真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

文字の大きさ
158 / 296
第三章

違和感しかない

しおりを挟む
「クレイさま……」

「ティオ……私の伴侶になってくれるか?」

「あの……私の気持ちは固まっておりますが、今はまだお答えできません」

「なぜだ?」

「私は陛下の護衛騎士でございます。まずは陛下に許可を頂かなければ……」

「ああ……確かにそうだな。陛下の専属護衛騎士であれば、自分だけの判断で返事などできないのはわかる。だが、一言でいい。私への気持ちを教えてはくれぬか?」

陛下の専属護衛騎士であるティオに今すぐに私の伴侶となる返事が欲しいというわがままは言えない。
だが、ほんの少しでいい。
私を好きだと言ってくれたら、今はそれだけで我慢ができる。

プライドも何もかも捨て、縋るような目でティオを見つめると、ティオは私の目を見ながらゆっくりと口を開いた。

「私も……クレイさまと、離れたくありません……」

「ああ、ティオ! なんて嬉しいんだ!!」

気持ちが通じ合うことがこんなにも嬉しいことだと思わなかったな。

「ティオ、今すぐにでもティオを私のものにしたいが、ティオが陛下に許可をいただくというのなら、それまで我慢する。だから、今すぐにでも陛下に御目通りの許可をいただこう」

「えっ、今からですか?」

「ああ、少しの時間も惜しいからな」

「わっ、ちょ――っ!」

焦るティオを抱きかかえて、急いで部屋から出て階段を駆け降りると

「わぁ! お兄さまだぁ!!」

と久しぶりに聞く、可愛い弟の声が聞こえた。

<sideルーディー>

アリーシャ殿がヴェルナーに公爵家の現状を話にわざわざ騎士団の訓練場にまで足を運んでくれて、それをマクシミリアンから聞いた私たちは、父上に許可を取り、早速公爵家に向かった。

「ルーもお泊まりしてくれるんだよね?」

「ああ、もちろんだとも。私たちはもう離れて夜を過ごすことなどできないのだからな。アズールも私が抱きしめていないと眠れないだろう?」

「うん。ルーにお腹の奥をゴリゴリしてもらって抱きしめてもらわないと、ウズウズして眠れないもん」

「ふふっ。そうだな。アズールは私と愛し合うのが好きだからな」

「ルーも?」

「えっ?」

「ルーも、アズールと愛し合うのが好き?」

「ああ、大好きだよ。わかっているだろう?」

私の言葉に安心したようにアズールが抱きついてくる。
ああ、本当に私は幸せだ。

そういえば、今夜は初夜でたっぷりと愛し合ったあのベッドでアズールと眠るわけか。
これはまた、あの日の興奮が甦るかもしれないな。

無邪気に実家への里帰りを喜んでいるアズールとは対照的に、私はアズールとの甘い夜を考えている。
だが、それも仕方がない。
なんせ18年も我慢していたのだからな。

私はそれを免罪符に今夜もアズールをたっぷりと愛するのだ。

公爵家の前に馬車が停まり、アズールを抱きかかえて降りると馬車の音に気づいたのか、玄関の扉が開きベンが出てきた。

「ああー! ベン!!」

「アズールさま! ルーディーさまもおかえりなさいませ」

「ふふっ。久しぶりだね」

「はい。アズールさまとルーディーさまのお元気そうなお顔を拝見できて嬉しゅうございます」

「ベン、今日はここに泊まるから頼むぞ」

「――っ、承知しました」

アズールが来たことに喜んでいたベンだったが、我々が泊まることには一瞬表情が曇ったように見えた。
アリーシャ殿の話ではアズールが来てくれるのを心待ちにしているようだったはずだが……。
何か理由でもあるのだろうか?

「ねぇ、ルー! 早く中に入ろう!」

「ああ、そうだな」

アズールは久しぶりの実家に待ちきれないようだ。

急かすように私と中に入り、今頃仕事をしているはずの義父上の元に行こうと言い出した。

執務室か。
ここに義父上とクレイがいるわけだな。

扉を叩くと、勢いよく扉が開いたと思ったら、

「クレイか?!」

と声がかけられた。

「お父さま!」

アズールが声をかけると、義父上は

「あ、アズール! き、来てくれたのか?」

と驚きと嬉しさが入り混じったようななんとも言えない表情で迎えてくれた。

アズールは私の腕からぴょんと飛び跳ねると、義父上に向かって飛んでいった。

「みんなに会いたくて遊びにきたの! お父さま、嬉しい?」

「あ、ああ。嬉しいとも! アズール、よく帰ってきてくれた」

アズールが里帰りしてきたことを喜んでいるのは確かだが、どこか違和感がある。
さっきのベンの態度も然り、義父上の態度も然り。
一体なんだというんだ?

「ねぇ、お母さまとお兄さまは?」

「アリーシャは今の時間なら庭にいるはずだ。クレイは……今は、自室にいる」

「まだお仕事の時間なのに?」

「あ、ああ。そうなんだが、その……大切な友人が来ていて、部屋で話をしているのだよ」

「お兄さまのお友達? 珍しいね。せっかくだから僕も挨拶したい!」

「えっ……それは……」

「ルー、お部屋に行ってみよう!」

そう言いながらアズールは私の腕の中に飛び込んで戻ってきた。

ああ、やはりアズールがいると落ち着く。

それにしてもクレイが仕事の時間にも関わらず、自室で友人といるのはどうも気になる。
今まで感じていた違和感はこれか?

気になりつつも、アズールの誘いに乗って執務室を出る。
そして、クレイの部屋に向かおうと階段を上がろうとすると、階段から勢いよく駆け降りてくる音が聞こえた。

見れば、クレイが誰かを大事そうに抱きかかえているのが見える。

んっ? あれは……父上の専属護衛騎士のティオ?
一体どういうことだ?
しおりを挟む
感想 570

あなたにおすすめの小説

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

処理中です...