歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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嬉しすぎるサプライズ

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<side一花>

「貴船。もう撮影の準備は整ったから、千里の案内に従って一花さんを連れて庭に来てくれ」

「ああ、わかった。今から行く」

天沢さんの声に一気に緊張してしまう。
けれど、征哉さんはそんな僕の様子にいち早く気づいて優しい声をかけてくれる。

「一花。大丈夫。撮影のことは忘れて、一花は私との結婚式のことだけ考えてくれたらいい」

「はい。わかりました」

「じゃあ、行こうか」

「あ、グリは?」

「グリなら千里さんがケージに入れて運んでくれているから大丈夫だよ」

その声に千里さんが手に持っていたケージを見せてくれた。

「グリとも一緒に写真を撮ってもらうつもりだからな」

「ふふっ。グリ、可愛い洋服着て嬉しそう」

征哉さんがグリのために可愛いベストとかいうのを作ってくれてそれを着せたらすっごく可愛かったんだよね。
これも敬介さんや直くんたちに写真で送っちゃおう。

真っ白な着物姿の僕を軽々と抱っこしてくれた征哉さんは、形だけだからと言って僕に白い草履を履かせて、そのまま部屋を出た。

「そうだ、一花。綺麗に飾られた会場をサプライズで見せたいから、私がいいよというまで目を瞑っておいてくれるか?」

「ふふっ。なんだかグリがお家に来た時みたいですね」

「ああ。サプライズの方がより結婚式を楽しめるだろう?」

「そうですね。わかりました」

緊張感に楽しみが加わって、ワクワクしてきた。
征哉さんはいつだって僕の緊張を和らげてくれる。

「そろそろ芝生に入りますから、お足元にお気をつけくださいね」

「ああ、ありがとう」

千里さんのその声に、もうここがお庭なんだと気づいた。
確かに外の匂いもするし、風も少し感じる。
ああ、やっぱりお外って気持ちがいい。

スタスタと歩いていく征哉さんの振動を感じながら、到着するのを心待ちにしていた。
征哉さんの動きが止まり、

「一花、目を開けてもいいよ」

と声が聞こえて僕はゆっくりと目を開けた。

僕の目に目の前の景色が映ったと思ったら、

「結婚おめでとう!!」

という大きな声とともに、大勢の人たちに笑顔と拍手で迎えられた。

「えっ……な、に……? こ、れ……えっ?」

何が起こっているのか、わからなくなっていると、

「私たちのために、みんなが祝福に集まってくれたんだよ」

と征哉さんが教えてくれた。

「僕、たちの、ために……うぅっ、ぐすっ……っ、う、れしぃ……っ」

もっと言いたいのに、涙が次々と溢れて止まらない。

「一花、私も嬉しいよ」

「せい、やさん……っ」

想像もしなかった出来事に僕はしばらく泣き続けてしまった。

その間もずっと笑顔で見守ってくれている人たちに申し訳なく思ってしまったけど、

「みんな、一花が喜ぶ瞬間に立ち会えて喜んでいるから心配しないでいいよ」

と征哉さんが言ってくれたからホッとした。

ようやく涙が落ち着いてから、涙でお化粧が取れてしまったのを直してもらった。

「じゃあ、一花。今から、結婚式を挙げるから。お義父さん、こちらに来ていただけますか?」

征哉さんの声かけにパパが近づいてきてくれた。

「一花、征哉くん。おめでとう。一花、とっても綺麗だよ」

「パパ……ありがとう」

「お義父さんには一花を抱っこして、あちらからこちらに向かって歩いてきていただきます」

「えっ、いいのか?」

「もちろんですよ。大事な一花をお願いします」

征哉さんが僕をパパに差し出すと、征哉さんと同じくらい安心する腕に包まれた。
もしかしたら、赤ちゃんの時に抱っこされたのを身体が覚えているのかもしれない。

「――っ、一花、大きくなったな」

パパの声が少し震えているのがわかる。

「パパ……っ」

嬉しくてぎゅっと抱きつくと、パパは嬉しそうに笑って、

「じゃあ、一花。行こうか」

と言って歩き始めた、
パパに抱っこされて、赤い絨毯が敷かれた先に到着すると絨毯の両端には、たくさんの人たちが見える。
さっきは突然の出来事と涙で誰だかわからなかったけれど、今は半分くらいわかる。

「彼らは一花と征哉くんのために集まってくれたんだよ」

「嬉しい。でも……尚孝さんはどこだろう? それに他の人がいるのに、直くんも敬介さんも佳史さんもあやちゃん、史紀さんもいないですよ」

「ふふっ。彼らもちゃんといるよ。あの着物やドレスを着ている美しい人たちが彼らだ」

「えっ? あっ、本当だ!! でもどうして?」

「一花と征哉くんの結婚式のために花を添えてくれたんだよ」

「そうなんだ……とっても綺麗……っ」

「彼らとはまた後でゆっくり話もできるし写真も撮れるよ。ほら、征哉くんが待っている。行こうか」

「はい」

赤い絨毯の先にいる征哉さんに向かって、パパが少しずつゆっくりと歩いていく。

おめでとう!
綺麗だよ!
素敵!!
こっち向いて!!

いろんな声をかけられるたびに幸せが増えていく気がする。

「一花、本当におめでとう。今日のこの日を迎えられて私は幸せだ。一花の父になれて本当に良かったよ。今日はきっと、麻友子もそばで見てくれているからな」

「――っ、パパっ。僕も、パパとママの子どもに生まれて良かった。パパ、大好きっ!」

そっと耳元でかけられた言葉が嬉しくて、僕はパパにぎゅっと抱きついた。
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