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第三章
ティオを失うくらいなら……
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「わっ!」
まだ顔を真っ赤にしたままのティオの腕をとり、さっと胸の中に閉じ込める。
たとえ両親であっても、この可愛い顔をもう誰にも見せたくない……。
そんな独占欲が抑えきれないのだ。
「えっ……あの……」
私に突然抱きしめられティオも驚いているようだが、離れようとしないのはやはり運命の相手だからだろうか。
そう思いたい。
「悪いが、離せそうにない。しばらくこのままでいてくれ」
ティオにそう断りを入れた上で、
「父上、母上。もうお二人の承諾はいただいたと思ってよろしいのですか?」
と問いかけた。
「運命の相手と出会った以上私たちは反対するつもりはないが、ティオの気持ちを無視して先に進むことは許さないぞ。わかったな?」
「わかりました。それだけはお約束します。では、失礼します」
「わっ!!」
両親に頭を下げ、腕の中にいたティオを抱きかかえて急いで自分の部屋に連れ込んだ。
扉を閉め、二人っきりの空間になった途端、ティオの甘い匂いが興奮を誘う。
「くっ――!!」
このままでは襲ってしまいそうだ。
一度冷静にならなければ。
そして、ティオにも今の状況を説明しなければな。
必死に興奮を抑えようと深呼吸を繰り返し、
「とりあえず腰を下ろしてちゃんと話をしよう」
と声をかけ、抱きかかえたままソファーに座った。
私の身体に、腕に、ピッタリと収まるティオの姿に、アズールを抱きかかえた時とは全く違う感情が湧き上がる。
いつ見てもアズールを抱きかかえている義兄上を見て、過保護だと思うこともあったが、今なら義兄上の気持ちがよくわかる。
運命の相手がそばにいれば、ほんの少しの間でも離れていたくない。
そんな感情が芽生えるのだな。
愛おしくてたまらずギュッと抱きしめると、
「あ、あの……私……」
腕の中のティオは戸惑いの声を上げた。
「驚かせてしまってすまない。私もようやく出会えた運命の相手に正直戸惑っている」
私のこの言葉にティオは一瞬悲しげな表情を浮かべた。
それにハッとして、慌てて言葉を付け加える。
「違うんだ、戸惑っているのは相手がティオだからというわけではない。怖がらせたくない気持ちとすぐにでもティオを私のものにしたい気持ちとが葛藤していて自分でもどうしたらいいのかわからないんだ」
「えっ……それって……」
「わかるだろう? 私の全てがティオを欲しいと望んでいるんだ。なんせ、この年まで待ち続けた運命の相手なのだからな」
「――っ!!!」
私の言葉に驚きつつ、ティオが頬をさらに赤く染める。
「ティオ……ティオも私を運命だと感じてくれたのだろう? お願いだ、私の伴侶になって欲しい。もうこのままティオを手放したくないんだ」
「あ、あの……でも、私は……しがない男爵家の生まれで……両親も亡くなりましたし、今は何の後ろ盾もないただの騎士です。そんな私が貴方さまの運命だなんて勿体のうございます……」
「私が公爵家の跡取りというのが気になるか?」
そう尋ねるとティオは小さく頷いた。
「そうか、なら公爵家から出よう」
「えっ?」
「ティオを失うくらいなら、公爵家の跡取りとしての地位など必要ない。すぐに父上に話をして除籍してもらおう」
「そ、そんな……っ」
「ああ、大丈夫、安心してくれ。こう見えても私は優秀なんだ。働き口など探せば見つかるから、ティオを飢えさせるような真似は絶対にしないと誓うよ。なら早速父上のところに行こう!」
「ちょ――っ、まっ! いえ、お待ち下さい!!」
ティオを抱きかかえたまま、扉に向かおうとする私をティオが必死に止めようとしてくるが、一瞬素のティオが垣間見れて嬉しくなる。
「どうした? すぐにでも話をしに行こう。私が貴族でなくなれば、私とのことを考えてくれるのだろう? 私は真剣だよ。ティオも知っているだろう? 狼族は一途に運命の相手を愛する。だからこそ私はこれまで誰とも恋愛などしたことがない。いつか出会える運命を待ち続けてきたのだからな。そしてようやくティオと出会えた。地位や名誉なんかよりもティオを選ぶのは当然だろう?」
ティオを失いたくなくて、必死に理由を告げる。
頼む、だから離れるなんて言わないでくれ。
「本当に……私なんかで、いいんでしょうか?」
「私なんかじゃない! ティオがいいんだ。ティオしか考えられない!!」
もう何もかも捨てていい。
ティオだけがそばにいてくれたらそれで十分なんだ!
たとえ一生アズールと会えなくなっても私はティオと共に過ごしたい。
私の必死の訴えにティオはようやく笑顔を見せてくれた。
まだ顔を真っ赤にしたままのティオの腕をとり、さっと胸の中に閉じ込める。
たとえ両親であっても、この可愛い顔をもう誰にも見せたくない……。
そんな独占欲が抑えきれないのだ。
「えっ……あの……」
私に突然抱きしめられティオも驚いているようだが、離れようとしないのはやはり運命の相手だからだろうか。
そう思いたい。
「悪いが、離せそうにない。しばらくこのままでいてくれ」
ティオにそう断りを入れた上で、
「父上、母上。もうお二人の承諾はいただいたと思ってよろしいのですか?」
と問いかけた。
「運命の相手と出会った以上私たちは反対するつもりはないが、ティオの気持ちを無視して先に進むことは許さないぞ。わかったな?」
「わかりました。それだけはお約束します。では、失礼します」
「わっ!!」
両親に頭を下げ、腕の中にいたティオを抱きかかえて急いで自分の部屋に連れ込んだ。
扉を閉め、二人っきりの空間になった途端、ティオの甘い匂いが興奮を誘う。
「くっ――!!」
このままでは襲ってしまいそうだ。
一度冷静にならなければ。
そして、ティオにも今の状況を説明しなければな。
必死に興奮を抑えようと深呼吸を繰り返し、
「とりあえず腰を下ろしてちゃんと話をしよう」
と声をかけ、抱きかかえたままソファーに座った。
私の身体に、腕に、ピッタリと収まるティオの姿に、アズールを抱きかかえた時とは全く違う感情が湧き上がる。
いつ見てもアズールを抱きかかえている義兄上を見て、過保護だと思うこともあったが、今なら義兄上の気持ちがよくわかる。
運命の相手がそばにいれば、ほんの少しの間でも離れていたくない。
そんな感情が芽生えるのだな。
愛おしくてたまらずギュッと抱きしめると、
「あ、あの……私……」
腕の中のティオは戸惑いの声を上げた。
「驚かせてしまってすまない。私もようやく出会えた運命の相手に正直戸惑っている」
私のこの言葉にティオは一瞬悲しげな表情を浮かべた。
それにハッとして、慌てて言葉を付け加える。
「違うんだ、戸惑っているのは相手がティオだからというわけではない。怖がらせたくない気持ちとすぐにでもティオを私のものにしたい気持ちとが葛藤していて自分でもどうしたらいいのかわからないんだ」
「えっ……それって……」
「わかるだろう? 私の全てがティオを欲しいと望んでいるんだ。なんせ、この年まで待ち続けた運命の相手なのだからな」
「――っ!!!」
私の言葉に驚きつつ、ティオが頬をさらに赤く染める。
「ティオ……ティオも私を運命だと感じてくれたのだろう? お願いだ、私の伴侶になって欲しい。もうこのままティオを手放したくないんだ」
「あ、あの……でも、私は……しがない男爵家の生まれで……両親も亡くなりましたし、今は何の後ろ盾もないただの騎士です。そんな私が貴方さまの運命だなんて勿体のうございます……」
「私が公爵家の跡取りというのが気になるか?」
そう尋ねるとティオは小さく頷いた。
「そうか、なら公爵家から出よう」
「えっ?」
「ティオを失うくらいなら、公爵家の跡取りとしての地位など必要ない。すぐに父上に話をして除籍してもらおう」
「そ、そんな……っ」
「ああ、大丈夫、安心してくれ。こう見えても私は優秀なんだ。働き口など探せば見つかるから、ティオを飢えさせるような真似は絶対にしないと誓うよ。なら早速父上のところに行こう!」
「ちょ――っ、まっ! いえ、お待ち下さい!!」
ティオを抱きかかえたまま、扉に向かおうとする私をティオが必死に止めようとしてくるが、一瞬素のティオが垣間見れて嬉しくなる。
「どうした? すぐにでも話をしに行こう。私が貴族でなくなれば、私とのことを考えてくれるのだろう? 私は真剣だよ。ティオも知っているだろう? 狼族は一途に運命の相手を愛する。だからこそ私はこれまで誰とも恋愛などしたことがない。いつか出会える運命を待ち続けてきたのだからな。そしてようやくティオと出会えた。地位や名誉なんかよりもティオを選ぶのは当然だろう?」
ティオを失いたくなくて、必死に理由を告げる。
頼む、だから離れるなんて言わないでくれ。
「本当に……私なんかで、いいんでしょうか?」
「私なんかじゃない! ティオがいいんだ。ティオしか考えられない!!」
もう何もかも捨てていい。
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私の必死の訴えにティオはようやく笑顔を見せてくれた。
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