歩けなくなったお荷物な僕がセレブなイケメン社長に甘々なお世話されています

波木真帆

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お墓参りに行こう!

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<side征哉>

saraさんから頼んでいたぬいぐるみが届いた。

一花が嬉しそうに開けるのを微笑ましく思いながら見つめていると、箱から出てきたのはなんとも可愛らしい一花のぬいぐるみ。

ああ、やはり羊は一花の可愛らしさを引き立たせていて、実に可愛らしい。
実物の一花よりも随分と幼い感じにしてくれているのが、さらに赤ちゃんぽくて可愛い。

このぬいぐるみがあの服を身につけるのか……。

これは最高に似合うだろうな。

一花ももちろん喜んでいたが、一花の興味はもう一つの箱に入った、私のぬいぐるみのようだ。
先ほどよりもさらに嬉しそうに箱を開け、中から取り出した途端、一際大きな声をあげた。

「すごい! すごい!! めちゃくちゃかっこいいです!!」

興奮しながら、嬉しそうに抱きしめるその姿に可愛いと思いつつも、一花が抱きしめるのが自分でないことに嫉妬心が湧き上がる。

相手はぬいぐるみ。
しかも私にそっくりなものだというのにあまりにも狭量すぎる。

だから、流石に引き離すことはできなかった。

私のぬいぐるみを愛おしそうに抱きしめる一花ごと、私の腕の中に包み込んだ。

突然の行動に一花は驚いていたが、私が正直に気持ちを告げると笑いながら、

「僕には征哉さんだけがかっこいいですよ」

といい、私の唇にキスをしてくれた。

ああ、私の一花は実に寛大で可愛らしい。


「征哉さん、このぬいぐるみを持っててください」

そう言って腕の中の私のぬいぐるみを手渡すと、ベッド脇の棚に綺麗に保管していたベビー服を取り出して、隣の置いていた羊の一花を手に取った。

ベビー服は着替えさせやすいように全てが前開き。
だから羊の一花にも簡単に着替えさせることができた。

水色の服に白い襟が可愛い水兵のような服と、小さな帽子。
それによだれかけ。

これを幼い一花が着るはずだったのだな。

その日を夢みて一針一針心を込めて縫っていたのに、愚かな女のせいでその夢を絶たれたんだ。
しかも命をかけて産み落とした一花をほんの数日で失ってどれほど苦しかったことだろう。
あまりの悲しさに命を落としてしまった麻友子さんの気持ちは、痛いほどよくわかる。

まさに今の私が一花を失ったなら、この世界が全て灰色になってしまうのと同じだ。

一花と過ごせる日々を決して当然だと思ってはいけない。

毎日、それが幸せだと思ってこれから生きていこう。

「わぁ、征哉さん。見てください!」

「おお、可愛らしいな。一花の弟みたいに見える」

「ふふっ。これなら、麻友子お母さんも喜んでくれますよね」

「ああ、もちろんだとも。木曜日が楽しみだな」

「はい!」

一花は嬉しそうにいつまでもぬいぐるみたちを見続けていた。


<side一花>

「一花、迎えにきたよ!」

「お父さんっ!」

「ああ、お父さんだよ。いい響きだな」

麻友子お母さんのお墓参りに行く日。
朝食を終えてしばらくしたところで、お父さんが家に迎えにきてくれた。

久しぶりに会うお父さんは、いつも以上に優しい目をしている気がする。
きっと家族で麻友子お母さんのお墓参りに行けることが嬉しいんだろう。

「随分健康的になってきたな」

「はい。とってもご飯が美味しくていっつもいっぱい食べてます」

「そうか、それはいいことだな」

「お父さん、これ見てください!」

僕は隣に置いていた羊の僕のぬいぐるみをお父さんに見せた。

「ああっ、これは! 麻友子が作ったベビー服か。それにこのぬいぐるみ、一花によく似ている」

「saraさんというぬいぐるみ作家の方に作ってもらったんです。麻友子お母さんの作ってくれた服もピッタリでしょう?」

「ああ、本当によく似合っている。これを見たら、きっと麻友子も喜ぶよ」

お父さんは嬉しそうにぬいぐるみの僕を抱き上げて、まるで本当の赤ちゃんを抱くように横抱きにかかえた。
その姿が本当に赤ちゃんの僕を抱っこしているように見えて、嬉しくなって思わずすぐ近くに置いていたスマホで写真を撮ってしまった。

「一花……」

「あっ、ごめんなさい。つい……」

「いや、いいんだ。よかったら一緒に撮らないか?」

「ああ、私が撮りましょう」

「征哉さん……」

「じゃあ頼むとしようか」

ベッドに座る僕のすぐ横にお父さんが腰を下ろす。
羊の僕を真ん中に立たせるように抱っこすると、僕の肩に手を回して寄り添った。

征哉さんとは違うけど、でもホッとする。

やっぱりお父さんの近くにいられるのは嬉しいな。
写真を撮ると、

「征哉くん、今の写真。私にも送ってくれ」

と嬉しそうに声をかける。

「おお、来た! 来た!」

スマホをさっと操作してポケットにしまっていた。

「征哉くん、もう準備はできているか?」

「ええ、いつでも出掛けられますよ」

「じゃ、一花。行こうか」

その言葉にさっと征哉さんが抱きかかえてくれた。

「お墓のあたりは車椅子じゃ危ないから、私が抱きかかえて行こう」

「はい。お願いします」

僕は羊の僕のぬいぐるみを抱っこして、お父さんからもらった帽子を持って征哉さんに抱きかかえられて部屋を出た。

ああ、やっと麻友子お母さんに挨拶できるんだ!
楽しみだけど、ちょっとだけ緊張しちゃうな。
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