真っ白ウサギの公爵令息はイケメン狼王子の溺愛する許嫁です

波木真帆

文字の大きさ
17 / 296
第一章

お披露目会の衣装は

しおりを挟む
<sideルーディー>

アズールが私のことを好きだと言ってくれた。

私もアズールが大好きだ。
これで私たちは両思いになったのだな。

まぁ、元々運命のつがいなのだから、片思いも両思いもないのだがこうして言葉にされるのはやはり嬉しい。

あまり興奮してはアズールを驚かせてしまうからと必死に冷静を保とうとするが、尻尾だけはどうしても言うことを聞かない。

父上たちはあまり尻尾に感情が現れないというのに、私の尻尾がこんなにも激しく動いてしまうのは私がまだ未熟で自分の感情を制御できないからか。
それとも、獣人であるがために他の人間たちよりも感情の振り幅が大きすぎるためか……。

いずれにしてもこんなにも尻尾が暴れていてはアズールを怖がらせてしまう。

立ち上がりソファーに座って、なんとか落ち着かせようと思っていると、アズールの小さな手が激しく動く尻尾に伸びてきた。
流石にアズールに怪我をさせてはいけないという意識が働いたのか、尻尾は一瞬のうちにぴたりと止まった。

「あうっ……」

アズールは突然止まった尻尾に驚きながらも、

「もふもふーっ」

と嬉しそうに撫でてくる。

どうやら撫でるのはいいが、掴んではいけないと話したのを覚えていてくれたようだ。
撫でられるだけでも興奮はするが、掴まれるよりは断然いい。
それにアズールに触れられるのをやめて欲しいわけではないからな。

嬉しそうに尻尾を撫でてくれるアズールを見つめていると、突然アズールの手が止まった。

「アズール? どうしたのだ?」

「あうーっ。もふもふーっ」

「尻尾がどうかしたか?」

そういうと、アズールは突然私に背を向けた。

そしてソファーに身体を横たえたかと思うと、急に可愛い尻を高く突き上げた。

私の目の前にアズールの可愛らしい尻尾が見える。

「アズール、どうしたんだ?」

「うーっ! もふもふーっ!!」

「――っ!! もしかして、アズールの尻尾を触れと言っているのか?」

「だぁっ! だぁっ!!」

「くぅ――!」

こんなに可愛い尻を間近で見ながら、しかもその尻尾に触るなんて……っ。
そんなことをしたら我慢できそうにないのだが……。

それでもアズールの言うことを拒否するなんてことは私にはできない。
相手はまだ1歳にも満たない赤子だ。
わかっているだろう!!

そう自分に言い聞かせて、そっと手を伸ばしアズールの尻尾に手のひらを当てると、自分の尻尾とは全然違う柔らかく心地いい毛並みに昇天しそうになる。

「ああ……っ、なんて気持ちよさだ……」

アズールがどうして急に触らせてくれたのかはわからないが、この感触を忘れないようにしよう。

アズールが起きあがろうとしているのに気づいて、ああ、尻尾タイムも終わりかとアズールを優しく抱き上げた。
すると、アズールは私の目を見ながら口を開いた。

「うーっ、もふもふぅー、ちゅきー?」

「えっ? 今の……私に聞いたのか?」

「だぁっ!」

「もちろん、好きだよ。アズール、大好きだ」

「うっ?」

コテンと首を倒す仕草も実に可愛らしい。
けれど、私は何か違うことを言ってしまったんだろうか?

<sideアズール>

勢いよく動くルーのしっぽに触ってみようと手を伸ばしたら、突然動きが止まってびっくりした。
だけど、この方がゆっくり触れるからきっと僕のために止めてくれたんだろう。

やっぱりルーは優しい。

いつもと変わらないもふもふの感触に感動しながら、手を伸ばしそっと撫でた。

――しっぽは掴んではいけないよ。今はまだ、ね。

前にそう言われたから、今は撫でるだけ。
掴んでいいときがきたら教えてくれるんだって。
その日が待ち遠しいな。

もふもふのお顔に、もふもふのしっぽ。
僕は毎日のように触らせてもらってるけど、ルーにも僕のしっぽに触って欲しいな。

ルーも僕のしっぽ、好きって言ってくれるかな?

よーし、やってみよう!

僕はルーから離れてソファーに寝転んだ。
だって、ルーのしっぽと違って僕のは小さいから、ルーの目の前に見せてあげないと触れないもんね。

できるだけ近づくように、お尻を高くあげて見せるとルーの顔の前に僕のしっぽが見える。
でも触っちゃいけないと思っているのか、なかなか触ってくれない。

「うーっ! もふもふーっ!!」

必死に声を上げると、ようやくルーの手が僕のしっぽに触れた。

わぁーっ!
ルーに触られるとなんだか楽しい。
耳に触られるのとはまた違う感覚だ。

そっとルーの顔を見ると、なんだかとっても嬉しそう。
よかった、僕のしっぽ気に入ってくれたかな?

突き上げていたお尻をさげ、ルーに抱っこしてもらって顔を見つめながら、

「うーっ、もふもふぅー、ちゅきー?」

ルーに僕のしっぽが好きかを尋ねると、

「もちろん、好きだよ。アズール、大好きだ」

と返ってきた。

んっ?
これって、僕が好きってこと?
それともしっぽが好きってこと?
どっちだろう?

よくわかんないけど、まぁ、どっちも好きってことでいいのかな?


「可愛いアズール。1歳のお披露目にはどんな衣装がいいだろうな?」

「あうっ?」

お披露目ってなにするかわからないけど、誕生日ってことだよね?
その時にパーティーをしてくれるってことなのかな?
もしかしたら家族以外の人に会えるとか?

じゃあ、もしかしてその衣装って、その時に着る服ってこと?

わぁーっ!
僕、誕生日を祝ってもらうのも初めてだ!!

誕生日には小さな生クリームのケーキが出たのを思い出す。
それを見て、自分の誕生日だってことに気づいたんだ。

誰もお祝いに来てくれない。
おめでとうと言ってくれるのは、ケーキを運んできてくれた看護師さんだけ。

そんな僕がお祝いしてもらえるなんて!!
それだけで嬉しいよっ!!

でも、衣装か……どんなのがいいんだろうな……。

僕、この世界のことわかんないしな……。

悩んでいると、目の前のルーが嬉しそうに僕を見つめてる。

あっ! そうだっ!!

「うーっ! うーっ!」

「んっ? どうした? 何か着てみたいものでもあるのか?」

「うーの、いい!」

「んっ? なんと言ってるんだろうな……」

うーん、上手く伝わらないな。
僕は必死にルーの着ている服を掴んで、もう一度訴えてみた。

「うーの、いい!」

「――っ!! アズール、もしかして……私とお揃いの服がいいと言っているのか?」

そうそう!
ルーの着ているかっこいい服を着てみたい!!
いかにも王子さまって感じでかっこいいもん。
僕もこんな服着たら、かっこよく見えるかも!!!
しおりを挟む
感想 570

あなたにおすすめの小説

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

処理中です...