身も心もズタボロになった俺が南の島でイケメン社長と幸せを掴みました

波木真帆

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謝らないでください!※

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「ううーん」

目を覚ますと俺は大きなベッドの真ん中にひとりぼっちで横たわっていた。
あれ? 祐悟さんは?

真っ暗な部屋で今が何時なのかもわからない。
時計はどこかなと顔を動かすと、ベッドの横にあるテーブルにペットボトルとスマホが開かれているのが見えた。
途端に喉の渇きを思い出して手を伸ばそうとすると、

「いっ、たぁ……っ! けほっ、けほっ」

なんだかあらぬところが異様に痛い。
それに腰も足も重くて動かせられない。

なんで? これ? どういうこと?

ゔぅーっ、喉も乾いたけどペットボトルに手が届かない。

あー、もう、ちょっと……なのに……うー、
必死に手を伸ばしていると、突然スマホが鳴り始めた。

ペットボトルに伸ばしていた手をスマホに変えて、先にスマホを取ろうとするけれどうまくいかない。
あーもう、誰からの電話かもわからないけど早く取らないと切れちゃう。

「わぁーっ!! けほっ、けほっ」

その焦りのせいか、一瞬スマホに手が届いたのにガタッガタッと音を立てて床に落ちてしまった。

ああ~っ、もう床には手が届きそうにない。
どうすることもできないし、仕方ないかともう一度ペットボトルに挑戦するとようやく取ることができた。

寝起きで力の入らない指で硬い蓋と戦って溢さないように痛みを堪えて身を捩りながら、ペットボトルに口をつけてゴクゴクと飲むとじわじわと身体の中に染み渡っていくそんな感じがした。

ふぁーっ、美味しい。

あっという間に飲み干してしまって空になったペットボトルの蓋を閉めていると、突然バタバタっと駆け寄ってくる音が聞こえたと思ったら突然バァーンと大きな音を立てて扉が開かれた。

「航っ!! 大丈夫か??」

「――ゆ、祐悟、さん……??」

「大丈夫か? なんともないか?」

突然部屋に入ってきた祐悟さんはこの上ないほど心配そうな表情で俺が横たわるベッドに飛び乗ってきた。

「えっ? な、なんで……?」

「さっき電話しただろ? やっと繋がったと思ったら航の叫び声がして電話が切れたから何かあったのかと思って気が気じゃなくて……心配で見にきたんだ。はぁーっ、なんともなくて良かった……」

「あっ、ごめんなさい……スマホ取ろうとしたら落としちゃって……」

「そうか、悪かった。枕元に置いておけば良かったな」

「ううん。違う、なんか俺……筋肉痛になっちゃったみたい。
だから手があんまり伸ばせなくて……昨日、歩きすぎちゃったかな? ふふっ。運動不足なのかもね……」

祐悟さんに心配かけたくなくて理由を言ったんだけど、祐悟さんは俺の言葉に

「悪い……私のせいだ」

と項垂れていた。

「今日航を休ませると言ったら砂川に怒られたよ。手加減できなくてすまない」

えっ? 手加減??

そう言われて俺はやっと昨夜のことを思い出した。

あっ、もしかしてこの痛みって……
あそこ・・・が痛いのも祐悟さんのアレ・・挿入いれたから……とか??

それに気づいて俺は一気に恥ずかしくなった。
俺、もう途中からおかしくなりすぎててなんかいろいろ言っちゃった気がする……。
あんまり覚えてないけど、でも……すごく嬉しかったことだけは覚えてる。
今までに感じたことないぐらい……き、気持ちよかったし……。
でも……祐悟さんは……。

「……祐悟、さん……後悔、してますか??」

「な――っ!! そんなわけないだろうっ!」

「じゃあ、謝らないでください……俺、すごく嬉しかったのに……」

「航……ああ、もうお前は……」

感極まったような声で俺をぎゅっと抱きしめてくれる。
俺も祐悟さんに抱きつきたくて腕を伸ばすとピキっと腰に痛みが走った。

「いたっ――」

「あっ、大丈夫か?」

俺の声に祐悟さんが離れていくのが寂しい。

「祐悟さん、離さないでください……」

「ぐっ――! ああっ! もうっ! 離すわけないだろう」

なぜか少し苦しげな表情でそういうと俺が痛くならないように優しく抱きしめながら、祐悟さんはそのままベッドにいてくれた。

祐悟さんの温もりにホッとする。

「本当は、航を置いて行きたくなかったんだ。航が起きるまでそばにいてやりたかったんだが、砂川が……」

ピリリリ

突然スマホが鳴り出した。
多分これは祐悟さんのスマホの音。

けれど、祐悟さんは俺を抱きしめたまま電話を取ろうとしない。

「あ、あの……祐悟さん、電話……鳴ってますよ」

「ああ、いいんだ」

そうこう言っている間に留守電に切り替わり電話が切れた。
けれど間髪入れずにまた電話が鳴り出す。
それを数回繰り返して、祐悟さんは『はぁーーっ』と大きなため息を吐きながら、

「悪い」

と俺に一言告げると、ようやく電話をとった。

ーもしも――

ー社長っ!!! 何やってるんですかっ!!!
仕事溜まってるんですよっ!!!

スピーカーになっているわけでもないのに、砂川さんの怒鳴り声が俺にも聞こえる。

ー砂川、声大きすぎだろっ!

ー何言ってるんですかっ! 社長がなかなか帰ってこないからでしょう!!
少し様子を見にいくだけじゃなかったんですか? ちゃんと仕事やってもらわないと藤乃くんを秘書にという話、なしにしますよ!

ーいや、それは困るっ!!

ーなら、すぐにきてください! いいですねっ!

そう言うと、砂川さんはピッと電話を切った。

「はぁーっ。あいつ、本当に融通効かないな……」

「祐悟さん、俺……大丈夫なのでお仕事行ってください。というか、俺も本当は休むなんてダメですよね。
今からでも俺、行きます!」

「何言ってるんだ!! そんな航を行かせられるわけないだろう!

前の会社にいた時は高熱が出ようが這ってでも来いと言われていたし、社会人として仕事をするならそれが当然だと思ってた。
身体が辛いだけで休むなんてとんでもないことだ。

「大丈夫です。熱があるわけないじゃないし、俺……早く祐悟さんの会社のことちゃんと把握しておきたいので」

そうだ、腰痛くらいで甘えちゃいけない。
早く祐悟さんの力になれるように頑張らないと!

腕に力を入れベッドから起きあがろうとすると、祐悟さんに肩をおさえられベッドに倒された。

「航、無理しなくていいんだ! 今日はゆっくり休んでくれ! 私のためにそうしてくれないか?」

「えっ? 祐悟さんのために??」

「ああ。航のそんな色っぽい顔を他の奴らになんて見せたくないんだ」

「い、色っぽい……ってそんなこと――わっ!」

あるわけない!
そう言おうとしたのに、急に祐悟さんにキスされた。

俺が驚いている間に祐悟さんの舌が入ってきて口内を蹂躙していく。
舌先に吸い付かれクチュクチュと唾液が移動する。
熱の篭ったキスに俺はもう蕩けてしまいそうだ。

祐悟さんとのキスはあまりにも気持ち良すぎてあっという間に身体の力が抜けてしまう。
深い深いキスに酔いしれているとようやく唇が離された。

「頬がほんのりピンク色でこんなとろとろに蕩けた航の顔を見られるのは私だけでいい。
頼む、今日はここでゆっくり休んでいてくれないか……」

祐悟さんの真剣な表情に俺は『わ、わかりました……』と声を上げた。
正直、俺の顔なんて誰も……と思ったけれど、祐悟さんがそんなにいうならそうしよう。
勝手に休んでしまって砂川さんには本当に申し訳ないけど……。

祐悟さんはベッドの周りに食事や飲み物など色々用意して、俺をトイレに連れて行ってくれた。
そして、『すぐに仕事を終わらせてくるから!!』と何度も言いながら仕事に戻っていった。
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