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第一章
我慢しないとね。
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<sideマクシミリアン>
「アズールさま。今日はこの辺にして、お食事にいたしましょう」
「んー、もうちょっと、だめぇ?」
「くぅ――っ! あ、あと少しでございますよ」
「わぁーい」
はぁー。
先ほどから何度このやりとりを繰り返しているだろう。
バロンクンストがかなり気に入ったご様子で熱中しておられるが、きっと王子のためだからということもあるのだろう。
アズールさまの目の前のテーブルには最初にお教えした花はもちろん、子どもたちに人気な剣もたくさん並んでいる。
全てアズールさまがお作りになったものだ。
最初に作ったものと比べると、格段に上達されているのがわかる。
あれだけの王冠を紙でお作りになるほど手先が器用なのだから、当然といえばそうなのかもしれないがそれにしても、ものすごい上達っぷりだ。
そして、今アズールさまがお作りになっているのは、おそらくご自分で考えられたもの。
あの形はもしや……。
まさか、お教えしたその日のうちにご自分で作り出すようになるなんて思いもしなかった。
「できたぁ~!! じぃー、みてみてぇ~!」
完成したものを自分の身体で隠しながら、ぴょんと椅子から飛び降りてお祖父さまに駆け寄っていく。
それを受け止めるお祖父さまのなんと嬉しそうな顔だろう。
実の孫である私でさえ、あんな笑顔で迎えられたことなどない気がする。
お祖父さまはいつでも厳しかったのに。
まるでアズールさまの方が実の孫のように見えるのは勘違いではないだろう。
まぁ、幼い頃から身体も大きかった私と比べてアズールさまは小さくてかわいらしいのだから当然か。
本当の祖父と孫のような二人を暖かく見守っていると、
「おおっ! これはアズールさまでございますか?」
とお祖父さまが驚きの声をあげた。
見れば、真っ白な長い耳が可愛らしい、どこからどう見てもアズールさまのバロンクンストが出来上がっていた。
「見ろ、マクシミリアン。アズールさまがこんなにも素晴らしいものをお作りになったぞ」
お祖父さまはまるで自分が作ったかのように自信満々に私に見せてきたが、それも気にならないくらいアズールさまのお作りになったウサギは可愛らしくできていた。
「初めてお作りになったとは思えないほどの素晴らしい出来でございますよ。これは王子もお喜びになるでしょうね」
「わぁー、うれしいっ! あずーる、ルーのもつくって、いっしょに、ならべたいの」
「なるほど! それは素晴らしいお考えでございます。アズールさまのお作りになったお花と一緒に会場を飾れば、王子もきっと驚き、そしてお喜びになると思いますよ!」
「じゃあ、もっといっぱいがんばる!!」
そう言ってさっきまで座っていた椅子に戻ろうとした途端、
「きゅるるっ」
と可愛らしい音が鳴り響いた。
「――っ、き、こえちゃった?」
一気に顔を赤らめてこちらを見るが、流石に聞こえないふりは難しいか……。
どうやら相当恥ずかしかったご様子だ。
恥ずかしがることなどないほど可愛いらしいのにな。
そういえば、ヴェルナーも愛し合いすぎて、食事を忘れお腹の音を聞いたことがあったな。
その時は今のアズールさまと同じく顔を赤らめていた。
あの時のヴェルナーと同じ気持ちなのかもしれない。
「私も実は先ほどからお腹がずっと鳴っているのです。そろそろお食事にいたしましょうか」
「ほんと? まっくすも?」
「はい。一生懸命だとお腹が減るのが早いのですよ。だから、お腹が鳴るのは頑張った証拠なのですから、恥ずかしがらなくて良いのですよ」
「そっかぁ……あずーる、がんばったもんね」
嬉しそうにご自分が作ったバロンクンストを見つめているアズールさまを見ながら、私とお祖父さまはそっと笑みを浮かべた。
「おとうさま、おかあさま。これ、あずーるが、つくったのー」
お食事に集まってこられた公爵と公爵夫人のお姿を見つけると、すぐに駆け寄ってウサギのバロンクンストをお見せになった。
「あらあら。これはアズールかしら?」
「そう! にてる?」
「ええ。とっても可愛らしいわ。これはもしかしたら王子への贈り物なのかしら?」
「ふふっ。ないしょ~」
「あら、アズールが内緒だなんて。でもとてもよくできているわ。ねぇ、あなた」
「ああ。これはアズール一人で作ったのか?」
「あずーる、つくったの」
「そうか、それは素晴らしいな」
公爵さまと公爵夫人に褒めていただいて、アズールさまは本当に嬉しそうだ。
バロンが膨らませられないとわかった時にはどうなることかと思ったが、お教えできて本当に良かった。
<sideアズール>
初めて作ったけれど、みんなが褒めてくれて嬉しい。
ルーも喜んでくれるかな。
早く見せてルーの驚く顔が見たいな。
夕食をいつものようにお父さまたちと一緒に食べる。
いつもは夕食までルーと一緒だから、ご飯も食べさせてもらってるけれど、今日はルーがいない。
自分で食べながら、お母さまにも食べさせてもらった。
お母さまに食べさせてもらうのもすごく楽しかったけれど、でもやっぱりルーがいいなって思っちゃう。
僕はやっぱりわがままになってるな。
ルーもお父さまもお母さまも、それにマックスや爺もみんな優しいから甘えちゃってたけど、あんまりわがまま言わずに我慢しないとって思うけど、ルーと離れている時間が長くなればなるほど、早く会いたいって思っちゃう。
本当、自分の気持ちがあっちこっちに行ってて、どうしていいかわからなくなっちゃうな。
お母さまとお風呂に入って、自分の部屋に行く。
部屋に入ってすぐルーの匂いがして、吸い寄せられるようにベッドに向かった。
ルーの匂いのするブランケットに巻き付きながら、目を瞑るとルーと一緒に寝てるような気分になる。
これなら寂しくないから眠れそうだ。
ルー、やっと一日が終わったよ。
ルーが帰ってくるまで、僕……頑張るからね。
そう思いながら、僕は夢の世界に落ちていった。
「アズールさま。今日はこの辺にして、お食事にいたしましょう」
「んー、もうちょっと、だめぇ?」
「くぅ――っ! あ、あと少しでございますよ」
「わぁーい」
はぁー。
先ほどから何度このやりとりを繰り返しているだろう。
バロンクンストがかなり気に入ったご様子で熱中しておられるが、きっと王子のためだからということもあるのだろう。
アズールさまの目の前のテーブルには最初にお教えした花はもちろん、子どもたちに人気な剣もたくさん並んでいる。
全てアズールさまがお作りになったものだ。
最初に作ったものと比べると、格段に上達されているのがわかる。
あれだけの王冠を紙でお作りになるほど手先が器用なのだから、当然といえばそうなのかもしれないがそれにしても、ものすごい上達っぷりだ。
そして、今アズールさまがお作りになっているのは、おそらくご自分で考えられたもの。
あの形はもしや……。
まさか、お教えしたその日のうちにご自分で作り出すようになるなんて思いもしなかった。
「できたぁ~!! じぃー、みてみてぇ~!」
完成したものを自分の身体で隠しながら、ぴょんと椅子から飛び降りてお祖父さまに駆け寄っていく。
それを受け止めるお祖父さまのなんと嬉しそうな顔だろう。
実の孫である私でさえ、あんな笑顔で迎えられたことなどない気がする。
お祖父さまはいつでも厳しかったのに。
まるでアズールさまの方が実の孫のように見えるのは勘違いではないだろう。
まぁ、幼い頃から身体も大きかった私と比べてアズールさまは小さくてかわいらしいのだから当然か。
本当の祖父と孫のような二人を暖かく見守っていると、
「おおっ! これはアズールさまでございますか?」
とお祖父さまが驚きの声をあげた。
見れば、真っ白な長い耳が可愛らしい、どこからどう見てもアズールさまのバロンクンストが出来上がっていた。
「見ろ、マクシミリアン。アズールさまがこんなにも素晴らしいものをお作りになったぞ」
お祖父さまはまるで自分が作ったかのように自信満々に私に見せてきたが、それも気にならないくらいアズールさまのお作りになったウサギは可愛らしくできていた。
「初めてお作りになったとは思えないほどの素晴らしい出来でございますよ。これは王子もお喜びになるでしょうね」
「わぁー、うれしいっ! あずーる、ルーのもつくって、いっしょに、ならべたいの」
「なるほど! それは素晴らしいお考えでございます。アズールさまのお作りになったお花と一緒に会場を飾れば、王子もきっと驚き、そしてお喜びになると思いますよ!」
「じゃあ、もっといっぱいがんばる!!」
そう言ってさっきまで座っていた椅子に戻ろうとした途端、
「きゅるるっ」
と可愛らしい音が鳴り響いた。
「――っ、き、こえちゃった?」
一気に顔を赤らめてこちらを見るが、流石に聞こえないふりは難しいか……。
どうやら相当恥ずかしかったご様子だ。
恥ずかしがることなどないほど可愛いらしいのにな。
そういえば、ヴェルナーも愛し合いすぎて、食事を忘れお腹の音を聞いたことがあったな。
その時は今のアズールさまと同じく顔を赤らめていた。
あの時のヴェルナーと同じ気持ちなのかもしれない。
「私も実は先ほどからお腹がずっと鳴っているのです。そろそろお食事にいたしましょうか」
「ほんと? まっくすも?」
「はい。一生懸命だとお腹が減るのが早いのですよ。だから、お腹が鳴るのは頑張った証拠なのですから、恥ずかしがらなくて良いのですよ」
「そっかぁ……あずーる、がんばったもんね」
嬉しそうにご自分が作ったバロンクンストを見つめているアズールさまを見ながら、私とお祖父さまはそっと笑みを浮かべた。
「おとうさま、おかあさま。これ、あずーるが、つくったのー」
お食事に集まってこられた公爵と公爵夫人のお姿を見つけると、すぐに駆け寄ってウサギのバロンクンストをお見せになった。
「あらあら。これはアズールかしら?」
「そう! にてる?」
「ええ。とっても可愛らしいわ。これはもしかしたら王子への贈り物なのかしら?」
「ふふっ。ないしょ~」
「あら、アズールが内緒だなんて。でもとてもよくできているわ。ねぇ、あなた」
「ああ。これはアズール一人で作ったのか?」
「あずーる、つくったの」
「そうか、それは素晴らしいな」
公爵さまと公爵夫人に褒めていただいて、アズールさまは本当に嬉しそうだ。
バロンが膨らませられないとわかった時にはどうなることかと思ったが、お教えできて本当に良かった。
<sideアズール>
初めて作ったけれど、みんなが褒めてくれて嬉しい。
ルーも喜んでくれるかな。
早く見せてルーの驚く顔が見たいな。
夕食をいつものようにお父さまたちと一緒に食べる。
いつもは夕食までルーと一緒だから、ご飯も食べさせてもらってるけれど、今日はルーがいない。
自分で食べながら、お母さまにも食べさせてもらった。
お母さまに食べさせてもらうのもすごく楽しかったけれど、でもやっぱりルーがいいなって思っちゃう。
僕はやっぱりわがままになってるな。
ルーもお父さまもお母さまも、それにマックスや爺もみんな優しいから甘えちゃってたけど、あんまりわがまま言わずに我慢しないとって思うけど、ルーと離れている時間が長くなればなるほど、早く会いたいって思っちゃう。
本当、自分の気持ちがあっちこっちに行ってて、どうしていいかわからなくなっちゃうな。
お母さまとお風呂に入って、自分の部屋に行く。
部屋に入ってすぐルーの匂いがして、吸い寄せられるようにベッドに向かった。
ルーの匂いのするブランケットに巻き付きながら、目を瞑るとルーと一緒に寝てるような気分になる。
これなら寂しくないから眠れそうだ。
ルー、やっと一日が終わったよ。
ルーが帰ってくるまで、僕……頑張るからね。
そう思いながら、僕は夢の世界に落ちていった。
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