ある教授夫夫の甘い思い出 〜右手がくれた奇跡シリーズ

波木真帆

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旦那三人の打ち合わせ

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餃子パーティーを行うにあたって、宗一郎、伊織、成瀬のリモートでの打ち合わせの様子です。
楽しんでいただけると嬉しいです♡


   *   *   *


<side宗一郎>

伊織は基本的に皐月の頼みを断らない。
いや、断れないと言った方が正しいか。

だから、今回も磯山たちの家族を我が家に招待してのパーティーに悠真くんとともに参加してもらうことも伊織の了解を取ることなく決めた。
元々、我が家で成瀬くんと真琴くんと一緒に食事をするつもりだったからそこに磯山家が加わるだけだから問題ないだろう。

成瀬くんも基本的に私たちの誘いを断ることはない。
それは時折真琴くんを預かっている礼という気持ちもあるのかもしれない。

この時間なら大丈夫だろうと当たりをつけて成瀬くんに電話をかけると、少し訝しんだ声が聞こえてきた。

普段メッセージのやり取りばかりで電話をかけることが少ないから話の内容が気になっているのだろう。
来週の食事会で我々だけでなく、磯山家も招待して餃子パーティーをすることになったから成瀬くんにも料理を頼みたいと告げると、普段の彼からは想像できない驚いた声が返ってきた。

さすがの成瀬くんも私の口から餃子パーティーという言葉が出たことに驚いたようだ。

当日やってくる磯山家の人間に少し前に磯山の実子となった、あの直くんと磯山の甥っ子がいることを告げ、直くんに家族の温かみだけでなく、友人家族と過ごす楽しい時間も経験させてあげたくて我が家に招待したと話をした。
すると、成瀬くんはすぐに了承してくれた。
彼も直くんの件では少し力を貸してくれたから、その点で言えば全く知らない人間ではなかったから良かったのだろう。

一緒に参加する伊織も含めて、近々一緒にリモートで料理など当日の件について打ち合わせしようと言って電話を切った。

意外とすんなりOKしてくれて良かった。
あとは当日、直くんと磯山の甥っ子である昇くんに嫉妬しなければいいが……。
まぁそれは当日にならなければわからないことだな。

成瀬くんの参加が決まったところで、決定事項として伊織に磯山家との食事会の話を告げるとやはりというか当然とでもいうのか、すぐに了承してくれた。

それから数日後、時間を合わせて私と伊織、そして成瀬くんとのリモートでの打ち合わせを行った。
時間は誰が指定したわけでもないが、昼間の時間帯に自然と決まったのは、やはり夜の愛しい相手のとの時間を誰も邪魔されたくなかったからだろう。

「――というわけで、餃子だけでなくいろいろな料理を作ってもてなしたいと思っている」

「いいですね。中学生と高校生の子がいるなら、肉料理は必須でしょう。ローストビーフを用意しましょうか」

「ああ、それはいいな。伊織のローストビーフは直くんたちも気にいるだろう」

「それで、教授。アレルギーやそのほか苦手な食材はありませんか?」

成瀬くんはすぐさま、その話題を上げる。やはりこういうところはさすが医師だな。

「磯山から食事についての注意事項を聞いたが、アレルギーは特になし。ただ、実家で出されていた食事にトラウマがありだいぶ克服してきてはいるが、マヨネーズ系のものを使ったものはまだ食べさせていないようだ」

「マヨネーズ系、ですか?」

「ああ、生野菜にシーザー系のドレッシングをかけられてそれを食べていたそうだが、母親の手作りだったようで毎回吐くのを我慢して食べていたようだ」

「ひどいな……」

伊織の表情が曇るのが画面越しにもわかる。

「なるほど、そのほか克服したものとはなんですか?」

「基本的に茹でたブロッコリーと蒸しただけの鶏肉とじゃがいも、あとは焼いてない食パンと冷たい牛乳、だったか……それを毎日毎食食べさせられていたらしくてな。鶏肉とじゃがいも、それにブロッコリーは味をつけて形を変えて食卓に出したら食べられるようになったと言っていた。ブロッコリーは最近付け合わせでも食べられるようになったらしい、最初はかなりの栄養失調だったが、今はだいぶ良くなってきたようだよ」

「磯山先生がその子のために努力されたんですね……なるほど。それなら私は目で楽しめるオードブルをたくさん用意しますよ」

「それはいいな。それじゃあ私は何にしようか……」

「宗一郎さんはあのアップルパイとスイートポテトパイを作ってください。悠真も大好きですから、きっと直くんも好きですよ」

「ははっ。そんなに言ってくれるなら作るとしようか。メインも決まったし、あとは各々作りたいものを持ってきてくれて構わないよ。余ったら分けてもって帰ればいいからな」

「当日は何時から始める予定ですか?」

「最初は昼前からという話だったんだが、皐月が足りないと言ってね。十時開始の夕食まで食べていってもらうことになったんだ」

「皐月さんらしいですね」

「ずっと会えるのを楽しみにしていたからね。本当は泊まらせようとしていたくらいだよ。でも直くんの編入試験がもうすぐだから諦めさせたんだ」

「編入試験、ですか?」

「ああ、桜守の中等部に三ヶ月だけだが、入ることにしたようだ。優秀ならそのまま高等部に進めるからね」

磯山の話では桜城大学の受験問題まで一人で解いていたと言っていたから学力的にはなんの心配もいらないようだがな。
まぁその話は当日の楽しみにとっておくとしよう。


「じゃあ自宅で料理をあらかた作ってそちらで盛り付けるくらいにしておきますよ、九時ごろには伺えるようにします」

「頼むよ。伊織もそれくらいで来られるか?」

「はい。大丈夫です。それでは当日に……」

あっという間に打ち合わせも終わったが、これで準備が整ったと言っても過言ではない。
あとは皐月と一緒にいろいろと買い揃えに行こうか。

なんだか楽しみになってきたな。
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