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第八章 邂逅
3 レンジャー・ネット
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「エル! 聞こえるか、エル!」
リョウマは彗星へ接近しながら左手に向かって何度も叫んだ。今は《鎧装》で見えなくなっているが、そこには魔王からもらった紅石の指輪がある。そのまま話しても通信ができることは確認済みだった。しかし、魔王からの返事はなかった。
「ちいっ」
リョウマは舌打ちをひとつして、さらにスピードをあげた。仲間のみんなも事前の作戦どおりに宇宙を飛び、フォーメーションを展開していく。まずは彗星を大きな《レンジャー》の網でからめとれないか、というのが最初のアイデアだった。
できればその網の中に魔王を一緒に捕らえてしまわないようにしたいのに、連絡がつかないのではどうしようもない。しばらく悩んだ末、リョウマは決断した。ここはもう、魔王の丈夫さに賭けるしかないだろう。
「よしっ。じゃ、みんな、ファースト・フォーメーションだ。行くぞっ」
《オーケー!》
《ラジャ!》
《了解!》
《レンジャー》五名は彗星から十分に距離をとり、ぱっと展開して五名で非常に大きな円をつくるように位置をとった。みんなが予定通りの位置についたことを確認し、リョウマは片手を高く上げて再び叫んだ。
「レッツ! フォーメーション!」
体の奥に横溢している《勇者パワー》が、きぃん、という涼やかな音とともに手のひらに集まって光り輝く。ほかの《レンジャー》全員も同様だ。すでにかなり遠くに離れた仲間たちの方向から、それぞれの色に応じた光が輝くのがわかる。もちろんリョウマの色は赤だ。
「よし、いくぞ! 輝くレンジャーの光の網!《レンジャー・ネット》!」
四人の声が聞こえるのと同時に、みんなの手の光から何本もの光線が発射された。それがお互いに結び合い、絡まりあって、みるみる巨大なネット──ちょうど漁網のようなものだ──を作り上げた。
ぴしっと網が張った状態になったところへ、彗星がどんどん近づいてくる。魔王はその間に浮かんでいたのだったが、不意にこちらの存在に気づいたらしく、ぱっと飛びのいて彗星に道をあけた。
《リョ……リョウマ?》
「おうよ。俺だよ」
呆気にとられたような魔王の声が耳に届いて、リョウマはニヤリと笑った。
もはや懐かしい声だった。
《そなた、いったい何を──》
「ちょっと黙っとけ。こっからは集中すっからよ!」
《リョウマっ……!》
「うおっ!?」
魔王の叫びとほぼ同時に、ぐぉん、と凄まじい力が全身にかかった。強烈な圧力をもった彗星が、《レンジャー・ネット》に掛かったのだ。
途端、彗星の進行方向へ向けて凄まじいまでの力を感じた。
「ぐっ、ぐううううっ……!」
《レンジャー》五名は必死に反対方向への推進を保とうと頑張る。もちろん、これだけで止められるとは思っていない。これで少しでも彗星の推進力を軽減させることが目的だった。
しかし、それにしてもとんでもない力だ。なるほどあの大将軍ダイダロスでさえも負傷するだけのことはある。
《リョウマ、無理をするな! その程度では彗星は止められんぞ!》
「わかってーよ! コレはほら……アレだ。こ、小手調べ、ってやつ、だよおおっ」
《うわっ》
《あああっ》
凄まじい彗星の推進力により、五つの光で輝く《レンジャー・ネット》のあちこちが裂け、ぶちぶちと跳ねとんで散開しはじめた。
リョウマはすぐにみんなに叫んだ。
「みんな、無理すんな! パワーを収めろ!」
《ラジャ!》
一瞬後、ぱっと《レンジャー・ネット》がかき消えて、彗星が宇宙の爆走を再開させた。
リョウマは彗星へ接近しながら左手に向かって何度も叫んだ。今は《鎧装》で見えなくなっているが、そこには魔王からもらった紅石の指輪がある。そのまま話しても通信ができることは確認済みだった。しかし、魔王からの返事はなかった。
「ちいっ」
リョウマは舌打ちをひとつして、さらにスピードをあげた。仲間のみんなも事前の作戦どおりに宇宙を飛び、フォーメーションを展開していく。まずは彗星を大きな《レンジャー》の網でからめとれないか、というのが最初のアイデアだった。
できればその網の中に魔王を一緒に捕らえてしまわないようにしたいのに、連絡がつかないのではどうしようもない。しばらく悩んだ末、リョウマは決断した。ここはもう、魔王の丈夫さに賭けるしかないだろう。
「よしっ。じゃ、みんな、ファースト・フォーメーションだ。行くぞっ」
《オーケー!》
《ラジャ!》
《了解!》
《レンジャー》五名は彗星から十分に距離をとり、ぱっと展開して五名で非常に大きな円をつくるように位置をとった。みんなが予定通りの位置についたことを確認し、リョウマは片手を高く上げて再び叫んだ。
「レッツ! フォーメーション!」
体の奥に横溢している《勇者パワー》が、きぃん、という涼やかな音とともに手のひらに集まって光り輝く。ほかの《レンジャー》全員も同様だ。すでにかなり遠くに離れた仲間たちの方向から、それぞれの色に応じた光が輝くのがわかる。もちろんリョウマの色は赤だ。
「よし、いくぞ! 輝くレンジャーの光の網!《レンジャー・ネット》!」
四人の声が聞こえるのと同時に、みんなの手の光から何本もの光線が発射された。それがお互いに結び合い、絡まりあって、みるみる巨大なネット──ちょうど漁網のようなものだ──を作り上げた。
ぴしっと網が張った状態になったところへ、彗星がどんどん近づいてくる。魔王はその間に浮かんでいたのだったが、不意にこちらの存在に気づいたらしく、ぱっと飛びのいて彗星に道をあけた。
《リョ……リョウマ?》
「おうよ。俺だよ」
呆気にとられたような魔王の声が耳に届いて、リョウマはニヤリと笑った。
もはや懐かしい声だった。
《そなた、いったい何を──》
「ちょっと黙っとけ。こっからは集中すっからよ!」
《リョウマっ……!》
「うおっ!?」
魔王の叫びとほぼ同時に、ぐぉん、と凄まじい力が全身にかかった。強烈な圧力をもった彗星が、《レンジャー・ネット》に掛かったのだ。
途端、彗星の進行方向へ向けて凄まじいまでの力を感じた。
「ぐっ、ぐううううっ……!」
《レンジャー》五名は必死に反対方向への推進を保とうと頑張る。もちろん、これだけで止められるとは思っていない。これで少しでも彗星の推進力を軽減させることが目的だった。
しかし、それにしてもとんでもない力だ。なるほどあの大将軍ダイダロスでさえも負傷するだけのことはある。
《リョウマ、無理をするな! その程度では彗星は止められんぞ!》
「わかってーよ! コレはほら……アレだ。こ、小手調べ、ってやつ、だよおおっ」
《うわっ》
《あああっ》
凄まじい彗星の推進力により、五つの光で輝く《レンジャー・ネット》のあちこちが裂け、ぶちぶちと跳ねとんで散開しはじめた。
リョウマはすぐにみんなに叫んだ。
「みんな、無理すんな! パワーを収めろ!」
《ラジャ!》
一瞬後、ぱっと《レンジャー・ネット》がかき消えて、彗星が宇宙の爆走を再開させた。
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