真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

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第三章

余計な一言

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「ヴェルもこれ、食べてー!」

「ふふっ。はい、いただきます」

差し出されたお菓子をアズールさまの手から直接いただく。
これも団長に知られたら怒られそうだなと思いつつも、今日だけは特別だと自分に言い聞かせる。

なんせ、今日の私はアズールさまとの時間を楽しく過ごすために来たのだから。
ここで断ってはせっかくの楽しい時間も台無しになってしまう。

「このお菓子、お腹の赤ちゃんも好きみたい。いつも以上にお腹がポコポコ動いてるよ」

「そうですか、やっぱりアズールさまに似ていらっしゃるのでしょうね」

「ふふっ。そうかなぁ。生まれてくるの楽しみだね」

「ええ、本当に」

アズールさまと団長の御子はお二人だけでなく、陛下も公爵家の皆さまもみんな楽しみにしていらっしゃることだろう。

それに、可愛らしいアズールさまが獣人である団長を全く怖がりもせず、幸せそうな笑顔を振りまいていらっしゃる姿を度々王都の街で見せていることもあって、今では団長を怖がる者たちも今ではほとんど見かけなくなった。

たとえ、アズールさまが獣人の御子を出産なさっても、不躾な言葉や視線を投げかける者たちは決して現れないだろう。
それくらいアズールさまは国民に好かれていらっしゃる。

もっとアズールさまを外にお出しになったら団長の好感度もぐんと上がるだろうに、可愛いアズールさまをあまり人前に出したくないと仰るから仕方がない。

本当に団長はアズールさまのことになると狭量で困ったものだ。
まぁ、マクシミリアンもしょっちゅう私のことを可愛すぎて外に出したくないと言って困らせるから、同じようなものかもしれないが。
狼族も熊族も本当にパートナーに関しては一途な分、独占欲がすごすぎて大変だ。

そんなことを思っていると、

「ねぇ、ヴェルは今はマックスと騎士団で訓練をしているんでしょう?」

と尋ねられて驚いてしまう。

「え、ええ、そうですね。でも、私は内勤業務といって、部屋で書類仕事をすることのほうが多いですよ」

特にたっぷりと愛し合った日の翌日は思うように動けなくて、マクシミリアンに内業を命じられることも多い。
私の方が年上だが、仕事上今はマクシミリアンが団長で上官なのだから言うことを聞かざるを得ない。
考えてみれば、若い騎士たちとの訓練の前日に限ってマクシミリアンが激しい気がするが、もしかして、私を訓練に行かせないためだったりするのではないか?

まぁ、今回は訓練に行かずに済んだおかげで、アズールさまとの時間が過ごせるのだからよかったのだが、これはマクシミリアンとしっかり話し合った方がいいかもしれないな。

「へぇー、そうなんだ。マックスは強いから一人でも大丈夫なんだね」

「ええ、そうですね」

「ねぇねぇ、ヴェルはマックスと毎日愛し合うの?」

「――っ、ごほっ、ごほっ、な――っ、えっ、どう、してそのようなことを、お聞きになるのですか?」

「うーん、どうなのかなって。僕は今はルーの蜜がお薬だから毎日朝も夜もたっぷり飲ませてもらうけど、お腹に赤ちゃんがいるから中をゴリゴリしてもらえなくてちょっと寂しいなって……」

ああ、確かに獣人である団長のモノは狼族の中でも特に大きそうだから、中を擦られるのは心配だろう。
そう考えたら妊娠なさってから団長はアズールさまに舐められるだけで我慢していらっしゃるのか……。
すごいな。
毎日のように最奥まで挿入ってこようとするマクシミリアンと、それに慣れすぎて私もすっかり奥を突かれなければ物足りなくなってしまっているのだからどうしようもない。

「お子さまがお生まれになったらまたたっぷりと愛し合えますよ。期間が空いたら今まで感じていたよりもずっと気持ちよく感じられるかもしれませんよ」

「えっ……今までよりもずっと? それ……すごそう!!」

目をキラキラと輝かせるアズールさまを見て、もしかしたら余計なことを言ってしまったのかもしれないと思ってしまった。

<sideマクシミリアン>

団長の突然の登場に訓練場は興奮に満ち溢れていた。
騎士たちの目も輝いている。
だが、団長の訓練についていけるだろうか。

そんな心配をしていたのだが、私の訓練よりも数十倍はきついというのに、それでも騎士たちが一人も脱落することなく最後まで訓練を終えることができた。

それはきっと、

――私の訓練について来れた者にだけ、私とマクシミリアンとの模範試合を見せることにしよう。

と訓練前に団長が仰ったからだろう。

団長が真剣に試合をなさるのはかなりのレアケースな上に、ここ数ヶ月はアズールさまのご懐妊で訓練自体をお休みになっていたから、団長の剣術を見られること自体が久しぶりなのだ。

それはなんとしてでも見たいと思うのが騎士として当然だろう。

みんなは、はぁ、はぁと荒い息遣いをしながらも、私と団長の試合を心待ちにしているようだった。

「ならば、マクシミリアン。相手をしてくれ。久々で身体が鈍っているから其方と試合ができるのは楽しそうだ」

「では、私も本気で行かせてもらいますよ」

「ああ、もちろんだ。この私に手加減など無用だぞ」

私が唯一本気で挑みにいける相手との試合は、やはり気分が高揚する。
今度こそ、私が勝ってみせる。

そんな思いを胸に私は団長と向かい合った。
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