屋の中をもう一度くまなく探してくると言って、ひとりで部屋に戻った。
部屋をひととおり探し回ってから、もう一度寝室に戻るとやはりシュウの姿はなかった。
シュウ……一体どこにいってしまったんだ。
もう二度と私の傍から離れないと言ったではないか。
シュウが眠っていたはずの場所に目をやると、足元にふわりと風を感じた。
なんだ?
そっとそっちに目を向けると、カーテンの隙間から月の光を浴びたシュウの姿が見えた。
えっ? シュ……シュウ?
シュウなのか? 本当に?
私は信じられないものを見たような気持ちで、その場に立ち尽くしたままシュウを見つめた。
カーテンの影に佇むシュウが
「あ、フレッド……おか」
私の名前を声に出した瞬間、もう何も考えることなどできずシュウの元に駆け寄り思いっきり抱きしめた。
シュウが腕の中にいる。
シュウの温もりを、香りを、肌で感じる。
安堵すると同時にシュウがいなかった時の恐怖が込み上げてきた。
『シュウがいないのを見てどれだけ心配したと思っているんだ』
そう告げたが、それは怒りではない。ただ怖かっただけだ。
そう、シュウを失ったと思って怖かったんだ。
シュウに尋ねると、目を覚ましたら私がいなくて怖くて気持ちを落ち着けようと思った……と。
そうだ。
シュウはあの時、あちらの世界で目を覚ましたらたったひとりで寒い広場に横たわっていたと言っていたじゃないか。
目を覚ました時、私が隣にいなかったからきっと混乱したに違いない。
私が夜中にアンドリュー王と話をしに行くと、きちんと言っておけばよかったんだ。
シュウの気持ちも考えず配慮しなかった私が全て悪い。
『心配かけてごめんなさい』とシュウは謝ったが、シュウのせいではない。
私が悪かったんだ。
そう言ったけれど、シュウは自分が勝手に外に出たせいだと譲らない。
なんて優しいんだろう。
それでも、『私が悪かったんだ』『いや、ぼくが』と2人で言い合っていると、なんだかおかしくなってきてシュウと2人で笑いが溢れた。
安堵したのも束の間、さっきのブルーノの姿を思い出した。
今頃まだシュウの姿を求めて屋敷の中を探し回っているはずだ。
早く教えてあげなくては。
シュウの姿を見せた方がブルーノを安心させるだろうが、黒髪でしかも夜着姿のシュウを見せるわけにはいかない。
ただでさえ、さっきの交わりの名残か妖艶な雰囲気を漂わせたままなのだから。
私は目の前にあるタオルケットでシュウを覆い隠し、抱きかかえたまま部屋の外に出た。
タオルケットで隠したままでも私が抱きかかえてさえいればブルーノはシュウだとわかってくれるだろう。
ブルーノを呼ぶと、2人以上の足音が聞こえる。
おそらく警備していた騎士も一緒だろう。
シュウの姿が見られないようにシュウには動かないように声をかけ、ブルーノたちの到着を待った。
シュウは言うことを守って、私にぎゅっと抱きつき顔を擦り寄せてくる。
タオルケットに隠れたまま、なぜか私の匂いを一生懸命嗅いでいるのが気になるが……。
焦って走り回っていたから汗臭いなどと思われていたらどうしよう。
シュウは私の焦りを知ってか知らずかずっとクンクンと嗅ぎ続けている。
その度にふわっとシュウの吐息が私の胸元を掠めて官能を刺激する。
ああ、もう我慢できなくなるから悪戯はやめてくれ!
そう叫んでしまいたくなったが、そんな時に限ってブルーノたちがやってきた。
息せき切って駆けつけてきたブルーノは開口一番、
『シュウさまは?』と尋ねてきたが、その瞬間私が腕に何かを抱き抱えているのが見えたらしい。
タオルケットに覆われたそれが、シュウだとすぐに気づいたのは私が大切そうに抱き抱えているからだろう。
ブルーノは安堵の表情を浮かべた。
最初からバルコニーまで探しておけば、ブルーノに心労を与えることもなかったのに……。
頭に血が上ってしまって申し訳なかった。
心からの気持ちを伝えたが、ブルーノは怒るどころかにこやかな笑顔でシュウの無事を喜んでくれた。
ブルーノにシュウの声だけでも聞かせればよかったのだが、ここにきて私の独占欲がふつふつと湧き上がってきてしまった。
タオルケットの中でシュウがブルーノに声をかけようとしていることに気づいたが、抱きかかえている腕の力を強めるとシュウは私の意図に気づいたらしくそのまま声をあげることなく静かにしていた。
『シュウを休ませるから、ブルーノも休んでくれ』と声をかけ、シュウを抱き抱えたまま部屋の中へと戻ってから、タオルケットを外した。
声を出そうとしてしまったことを申し訳なさそうにしていたが、本当ならばあそこで声を上げてブルーノを安心させるべきだったんだ。
そう。
顔が見せられないのならそうすべきだっただろう。
しかし、それをさせなかったのは私の我儘だ。
交わりであれだけ艶やかな声を上げていたシュウはほんの少しだが声が掠れている。
さっきも少し咳がでていた。
ただでさえ美しい声をしているというのに、そこに色気を帯びた艶やかな声が加わればどうしたって、情事後を思い起こさせる。
想像でさえもシュウの淫らな姿を想像されたくないのだ。
それが例えブルーノであったとしても。
シュウへの独占欲は増すばかりだ。
いい加減シュウも呆れてはいないだろうか?
そう思ったが、シュウは嬉しそうに
「フレッド……寝室に連れてって」
と甘えてきてくれた。
ああ、私はなんて幸せなんだろう。
シュウと共に寝室へ戻りベッドに寝かせ、さっき力のままに放り投げた布団を掛けながら私もシュウの隣に横たわり抱きしめると、シュウは仔猫のように胸元に擦り寄ってきた。
私の体温を欲しているように、身体を擦り寄せながら
「フレッド……大好き」
と小さな声で呟いてくる。
私もシュウへの想いと、この暗い部屋にひとりっきりで残してしまったことへの謝罪を伝えた。
シュウは『大丈夫だよ』と微笑みながら、何かを思い出したように私を見つめた。
「ねぇ、フレッド……」
思い詰めたような表情にいろいろな想像が広がってしまう。
そんなに言いにくいことがあったのだろうか?
もしや、私がいない間にやはり何かあったのだろうか?
それならばなんとしてでも憂いは取り除かなければいけない。
シュウが悪いのではないのだから責めないように、それでも気になりながら『何かあったのか?』と尋ねると、
シュウは言いにくそうに
「あのね、ぼくのお尻……」
と言ってきた。
「シュウの、尻……?」
思ってもみなかった言葉に思わず鸚鵡返しで尋ね返してしまう。
それにしてもシュウの口から『尻』などという言葉を聞くだけで心躍らせてしまう気持ちはなんなのだろうな……。
「うん。さっき立ち上がろうとした時になんとなく違和感があって、立ち上がれなかったんだ……。
もしかして……何か病気なのかな、ぼく……」
ああっ……!
シュウに気づかれてしまったのだ!
私が勝手に寝ているシュウの蕾に我慢のできない愚息を挿入て、シュウの中を味わったことが知られてしまった……。
しかも、シュウはそれを病気だと思っている。
その誤解は解かなければいけないが、本当のことを言えば、シュウは私に無理矢理襲われたとショックを受けるかもしれない。
どうしたらいいのだ?
どうすれば……。
適当なことを言って誤魔化す?
いや、シュウに嘘などつけるはずがない。
しかし、シュウに嫌われたら……?
迷っている間に自分の顔色がどんどん悪くなっていくのがわかった。
「フレッド……ぼく、やっぱり病気なの?」
「い、いや違う!! あの、な……実は、その……」
シュウに嫌われるかもしれない。
それでも正直に言うべきなのだろうな……。
私は覚悟を決め、シュウが眠ってしまった後に、昂った愚息を落ち着かせるためにシュウの蕾に挿入てしまったのだと正直に打ち明けた。
シュウは私の言葉に目を丸くして驚いていた。
それはそうだろう。
勝手に蕾を開かれ、私でも目を背けたくなるほどの大きさの愚息を勝手に突っ込まれれば、驚きどころか怒りも湧いてくることだろう。
それでも鎮痛入りの媚薬も使ったのが功を奏したようで、シュウが最中に痛みを感じなくて良かった。
残念ながら事後の違和感までは取り除けなかったようだが。
シュウは驚きのままに私をじっと見つめている。
きっと私の行いに呆れたのだろう。
寝ている時に突っ込まれるなど考えてもいなかっただろうからな。
しかし、シュウは私に驚きでも怒りでも呆れでも見せることなく、私が気持ちよかったかどうかを尋ねてきた。
私はシュウの問いの真意がわからないまま、それでも正直に胸の内を答えた。
「えっ? ああ。もちろんだよ。シュウに挿入って気持ち良くないわけがないだろう?
でも、シュウが起きて反応を見せてくれる方がもっと気持ちがいいな、やっぱり」
そういうと、シュウは天使のような微笑みを浮かべながら、
『今度から勝手にしちゃダメだよ。したかったらちゃんと起こしてね』
と言ってくれたのだ。
世界は広いといえども、こんな寛大な伴侶がどこにいるというのだろう。
しかも私が気持ちよくなっているのが見たいだなんて……。
シュウは本物の天使だ。
「シュウありがとう」
私は満たされた思いでシュウの頬に口付けをし、シュウを腕の中に包み込みながら眠りについた。
王都からの長旅に加えて、この侯爵家に来てからの怒涛の2日間のせいで身体が疲れきっていた私は、シュウの温もりと香りを抱きながら泥のように眠り込んでしまっていた。
『フレッドの匂い、ぼく大好き!』
『もっと匂わせて……』
シュウがなぜか一糸纏わぬ姿で赤い胸の尖りを見せつけながら、プルリとした果実を揺らしながら、私に可愛らしく擦り寄ってくる。
そして、私の首筋に顔を寄せ思いっきり匂いを吸い込み、嬉しそうな表情を浮かべながら首筋から胸元、そして、ぷくりとした胸の尖りを私の身体に押し付けながら下へ下へと下りていく。
ああ、そんなことをされては愚息の理性が持つはずがない。
シュウ、シュウ! 我慢できなくなってしまうぞ。
パッと目を開けると、シュウが私の足の間に座り込んでいた。
夜着を着たままの綺麗な姿で。
あれ? さっきの姿はどこにいったのだ?
私に見せつけていた赤い胸の尖りは? 可愛らしい果実は?
一糸纏わぬ姿で私に覆い被さっていたではないか?
もしかして、あれは夢だったのか?
私の妄想が見せていた産物だというのか?
しかし今、シュウが私の股間に顔を寄せ、匂いを嗅いでいるのは間違いない。
いや、これも夢だという可能性はなくはないが……。
もうどれが夢でどれが現実なのかもわからない。
ならばもう夢と思おう。
こんな淫らなシュウの夢などまたいつ見られるかもわからないのだから、楽しむに限る。
私はぎゅっと目を瞑り愚息に全神経を集中させた。
シュウが下着の上からそっと触れている感触がする。
もしかしたらこのまま直に触れてくれるだろうか。
期待に胸を膨らませながら目を瞑り続けた。
愚息は私の妄想かもしれないさっきまでのシュウの淫らな姿と、今触れてくれているシュウの指先の感触に、期待いっぱいになって下着の中で痛いほどに勃ち上がってしまっている。
シュウは匂いを嗅いだ後、満足げに私の下着の前を寛げた。
押さえつけていた物がなくなり、愚息は待ってましたかとばかりにピョコンと飛び出した。
顔を覆いたくなるほど、天を向いてそそり立っている愚息は、すでに蜜を潤ませている。
ああ、シュウに見られて恥ずかしい。
すると、愚息の先端になんとも柔らかな感触が……。
えっ? と思った時には、愚息がシュウの小さな口の中に咥えられていた。
シュウの小さな口には愚息の先しか入っていないけれど、窄まれた唇が張り出したカサの部分を刺激してなんとも言えない快感が押し寄せてくる。
ちゅぷっちゅぷっちゅぱ
耳に入ってくる水音にこれが私の妄想ではないと確信した。
私はゆっくりと目を開けると、シュウが夢中になって愚息を咥え動かしているのが見えた。
その光景を見て一瞬、暴発しそうになったのを押し留めた私の精神力を褒めてほしい。
「……シュウ、朝から可愛いイタズラだな」
その声に驚いた顔で見上げたシュウの目が私を捉えた。
愚息を咥えたまま私を見つめるシュウの目がほんの少し潤んでいて、なんとも艶めかしい。
正直な愚息は、シュウの淫らな姿に反応してさらに大きく昂ってしまった。
「ふぇ……っ、おおひくなった……」
「シュウ……咥えながら喋らないでくれ。我慢できなくなる」
シュウは焦った私の様子が面白いのか、私を見上げたまま愚息を咥え刺激を与え続ける。
シュウの口に溜まった唾液と愚息から漏れ出す蜜がグチュグチュといやらしい音を立て、私の耳を擽る。
もう限界だ!
私は身体を起こし、シュウの耳の横を両手で押さえつけて、シュウの口内に蜜を放った。
ビュッビュッビュービュル……トプトプトプ……
昨夜も出したはずなのに、大量の蜜が出たのはシュウのいやらしい姿に興奮しすぎたからだろう。
シュウの小さな口から溢れてしまうかと思ったが、
シュウは一滴も溢すことなく美味しそうに飲み干し、空になった口内を笑顔で見せつけてきた。
蜜を飲み干したシュウが愚息を口から離したが、次々と見せつけられるシュウの痴態に愚息は萎えることを忘れてしまったようだ。
あれだけ蜜を放っておきながら、まだまだ元気! と言わんばかりにビンビンに勃ち上がっている。
そんな愚息は放っておくしかない。
私はシュウを抱きしめ、唇を重ね合わせた。
ほんのり自分の蜜の香りがするが、それはどうでもいい。
シュウが私の匂いが良すぎて我慢できずに悪戯したと告白したから、昨夜のことを思い出し、
「勝手にしないで起こしてって言ってなかったか?」
と言ってやると、シュウは素直に謝った。
いやいや、こんな悪戯……私は大歓迎なんだ。
朝からシュウからの愛を受け、幸せを感じながら私たちは顔を見合わせて笑い、起きるまでベッドで何度も口付けを交わし幸せな時を過ごした。
シュウと共にシャワーを浴び、シュウが今日着る衣装を選んだ。
せっかく町へ出るのだし、シュウの可愛さが際立つ服にしようか。
淡いピンクのドレスは色白のシュウによく似合う。
ドレスを手渡すとシュウは嬉しそうに袖を通し、ドレスを持ち上げくるくると回って
『どう?』と尋ねてきた。
柔らかなドレスがひらひらと揺らめいてとても可愛らしい。
心に思ったままを口にすると、シュウは嬉しそうに笑った。
「アルフレッドさま、シュウさま。おはようございます」
ブルーノが部屋に来てすぐに、
「ブルーノさん、昨日は心配かけてごめんなさい」
と駆け寄って謝っていた。
「いえいえ、シュウさまがご無事なら私に謝罪されることなどございませんよ。
シュウさま、今日もお綺麗で何よりです」
「ふふっ。フレッドが選んでくれたんです。ブルーノさん、ありがとう」
シュウにお礼を言われて、ブルーノはにこやかに笑いながら私の傍に近寄ってきた。
「シュウさまがお元気そうで安堵いたしました。
ですが、アルフレッドさま……バスルームは声が響きますので、少しは自重なさいますように。
ただでさえ、血気盛んな若い騎士たちがお部屋の外をお守りしておりますので、シュウさまの艶やかな声が聞こえたら大変でございますよ」
私にだけに聞こえるような声でそう言われて、ハッとした。
シュウのあの声が騎士たちに聞かれたのか?
「大丈夫でございます。私がすぐに違う場所に行かせましたので、誰にも聞かれてはおりません。
が、お気をつけくださいませ」
私の表情に気づき、すぐに教えてくれたブルーノに感謝しながら、
「助かったよ。ありがとう」
というと、ブルーノは『お気をつけくださいませ』ともう一度忠告して、シュウの傍へと戻っていった。
ブルーノに案内され、ダイニングルームへ行くとすでに侯爵が座って待っていた。
すっきりとした表情をしているが、どうやら寝不足のようだ。
目の下に隈ができている。
おそらくあの後、ヴォルフと楽しんだに違いない。
意外と侯爵もまだ若いのだな。
声をかけると、腰をさすりながらゆっくりと立ち上がり挨拶をしてきた。
その様子を見て、シュウは『腰……大丈夫ですか?』と無垢な瞳で見つめながら侯爵に問いかける。
シュウから尋ねられるとは思っていなかったのだろう。
可哀想に、侯爵は顔を真っ赤にしている。
とはいえ、侯爵のこんな姿を見られるとは……。
シュウは流石だな。
思わず、笑みが溢れた。
シュウを席に案内しして、しばらく経つとアンドリュー王とトーマ王妃がやってきた。
挨拶を交わし、シュウとトーマ王妃が話している間にアンドリュー王に声をかけられた。
「昨夜、何か騒ぎがあったと聞いたのだが? シュウの様子を見ると大丈夫のようだな」
「陛下のお耳にまで入っていたとは……申し訳ございません。
実は、昨夜部屋に戻りましたらシュウが寝室にいなかったもので混乱して騒いでしまいまして……。
シュウはシュウで起きたら私がいなくて怖くなってバルコニーに出ていたようで……」
「そうだったか……。
シュウは起きて其方がいなかったからあの時を思い出したのだろうな。
可哀想なことをした。しかし……今のあの様子を見るとなんとか気を落ち着けることができたのだろう?」
「はい。私の愛を十二分に伝えましたので……」
「そうか。ならば安心したことだろう。さて、じゃあ朝食にするか」
今朝もレナゼリシアでとれたものを中心とした朝食を楽しみ、ひと息ついたところで、侯爵が意を決した表情で口を開いた。
昨夜、あの女は正式にこの侯爵家から除籍され平民となり、下働きの仕事を覚えるために執事であるヴォルフの生家であるフェザーストン伯爵家に送られることになった。
しかし、シュウやトーマ王妃の手前、その事実を告げるわけにはいかない。
シュウとトーマ王妃には床に伏せっていた娘を田舎で療養させることにし、すでにこの屋敷にはいないと告げた。
これが事実でないことは我々しか知らないことだ。
しかしながら、あの女がもうこの屋敷にいないことだけは事実なのだろう。
それを知れただけで私は安堵した。
シュウとトーマ王妃は何も知らずに
『早く良くなると良いですね』
『お見舞いの品を送ります』
と侯爵に笑顔で微笑みかけた。
「なんというお優しいお言葉。誠に痛み入ります。パメラにも王妃さまと奥方さまのお気持ちが届き、少しでも良くなることを私も願っております」
こう告げた侯爵の言葉はきっと本心だろう。
どうか、フェザーストン家で更生し、これから先 平民として、そしてどこかの屋敷で下働きとして一生懸命働いてくれたらいいと願っているに違いない。
あの女が侯爵の親心をどこまで理解しているのかはわからないが、これがあの女にかけられた最後の温情なのだと理解して欲しいものだ。
まぁ、無理だろうがな……。
「はい。物音ひとつございませんでした」
部屋の前で警護をしていた騎士に尋ねたが、特に問題はなかったようだ。
1時間もかかっていないのだから大丈夫だろうとは思っていたが、あの女が地下牢とはいえまだこの屋敷にいると思うとやはり警戒せずにはいられない。
なんせあの警備をくぐり抜け我々の部屋に忍び込んできたくらいだ。
まぁ、あの女が何かしでかすと踏んで違う部屋に移っていたので直接の被害はなかったが。
流石に地下牢から抜け出すことは難しいとは思うが、警戒するに越したことはない。
引き続き騎士たちに警備を頼んで部屋に入ると、しんと静まり返っている。
眠っているだろうシュウを起こさないように、そして可愛い寝顔を見て癒されるために、音を立てないようにゆっくりと寝室の扉を開けて中に入った。
大きなベッドの真ん中にこんもりと布団が盛り上がっている。
ふふっ。小さく丸まったりして可愛らしい寝相だ。
そっと近寄って布団をゆっくりとめくると、
「えっ? どういうことだ?」
シュウがいない!
可愛らしい天使のような寝顔が見れると思っていたのに。
どこに行ってしまったんだ?
まさか本当にあの女が?
もしかしたら仲間でもいたというのか?
ほんのりと温かい布団がまだシュウがいなくなってそれほど時間が経っていないことを知らせてくれる。
だとしたら、攫われたとしてもまだ近くにいるはずだ!
カッと頭に血が上った私は布団をその場に放り投げ、すぐに部屋の入り口へと戻った。
「ブルーノ、ブルーノを呼べ!」
「アルフレッドさま、何事かありましたか?」
私の勢いにかなり押された様子で騎士たちに尋ねられたが、それどころではない。
「部屋にシュウがいないんだ! どこかに連れて行かれたのかもしれない! 急いで屋敷中を探すんだ!!」
その言葉に1人の騎士は顔を真っ青にしてすぐにブルーノを呼びにいき、もう1人の騎士は屋敷の中を探しに走っていった。
「アルフレッドさま、シュウさまが部屋にいらっしゃらないと報告を受けましたが……」
バタバタと騎士と共に走ってやってきたブルーノに事の経緯を話すと、途端に顔色を変え、
「部屋からは出ていらっしゃらないのですか?」
と震える声で騎士に尋ねたが、騎士からの
「申し訳ございません。私はずっと部屋の前におりましたが、お姿は何も見ておりません」
という言葉にブルーノは思わず膝から崩れ落ちた。
シュウが目を覚まさなかったあの時のことを思い出しているのかもしれない。
それとも、奴等に傷つけられた時のことを思い出しているのかもしれない。
どちらにしても、ブルーノにとってシュウは孫のような存在なのだ。
シュウの姿が見えなくなったことをとても恐ろしく思っているに違いない。
ブルーノは身体を震わせながら、屋敷の中を見て参りますと言ってよろよろと立ち上がった。
私は騎士に部屋の中をもう一度くまなく探してくると言って、ひとりで部屋に戻った。
部屋をひととおり探し回ってから、もう一度寝室に戻るとやはりシュウの姿はなかった。
シュウ……一体どこにいってしまったんだ。
もう二度と私の傍から離れないと言ったではないか。
シュウが眠っていたはずの場所に目をやると、足元にふわりと風を感じた。
なんだ?
そっとそっちに目を向けると、カーテンの隙間から月の光を浴びたシュウの姿が見えた。
えっ? シュ……シュウ?
シュウなのか? 本当に?
私は信じられないものを見たような気持ちで、その場に立ち尽くしたままシュウを見つめた。
カーテンの影に佇むシュウが
「あ、フレッド……おか」
私の名前を声に出した瞬間、もう何も考えることなどできずシュウの元に駆け寄り思いっきり抱きしめた。
シュウが腕の中にいる。
シュウの温もりを、香りを、肌で感じる。
安堵すると同時にシュウがいなかった時の恐怖が込み上げてきた。
『シュウがいないのを見てどれだけ心配したと思っているんだ』
そう告げたが、それは怒りではない。ただ怖かっただけだ。
そう、シュウを失ったと思って怖かったんだ。
シュウに尋ねると、目を覚ましたら私がいなくて怖くて気持ちを落ち着けようと思った……と。
そうだ。
シュウはあの時、あちらの世界で目を覚ましたらたったひとりで寒い広場に横たわっていたと言っていたじゃないか。
目を覚ました時、私が隣にいなかったからきっと混乱したに違いない。
私が夜中にアンドリュー王と話をしに行くと、きちんと言っておけばよかったんだ。
シュウの気持ちも考えず配慮しなかった私が全て悪い。
『心配かけてごめんなさい』とシュウは謝ったが、シュウのせいではない。
私が悪かったんだ。
そう言ったけれど、シュウは自分が勝手に外に出たせいだと譲らない。
なんて優しいんだろう。
それでも、『私が悪かったんだ』『いや、ぼくが』と2人で言い合っていると、なんだかおかしくなってきてシュウと2人で笑いが溢れた。
安堵したのも束の間、さっきのブルーノの姿を思い出した。
今頃まだシュウの姿を求めて屋敷の中を探し回っているはずだ。
早く教えてあげなくては。
シュウの姿を見せた方がブルーノを安心させるだろうが、黒髪でしかも夜着姿のシュウを見せるわけにはいかない。
ただでさえ、さっきの交わりの名残か妖艶な雰囲気を漂わせたままなのだから。
私は目の前にあるタオルケットでシュウを覆い隠し、抱きかかえたまま部屋の外に出た。
タオルケットで隠したままでも私が抱きかかえてさえいればブルーノはシュウだとわかってくれるだろう。
ブルーノを呼ぶと、2人以上の足音が聞こえる。
おそらく警備していた騎士も一緒だろう。
シュウの姿が見られないようにシュウには動かないように声をかけ、ブルーノたちの到着を待った。
シュウは言うことを守って、私にぎゅっと抱きつき顔を擦り寄せてくる。
タオルケットに隠れたまま、なぜか私の匂いを一生懸命嗅いでいるのが気になるが……。
焦って走り回っていたから汗臭いなどと思われていたらどうしよう。
シュウは私の焦りを知ってか知らずかずっとクンクンと嗅ぎ続けている。
その度にふわっとシュウの吐息が私の胸元を掠めて官能を刺激する。
ああ、もう我慢できなくなるから悪戯はやめてくれ!
そう叫んでしまいたくなったが、そんな時に限ってブルーノたちがやってきた。
息せき切って駆けつけてきたブルーノは開口一番、
『シュウさまは?』と尋ねてきたが、その瞬間私が腕に何かを抱き抱えているのが見えたらしい。
タオルケットに覆われたそれが、シュウだとすぐに気づいたのは私が大切そうに抱き抱えているからだろう。
ブルーノは安堵の表情を浮かべた。
最初からバルコニーまで探しておけば、ブルーノに心労を与えることもなかったのに……。
頭に血が上ってしまって申し訳なかった。
心からの気持ちを伝えたが、ブルーノは怒るどころかにこやかな笑顔でシュウの無事を喜んでくれた。
ブルーノにシュウの声だけでも聞かせればよかったのだが、ここにきて私の独占欲がふつふつと湧き上がってきてしまった。
タオルケットの中でシュウがブルーノに声をかけようとしていることに気づいたが、抱きかかえている腕の力を強めるとシュウは私の意図に気づいたらしくそのまま声をあげることなく静かにしていた。
『シュウを休ませるから、ブルーノも休んでくれ』と声をかけ、シュウを抱き抱えたまま部屋の中へと戻ってから、タオルケットを外した。
声を出そうとしてしまったことを申し訳なさそうにしていたが、本当ならばあそこで声を上げてブルーノを安心させるべきだったんだ。
そう。
顔が見せられないのならそうすべきだっただろう。
しかし、それをさせなかったのは私の我儘だ。
交わりであれだけ艶やかな声を上げていたシュウはほんの少しだが声が掠れている。
さっきも少し咳がでていた。
ただでさえ美しい声をしているというのに、そこに色気を帯びた艶やかな声が加わればどうしたって、情事後を思い起こさせる。
想像でさえもシュウの淫らな姿を想像されたくないのだ。
それが例えブルーノであったとしても。
シュウへの独占欲は増すばかりだ。
いい加減シュウも呆れてはいないだろうか?
そう思ったが、シュウは嬉しそうに
「フレッド……寝室に連れてって」
と甘えてきてくれた。
ああ、私はなんて幸せなんだろう。
シュウと共に寝室へ戻りベッドに寝かせ、さっき力のままに放り投げた布団を掛けながら私もシュウの隣に横たわり抱きしめると、シュウは仔猫のように胸元に擦り寄ってきた。
私の体温を欲しているように、身体を擦り寄せながら
「フレッド……大好き」
と小さな声で呟いてくる。
私もシュウへの想いと、この暗い部屋にひとりっきりで残してしまったことへの謝罪を伝えた。
シュウは『大丈夫だよ』と微笑みながら、何かを思い出したように私を見つめた。
「ねぇ、フレッド……」
思い詰めたような表情にいろいろな想像が広がってしまう。
そんなに言いにくいことがあったのだろうか?
もしや、私がいない間にやはり何かあったのだろうか?
それならばなんとしてでも憂いは取り除かなければいけない。
シュウが悪いのではないのだから責めないように、それでも気になりながら『何かあったのか?』と尋ねると、
シュウは言いにくそうに
「あのね、ぼくのお尻……」
と言ってきた。
「シュウの、尻……?」
思ってもみなかった言葉に思わず鸚鵡返しで尋ね返してしまう。
それにしてもシュウの口から『尻』などという言葉を聞くだけで心躍らせてしまう気持ちはなんなのだろうな……。
「うん。さっき立ち上がろうとした時になんとなく違和感があって、立ち上がれなかったんだ……。
もしかして……何か病気なのかな、ぼく……」
ああっ……!
シュウに気づかれてしまったのだ!
私が勝手に寝ているシュウの蕾に我慢のできない愚息を挿入て、シュウの中を味わったことが知られてしまった……。
しかも、シュウはそれを病気だと思っている。
その誤解は解かなければいけないが、本当のことを言えば、シュウは私に無理矢理襲われたとショックを受けるかもしれない。
どうしたらいいのだ?
どうすれば……。
適当なことを言って誤魔化す?
いや、シュウに嘘などつけるはずがない。
しかし、シュウに嫌われたら……?
迷っている間に自分の顔色がどんどん悪くなっていくのがわかった。
「フレッド……ぼく、やっぱり病気なの?」
「い、いや違う!! あの、な……実は、その……」
シュウに嫌われるかもしれない。
それでも正直に言うべきなのだろうな……。
私は覚悟を決め、シュウが眠ってしまった後に、昂った愚息を落ち着かせるためにシュウの蕾に挿入てしまったのだと正直に打ち明けた。
シュウは私の言葉に目を丸くして驚いていた。
それはそうだろう。
勝手に蕾を開かれ、私でも目を背けたくなるほどの大きさの愚息を勝手に突っ込まれれば、驚きどころか怒りも湧いてくることだろう。
それでも鎮痛入りの媚薬も使ったのが功を奏したようで、シュウが最中に痛みを感じなくて良かった。
残念ながら事後の違和感までは取り除けなかったようだが。
シュウは驚きのままに私をじっと見つめている。
きっと私の行いに呆れたのだろう。
寝ている時に突っ込まれるなど考えてもいなかっただろうからな。
しかし、シュウは私に驚きでも怒りでも呆れでも見せることなく、私が気持ちよかったかどうかを尋ねてきた。
私はシュウの問いの真意がわからないまま、それでも正直に胸の内を答えた。
「えっ? ああ。もちろんだよ。シュウに挿入って気持ち良くないわけがないだろう?
でも、シュウが起きて反応を見せてくれる方がもっと気持ちがいいな、やっぱり」
そういうと、シュウは天使のような微笑みを浮かべながら、
『今度から勝手にしちゃダメだよ。したかったらちゃんと起こしてね』
と言ってくれたのだ。
世界は広いといえども、こんな寛大な伴侶がどこにいるというのだろう。
しかも私が気持ちよくなっているのが見たいだなんて……。
シュウは本物の天使だ。
「シュウありがとう」
私は満たされた思いでシュウの頬に口付けをし、シュウを腕の中に包み込みながら眠りについた。
王都からの長旅に加えて、この侯爵家に来てからの怒涛の2日間のせいで身体が疲れきっていた私は、シュウの温もりと香りを抱きながら泥のように眠り込んでしまっていた。
『フレッドの匂い、ぼく大好き!』
『もっと匂わせて……』
シュウがなぜか一糸纏わぬ姿で赤い胸の尖りを見せつけながら、プルリとした果実を揺らしながら、私に可愛らしく擦り寄ってくる。
そして、私の首筋に顔を寄せ思いっきり匂いを吸い込み、嬉しそうな表情を浮かべながら首筋から胸元、そして、ぷくりとした胸の尖りを私の身体に押し付けながら下へ下へと下りていく。
ああ、そんなことをされては愚息の理性が持つはずがない。
シュウ、シュウ! 我慢できなくなってしまうぞ。
パッと目を開けると、シュウが私の足の間に座り込んでいた。
夜着を着たままの綺麗な姿で。
あれ? さっきの姿はどこにいったのだ?
私に見せつけていた赤い胸の尖りは? 可愛らしい果実は?
一糸纏わぬ姿で私に覆い被さっていたではないか?
もしかして、あれは夢だったのか?
私の妄想が見せていた産物だというのか?
しかし今、シュウが私の股間に顔を寄せ、匂いを嗅いでいるのは間違いない。
いや、これも夢だという可能性はなくはないが……。
もうどれが夢でどれが現実なのかもわからない。
ならばもう夢と思おう。
こんな淫らなシュウの夢などまたいつ見られるかもわからないのだから、楽しむに限る。
私はぎゅっと目を瞑り愚息に全神経を集中させた。
シュウが下着の上からそっと触れている感触がする。
もしかしたらこのまま直に触れてくれるだろうか。
期待に胸を膨らませながら目を瞑り続けた。
愚息は私の妄想かもしれないさっきまでのシュウの淫らな姿と、今触れてくれているシュウの指先の感触に、期待いっぱいになって下着の中で痛いほどに勃ち上がってしまっている。
シュウは匂いを嗅いだ後、満足げに私の下着の前を寛げた。
押さえつけていた物がなくなり、愚息は待ってましたかとばかりにピョコンと飛び出した。
顔を覆いたくなるほど、天を向いてそそり立っている愚息は、すでに蜜を潤ませている。
ああ、シュウに見られて恥ずかしい。
すると、愚息の先端になんとも柔らかな感触が……。
えっ? と思った時には、愚息がシュウの小さな口の中に咥えられていた。
シュウの小さな口には愚息の先しか入っていないけれど、窄まれた唇が張り出したカサの部分を刺激してなんとも言えない快感が押し寄せてくる。
ちゅぷっちゅぷっちゅぱ
耳に入ってくる水音にこれが私の妄想ではないと確信した。
私はゆっくりと目を開けると、シュウが夢中になって愚息を咥え動かしているのが見えた。
その光景を見て一瞬、暴発しそうになったのを押し留めた私の精神力を褒めてほしい。
「……シュウ、朝から可愛いイタズラだな」
その声に驚いた顔で見上げたシュウの目が私を捉えた。
愚息を咥えたまま私を見つめるシュウの目がほんの少し潤んでいて、なんとも艶めかしい。
正直な愚息は、シュウの淫らな姿に反応してさらに大きく昂ってしまった。
「ふぇ……っ、おおひくなった……」
「シュウ……咥えながら喋らないでくれ。我慢できなくなる」
シュウは焦った私の様子が面白いのか、私を見上げたまま愚息を咥え刺激を与え続ける。
シュウの口に溜まった唾液と愚息から漏れ出す蜜がグチュグチュといやらしい音を立て、私の耳を擽る。
もう限界だ!
私は身体を起こし、シュウの耳の横を両手で押さえつけて、シュウの口内に蜜を放った。
ビュッビュッビュービュル……トプトプトプ……
昨夜も出したはずなのに、大量の蜜が出たのはシュウのいやらしい姿に興奮しすぎたからだろう。
シュウの小さな口から溢れてしまうかと思ったが、
シュウは一滴も溢すことなく美味しそうに飲み干し、空になった口内を笑顔で見せつけてきた。
蜜を飲み干したシュウが愚息を口から離したが、次々と見せつけられるシュウの痴態に愚息は萎えることを忘れてしまったようだ。
あれだけ蜜を放っておきながら、まだまだ元気! と言わんばかりにビンビンに勃ち上がっている。
そんな愚息は放っておくしかない。
私はシュウを抱きしめ、唇を重ね合わせた。
ほんのり自分の蜜の香りがするが、それはどうでもいい。
シュウが私の匂いが良すぎて我慢できずに悪戯したと告白したから、昨夜のことを思い出し、
「勝手にしないで起こしてって言ってなかったか?」
と言ってやると、シュウは素直に謝った。
いやいや、こんな悪戯……私は大歓迎なんだ。
朝からシュウからの愛を受け、幸せを感じながら私たちは顔を見合わせて笑い、起きるまでベッドで何度も口付けを交わし幸せな時を過ごした。
シュウと共にシャワーを浴び、シュウが今日着る衣装を選んだ。
せっかく町へ出るのだし、シュウの可愛さが際立つ服にしようか。
淡いピンクのドレスは色白のシュウによく似合う。
ドレスを手渡すとシュウは嬉しそうに袖を通し、ドレスを持ち上げくるくると回って
『どう?』と尋ねてきた。
柔らかなドレスがひらひらと揺らめいてとても可愛らしい。
心に思ったままを口にすると、シュウは嬉しそうに笑った。
「アルフレッドさま、シュウさま。おはようございます」
ブルーノが部屋に来てすぐに、
「ブルーノさん、昨日は心配かけてごめんなさい」
と駆け寄って謝っていた。
「いえいえ、シュウさまがご無事なら私に謝罪されることなどございませんよ。
シュウさま、今日もお綺麗で何よりです」
「ふふっ。フレッドが選んでくれたんです。ブルーノさん、ありがとう」
シュウにお礼を言われて、ブルーノはにこやかに笑いながら私の傍に近寄ってきた。
「シュウさまがお元気そうで安堵いたしました。
ですが、アルフレッドさま……バスルームは声が響きますので、少しは自重なさいますように。
ただでさえ、血気盛んな若い騎士たちがお部屋の外をお守りしておりますので、シュウさまの艶やかな声が聞こえたら大変でございますよ」
私にだけに聞こえるような声でそう言われて、ハッとした。
シュウのあの声が騎士たちに聞かれたのか?
「大丈夫でございます。私がすぐに違う場所に行かせましたので、誰にも聞かれてはおりません。
が、お気をつけくださいませ」
私の表情に気づき、すぐに教えてくれたブルーノに感謝しながら、
「助かったよ。ありがとう」
というと、ブルーノは『お気をつけくださいませ』ともう一度忠告して、シュウの傍へと戻っていった。
ブルーノに案内され、ダイニングルームへ行くとすでに侯爵が座って待っていた。
すっきりとした表情をしているが、どうやら寝不足のようだ。
目の下に隈ができている。
おそらくあの後、ヴォルフと楽しんだに違いない。
意外と侯爵もまだ若いのだな。
声をかけると、腰をさすりながらゆっくりと立ち上がり挨拶をしてきた。
その様子を見て、シュウは『腰……大丈夫ですか?』と無垢な瞳で見つめながら侯爵に問いかける。
シュウから尋ねられるとは思っていなかったのだろう。
可哀想に、侯爵は顔を真っ赤にしている。
とはいえ、侯爵のこんな姿を見られるとは……。
シュウは流石だな。
思わず、笑みが溢れた。
シュウを席に案内しして、しばらく経つとアンドリュー王とトーマ王妃がやってきた。
挨拶を交わし、シュウとトーマ王妃が話している間にアンドリュー王に声をかけられた。
「昨夜、何か騒ぎがあったと聞いたのだが? シュウの様子を見ると大丈夫のようだな」
「陛下のお耳にまで入っていたとは……申し訳ございません。
実は、昨夜部屋に戻りましたらシュウが寝室にいなかったもので混乱して騒いでしまいまして……。
シュウはシュウで起きたら私がいなくて怖くなってバルコニーに出ていたようで……」
「そうだったか……。
シュウは起きて其方がいなかったからあの時を思い出したのだろうな。
可哀想なことをした。しかし……今のあの様子を見るとなんとか気を落ち着けることができたのだろう?」
「はい。私の愛を十二分に伝えましたので……」
「そうか。ならば安心したことだろう。さて、じゃあ朝食にするか」
今朝もレナゼリシアでとれたものを中心とした朝食を楽しみ、ひと息ついたところで、侯爵が意を決した表情で口を開いた。
昨夜、あの女は正式にこの侯爵家から除籍され平民となり、下働きの仕事を覚えるために執事であるヴォルフの生家であるフェザーストン伯爵家に送られることになった。
しかし、シュウやトーマ王妃の手前、その事実を告げるわけにはいかない。
シュウとトーマ王妃には床に伏せっていた娘を田舎で療養させることにし、すでにこの屋敷にはいないと告げた。
これが事実でないことは我々しか知らないことだ。
しかしながら、あの女がもうこの屋敷にいないことだけは事実なのだろう。
それを知れただけで私は安堵した。
シュウとトーマ王妃は何も知らずに
『早く良くなると良いですね』
『お見舞いの品を送ります』
と侯爵に笑顔で微笑みかけた。
「なんというお優しいお言葉。誠に痛み入ります。パメラにも王妃さまと奥方さまのお気持ちが届き、少しでも良くなることを私も願っております」
こう告げた侯爵の言葉はきっと本心だろう。
どうか、フェザーストン家で更生し、これから先 平民として、そしてどこかの屋敷で下働きとして一生懸命働いてくれたらいいと願っているに違いない。
あの女が侯爵の親心をどこまで理解しているのかはわからないが、これがあの女にかけられた最後の温情なのだと理解して欲しいものだ。
まぁ、無理だろうがな……。
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