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第一章
アズールの衣装を仕立てるには
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<sideフィデリオ(爺)>
「陛下。わざとルーディーさまにお披露目会の御衣装の話をお伝えにならなかったのですか?」
「い、いや。そうではない。話すタイミングを逃していたというか……」
「お隠しになってもこの私にはわかっておりますぞ。可愛らしいと評判のアズールさまにご自分の選んだ御衣装を身につけさせたくなられたのでしょう?」
「――っ、どうしてわかったのだ?」
「陛下もルーディーさまもそっくりな性格をしておいでですから。ルーディーさまがあれほどまでにご執着になるのはアズールさまが運命の相手だというだけではございませんでしょう? ウサギ族のお方には誰もが心を奪われると申しますし、しかもアズールさまはウサギ族の中でも特別なお方なのでしょう?」
「ああ、そうなのだよ! 今まで王家に生まれた、ルーディーと同じ『神の御意志』の相手となるウサギ族は皆、耳も尻尾も茶色や黒色をしていたが、ルーディーの相手であるアズールは真っ白だというではないか。真っ白なウサギはウサギ族の中でも最高峰の美貌を持っていると伝えられているのだ。だが、一歳までは家族と、そして運命の番しか顔を見ることができない。ルーディーからアズールの話を聞くたびに羨ましいと思ってしまうのだ。だから、せめてアズールの衣装だけでも私の選んだものを身につけてくれればこの思いも晴れるかと……」
「陛下のお気持ちはよくわかりますが、もし、何も仰らずに当日を迎えていたら、ルーディーさまが冷静でおられるわけがございません。なんせ、運命の番がお召しになる衣装なのですよ。それをルーディーさま以外の者が用意したとわかれば、ただで済まないことはお分かりでしょう?」
「――っ、た、確かに……」
私の言葉に陛下もようやく、自分がとんでもないことをしでかすところだったことに気づかれたようだ。
はぁーっ。
歴史あるヴンダーシューン王国の陛下ともあろうお方がこんなわかりきったことすらお気づきにならないとは……。
普段の陛下ならば、到底考えられないことだ。
ウサギ族のお方には狼族は弱いとはよく言ったものだな。
本当にルーディーさまにお声がけしておいて正解だった。
「ルーディーさまは本日、ヴォルフ公爵さまとお話になって、お披露目会の御衣装はルーディーさまがお決めになることで決定したようでございます。ですから陛下……」
「ああ、わかっている。もう邪魔などしない。だが、その代わりにこっそりとアズールの顔を見にいくというのはどうだろうな?」
「陛下っ!」
「――っ、じょ、冗談だ。ここまで待ったのだ。あと5ヶ月くらい我慢してみせるぞ。なんと言っても私はこの国の国王なのだからな」
冗談だと仰ってはいるが、これが本気であることは私がよくわかっている。
だからこそ、ルーディーさまにはしっかりとアズールさまを守っていて貰わなければ。
<sideルーディー>
「ルーディーさま。マティアス殿にアズールさまの御衣装を仕立てていただくには、アズールさまのおサイズが大事でございます。狼族のルーディーさまが一歳の頃とは格段にお小さいでしょうから、ルーディーさまのを参考にするわけにもいきませぬ。ですから、今のアズールさまのおサイズを測ってきていただく必要がございます。私やマティアス殿はアズールさまにお会いすることはできませんので。ルーディーさまにお願いしてもよろしゅうございますか?」
「ああ、確かにそれは必要だな」
普段の私の衣装を仕立てる際も、かなりの頻度で寸法を測っている。
それは狼族の成長が早いからだろうが、アズールはそんなに著しく変化はしていない。
身長も生まれた頃より15cm大きくなったかどうかというくらいだろうか。
おそらく一歳になってもそれほど変わらないだろう。
せいぜい5cm大きくなるかどうかと言ったところだろうな。
ならば、今のサイズを測って、それに+5cmほどで仕立てさせればいいか。
「わかった。今からアズールに会いに行ってくるから、サイズを測っておこう」
「ルーディーさまが御衣装をお仕立てになる時に測っていただくところを全てお測り下さい」
「わかった。任せておけ」
そうして私は意気揚々と公爵邸に向かった。
「アズールっ!」
「うーっ!!」
「ああ、今日も私を待っていてくれたのだな。本当にアズールは可愛いな」
「うーっ! もふもふぅーっ!」
アズールを怖がらせるのではないかと不安に思っていたのはもうどこへ行ったのかもわからないほど、毎日会うたびに私の顔を嬉しそうに撫でてくる。
それどころか、私の大きな口や牙にも何も気にせずに触れようとする。
アズールを決して傷つけることはしないが、こんなにも怖がらずにいてくれると返って大丈夫だろうかと心配になってしまう。
運命の番がこんなにも喜んでくれているのだから、こんな心配などよそから見れば、ただの惚気にしか聞こえないかもしれないが。
「アズール、今日はお前のサイズを測らせてもらうぞ」
「うっ?」
「くっ――!」
私が何を言っているのかわからず聞き返す時のアズールの仕草にいつもやられてしまう。
ピンと張った耳を垂らして、コテンと首を傾げるだけでどうしてこんなにも可愛いのだろうな……。
「アズールのために衣装……洋服を作るのだ。そのためにアズールの大きさを測らせてくれ」
そういうと、アズールは理解してくれたのか
「だぁっ! だぁっ!」
と可愛らしく返事しながら、おとなしく私の膝に座ってくれた。
ああ、やっぱりアズールは賢いのだな。
「陛下。わざとルーディーさまにお披露目会の御衣装の話をお伝えにならなかったのですか?」
「い、いや。そうではない。話すタイミングを逃していたというか……」
「お隠しになってもこの私にはわかっておりますぞ。可愛らしいと評判のアズールさまにご自分の選んだ御衣装を身につけさせたくなられたのでしょう?」
「――っ、どうしてわかったのだ?」
「陛下もルーディーさまもそっくりな性格をしておいでですから。ルーディーさまがあれほどまでにご執着になるのはアズールさまが運命の相手だというだけではございませんでしょう? ウサギ族のお方には誰もが心を奪われると申しますし、しかもアズールさまはウサギ族の中でも特別なお方なのでしょう?」
「ああ、そうなのだよ! 今まで王家に生まれた、ルーディーと同じ『神の御意志』の相手となるウサギ族は皆、耳も尻尾も茶色や黒色をしていたが、ルーディーの相手であるアズールは真っ白だというではないか。真っ白なウサギはウサギ族の中でも最高峰の美貌を持っていると伝えられているのだ。だが、一歳までは家族と、そして運命の番しか顔を見ることができない。ルーディーからアズールの話を聞くたびに羨ましいと思ってしまうのだ。だから、せめてアズールの衣装だけでも私の選んだものを身につけてくれればこの思いも晴れるかと……」
「陛下のお気持ちはよくわかりますが、もし、何も仰らずに当日を迎えていたら、ルーディーさまが冷静でおられるわけがございません。なんせ、運命の番がお召しになる衣装なのですよ。それをルーディーさま以外の者が用意したとわかれば、ただで済まないことはお分かりでしょう?」
「――っ、た、確かに……」
私の言葉に陛下もようやく、自分がとんでもないことをしでかすところだったことに気づかれたようだ。
はぁーっ。
歴史あるヴンダーシューン王国の陛下ともあろうお方がこんなわかりきったことすらお気づきにならないとは……。
普段の陛下ならば、到底考えられないことだ。
ウサギ族のお方には狼族は弱いとはよく言ったものだな。
本当にルーディーさまにお声がけしておいて正解だった。
「ルーディーさまは本日、ヴォルフ公爵さまとお話になって、お披露目会の御衣装はルーディーさまがお決めになることで決定したようでございます。ですから陛下……」
「ああ、わかっている。もう邪魔などしない。だが、その代わりにこっそりとアズールの顔を見にいくというのはどうだろうな?」
「陛下っ!」
「――っ、じょ、冗談だ。ここまで待ったのだ。あと5ヶ月くらい我慢してみせるぞ。なんと言っても私はこの国の国王なのだからな」
冗談だと仰ってはいるが、これが本気であることは私がよくわかっている。
だからこそ、ルーディーさまにはしっかりとアズールさまを守っていて貰わなければ。
<sideルーディー>
「ルーディーさま。マティアス殿にアズールさまの御衣装を仕立てていただくには、アズールさまのおサイズが大事でございます。狼族のルーディーさまが一歳の頃とは格段にお小さいでしょうから、ルーディーさまのを参考にするわけにもいきませぬ。ですから、今のアズールさまのおサイズを測ってきていただく必要がございます。私やマティアス殿はアズールさまにお会いすることはできませんので。ルーディーさまにお願いしてもよろしゅうございますか?」
「ああ、確かにそれは必要だな」
普段の私の衣装を仕立てる際も、かなりの頻度で寸法を測っている。
それは狼族の成長が早いからだろうが、アズールはそんなに著しく変化はしていない。
身長も生まれた頃より15cm大きくなったかどうかというくらいだろうか。
おそらく一歳になってもそれほど変わらないだろう。
せいぜい5cm大きくなるかどうかと言ったところだろうな。
ならば、今のサイズを測って、それに+5cmほどで仕立てさせればいいか。
「わかった。今からアズールに会いに行ってくるから、サイズを測っておこう」
「ルーディーさまが御衣装をお仕立てになる時に測っていただくところを全てお測り下さい」
「わかった。任せておけ」
そうして私は意気揚々と公爵邸に向かった。
「アズールっ!」
「うーっ!!」
「ああ、今日も私を待っていてくれたのだな。本当にアズールは可愛いな」
「うーっ! もふもふぅーっ!」
アズールを怖がらせるのではないかと不安に思っていたのはもうどこへ行ったのかもわからないほど、毎日会うたびに私の顔を嬉しそうに撫でてくる。
それどころか、私の大きな口や牙にも何も気にせずに触れようとする。
アズールを決して傷つけることはしないが、こんなにも怖がらずにいてくれると返って大丈夫だろうかと心配になってしまう。
運命の番がこんなにも喜んでくれているのだから、こんな心配などよそから見れば、ただの惚気にしか聞こえないかもしれないが。
「アズール、今日はお前のサイズを測らせてもらうぞ」
「うっ?」
「くっ――!」
私が何を言っているのかわからず聞き返す時のアズールの仕草にいつもやられてしまう。
ピンと張った耳を垂らして、コテンと首を傾げるだけでどうしてこんなにも可愛いのだろうな……。
「アズールのために衣装……洋服を作るのだ。そのためにアズールの大きさを測らせてくれ」
そういうと、アズールは理解してくれたのか
「だぁっ! だぁっ!」
と可愛らしく返事しながら、おとなしく私の膝に座ってくれた。
ああ、やっぱりアズールは賢いのだな。
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