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慎重に確実に
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<八尋さん。二人の甘い時間を邪魔してしまって悪かったね。だが、可愛い子猫とは一緒に風呂に入るのをお勧めするよ。ところで、毎年恒例の蓮見の店の試食会だが、浅香と周平さんからのたっての希望もあって八尋さんと平松くんにはぜひ来てほしいとの伝言だ。私と航は虹の湖に行く予定の日と被っていて残念ながら今回は一緒にはいけないがぜひ楽しんできてほしい。それと、浅香がその日はイリゼホテルの離れに泊まるように準備してくれているようだから、平松くんと楽しい時間を過ごしてくれたらいい。最愛ができた八尋さんに会うのを楽しみにしているよ。倉橋>
倉橋くんは何やらいろいろと勘違いしているようだ。
可愛い子猫と一緒に風呂に……と書かれているところを見ると、きっと平松くんが電話口で私の所在を尋ねられて、風呂に入っていると言ってしまったのだろう。
まぁ、私がこの自宅に平松くん以外の人をあげたことはただの一度もないのだから、家にあげている時点で私たちがそういう関係だと思っているだろう。
しかも風呂にまで入っていると聞かされたらなおのこと、勘違いしても無理はない。
きっと三日後に彼らがきた時に、私たちがまだ恋人にもなっていないことを知ったらさぞや驚くことだろう。
倉橋くんが驚く姿はなかなか見られるものではないから、それはそれで楽しいのかもしれない。
倉橋くんからのメッセージが気になっている様子の平松くんに、
「平松くん、来週末に一緒に石垣に行こうか」
と誘ってみた。
彼は突然の誘いにびっくりしていたが、<綺>の試食会の説明をして、誘いを受けやすいように倉橋くんと藤乃くんの代わり行ってきてほしいと頼まれたことにしておいた。
本当は浅香さんたちからの直々の誘いであることは、状況が変われば伝えればいい。
「でも、俺なんかが行ってもいいんですか? 面識もないのに……」
流石に最初は遠慮していたが、この機会を絶対に逃すわけにはいかない。
小旅行がてら石垣に行って案内をすると言って必死に説得をすると、
「は、はい……ご迷惑じゃなければ……」
私の勢いに押されたのか、なんとか了承してくれた。
よし、これで言質は取った。
平松くんと石垣で美味しいものを食べてイリゼホテルの離れで露天風呂に入って恋人同士の甘い時間を過ごすんだ!
それまでにはしっかりと恋人になっておかないとな。
このタイミングを外すととんでもないことになる。
ここは慎重に確実に仕留めに行かないとな。
「イリゼホテルのちょっと先に美味しいマンゴーかき氷を出すお店があってね、まぁ砂川さんのところのマンゴーには負けるけど、それでもすごく美味しいから平松くんを連れて行きたいと思っていたんだ。あと、穴場なビーチもあってね……」
なんとか平松くんが石垣に行きたくなるような情報を出して、その日は寝ることにした。
寝室に連れて行って、先にベッドに身体を横たえてから腕を伸ばし、
「おいで」
とできるだけ甘い声で囁くと、平松くんはほんのり頬を染めながらも私の横に身体を滑り込ませてきてくれた。
ああ、平松くんが素直な子で本当に良かった。
腕の中に平松くんがいることに感動していたが、少し離れようとしている雰囲気を感じ取り、
「はぁーーっ。本当に実家では疲れたから、帰ってこられてホッとしたよ。平松くんが抱き枕になってくれて助かったよ。おかげで今日も眠れそうだ」
とわざと大袈裟に言って見せると、平松くんは離れようとしていた身体の力を抜き、私の腕の中に身を預けてくれた。
ああ、本当に素直で可愛い。
もう平松くんなしでは安眠できない。
平松くんもそう思ってくれていたら嬉しいのだがな。
すっきりとした目覚めを迎え、そっと時計を見るとまだ少し早い。
だが、ズボンの下では堪え性のないアレがとんでもないことになっている。
まぁ、愛しい人を抱きしめながら眠ったんだ。
こうならないわけがない。
平松くんに気づかれる前に処理をしておいた方がいいだろう。
私は平松くんを起こさないように、そっとベッドを抜け出し急いでトイレで処理を済ませ、朝食の支度を始めた。
今日は手の込んだ朝食にしようか。
ご飯を研ぎ、水につけ、丁寧に出汁をとり、味噌汁を作る。
朝からたっぷり野菜をとってほしいから具沢山にしようか。
平松くんのことを考えて作るだけで朝食作りも楽しくなるというものだ。
そろそろご飯を炊き始めようかと思ったその時、
「ぐぅぅ」
と可愛らしい音が耳に入ってきた。
倉橋くんは何やらいろいろと勘違いしているようだ。
可愛い子猫と一緒に風呂に……と書かれているところを見ると、きっと平松くんが電話口で私の所在を尋ねられて、風呂に入っていると言ってしまったのだろう。
まぁ、私がこの自宅に平松くん以外の人をあげたことはただの一度もないのだから、家にあげている時点で私たちがそういう関係だと思っているだろう。
しかも風呂にまで入っていると聞かされたらなおのこと、勘違いしても無理はない。
きっと三日後に彼らがきた時に、私たちがまだ恋人にもなっていないことを知ったらさぞや驚くことだろう。
倉橋くんが驚く姿はなかなか見られるものではないから、それはそれで楽しいのかもしれない。
倉橋くんからのメッセージが気になっている様子の平松くんに、
「平松くん、来週末に一緒に石垣に行こうか」
と誘ってみた。
彼は突然の誘いにびっくりしていたが、<綺>の試食会の説明をして、誘いを受けやすいように倉橋くんと藤乃くんの代わり行ってきてほしいと頼まれたことにしておいた。
本当は浅香さんたちからの直々の誘いであることは、状況が変われば伝えればいい。
「でも、俺なんかが行ってもいいんですか? 面識もないのに……」
流石に最初は遠慮していたが、この機会を絶対に逃すわけにはいかない。
小旅行がてら石垣に行って案内をすると言って必死に説得をすると、
「は、はい……ご迷惑じゃなければ……」
私の勢いに押されたのか、なんとか了承してくれた。
よし、これで言質は取った。
平松くんと石垣で美味しいものを食べてイリゼホテルの離れで露天風呂に入って恋人同士の甘い時間を過ごすんだ!
それまでにはしっかりと恋人になっておかないとな。
このタイミングを外すととんでもないことになる。
ここは慎重に確実に仕留めに行かないとな。
「イリゼホテルのちょっと先に美味しいマンゴーかき氷を出すお店があってね、まぁ砂川さんのところのマンゴーには負けるけど、それでもすごく美味しいから平松くんを連れて行きたいと思っていたんだ。あと、穴場なビーチもあってね……」
なんとか平松くんが石垣に行きたくなるような情報を出して、その日は寝ることにした。
寝室に連れて行って、先にベッドに身体を横たえてから腕を伸ばし、
「おいで」
とできるだけ甘い声で囁くと、平松くんはほんのり頬を染めながらも私の横に身体を滑り込ませてきてくれた。
ああ、平松くんが素直な子で本当に良かった。
腕の中に平松くんがいることに感動していたが、少し離れようとしている雰囲気を感じ取り、
「はぁーーっ。本当に実家では疲れたから、帰ってこられてホッとしたよ。平松くんが抱き枕になってくれて助かったよ。おかげで今日も眠れそうだ」
とわざと大袈裟に言って見せると、平松くんは離れようとしていた身体の力を抜き、私の腕の中に身を預けてくれた。
ああ、本当に素直で可愛い。
もう平松くんなしでは安眠できない。
平松くんもそう思ってくれていたら嬉しいのだがな。
すっきりとした目覚めを迎え、そっと時計を見るとまだ少し早い。
だが、ズボンの下では堪え性のないアレがとんでもないことになっている。
まぁ、愛しい人を抱きしめながら眠ったんだ。
こうならないわけがない。
平松くんに気づかれる前に処理をしておいた方がいいだろう。
私は平松くんを起こさないように、そっとベッドを抜け出し急いでトイレで処理を済ませ、朝食の支度を始めた。
今日は手の込んだ朝食にしようか。
ご飯を研ぎ、水につけ、丁寧に出汁をとり、味噌汁を作る。
朝からたっぷり野菜をとってほしいから具沢山にしようか。
平松くんのことを考えて作るだけで朝食作りも楽しくなるというものだ。
そろそろご飯を炊き始めようかと思ったその時、
「ぐぅぅ」
と可愛らしい音が耳に入ってきた。
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