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番外編
西表スイーツ試食会 <中編>
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すみません、楽しくなりすぎて終わらなかったので前中後編に分けます。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「航、そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」
「あっ、はい。そうですね」
バタバタと机の上を片付けていると、社長室の部屋の扉を叩く音が聞こえた。
「ほら、迎えが来たぞ」
祐悟さんが扉を開けると、そこには砂川さんと名嘉村さんの姿があった。
「社長、まだ藤乃くんに仕事をさせていたんですか?」
「人聞きの悪いことを言うな。ちょうど今片付けをしていたところだよ」
「ふふっ。そうですか。じゃあ、藤乃くん。行きましょう」
「はーい。それじゃあ祐悟さん。行ってきますね」
「ああ。このあとは特に急ぎの仕事もないからのんびりしてきていいぞ」
「わかりました」
そう言って俺は祐悟さんの元に駆け寄ってチュッと唇を重ねた。
行ってきますをするときは必ずキス。
これは祐悟さんと俺の約束事。
砂川さんと名嘉村さんの前だということはわかっていたけれど、約束事だから守らないとね!
「航、気をつけて行っておいで。終わる頃に連絡してくれたら俺が店に行くよ」
「わざわざ迎えになんていいですよ」
「いいんだ。俺が行きたいんだから。じゃあ、行っておいで」
耳元で甘く囁かれて、ちょっとドキドキしながら俺は砂川さんたちと会社を出た。
「藤乃くん、嫌なときはちゃんと言うんですよ。そうしないと社長はどんどん調子に乗ってしまいますから」
「そんな……っ。あの、俺はあれは別に嫌じゃないんで、大丈夫ですよ」
「ふふっ。確かに嫌がってる顔じゃなかったですよね、藤乃くんからキスしに行ってるのをみて僕、ドキドキしちゃったし」
「もう、名嘉村さん。揶揄わないでください」
「ははっ。まぁ、仲が良くて安心してるんだよ。社長が藤乃くんを溺愛しているところを見るのも楽しいし。でしょう? 砂川さん」
「確かに。今までの社長と比べたら今の方が断然いいですけど、時々溺愛しすぎて心配になることもありますけどね」
「それって、どういう……?」
「昨日、社長室でお楽しみだったでしょう?」
「――っ!! えっ、なんでそれ……っ」
「わかりますよ。藤乃くんの姿も見えないのに、ツヤッツヤな顔で午後の仕事をこなしてましたから。仕事の捗り具合が化け物じみてましたよ。本当に」
――航と愛し合ったから仕事が捗ったよ。
昨日祐悟さんにそう言われたのを思い出す。
周りにもわかるくらいに仕事が捗っているんだと思うと恥ずかしいけど、俺の存在が祐悟さんの役に立っていると言う点ではいいことなのかな。
「こんにちはー」
「いらっしゃい、待ってたよ!」
黒のカフェエプロンをして迎えてくれたのは平松さん。
もうすっかりこのお店の店員さんになっている。
元々はK.Yリゾートに採用されたはずだったけれど、このお店の店主である八尋さんと正式にお付き合いするようになって、気づいたらあのお店で働くようになっていたんだよね。
でも、俺と同じ会社で働くまではBarで働いていたと聞いていたし、接客業の方が平松さんには似合っている気がする。
「こっちのテーブルに崇史さんに作ってもらったスイーツをビュッフェみたいに並べてもらったんだよ」
そう言って連れて行かれたテーブルにはいろんなスイーツが所狭しと置かれていた。
「わぁー、すっごく美味しそう!!! 」
「これ、全部八尋さんが作ったんですか? 凄すぎです!!」
「本当! どれも美味しそうで食べるのが楽しみですね」
「ふふっ。ゆっくり食べて感想を聞かせてくれ。飲み物はこっちに用意しているから」
八尋さんの視線の先に、ピッチャーに入れられた数種類のジュース、コーヒー、紅茶、それにさんぴん茶が置かれている。
「ありがとうございます」
「じゃあ、友貴也。俺は厨房で夜の仕込みをしてるから、あとは頼んだぞ。何かあったら声をかけてくれ」
「はい。わかりました」
八尋さんは平松さんの返事に嬉しそうに笑顔を見せると、チュッと唇にキスをして去っていった。
「ふふっ。八尋さんも社長も同じですね。仲が良いのがわかる気がします。ねぇ、藤乃くん」
砂川さんに話を振られて少し恥ずかしくなるけど、平松さんも同じなんだと思うとこれが普通のような気がしてきた。
「と、とりあえず好きなものをとってください。はい、お皿」
顔の赤い平松さんからお皿を受け取って、スイーツが並んでいるテーブルに近づく。
甘い匂いが漂ってきて涎が出てきそう。
「黒糖わらび餅、美味しそう!!」
プルプルのわらび餅に、きなこと黒蜜をかけるともうそれだけで贅沢なスイーツだ。
「このタルトの上に乗ってるは平良のおばあちゃんのところのピーチパインですよ」
「えっ? それはすごい!」
平良のおばあちゃんちで作られているピーチパインは、西表で作られているピーチパインの中でもとりわけ美味しいと言われているもので、イリゼホテル石垣島でしか食べられないものだと言われている。
「崇史さんが交渉したら、規格外のものや間引いたものを格安で譲っていただけることになったんです。なので、安定的に作れるわけではないんですけど、そういうものがあっても良いのかなって」
「それはかなり希少なので、あった方がいいですよ! 巡り会えた時に嬉しくなりますし。ねぇ、名嘉村くん」
「ええ、特別感があるものっていいですよね」
「ですよね、あっ、こっちはドラゴンフルーツのゼリーとマンゴープリンです」
「うわっ、こっちも美味しそう!!」
「どれも美味しそうだから、全部の種類を一つずつ取りましょうか」
そんな砂川さんの提案にみんなでわいわい言いながらお皿に盛り付けて、一足早く盛り付けを終えた砂川さんと平松さんがコーヒーを淹れてくれた。
「フルーツジュースは後でゆっくり頂きましょうね」
やっぱりスイーツを食べるときはたっぷりミルクを入れたコーヒー。
それは譲れない。
そのことをわかってくれている砂川さんはミルクたっぷりのカフェオレをおいてくれた。
「じゃあ、頂きまーす!!」
まず最初に口に入れたのピーチパインのタルト。
桃のような香りがして、次に濃厚なパインの味わい。
サクサクのタルトとカスタードクリームがものすごくあっていて美味しい!!!
「美味しい~っ!! これが食べられるなんて幸せ~!!」
「ふふっ。本当ですね。中のカスタードが甘さ控えめだからピッタリ合いますよ」
「これだけでも食べにきたくなりますね!! ピーチパインはこれくらいの大きさの方が食べやすくていいですね」
ただ美味しいだけを言っている俺と違って、砂川さんも名嘉村さんもちゃんと意見を言っている。
ああ、やっぱり二人にもきてもらって正解だったな。
楽しんでいただけると嬉しいです♡
* * *
「航、そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」
「あっ、はい。そうですね」
バタバタと机の上を片付けていると、社長室の部屋の扉を叩く音が聞こえた。
「ほら、迎えが来たぞ」
祐悟さんが扉を開けると、そこには砂川さんと名嘉村さんの姿があった。
「社長、まだ藤乃くんに仕事をさせていたんですか?」
「人聞きの悪いことを言うな。ちょうど今片付けをしていたところだよ」
「ふふっ。そうですか。じゃあ、藤乃くん。行きましょう」
「はーい。それじゃあ祐悟さん。行ってきますね」
「ああ。このあとは特に急ぎの仕事もないからのんびりしてきていいぞ」
「わかりました」
そう言って俺は祐悟さんの元に駆け寄ってチュッと唇を重ねた。
行ってきますをするときは必ずキス。
これは祐悟さんと俺の約束事。
砂川さんと名嘉村さんの前だということはわかっていたけれど、約束事だから守らないとね!
「航、気をつけて行っておいで。終わる頃に連絡してくれたら俺が店に行くよ」
「わざわざ迎えになんていいですよ」
「いいんだ。俺が行きたいんだから。じゃあ、行っておいで」
耳元で甘く囁かれて、ちょっとドキドキしながら俺は砂川さんたちと会社を出た。
「藤乃くん、嫌なときはちゃんと言うんですよ。そうしないと社長はどんどん調子に乗ってしまいますから」
「そんな……っ。あの、俺はあれは別に嫌じゃないんで、大丈夫ですよ」
「ふふっ。確かに嫌がってる顔じゃなかったですよね、藤乃くんからキスしに行ってるのをみて僕、ドキドキしちゃったし」
「もう、名嘉村さん。揶揄わないでください」
「ははっ。まぁ、仲が良くて安心してるんだよ。社長が藤乃くんを溺愛しているところを見るのも楽しいし。でしょう? 砂川さん」
「確かに。今までの社長と比べたら今の方が断然いいですけど、時々溺愛しすぎて心配になることもありますけどね」
「それって、どういう……?」
「昨日、社長室でお楽しみだったでしょう?」
「――っ!! えっ、なんでそれ……っ」
「わかりますよ。藤乃くんの姿も見えないのに、ツヤッツヤな顔で午後の仕事をこなしてましたから。仕事の捗り具合が化け物じみてましたよ。本当に」
――航と愛し合ったから仕事が捗ったよ。
昨日祐悟さんにそう言われたのを思い出す。
周りにもわかるくらいに仕事が捗っているんだと思うと恥ずかしいけど、俺の存在が祐悟さんの役に立っていると言う点ではいいことなのかな。
「こんにちはー」
「いらっしゃい、待ってたよ!」
黒のカフェエプロンをして迎えてくれたのは平松さん。
もうすっかりこのお店の店員さんになっている。
元々はK.Yリゾートに採用されたはずだったけれど、このお店の店主である八尋さんと正式にお付き合いするようになって、気づいたらあのお店で働くようになっていたんだよね。
でも、俺と同じ会社で働くまではBarで働いていたと聞いていたし、接客業の方が平松さんには似合っている気がする。
「こっちのテーブルに崇史さんに作ってもらったスイーツをビュッフェみたいに並べてもらったんだよ」
そう言って連れて行かれたテーブルにはいろんなスイーツが所狭しと置かれていた。
「わぁー、すっごく美味しそう!!! 」
「これ、全部八尋さんが作ったんですか? 凄すぎです!!」
「本当! どれも美味しそうで食べるのが楽しみですね」
「ふふっ。ゆっくり食べて感想を聞かせてくれ。飲み物はこっちに用意しているから」
八尋さんの視線の先に、ピッチャーに入れられた数種類のジュース、コーヒー、紅茶、それにさんぴん茶が置かれている。
「ありがとうございます」
「じゃあ、友貴也。俺は厨房で夜の仕込みをしてるから、あとは頼んだぞ。何かあったら声をかけてくれ」
「はい。わかりました」
八尋さんは平松さんの返事に嬉しそうに笑顔を見せると、チュッと唇にキスをして去っていった。
「ふふっ。八尋さんも社長も同じですね。仲が良いのがわかる気がします。ねぇ、藤乃くん」
砂川さんに話を振られて少し恥ずかしくなるけど、平松さんも同じなんだと思うとこれが普通のような気がしてきた。
「と、とりあえず好きなものをとってください。はい、お皿」
顔の赤い平松さんからお皿を受け取って、スイーツが並んでいるテーブルに近づく。
甘い匂いが漂ってきて涎が出てきそう。
「黒糖わらび餅、美味しそう!!」
プルプルのわらび餅に、きなこと黒蜜をかけるともうそれだけで贅沢なスイーツだ。
「このタルトの上に乗ってるは平良のおばあちゃんのところのピーチパインですよ」
「えっ? それはすごい!」
平良のおばあちゃんちで作られているピーチパインは、西表で作られているピーチパインの中でもとりわけ美味しいと言われているもので、イリゼホテル石垣島でしか食べられないものだと言われている。
「崇史さんが交渉したら、規格外のものや間引いたものを格安で譲っていただけることになったんです。なので、安定的に作れるわけではないんですけど、そういうものがあっても良いのかなって」
「それはかなり希少なので、あった方がいいですよ! 巡り会えた時に嬉しくなりますし。ねぇ、名嘉村くん」
「ええ、特別感があるものっていいですよね」
「ですよね、あっ、こっちはドラゴンフルーツのゼリーとマンゴープリンです」
「うわっ、こっちも美味しそう!!」
「どれも美味しそうだから、全部の種類を一つずつ取りましょうか」
そんな砂川さんの提案にみんなでわいわい言いながらお皿に盛り付けて、一足早く盛り付けを終えた砂川さんと平松さんがコーヒーを淹れてくれた。
「フルーツジュースは後でゆっくり頂きましょうね」
やっぱりスイーツを食べるときはたっぷりミルクを入れたコーヒー。
それは譲れない。
そのことをわかってくれている砂川さんはミルクたっぷりのカフェオレをおいてくれた。
「じゃあ、頂きまーす!!」
まず最初に口に入れたのピーチパインのタルト。
桃のような香りがして、次に濃厚なパインの味わい。
サクサクのタルトとカスタードクリームがものすごくあっていて美味しい!!!
「美味しい~っ!! これが食べられるなんて幸せ~!!」
「ふふっ。本当ですね。中のカスタードが甘さ控えめだからピッタリ合いますよ」
「これだけでも食べにきたくなりますね!! ピーチパインはこれくらいの大きさの方が食べやすくていいですね」
ただ美味しいだけを言っている俺と違って、砂川さんも名嘉村さんもちゃんと意見を言っている。
ああ、やっぱり二人にもきてもらって正解だったな。
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