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日本でやりたいこと
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「朝から皆さん、楽しそうですね」
僕たちの笑い声が外まで聞こえていたのか、ジョルジュさんとリュカが笑顔で入ってきた。
「ジョルジュ、それにリュカも早いな」
「私よりもエヴァンがこんなに早いことに驚いたよ」
「まぁ、ホストだからな。皆を出迎えるのは当然だ。なぁ、ユヅル」
「ふふっ。はい」
笑顔で顔を見合わせていると、
「そうか、そうだな」
と納得したように笑っていた。
「そうだ、ミヅキ、それにスオウも。今日の帰国便にはジョルジュとリュカも警護でついていくから何かあれば声をかけるといい」
「えっ? リュカたち、日本に行くの?」
「ああ。どうせこちらに飛行機を戻さなければいけないからな」
「あっ、そっか」
行きの飛行機はちょうど整備中で日本にいたらしく、戻ってくるタイミングだったみたい。
だから、お迎えはなかったんだ。
確かに、日本の空港は慣れているかもだけど、フランスの空港から帰る時はリュカたちがいた方が安心なのかもね。
「私たちが皆さまを無事に日本までお届けしますので、ご安心くださいね」
「リュカさん……ありがとう」
リュカの優しい声かけに理央くんはホッとしたように笑っていた。
ジョルジュさんがここから日本出発までの流れを話すと言って、観月さんや周防さんを集めて話をし始めた時に、セルジュさんとミシェルさん、そして綾城さんと佳都さんもリビングにやってきた。
二組とも抱っこじゃなくて、ピッタリと寄り添って入ってくる仲睦まじい姿に思わず微笑んでしまう。
綾城さんはパッとリビングの中にいる人を見回して、悠木さんと空良くんの姿が見えないとわかると観月さんのすぐ近くに行き、話を始めた。
「ははっ。やっぱりあいつらが最後か。そうだと思ってたが、相変わらずだな」
「まぁ、空良くんのあの格好を見れば、今朝一番遅くなるだろうことはわかってたけどな」
「確かに。あいつに手加減なんて言葉はないだろう」
「違いない」
楽しげに笑い合う二人にもジョルジュさんが声をかけて、みんなに再び説明を始めた。
「ねぇねぇ、佳都さん、ミシェルさんもこっちでおしゃべりして待ってよう」
ジョルジュさんたちの話の邪魔にならないように、僕たちはさっきまでおしゃべりしていたソファーに集まっていたからそこにおいでと声をかけると、二人は嬉しそうに近づいてきた。
「あーあ。もう帰国だなんて信じられないな。この数日、本当に楽しかったから」
佳都さんが小さなため息を吐きながらそう言ってくれる。
本当にこの数日はかなり濃密だった。
サプライズ演奏会、クリスマスパーティー、結婚式、それにみんなでお出かけ。
どれもこれも楽しい思い出だ。
「ふふっ。そう言ってもらえると嬉しいです。フランスを楽しんでもらえてよかったですよ、ねぇミシェルさん」
「うん。本当に楽しかったからみんなが帰っちゃうのは寂しいけど、でも今度は僕たちが日本に遊びに行くからそれを楽しみにしているよ」
そう。
お別れはとっても寂しいけど、次は日本で会う。
その約束があるから、今、僕は笑顔でみんなと向き合えるんだ。
「日本に来たら、何かしたいこととかありますか?」
「あっ、そうそう。やりたいこと聞いて計画しておくのも楽しいよね。待っている間もワクワクするし」
「計画! 僕もしたいー!!」
秀吾さんと佳都さんの言葉に理央くんも交ざって楽しそうに声を上げる。
「やりたいことか……。ミシェルさんは日本自体、初めてだもんね。何かある?」
「うーん、スシとかテンプラとか本場のワショクを食べてみたいかな」
「なるほど。お寿司とか天ぷらの美味しいお店なら観月さんたちが知ってそうだからいけるよね」
「うん。僕、前にお父さんにお寿司と天ぷら食べさせてもらったの。すっごく美味しかったー!」
「ふふっ。観月さんのお父さんはすごいお店ばっかり知ってるって有名だからね。僕のお父さんも観月さんのお父さんに教えてもらったお店で、よく会食とかしてるみたいだし」
「へぇ、そうなんだ。さすがだね。お義父さんたちも観月さんのお父さんが選ぶお店はいつもハズレがないって言ってたよ」
秀吾さんと理央くんと佳都さんの会話を聞いているだけで、観月さんのお父さんの凄さが良くわかる。
そんなに美味しいお店ばかり知ってる人がお父さんだから、観月さんって料理上手なのかな?
理央くんがいつも美味しいって話してたもんね。
「食べ物は任せといて! みんなでしっかり計画しておくね。弓弦くんは久しぶりの日本で何かやりたいこととかある?」
「僕は……会いたい人がいる、かな……」
「えーっ、弓弦くんの会いたい人って誰? 誰?」
「お友達とか?」
「うーん、そうじゃなくて……」
言っていいのかな?
って一瞬悩んでいると、
「ユヅル! 会いたい人って誰だ?」
とすごい勢いでエヴァンさんが駆け寄ってきた。
僕たちの笑い声が外まで聞こえていたのか、ジョルジュさんとリュカが笑顔で入ってきた。
「ジョルジュ、それにリュカも早いな」
「私よりもエヴァンがこんなに早いことに驚いたよ」
「まぁ、ホストだからな。皆を出迎えるのは当然だ。なぁ、ユヅル」
「ふふっ。はい」
笑顔で顔を見合わせていると、
「そうか、そうだな」
と納得したように笑っていた。
「そうだ、ミヅキ、それにスオウも。今日の帰国便にはジョルジュとリュカも警護でついていくから何かあれば声をかけるといい」
「えっ? リュカたち、日本に行くの?」
「ああ。どうせこちらに飛行機を戻さなければいけないからな」
「あっ、そっか」
行きの飛行機はちょうど整備中で日本にいたらしく、戻ってくるタイミングだったみたい。
だから、お迎えはなかったんだ。
確かに、日本の空港は慣れているかもだけど、フランスの空港から帰る時はリュカたちがいた方が安心なのかもね。
「私たちが皆さまを無事に日本までお届けしますので、ご安心くださいね」
「リュカさん……ありがとう」
リュカの優しい声かけに理央くんはホッとしたように笑っていた。
ジョルジュさんがここから日本出発までの流れを話すと言って、観月さんや周防さんを集めて話をし始めた時に、セルジュさんとミシェルさん、そして綾城さんと佳都さんもリビングにやってきた。
二組とも抱っこじゃなくて、ピッタリと寄り添って入ってくる仲睦まじい姿に思わず微笑んでしまう。
綾城さんはパッとリビングの中にいる人を見回して、悠木さんと空良くんの姿が見えないとわかると観月さんのすぐ近くに行き、話を始めた。
「ははっ。やっぱりあいつらが最後か。そうだと思ってたが、相変わらずだな」
「まぁ、空良くんのあの格好を見れば、今朝一番遅くなるだろうことはわかってたけどな」
「確かに。あいつに手加減なんて言葉はないだろう」
「違いない」
楽しげに笑い合う二人にもジョルジュさんが声をかけて、みんなに再び説明を始めた。
「ねぇねぇ、佳都さん、ミシェルさんもこっちでおしゃべりして待ってよう」
ジョルジュさんたちの話の邪魔にならないように、僕たちはさっきまでおしゃべりしていたソファーに集まっていたからそこにおいでと声をかけると、二人は嬉しそうに近づいてきた。
「あーあ。もう帰国だなんて信じられないな。この数日、本当に楽しかったから」
佳都さんが小さなため息を吐きながらそう言ってくれる。
本当にこの数日はかなり濃密だった。
サプライズ演奏会、クリスマスパーティー、結婚式、それにみんなでお出かけ。
どれもこれも楽しい思い出だ。
「ふふっ。そう言ってもらえると嬉しいです。フランスを楽しんでもらえてよかったですよ、ねぇミシェルさん」
「うん。本当に楽しかったからみんなが帰っちゃうのは寂しいけど、でも今度は僕たちが日本に遊びに行くからそれを楽しみにしているよ」
そう。
お別れはとっても寂しいけど、次は日本で会う。
その約束があるから、今、僕は笑顔でみんなと向き合えるんだ。
「日本に来たら、何かしたいこととかありますか?」
「あっ、そうそう。やりたいこと聞いて計画しておくのも楽しいよね。待っている間もワクワクするし」
「計画! 僕もしたいー!!」
秀吾さんと佳都さんの言葉に理央くんも交ざって楽しそうに声を上げる。
「やりたいことか……。ミシェルさんは日本自体、初めてだもんね。何かある?」
「うーん、スシとかテンプラとか本場のワショクを食べてみたいかな」
「なるほど。お寿司とか天ぷらの美味しいお店なら観月さんたちが知ってそうだからいけるよね」
「うん。僕、前にお父さんにお寿司と天ぷら食べさせてもらったの。すっごく美味しかったー!」
「ふふっ。観月さんのお父さんはすごいお店ばっかり知ってるって有名だからね。僕のお父さんも観月さんのお父さんに教えてもらったお店で、よく会食とかしてるみたいだし」
「へぇ、そうなんだ。さすがだね。お義父さんたちも観月さんのお父さんが選ぶお店はいつもハズレがないって言ってたよ」
秀吾さんと理央くんと佳都さんの会話を聞いているだけで、観月さんのお父さんの凄さが良くわかる。
そんなに美味しいお店ばかり知ってる人がお父さんだから、観月さんって料理上手なのかな?
理央くんがいつも美味しいって話してたもんね。
「食べ物は任せといて! みんなでしっかり計画しておくね。弓弦くんは久しぶりの日本で何かやりたいこととかある?」
「僕は……会いたい人がいる、かな……」
「えーっ、弓弦くんの会いたい人って誰? 誰?」
「お友達とか?」
「うーん、そうじゃなくて……」
言っていいのかな?
って一瞬悩んでいると、
「ユヅル! 会いたい人って誰だ?」
とすごい勢いでエヴァンさんが駆け寄ってきた。
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