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第十四章 未来へ向かって
2 四阿にて ※
しおりを挟む「ということで。そろそろ第二子について相談したいのだが」
「なにが『ということで』なんだよっっ」
その夜。
魔王がこう切り出して、リョウマは思わず大声をあげた。
ローティの成長速度が非常に速いのは事実だ。だがそうは言っても、王子はまだ生まれてほんの数か月。つぎの子を考えるようなタイミングだとは到底思えない。
なにより、ケントのおかげでずいぶん落ち着いたとはいえ、それでもまだローティを囲む環境は万全とは言えない。もう少し、自分たちとローティとで穏やかで安定した親子関係をしっかりと築いてからでも遅くはないのではないか。
リョウマとしては珍しく、言葉を尽くしてそう説得したというのに、魔王は逆に意外そうな顔をするだけだった。
「なるほど、そなたはそう思うわけだな」
「おうよっ。ていうか、今の状況ですぐに弟か妹ができたんじゃ、ローティがどう思うか──」
「どう思うか、というのは我らが勝手に判断してよいことではなかろう。本人に訊くのが一番早いのではないか?」
「ん、んんっ……?」
「こちらが『結論ありき』で話すのはまずいだろうが、フラットに意見を聞きたいということで話をもっていけばよかろう。……うむ。善は急げだ。早急に席を設けよう」
「お、おいおいっ。ちょっと待てって──むむうっ?」
まだあと百万言は言いたいことがあったのに、魔王はあっさりリョウマの体を太い両の腕で抱きこみ、口づけをもって黙らせてしまった。
「くっ、くおらああっ。子ども作るからって、別にいちいちコレやんなきゃなんねーって話でも……あ、あんっ」
「まあ『是非とも必要』ということでないのは確かだな。ゆえに、これは単に私がしたいからしていることだ」
「そ、そんなもん舐めながらしゃべるんじゃねええっ……んむんっ」
思わず甘い嬌声が漏れてしまいそうになって、手の甲で自分の口を塞ぐ。魔王はとっくにリョウマの股間に顔をうずめ、リョウマのモノに舌を這わせているのだ。
「気にするな。そなたはそなたの快楽に身を委ねていればいいのさ」
「んあっ……は、あんんっ……や、やめろってえ……ふうんっ」
ぱくりと咥え込まれて、びくっと腰が跳ねる。
卓越した舌と指の技術によって、リョウマの腰の中で眠っていたはずの欲望が簡単に暴れまわり始める。
「んむっ……んは、ああ……っ」
あれからさらに注ぎ込まれた魔王の精によって、リョウマの体に広がる《魔法樹》の紋様はさらに枝を広げ、四肢にまでひろがって、今ではすっかり芸術品のような輝きまで備えはじめている。
「一度、データに残しておかねばな」と魔王は言うが、リョウマが断じてそれを許そうとしないので残念そうである。聞けば、《魔法樹》は精の持ち主とそれを受ける側の相性によって形や色を変えるものだという。つまりリョウマの体に現れているそれは、「一期一会」の芸術品といって差し支えないものらしいのだ。
「ひ……いっ」
十分に濡らされた菊座から、つぷりと魔王の指が侵入してきてしばらく慣らされ、さらに魔王のモノが沈められてくるに及んで、リョウマはもう理性を手放すしかなくなった。
「あっ、あ、ああっ……っ!」
「ああ……悦いぞ、リョウマ。そなたは毎晩、まことにすばらしい」
「ふあ、あ、あんっ……!」
色々褒められているのはわかるのだが、そのほとんどはもうリョウマの耳には届かなかった。最後にすっかり力尽きてベッドに沈み込むとき、優しく口づけを落とされて「愛している」という言葉を聞いた気もしたが、いつものように眠気に負けて、その記憶はすっかり曖昧なものになってしまうのだった。
◇
こうした夜の「大変な運動」があったとしても、翌日になれば完璧に元気な状態に戻るのが「魔王国配殿下・リョウマ」の日常である。なぜなら隣にいるのが、他ならぬこの王国きっての強大な魔力の持ち主、魔王エルケニヒその人であるからだ。
(ったくよー……)
夜じゅうこの男に愛され続けた結果、どんなに疲れていようが体じゅうが痛んでいようが、この男の指先ひとつで簡単に《治癒》を施されてしまい、完全な健康体に戻されてしまう。「身がもたねえから勘弁しろ」というのが、ちっとも言い訳として通用しない。
「……どうなさったのですか、リョーパパ……いえ、リョウマ父上」
「あ。い、いやいや。なんでもねーよローティ」
そんなわけで。
翌日の午後、魔王はリョウマとひとり息子との午後のお茶の席を準備してくれた。
それは魔王城の緑豊かな庭園の一角、しゃれた四阿のもとに設えられたテーブルセットにて行われることになったのだ。
「おふたりから、ぼくにお話があると聞きました。なんでしょうか」
ローティは正装とまではいかないが王子としての衣装で現れ、どことなく不安そうな表情を見せて緊張している。
今ではすっかり、十二、三歳ぐらいの少年の姿になっていた。
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