イケメン店主に秘密の片想いのはずが何故か溺愛されちゃってます

波木真帆

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なんだか気になる……

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「や、やっぱり俺なんか行かないほうが……」

「えー、どうして?」

「だって、あの南條朝陽ですよ? 俺なんかが会っていい人じゃないですって」

最初に思ってた試食会から想像をはるかに超えていくし、芸能人まで来るなんてもはやテレビとか映画の世界だし、そんな中に俺なんかが入っていいわけない。

「ふふっ。南條くん、気さくですごく優しい人だから大丈夫だよ。ねぇ、砂川さん」

「ええ。先日も東京でお会いしましたけど、藤乃くんとも楽しそうにお話されてましたし、平松くんともすぐに仲良くなってくださると思いますよ」

「えっ、藤乃くんが、南條さんと?」

「ええ。最初はもちろん藤乃くんも緊張していましたけど、南條さんから積極的にお声がけしてくださるので藤乃くんも楽しそうでしたよ。みんなで連絡先も交換しましたし、今頃仲良くしていると思いますよ」

藤乃くんが……南條朝陽と友達に?
すごい、凄すぎる。

やっぱり倉橋社長と付き合うとそんなにも交友関係が変わってしまうのか……。

まさかそんな中に俺も入れるなんて思ってもなかったけれど、砂川さんや名嘉村さんがそんなにも言ってくれるなら俺もその輪の中に入れる?

うわーっ、想像つかないっ!!


「お待たせ。今日のおすすめ、タマンのバター焼きだよ」

そんな話をしている中で、八尋さんが持ってきてくれた香ばしいバターの香りを漂わせた鉄板はジュージューと音を立てていて、見ているだけで涎が出そう。

「わぁーっ、美味しそう!!」

「ふふっ。熱いから火傷しないようにね。ああ、これ、とりわけの皿だよ」

「八尋さん、ありがとうございます」

砂川さんがお皿を受け取ると、

「やけに盛り上がってたね。なんの話をしてたの?」

と八尋さんが尋ねてきた。

「今度の<綺>の試食会の話ですよ。南條さんのことを話したら平松くんがちょっと心配になってしまったみたいで」

「心配? どうして?」

「えっ、だってものすごい有名人ですよ。そんな人と一緒だなんて……不安しかないです。どんなふうに接していいのかもわからないですし……」

「ははっ。そういうことか。でも気にする必要はないよ。というか気にしないほうがいいよ」

「えっ? それってどういうことですか?」

「南條くんは確かにすごい俳優さんだし有名人だけど、プライベートでは名嘉村くんよりも年下の人懐っこい青年だよ。年に一度は石垣や西表にも遊びに来てくれるけど、彼が特別扱いされたくないっていうこともこの島の人たちはわかってるから、仲間さんや喜友名さんたちもみんな、孫が帰ってきたみたいな感じで接してあげてるよ。ここに来ている時はね、彼は芸能人の南條朝陽じゃなくて、28歳のただの南條くんなんだ。蓮見さんもそんな時間を過ごさせてあげたいから、試食会という名目で南條くんがゆっくりと過ごせるように友人たちを集めているんじゃないかな。だから、彼が芸能人だからとかじゃなくて、普段通り、名嘉村くんや砂川さんに対するように話してあげて欲しいんだ」

そうか……そうだったんだ。
俺には芸能人の生活がどんなものかわからないけれど、華やかでいつも誰かの注目を浴びてるんだろうなってことは想像がつく。
でもいつも誰かの注目を浴びるのって確かに疲れそうだもんね。

「藤乃くんは、南條さんと普通にお話しされてましたよ。それどころか、南條さんの方が藤乃くんを気に入って抱きしめたら、社長が嫉妬してすぐに引き離しにかかってました」

「えっ? 倉橋社長が嫉妬ですか? 南條さんに?」

「ははっ。倉橋くんも相当だな。南條くんが藤乃くんを奪ったりしないってわかるだろうに。恋は盲目とはよく言ったものだな」

「ええ、そうですね。でも、南條さんは平松くんも気に入りそうですよ。綺麗で可愛いですから、藤乃くん以上に気に入って離れたがらないかもしれないですね。ふふっ」

「えっ……」

砂川さんは思いっきり冗談で話をしていたのは笑顔を見ればよくわかった。
けれど、なぜか八尋さんは真剣な表情をしていて、それがすごく気になってしまった。

「八尋さん? どうかしました?」

「あ、いや。なんでもないよ。とにかく、試食会は心配しないでいいから楽しもうね」

「あ、はい」

そう言われて条件反射のように了承してしまったけれど、八尋さんは俺の返事を聞くと笑顔で部屋から出ていった。

「八尋さん、なんだかちょっとおかしくなかったですか?」

「そうですか?」

「特に感じなかったけど。それよりこのバター焼き熱いうちに食べよう。今日のはタマンだって言ってたからふわふわで美味しいよ」

ほぐした白身を渡されて、俺は勧められるがままにそのバター焼きを口にした。

ガーリックバターの香ばしい香りと、ふわふわの白身がものすごく美味しくて、すっかり夢中になってしまっていた。
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