真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

文字の大きさ
170 / 296
第三章

新しい家族

しおりを挟む
ヴェルナーとマクシミリアンの話は独立させたので、その続きから再開しています。
ヴェルナーとマクシミリアンのお話
『最強の黒豹騎士団長は新人熊騎士にロックオンされちゃいました』は9時に更新予定です。


  *   *   *

<sideルーディー>

私たちの部屋に戻ると、アズールが私が戻ってきたのにも気づかずにヴェルナーと話し込んでいるのが見える。

「それで、どうなったの?」

「楽しそうだな」

「わっ!」
「王子!」

そっと近づいて声をかけると、アズールだけでなくヴェルナーまでもが驚きの声をあげた。

ヴェルナーまで私が来ていることに気づいていないとは……。

「私が来ていることに気づかないほど一体何の話をしていたのだ?」

「あのね、今ヴェルとマックスのお話を聞いていたの」

「ヴェルナーとマクシミリアンの?」

そう聞き返すと、ヴェルナーは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていた。

ああ、なるほど。
そういうことか。

アズールにせがまれて、マクシミリアンとの馴れ初めや初夜のことでも語っていたのか。

それなら私が来ていたことに気づかないのも無理はない。

「うん。とっても素敵でね……」

「そうか。それはアズールと、ヴェルナーの二人だけの秘密にするが良い」

「えっ? ルーは聞かないの?」

「私はマクシミリアンから聞くとしよう」

そう言ってヴェルナーを見ると、恥ずかしそうにしながらも少しホッとしているように見えた。

もちろん、マクシミリアンからわざわざ聞くつもりはない。
だが、そう言わなければアズールはきっと私にもマクシミリアンとヴェルナーとのことを教えてくれただろう。

アズールに悪気がないのはわかっているが、ヴェルナーはきっとアズールだから聞かせたのだ。
それを私が聞いてしまうのは本意ではないだろう。

だから、そう返したのだ。
けれど、アズールは私の言葉を素直に聞き入れ、

「そっか、そうだね。それは楽しそう! ねぇ、じゃあお兄さまともお話しするの?」

と尋ねてきた。

「んっ? ああ、そうだな。クレイからも聞いてみるのも楽しいかもしれないな」

アズールに話を合わせて言ってみると、

「ふふっ。じゃあ、アズールはティオとヴェルと三人でお話しする!」

と嬉しそうに宣言した。

あれほど、ティオと話したがっていたアズールだ。
ティオがクレイと共に部屋から出てきたら、きっとすぐに話を聞くに違いない。

これはもう止められないだろうな。
まぁ、ティオも無事に初夜を終えて、ヴェルナーやアズールに聞きたいこともできたかもしれない。

意外とこのような時間を作るのもいいことなのかもしれないな。

「じゃあ、クレイとティオが出てきたら、その時間を作るように話をしてみよう」

「わぁー! ヴェル、楽しみだね」

無邪気に喜ぶアズールの隣で、ヴェルナーは若干戸惑い気味の様子だったが、何か思うところがあったのか

「そうですね、楽しみですね」

と笑顔を見せていた。


<sideクレイ>

「ティオ……」

「クレイさま……」

たっぷりと存分に愛し合い、この部屋にいる間ほとんどティオの中に挿入ったまま幸せな時間を過ごした。
このまま一ヶ月でも二ヶ月でもティオと全ての時間をベッドで過ごしたいが、そうも言っていられない。

いつまでも王家の客間に居続けるわけにもいかないし、日常に戻らなければいけない。
それでもティオとはこの部屋に入る前とは確実に違う関係になった。

一生愛し続ける大切な存在ができるのはこんなにも幸せなことなのだと、ティオが教えてくれた。

「これからティオは、私の伴侶としてヴォルフ公爵家で共に生活をすることになるが構わないか? もし、二人で暮らすことを望むなら、父上に話をして家を出ても構わないがティオはどうしたい? 遠慮せずに話してほしい」

「私はお義父さまとお義母さまと一緒に暮らしたいです」

「本当か? 無理をしていないか?」

「無理だなんて! 私は両親をすでに亡くしましたし、家族で過ごすことに憧れがあります。クレイさまがお育ちになったあの家でクレイさまとお義父さまとお義母さまと一緒に暮らすことができたら、これ以上幸せなことはありません」

「ティオ……ありがとう。そう言ってくれて嬉しいよ。父も母もアズールが王子の元に嫁いで毎日が寂しそうにしていたから、ティオが一緒に住んでくれたらまた我が家に明るさが戻るよ」

「そんな……っ、私がアズールさまの代わりになんて……到底なれません」

「ティオ、違うよ。アズールの代わりなんかじゃない。ティオはティオだ。ティオがいてくれるだけで幸せになれるんだよ」

「クレイさま……」

「これから家族で幸せに暮らそう」

「はい」

ティオは目にうっすらと涙を浮かべながら私に抱きついてくれた。
ああ、ティオは本当に可愛い。

名残惜しく思いつつも、二人で客間から出ると執事のフィデリオ殿がやってきた。

「無事に初夜を過ごされましておめでとうございます」

「ああ、ありがとう。いろいろと世話になった」

「いいえ、滅相もございません。お二人のお世話ができまして光栄にございます」

フィデリオ殿は笑顔でそう言いながら、話を続ける。

「クレイさま、ティオさま。陛下と王子がお待ちでございますのでご案内いたします」

「えっ? 陛下と義兄上が?」

「はい。初夜を恙無く終えられましたご報告を」

「ああ、そういうことか。わかった」

私とティオはフィデリオ殿に案内され、陛下と義兄上がいらっしゃる部屋に向かった。
しおりを挟む
感想 570

あなたにおすすめの小説

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

処理中です...