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朝陽くんへの紹介と大事な計画
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病院から程近い白い5階建ての建物。
ここが『テリフィックオフィス』の事務所でちょうど朝陽くんが来ているから紹介するよと告げると、急に戸惑い始めた航が可愛かった。
緊張している航を連れて事務所の中に入ると、奥の休憩スペースで座って台本チェックをしている朝陽くんが見えた。
「南條くん!」
そう声をかけると朝陽くんはキラキラとした笑顔を見せ、
「お疲れさまです!」
と挨拶もそこそこにすぐに俺の横にいる航に気づき、
「新しく入る子ですか? めちゃくちゃ可愛い子ですね」
と尋ねてきた。
朝陽くんに間違われるくらい航は輝いて見えてるんだな。
興味津々な朝陽くんに蓮見から聞いているだろうがと前置きした上で、航が俺の大切な人で専属秘書として働いてもらうことになったと教えると、朝陽くんは顔を真っ赤にして「えーーーっ!!!!」とまるで芸能人を初めてみた素人の子のようにテンションが上がりまくった様子で俺たちの元へと駆け寄ってきた。
朝陽くんは蓮見より先に自分が紹介してもらえたことが相当嬉しかったようだ。
「でも、涼平さんが拗ねそうですね」
そういって笑顔を見せる彼は超人気俳優でもなんでもない、愛する人に思いを馳せるただの男だ。
この屈託のない笑顔を見せる彼が、演技になるとどんな役でもこなすんだから本当に驚くよな。
朝陽くんが自己紹介してよろしくと手を差し出すと、航は緊張しながらも手を差し出し笑顔で握手を続けている。
うーん、航も朝陽くんも同じタイプだし気にしなくていいんだろうが、航がこんなにも顔を赤らめて手を握っているのを隣で見るのは正直妬ける。
しばらくは我慢したが、あまりにも長すぎて我慢の限界を迎えた俺は
「挨拶はそれくらいで」
と言って2人の手をサッと引き離した。
すると、朝陽くんはとんでもないものを見たとでもいうような顔で
「倉橋さんがこんな嫉妬するなんて初めて見ましたよ。涼平さんが昨日の倉橋さんがかなり惚気てたって話してたの、本当だったんですね」
としみじみと話していたが、嫉妬? 惚気てた?
いやいや、蓮見……お前の朝陽くんへの独占欲には負けるだろう。
後で文句言っとかないとな。
それはそうと、今日は彼との大事な話をしないといけないんだった。
病院で時間食ったから、すぐに部屋に行かないと。
俺は朝陽くんに航の案内を頼み、自分の部屋へと向かった。
急いでパソコンを開き、ビデオ会議をつなぐと既に安慶名さんが入室していた。
「すみません、安慶名さん。遅くなってしまって」
「いえ、私もさっき入ったところなので気にしなくていいですよ。それよりも例の件、明日朝一で捜査が入りますので、夕方にはマスコミにも流れるかと……」
「そうですか、いいタイミングです。こんなにもスムーズに事が運んだのは全部安慶名さんと砂川のおかげですね。本当にありがとうございます」
「いえいえ、私はお願いされたことをやっただけで大したことは何も。悠真がいろいろと下調べをしてくれていたのでスムーズに運んだのですよ」
安慶名さんは自分のことよりも砂川の手柄だと言わんばかりだ。
砂川に聞けば、全て安慶名さんの力だと言いそうだが。
こういうところが2人はよく似ている。
「ところで、悠真は今日――」
「ああ、はい。今、砂川をそちらに向かわせてます。ご存じかとは思いますが、一度会社に寄ってもらうことになっていますので、石垣には到着するのは夕方になるかと」
「はい。それは大丈夫です。悠真からも連絡が随時来てますので」
そう話す安慶名さんはにこやかな顔をしているが俺の背中に何か冷たいものを感じるのは気のせいか?
考えてみたら安慶名さんは、俺が用事を命じたせいで恋人と過ごす時間が減ったと思っているんじゃないだろうか?
平松くんの件で一度西表に行くことになったのはそもそも砂川が言い出したことなんだが……。
いや、結局最終的にお願いしたのは俺か。
俺が平松くんに入社を促したんだしな。
「あの……安慶名さん、すみません。今回の件で安慶名さんにも砂川にもプライベートを削ってもらって航のために調査していただいて……砂川にも話していますが特別ボーナスをお出ししますので、なんでも希望を仰ってください」
「ははっ。特別ボーナスだなんてそんな良いんですよ。倉橋さんには素晴らしい設計士さんをご紹介いただきましたし……」
「ああ、もうだいぶ進んでいるようですね。もうすぐ完成間近でしょう?」
「ええ。私と悠真の夢を全て叶えてくれる家です。本当にあの人を紹介していただいてよかったですよ」
「それならよかった。紹介した甲斐がありましたよ。
西表に新しいイリゼホテルを建設することになり、秘境である西表のホテルにふさわしく完成まで極秘に進めたいという浅香の依頼に俺が手を貸すことになり、西表イリゼホテルの支配人となる松川くんと、総料理長となる安慶名さんと工事関係者以外には内情を明かさずにここまできた。
安慶名さんは石垣から西表に移るにあたって、砂川との新居を砂川には内緒で構えたいと以前相談があり、俺の家のリノベーションを頼んだ設計士を安慶名さんに紹介した。
あの家をリノベーションしてくれたのは高校時代の同級生で、俺の親友と言えるやつだ。
世界的に有名な建築家・水澄永新の息子で、父を尊敬していると言っていた水澄は迷わず自分も建築の道へと進んだ。
そんな水澄の父は、実は俺の親父と懇意であの東京の自宅を建ててくれたのが水澄の父だった。
そんな縁もあって、俺は水澄にあの家のリノベーションを頼んだんだ。
大自然に囲まれた古民家のリノベーションは水澄の創造意欲を大いに沸き立て、2人でああでもないこうでもないと話をしながらあの家を生まれ変わらせた。
あの時は楽しかった。
もちろん、あの一面ガラス張りの風呂場だけは俺のアイディアでそこは水澄にいろいろ助言されたが俺の意見を押し通したのだが。
出来上がった風呂を見て、驚きと納得の声を上げていたから水澄も気に入ってくれたようだったな。
あの家を発表したところ、国内外からの反響が大きく水澄は若手建築家がこぞって欲しがる賞を総ナメにし、今では設計を頼むのが難しい建築家の1人となっている。
西表のあの家に砂川と安慶名さんを招待した時、かなり気に入っている様子だったからあの時から砂川との家を建てる時には水澄に……という思いを持っていたらしい。
「まだ砂川には内緒にしているんですか?」
「近々伝える予定ですよ。そろそろ一緒に家具も揃えたいですしね」
「ああ。それならあのベッドを贈らせてください。もちろんキングサイズで最高級のマットレスの特注品にしますよ」
あのベッドというのは、俺の開発した自動シーツ交換機能がついた最高級のベッドだ。
愛し合うカップルにはかなり重宝するアイテムで俺が開発した中でも特に人気が高い。
「いいんですか?」
「ええ。もちろん。いつも安慶名さんと砂川には世話になってますからね。楽しみにしておいてください。もしよければあの映像システムも全て取り付けられますよ」
「あれも全て? ぜひお願いします!!」
今までにないほど喜びの表情を見せてくれる安慶名さんの姿に、ようやく借りが返せるなとほっとした。
「ところで、お電話でお伺いしていたもう一つの件ですが――」
「ああ、そっちの方は今朝砂川に資料を全て持たせましたので、砂川に纏めてもらったものを後で受け取っていただくことになります。資料がなくても大丈夫な話だけ先に進めておきましょうか?」
「いえ、必要な資料は先ほど悠真が纏めてくれてメールで送ってきてくれたので問題ありませんよ」
えっ? あれだけの資料をもう纏めて送ったのか?
朝渡したばっかりだぞ。
あのあとすぐに空港に向かったんだし……。
あいつどれだけ仕事が早いんだ?
「そ、そうですか。それなら話もしやすいですね」
努めて冷静を装って返事したが、きっと安慶名さんには気づかれていただろうな。
頭を切り替えた俺はこっちでその資料を見ながら、安慶名さんに昨日の報告と例の慰謝料代わりに貰った金を正式に航のものにするためにはどうしたらいいのかを相談した。
「なるほど。もうすでに倉橋さんの口座として変更手続きは終えているというわけですね。わかりました。そちらの方はこちらの伝手を使って、正式に藤乃くんの資産となるように手続きを進めておきますのでご安心ください」
おそらく違法スレスレの何やら方法があるんだろうが、安慶名さん任せておけば問題ない。
完全に手続きを終えてから、航にはあの栗原先生から預かった父親の遺産と一緒に渡すことにしよう。
「それにしてもイタリアマフィアのボスのご落胤ですか。周平さんの変装そこまでお似合いだったんですか?」
「ははっ。浅香がかなり張り切って変装させた賜物でしょうか、どこからどうみてもその筋の人にしか見えませんでしたよ」
「今度私も見せていただきたいですね。くっくっ」
周平さんのイタリアマフィア話はよほど安慶名さんのツボにハマったようだ。
大事な話も滞りなく終わり、俺は彼とのビデオ通話を終えた。
会議を終え、次に俺は蓮見に電話をかけた。
ーもしもし、俺だが今大丈夫か?
ーああ、ちょうど休憩中だから問題ない。どうした?
ーいや、親父に頼んだ例のアレ。今日受け取ってきたから、事務所の俺の引き出しに入れておくから決行の日に持っていってくれ。
ーああ、わかった。そういえば、アッチの方はうまくいったんだって? 兄貴が珍しく電話寄越してきてたよ。浅香に連絡するように頼まれたみたいだったけどな。
ーそうか。俺だけで行かなくてよかったよ。周平さんにはかなり活躍してもらったからな。
ーそうなのか? 兄貴はうまくいったっていってきただけで詳しいことは何も話さなかったから気になってたんだ。
ーふふっ。そうか。まぁ、うまくいったから心配するな。ソッチの方もうまいこと頼むぞ。
ーああ、それは大丈夫だ。彼らに話してもうOKもらったからな。
ーなら、よかった。決行の日はお前たちに任せるから都合がいい日を選んでやってくれ。
ーああ、任せておけ。じゃあな。
よし、これで沼田の方も問題ないな。
あとは航の義父だけか。
まぁ、周平さんなら今度もバッチリやってくれるだろう。
ここが『テリフィックオフィス』の事務所でちょうど朝陽くんが来ているから紹介するよと告げると、急に戸惑い始めた航が可愛かった。
緊張している航を連れて事務所の中に入ると、奥の休憩スペースで座って台本チェックをしている朝陽くんが見えた。
「南條くん!」
そう声をかけると朝陽くんはキラキラとした笑顔を見せ、
「お疲れさまです!」
と挨拶もそこそこにすぐに俺の横にいる航に気づき、
「新しく入る子ですか? めちゃくちゃ可愛い子ですね」
と尋ねてきた。
朝陽くんに間違われるくらい航は輝いて見えてるんだな。
興味津々な朝陽くんに蓮見から聞いているだろうがと前置きした上で、航が俺の大切な人で専属秘書として働いてもらうことになったと教えると、朝陽くんは顔を真っ赤にして「えーーーっ!!!!」とまるで芸能人を初めてみた素人の子のようにテンションが上がりまくった様子で俺たちの元へと駆け寄ってきた。
朝陽くんは蓮見より先に自分が紹介してもらえたことが相当嬉しかったようだ。
「でも、涼平さんが拗ねそうですね」
そういって笑顔を見せる彼は超人気俳優でもなんでもない、愛する人に思いを馳せるただの男だ。
この屈託のない笑顔を見せる彼が、演技になるとどんな役でもこなすんだから本当に驚くよな。
朝陽くんが自己紹介してよろしくと手を差し出すと、航は緊張しながらも手を差し出し笑顔で握手を続けている。
うーん、航も朝陽くんも同じタイプだし気にしなくていいんだろうが、航がこんなにも顔を赤らめて手を握っているのを隣で見るのは正直妬ける。
しばらくは我慢したが、あまりにも長すぎて我慢の限界を迎えた俺は
「挨拶はそれくらいで」
と言って2人の手をサッと引き離した。
すると、朝陽くんはとんでもないものを見たとでもいうような顔で
「倉橋さんがこんな嫉妬するなんて初めて見ましたよ。涼平さんが昨日の倉橋さんがかなり惚気てたって話してたの、本当だったんですね」
としみじみと話していたが、嫉妬? 惚気てた?
いやいや、蓮見……お前の朝陽くんへの独占欲には負けるだろう。
後で文句言っとかないとな。
それはそうと、今日は彼との大事な話をしないといけないんだった。
病院で時間食ったから、すぐに部屋に行かないと。
俺は朝陽くんに航の案内を頼み、自分の部屋へと向かった。
急いでパソコンを開き、ビデオ会議をつなぐと既に安慶名さんが入室していた。
「すみません、安慶名さん。遅くなってしまって」
「いえ、私もさっき入ったところなので気にしなくていいですよ。それよりも例の件、明日朝一で捜査が入りますので、夕方にはマスコミにも流れるかと……」
「そうですか、いいタイミングです。こんなにもスムーズに事が運んだのは全部安慶名さんと砂川のおかげですね。本当にありがとうございます」
「いえいえ、私はお願いされたことをやっただけで大したことは何も。悠真がいろいろと下調べをしてくれていたのでスムーズに運んだのですよ」
安慶名さんは自分のことよりも砂川の手柄だと言わんばかりだ。
砂川に聞けば、全て安慶名さんの力だと言いそうだが。
こういうところが2人はよく似ている。
「ところで、悠真は今日――」
「ああ、はい。今、砂川をそちらに向かわせてます。ご存じかとは思いますが、一度会社に寄ってもらうことになっていますので、石垣には到着するのは夕方になるかと」
「はい。それは大丈夫です。悠真からも連絡が随時来てますので」
そう話す安慶名さんはにこやかな顔をしているが俺の背中に何か冷たいものを感じるのは気のせいか?
考えてみたら安慶名さんは、俺が用事を命じたせいで恋人と過ごす時間が減ったと思っているんじゃないだろうか?
平松くんの件で一度西表に行くことになったのはそもそも砂川が言い出したことなんだが……。
いや、結局最終的にお願いしたのは俺か。
俺が平松くんに入社を促したんだしな。
「あの……安慶名さん、すみません。今回の件で安慶名さんにも砂川にもプライベートを削ってもらって航のために調査していただいて……砂川にも話していますが特別ボーナスをお出ししますので、なんでも希望を仰ってください」
「ははっ。特別ボーナスだなんてそんな良いんですよ。倉橋さんには素晴らしい設計士さんをご紹介いただきましたし……」
「ああ、もうだいぶ進んでいるようですね。もうすぐ完成間近でしょう?」
「ええ。私と悠真の夢を全て叶えてくれる家です。本当にあの人を紹介していただいてよかったですよ」
「それならよかった。紹介した甲斐がありましたよ。
西表に新しいイリゼホテルを建設することになり、秘境である西表のホテルにふさわしく完成まで極秘に進めたいという浅香の依頼に俺が手を貸すことになり、西表イリゼホテルの支配人となる松川くんと、総料理長となる安慶名さんと工事関係者以外には内情を明かさずにここまできた。
安慶名さんは石垣から西表に移るにあたって、砂川との新居を砂川には内緒で構えたいと以前相談があり、俺の家のリノベーションを頼んだ設計士を安慶名さんに紹介した。
あの家をリノベーションしてくれたのは高校時代の同級生で、俺の親友と言えるやつだ。
世界的に有名な建築家・水澄永新の息子で、父を尊敬していると言っていた水澄は迷わず自分も建築の道へと進んだ。
そんな水澄の父は、実は俺の親父と懇意であの東京の自宅を建ててくれたのが水澄の父だった。
そんな縁もあって、俺は水澄にあの家のリノベーションを頼んだんだ。
大自然に囲まれた古民家のリノベーションは水澄の創造意欲を大いに沸き立て、2人でああでもないこうでもないと話をしながらあの家を生まれ変わらせた。
あの時は楽しかった。
もちろん、あの一面ガラス張りの風呂場だけは俺のアイディアでそこは水澄にいろいろ助言されたが俺の意見を押し通したのだが。
出来上がった風呂を見て、驚きと納得の声を上げていたから水澄も気に入ってくれたようだったな。
あの家を発表したところ、国内外からの反響が大きく水澄は若手建築家がこぞって欲しがる賞を総ナメにし、今では設計を頼むのが難しい建築家の1人となっている。
西表のあの家に砂川と安慶名さんを招待した時、かなり気に入っている様子だったからあの時から砂川との家を建てる時には水澄に……という思いを持っていたらしい。
「まだ砂川には内緒にしているんですか?」
「近々伝える予定ですよ。そろそろ一緒に家具も揃えたいですしね」
「ああ。それならあのベッドを贈らせてください。もちろんキングサイズで最高級のマットレスの特注品にしますよ」
あのベッドというのは、俺の開発した自動シーツ交換機能がついた最高級のベッドだ。
愛し合うカップルにはかなり重宝するアイテムで俺が開発した中でも特に人気が高い。
「いいんですか?」
「ええ。もちろん。いつも安慶名さんと砂川には世話になってますからね。楽しみにしておいてください。もしよければあの映像システムも全て取り付けられますよ」
「あれも全て? ぜひお願いします!!」
今までにないほど喜びの表情を見せてくれる安慶名さんの姿に、ようやく借りが返せるなとほっとした。
「ところで、お電話でお伺いしていたもう一つの件ですが――」
「ああ、そっちの方は今朝砂川に資料を全て持たせましたので、砂川に纏めてもらったものを後で受け取っていただくことになります。資料がなくても大丈夫な話だけ先に進めておきましょうか?」
「いえ、必要な資料は先ほど悠真が纏めてくれてメールで送ってきてくれたので問題ありませんよ」
えっ? あれだけの資料をもう纏めて送ったのか?
朝渡したばっかりだぞ。
あのあとすぐに空港に向かったんだし……。
あいつどれだけ仕事が早いんだ?
「そ、そうですか。それなら話もしやすいですね」
努めて冷静を装って返事したが、きっと安慶名さんには気づかれていただろうな。
頭を切り替えた俺はこっちでその資料を見ながら、安慶名さんに昨日の報告と例の慰謝料代わりに貰った金を正式に航のものにするためにはどうしたらいいのかを相談した。
「なるほど。もうすでに倉橋さんの口座として変更手続きは終えているというわけですね。わかりました。そちらの方はこちらの伝手を使って、正式に藤乃くんの資産となるように手続きを進めておきますのでご安心ください」
おそらく違法スレスレの何やら方法があるんだろうが、安慶名さん任せておけば問題ない。
完全に手続きを終えてから、航にはあの栗原先生から預かった父親の遺産と一緒に渡すことにしよう。
「それにしてもイタリアマフィアのボスのご落胤ですか。周平さんの変装そこまでお似合いだったんですか?」
「ははっ。浅香がかなり張り切って変装させた賜物でしょうか、どこからどうみてもその筋の人にしか見えませんでしたよ」
「今度私も見せていただきたいですね。くっくっ」
周平さんのイタリアマフィア話はよほど安慶名さんのツボにハマったようだ。
大事な話も滞りなく終わり、俺は彼とのビデオ通話を終えた。
会議を終え、次に俺は蓮見に電話をかけた。
ーもしもし、俺だが今大丈夫か?
ーああ、ちょうど休憩中だから問題ない。どうした?
ーいや、親父に頼んだ例のアレ。今日受け取ってきたから、事務所の俺の引き出しに入れておくから決行の日に持っていってくれ。
ーああ、わかった。そういえば、アッチの方はうまくいったんだって? 兄貴が珍しく電話寄越してきてたよ。浅香に連絡するように頼まれたみたいだったけどな。
ーそうか。俺だけで行かなくてよかったよ。周平さんにはかなり活躍してもらったからな。
ーそうなのか? 兄貴はうまくいったっていってきただけで詳しいことは何も話さなかったから気になってたんだ。
ーふふっ。そうか。まぁ、うまくいったから心配するな。ソッチの方もうまいこと頼むぞ。
ーああ、それは大丈夫だ。彼らに話してもうOKもらったからな。
ーなら、よかった。決行の日はお前たちに任せるから都合がいい日を選んでやってくれ。
ーああ、任せておけ。じゃあな。
よし、これで沼田の方も問題ないな。
あとは航の義父だけか。
まぁ、周平さんなら今度もバッチリやってくれるだろう。
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