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第二章
大人になったら……
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<sideアズール>
「お母さま、ここのお店のケーキはこのフルーツがたくさん載っているのが美味しいんだよ」
ルーに買ってもらったケーキの箱を広げて見せると、お母さまはニコニコと優しい笑顔を向けてくれた。
「ふふっ。アズールはフルーツが好きだものね」
「うん、大好き。お母さまも好きでしょう?」
「ええ。アズールとお揃いね」
「ふふっ。お揃い~! ねぇ、お母さま。あーんして」
「あら、アズールが食べさせてくれるの?」
「うん。だって、僕もいつもルーに食べさせてもらってるから」
ケーキの上に載っている、キラキラと輝くフルーツをフォークで刺し、あーんと差し出すとお母さまは美味しそうに食べてくれた。
「んっ、甘くて美味しいわね」
「ふふっ。でしょう?」
「アズールも食べましょう」
「でも……これは、お母さまのお土産だから……」
甘い匂いに誘われて食べたくなるけれど、今日は爺のところでお菓子も食べたし、さっきルーと一緒にケーキもプリンも食べちゃったし……まぁ、どっちも半分以上はルーが食べてくれたけど。
でも、流石にお菓子ばっかり食べてたら、夜ご飯が食べられなくなっちゃうかも……。
「今日はアズールのお祝いだから、特別。ね、お母さまに付き合って」
「僕が一緒に食べた方が嬉しい?」
「ええ、そうね」
「うん。じゃあ、一緒に食べる!」
「ふふっ。よかったわ」
お母さまは箱の中に入っていたケーキの中で、一際輝いていたイチゴのケーキをお皿に載せてくれた。
「あっ、イチゴ。いいの?」
「ええ。アズールの大好物だものね」
そう。
イチゴは僕の大好物でもあるけど、元々は蒼央の大好きなもの。
と言っても数えるほどしか食べたことはないけれど、ぼんやりした味が多い食事の中で、真っ赤に熟したイチゴの色味は僕の食欲を大いにそそった。
初めてイチゴを食べた時の感動は今でも忘れられない。
だから今でもついイチゴがあるとウキウキしちゃうんだ。
「アズール、あーん」
お母さまが真っ赤なイチゴを僕の口に運んでくれる。
蒼央がずっとしてもらいたいって思っていたことが、ここではなんでも叶うんだ。
お母さまが食べさせてくれた、大きくて丸くて甘くて、でもちょっとだけ酸っぱい真っ赤なイチゴは今まで食べたイチゴの中でも一番美味しかった。
「お母さま……僕、大人になったんだよね?」
「ええ。そうね。あの小さかったアズールが大人の仲間入りをしたと思うと、お母さまは嬉しいわ」
「僕、そんなに小さかった?」
生まれた時からの記憶はあるけれど、どれだけ小さかったのかあんまり覚えていないな。
ずっと抱っこしてもらってたからかな。
まぁ、今でも結構抱っこしてもらっているけど。
「ええ。アズールはウサギ族だから特に、クレイが生まれた時の半分くらいの大きさしかなかったわ。だから、心配だったの。おっぱいもちょっと飲んだらお腹いっぱいになっちゃってすぐに眠ってしまうし、そのせいか全然大きくならなくて……私のおっぱいじゃ栄養がちゃんと取れないんじゃないかって何度も不安になったの。でもね……そんな時、お父さまが仰ったの。アズールは少しずつだけどちゃんと大きくなってるって。身体の大きさを気にすることはないって。この子は小さくてもしっかりと育つはずだって……そう仰って、お母さまは安心したの」
ああ、なんとなく覚えている気がする。
お母さまはいつも心配そうな目で僕を見ていたっけ。
だから、この世界でも僕は病気なのかとちょっと不安になったんだよね。
「僕、心配かけちゃったんだね」
「いいえ。今思えばそんな時間を過ごせて本当に幸せだったの。不安や心配事があったからこそ、今、アズールが大人になったのを心から嬉しく思えるの。アズールにもいつかこの気持ちがわかる日が来るわ。アズールに赤ちゃんができたらね」
「僕に……赤ちゃん?」
でも、僕は男の子なのに?
ここでは男の子でも赤ちゃんが産まれるんだっけ?
でもお父さまも、お兄さまも、もちろんルーだって、そんな感じは全然ないのに。
「ええ。ウサギ族は男の子でも赤ちゃんを産むことができるの」
「ウサギ族だけ?」
「ええ。だから、アズールはいつか、ルーディー王子の赤ちゃんを産むのよ」
「僕が……ルーの?」
お母さまの言葉に驚きながらも、不思議と嫌な気は全くしなかった。
「アズール、ルーディー王子との赤ちゃんが欲しいかしら?」
「うーん、まだわからない……」
「ふふっ。そうね。まだまだ先だものね。でもね、お母さまは大好きなお父さまの子ども……クレイとアズールを産むことができて本当に幸せなの。きっといつかアズールも大好きなルーディー王子の子どもが産みたいと思える日が来るわ」
「来るかなぁ?」
「ええ。アズールが身体だけじゃなくて、年齢も大人になったらね。必ずそんな日が来るわ。それまでは焦らずにゆっくりとルーディー王子と楽しい時間を過ごしていきましょう」
身体だけじゃなくて年齢も大人になったら、か……。
僕は今12歳。
成人になるまではあと6年。
まだまだ先に感じるけれど、18歳になったらどんな人生が待っているんだろう。
蒼央は18歳までしか生きられなかったから、そこから先は想像がつかないな。
でもきっと18歳になった僕の隣にもルーは、いてくれるだろうな。
やっぱり……僕、ルーが大好きだ。
「お母さま、ここのお店のケーキはこのフルーツがたくさん載っているのが美味しいんだよ」
ルーに買ってもらったケーキの箱を広げて見せると、お母さまはニコニコと優しい笑顔を向けてくれた。
「ふふっ。アズールはフルーツが好きだものね」
「うん、大好き。お母さまも好きでしょう?」
「ええ。アズールとお揃いね」
「ふふっ。お揃い~! ねぇ、お母さま。あーんして」
「あら、アズールが食べさせてくれるの?」
「うん。だって、僕もいつもルーに食べさせてもらってるから」
ケーキの上に載っている、キラキラと輝くフルーツをフォークで刺し、あーんと差し出すとお母さまは美味しそうに食べてくれた。
「んっ、甘くて美味しいわね」
「ふふっ。でしょう?」
「アズールも食べましょう」
「でも……これは、お母さまのお土産だから……」
甘い匂いに誘われて食べたくなるけれど、今日は爺のところでお菓子も食べたし、さっきルーと一緒にケーキもプリンも食べちゃったし……まぁ、どっちも半分以上はルーが食べてくれたけど。
でも、流石にお菓子ばっかり食べてたら、夜ご飯が食べられなくなっちゃうかも……。
「今日はアズールのお祝いだから、特別。ね、お母さまに付き合って」
「僕が一緒に食べた方が嬉しい?」
「ええ、そうね」
「うん。じゃあ、一緒に食べる!」
「ふふっ。よかったわ」
お母さまは箱の中に入っていたケーキの中で、一際輝いていたイチゴのケーキをお皿に載せてくれた。
「あっ、イチゴ。いいの?」
「ええ。アズールの大好物だものね」
そう。
イチゴは僕の大好物でもあるけど、元々は蒼央の大好きなもの。
と言っても数えるほどしか食べたことはないけれど、ぼんやりした味が多い食事の中で、真っ赤に熟したイチゴの色味は僕の食欲を大いにそそった。
初めてイチゴを食べた時の感動は今でも忘れられない。
だから今でもついイチゴがあるとウキウキしちゃうんだ。
「アズール、あーん」
お母さまが真っ赤なイチゴを僕の口に運んでくれる。
蒼央がずっとしてもらいたいって思っていたことが、ここではなんでも叶うんだ。
お母さまが食べさせてくれた、大きくて丸くて甘くて、でもちょっとだけ酸っぱい真っ赤なイチゴは今まで食べたイチゴの中でも一番美味しかった。
「お母さま……僕、大人になったんだよね?」
「ええ。そうね。あの小さかったアズールが大人の仲間入りをしたと思うと、お母さまは嬉しいわ」
「僕、そんなに小さかった?」
生まれた時からの記憶はあるけれど、どれだけ小さかったのかあんまり覚えていないな。
ずっと抱っこしてもらってたからかな。
まぁ、今でも結構抱っこしてもらっているけど。
「ええ。アズールはウサギ族だから特に、クレイが生まれた時の半分くらいの大きさしかなかったわ。だから、心配だったの。おっぱいもちょっと飲んだらお腹いっぱいになっちゃってすぐに眠ってしまうし、そのせいか全然大きくならなくて……私のおっぱいじゃ栄養がちゃんと取れないんじゃないかって何度も不安になったの。でもね……そんな時、お父さまが仰ったの。アズールは少しずつだけどちゃんと大きくなってるって。身体の大きさを気にすることはないって。この子は小さくてもしっかりと育つはずだって……そう仰って、お母さまは安心したの」
ああ、なんとなく覚えている気がする。
お母さまはいつも心配そうな目で僕を見ていたっけ。
だから、この世界でも僕は病気なのかとちょっと不安になったんだよね。
「僕、心配かけちゃったんだね」
「いいえ。今思えばそんな時間を過ごせて本当に幸せだったの。不安や心配事があったからこそ、今、アズールが大人になったのを心から嬉しく思えるの。アズールにもいつかこの気持ちがわかる日が来るわ。アズールに赤ちゃんができたらね」
「僕に……赤ちゃん?」
でも、僕は男の子なのに?
ここでは男の子でも赤ちゃんが産まれるんだっけ?
でもお父さまも、お兄さまも、もちろんルーだって、そんな感じは全然ないのに。
「ええ。ウサギ族は男の子でも赤ちゃんを産むことができるの」
「ウサギ族だけ?」
「ええ。だから、アズールはいつか、ルーディー王子の赤ちゃんを産むのよ」
「僕が……ルーの?」
お母さまの言葉に驚きながらも、不思議と嫌な気は全くしなかった。
「アズール、ルーディー王子との赤ちゃんが欲しいかしら?」
「うーん、まだわからない……」
「ふふっ。そうね。まだまだ先だものね。でもね、お母さまは大好きなお父さまの子ども……クレイとアズールを産むことができて本当に幸せなの。きっといつかアズールも大好きなルーディー王子の子どもが産みたいと思える日が来るわ」
「来るかなぁ?」
「ええ。アズールが身体だけじゃなくて、年齢も大人になったらね。必ずそんな日が来るわ。それまでは焦らずにゆっくりとルーディー王子と楽しい時間を過ごしていきましょう」
身体だけじゃなくて年齢も大人になったら、か……。
僕は今12歳。
成人になるまではあと6年。
まだまだ先に感じるけれど、18歳になったらどんな人生が待っているんだろう。
蒼央は18歳までしか生きられなかったから、そこから先は想像がつかないな。
でもきっと18歳になった僕の隣にもルーは、いてくれるだろうな。
やっぱり……僕、ルーが大好きだ。
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