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想いが募る
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「あ、あのっ! 安慶名さん!」
突然大声を出してしまって、引かれているかもしれない。
だけど、どうしても言わずにはいられないんだ!
安慶名さんは俺の突然の行動に一瞬驚いた様子を見せたけれど、何も言わずに俺の言葉を待ってくれている気がする。
「ずっと、お礼が言いたかったんです! あの、お金ありがとうございます。かえって来るなんて思ってなくて……諦めてたから……。でも、あのお金見て、苦しかった五年間が無駄じゃなかったんだって、そう思えて……だから……」
「本当に無駄じゃなかったんですよ。平松くんのあの五年間があったからこそ、藤乃くんは幸せになれましたし、平松くん自身も幸せでしょう? 私はその手伝いをしただけです。頑張ったのは、平松くんですよ」
「――っ、安慶名さん……っ」
安慶名さんの優しい笑顔に、溢れ出す涙を我慢できない。
俺の頑張りなんてあの会社では誰も認めてくれる人なんていなかった。
それでも俺は自分が守ると決めたことだからと一心不乱にやってきた。
それを今、認めてもらえたのが何よりも嬉しい。
「平松くん」
いつの間にか隣に居てくれていた砂川さんが、さっとハンカチを渡してくれる。
「す、みません……」
泣いたりして恥ずかしい。
でも、早く止めなきゃ! と思えば思うほど涙が止まらない。
「いいんですよ。さぁ、あっちで休みましょう」
砂川さんが俺を抱き寄せて、ソファーまで連れて行ってくれる。
「すみません、迷惑かけてしまって……」
急に大声を出したかと思えば、泣いたりして……迷惑しかかけてない気がする。
「ふふっ。そんなことないですよ。弁護士というのは、ああやって面と向かってお礼を言われることはあまりないそうなんです」
「そう、なんですか?」
「ええ。誰かの助けになれるって嬉しいことですから、伊織さん喜んでますよ」
そんな砂川さんの笑顔に安心させられる。
安慶名さんも、砂川さんもすごく優しくていい人だ。
「夕食の準備ができましたよ」
「平松くん、行きましょう!」
「はい」
安慶名さんの声に砂川さんはすぐに反応して、俺を料理がたくさん並んだダイニングテーブルに連れて行ってくれた。
「わぁー! 美味しそうっ!!」
俺が持ってきた八尋さんの料理も綺麗に盛り付けられていて、食欲をそそる。
それに、この前名嘉村さん家で初めて食べたローストビーフもすごく美味しかったけど、目の前に並んでいるローストビーフも見ただけで涎が出そうなほど美味しいとわかる。
そして、名嘉村さんが持ってきてくれたアヒージョも美味しそうな匂いがして、お腹がぐーぐーなってしまっている。
ああ、どれから手を伸ばしていいか悩んでしまくらい、どれも美味しそうだ。
「ふふっ。じゃあ、まずは乾杯から」
そう言って名嘉村さんから渡されたのは、泡盛の入ったグラス。
ここが沖縄っぽくて好きだな。
正直、ビールよりも泡盛の方が美味しく感じるし、料理とも合う気がする。
薄さも選べるし、飲みやすいのがいい。
みんなで泡盛の入ったグラスを持ち、乾杯すると、すぐに安慶名さんが料理を取り分けてくれる。
その隣で、砂川さんはパンをみんなのお皿に乗せてくれて、その阿吽の呼吸に感心してしまう。
やっぱりこういうのを見ても仲の良さが伝わってくる気がする。
「平松くん、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
安慶名さんに笑顔で手渡されるとちょっと照れてしまう。
決して、安慶名さんに恋愛的な好意を持っているわけじゃないけど、なんか不思議な気がする。
なんだろう?
そう考えてわかった。
ああ、なんとなく八尋さんに似ているんだ。
顔とか声とかは全然違うけれど、纏っている雰囲気というか、料理を渡してくれたりする仕草というか、うまく説明できないけどそんな感じがする。
ああ……八尋さんに会いたいな……。
砂川さんと安慶名さんを見ているとそんな思いに駆られる。
「どうかしましたか?」
「えっ? あっ、なんでもないです」
ついつい、思いに耽ってしまった。
恥ずかしい。
そんな恥ずかしさを隠すように、お皿に乗ったローストビーフに箸をつけた。
一枚が結構大きいけど、一口で頬張るとその柔らかさに思わず笑顔が溢れた。
「んーっ! おいひぃっ!!」
このお肉、歯がいらないくらい柔らかくて溶けていく。
「ふふっ。伊織さん、平松くんがそんなに気に入ったなら、八尋さんにレシピ教えてあげた方がいいんじゃないですか?」
名嘉村さんの突然の言葉にびっくりして、
「えっ、どうして八尋さん……?」
と尋ねると、
「だって、平松くん。さっき八尋さんに料理を習おうかなって言ってたでしょ?」
という言葉が返ってきた、
「ああ……なんだ、そういうこと……」
八尋さんへの思いをバレないように気をつけないと! って思ってるから、過剰に反応しちゃうんだろう。
俺の気持ちがバレたら、八尋さんにもいい迷惑だし、ほんと気をつけないとな。
突然大声を出してしまって、引かれているかもしれない。
だけど、どうしても言わずにはいられないんだ!
安慶名さんは俺の突然の行動に一瞬驚いた様子を見せたけれど、何も言わずに俺の言葉を待ってくれている気がする。
「ずっと、お礼が言いたかったんです! あの、お金ありがとうございます。かえって来るなんて思ってなくて……諦めてたから……。でも、あのお金見て、苦しかった五年間が無駄じゃなかったんだって、そう思えて……だから……」
「本当に無駄じゃなかったんですよ。平松くんのあの五年間があったからこそ、藤乃くんは幸せになれましたし、平松くん自身も幸せでしょう? 私はその手伝いをしただけです。頑張ったのは、平松くんですよ」
「――っ、安慶名さん……っ」
安慶名さんの優しい笑顔に、溢れ出す涙を我慢できない。
俺の頑張りなんてあの会社では誰も認めてくれる人なんていなかった。
それでも俺は自分が守ると決めたことだからと一心不乱にやってきた。
それを今、認めてもらえたのが何よりも嬉しい。
「平松くん」
いつの間にか隣に居てくれていた砂川さんが、さっとハンカチを渡してくれる。
「す、みません……」
泣いたりして恥ずかしい。
でも、早く止めなきゃ! と思えば思うほど涙が止まらない。
「いいんですよ。さぁ、あっちで休みましょう」
砂川さんが俺を抱き寄せて、ソファーまで連れて行ってくれる。
「すみません、迷惑かけてしまって……」
急に大声を出したかと思えば、泣いたりして……迷惑しかかけてない気がする。
「ふふっ。そんなことないですよ。弁護士というのは、ああやって面と向かってお礼を言われることはあまりないそうなんです」
「そう、なんですか?」
「ええ。誰かの助けになれるって嬉しいことですから、伊織さん喜んでますよ」
そんな砂川さんの笑顔に安心させられる。
安慶名さんも、砂川さんもすごく優しくていい人だ。
「夕食の準備ができましたよ」
「平松くん、行きましょう!」
「はい」
安慶名さんの声に砂川さんはすぐに反応して、俺を料理がたくさん並んだダイニングテーブルに連れて行ってくれた。
「わぁー! 美味しそうっ!!」
俺が持ってきた八尋さんの料理も綺麗に盛り付けられていて、食欲をそそる。
それに、この前名嘉村さん家で初めて食べたローストビーフもすごく美味しかったけど、目の前に並んでいるローストビーフも見ただけで涎が出そうなほど美味しいとわかる。
そして、名嘉村さんが持ってきてくれたアヒージョも美味しそうな匂いがして、お腹がぐーぐーなってしまっている。
ああ、どれから手を伸ばしていいか悩んでしまくらい、どれも美味しそうだ。
「ふふっ。じゃあ、まずは乾杯から」
そう言って名嘉村さんから渡されたのは、泡盛の入ったグラス。
ここが沖縄っぽくて好きだな。
正直、ビールよりも泡盛の方が美味しく感じるし、料理とも合う気がする。
薄さも選べるし、飲みやすいのがいい。
みんなで泡盛の入ったグラスを持ち、乾杯すると、すぐに安慶名さんが料理を取り分けてくれる。
その隣で、砂川さんはパンをみんなのお皿に乗せてくれて、その阿吽の呼吸に感心してしまう。
やっぱりこういうのを見ても仲の良さが伝わってくる気がする。
「平松くん、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
安慶名さんに笑顔で手渡されるとちょっと照れてしまう。
決して、安慶名さんに恋愛的な好意を持っているわけじゃないけど、なんか不思議な気がする。
なんだろう?
そう考えてわかった。
ああ、なんとなく八尋さんに似ているんだ。
顔とか声とかは全然違うけれど、纏っている雰囲気というか、料理を渡してくれたりする仕草というか、うまく説明できないけどそんな感じがする。
ああ……八尋さんに会いたいな……。
砂川さんと安慶名さんを見ているとそんな思いに駆られる。
「どうかしましたか?」
「えっ? あっ、なんでもないです」
ついつい、思いに耽ってしまった。
恥ずかしい。
そんな恥ずかしさを隠すように、お皿に乗ったローストビーフに箸をつけた。
一枚が結構大きいけど、一口で頬張るとその柔らかさに思わず笑顔が溢れた。
「んーっ! おいひぃっ!!」
このお肉、歯がいらないくらい柔らかくて溶けていく。
「ふふっ。伊織さん、平松くんがそんなに気に入ったなら、八尋さんにレシピ教えてあげた方がいいんじゃないですか?」
名嘉村さんの突然の言葉にびっくりして、
「えっ、どうして八尋さん……?」
と尋ねると、
「だって、平松くん。さっき八尋さんに料理を習おうかなって言ってたでしょ?」
という言葉が返ってきた、
「ああ……なんだ、そういうこと……」
八尋さんへの思いをバレないように気をつけないと! って思ってるから、過剰に反応しちゃうんだろう。
俺の気持ちがバレたら、八尋さんにもいい迷惑だし、ほんと気をつけないとな。
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