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6章 ラスボスへの道のり
110.妖精フェイリル
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【チョピ、久しぶりね。この子が新しい聖女?】
【うん。セイカって言うの。元気で明るくってボク大好き。フェイリルもきっと気に入るよ】
審判の花を目指して進んでいるとチョピの元に光がやって来たと思えば、愛らしい声で声を掛ける。チョピは元気よく話を返し、私の肩に飛び乗った。
すると光は輝きをなくし姿を現す。
金髪でブルーの瞳。色白な肌。
聖獣と言うより、妖精と言う言葉があてはまる。
「私は星歌。こっちは太」
【セイカ、ツヨシよろしくね。審判の花まで案内するね】
「こちらこそ。ありがとう」
愛らしい笑顔を浮かべ手を差し伸べられたから、そっと手を掴み笑顔で言葉を返す。小さいから普通に握手しただけでも、壊れてしまいそう。
ティンカーベルみたい。
【フェイリルは元気そうだね。ガーロットは闇に穢れてたんだよ】
【そうなの? 私は見ての通り元気だよ。そう言えば十年ぐらい前にシノブとか言ういけ好かない魔族が来てたらしい】
「え、シノブがここに来たの? ってかフェイリルは大丈夫だったの?」
何はともあれフェイリルが元気そうで私も良かったと思っていたら、そうでもなくしかもシノブの名に過剰反応してしまう。
それって結構ヤバいんじゃぁ?
ひょっとしてガーロットの件もシノブの仕業?
しかしその割には元気そうで、どこか他人ごと。
私の言葉しか分からない太はキョトンとして私達を見回しているから、簡単に説明したら目を見開き絶句。
【実は私は眠りにつかないから、ここが聖域になる前は度々抜け出してるんだよね?】
バツの悪そう気まずい表情を浮かべ、視線を泳がしながらたどたどしく語る。やらかしてしまった感がヒシヒシと伝わっていく。
フェイリルって審判の花を守護する妖精じゃないの?
放棄しても問題ない?
【そうなんだ。巻き込まれなくって良かったね】
チョピは怒る様子はなく、無邪気にフェイリルの無事を喜ぶ。
どうやら守護する義務はないらしい。
まぁチョピもガーロットも守護の役目より、これから先も私と一緒にいることを選らんだもんね。
【うん!! 所でツヨシはセイカの彼氏なの?】
「!!」
なんの前ぶりもなく聞かれた問いに、顔を赤らめながらも本当なので頷く。するとフェイリルはニヤッと笑い、私と太の周りを飛び回わる。
【お似合いのカップルね。まるで私とチョピみたい】
「え、二人はカップルなの?」
初めて聞く真実に、目ン玉が飛び出るぐらい驚きチョピに聞いてしまう。
チョピに恋人がいた?
そんなこと聞いた覚えがないし、まったく考えなかった。
【? そうなの?】
チョピ自身も初耳だったのか、不思議そうに首を傾げ確認する。
【だってチョピは私のこと大好きでしょ? 私もチョピのこと大好きだもん】
【うん。じゃぁボク達はカップルだね】
「…………」
無垢なチョピらしいけれど、絶対何かが違う。
チョピの大好きは、フェイリルの大好きと意味と言うかレベルが違う。
でも教えたらいろいろと揉めそうだから、加護を得るためには二人を祝福するしかない。
「星歌?」
「あ、二人はカップルなんだって」
「へぇ~」
余計な詮索をさせないため詳しい経緯を省いた答えに、太はあまり興味を持たず納得してくれる。相手がいるから特に羨ましいとかもないらしい。
【そう言うことだから、私もセイカを好きになる。チョピの好きな物も生物もみんな好きになる】
「? 嫉妬はしないの?」
【するわけないじゃん。そんなことしたらチョピに嫌われちゃうもん】
なかなか聞かない解釈をフェリルは当たり前とばかりにして、チョピに抱きつく。チョピもその答えに満足したらしく、ますます笑顔を浮かばせ抱き返す。
こうしてみると本当に可愛いカップルだ。
好きな人の好きを私も好きになる。
何の迷いもなくそう言えるフェイリルが羨ましくもあり、でもやっぱり私はそんなに懐が広くないから無理だと思う。
そりゃぁ好きな物や同性ならその通りけれど、異性の好きな人を好きになるなんて考えただけでも絶対に無理。そんな人がいたら発狂して太と相手に襲い掛かる。
それとも多重交際可能な世界だから、それが普通なんだろうか?
【それじゃぁ改めて審判の花までレッツゴー】
【ゴー!!】
二人は仲良くそう言い合い再び先へと進む。
が、
【セイカ、ツヨシ。私からの試練。あのモンスターを倒して】
「あうん。太、モンスター倒すのが試練だって」
「分かった。オレに任せろ!!」
審判の花までもう少しと言う所で、邪悪な気配を纏ったモンスターが行く道を塞いでいた。フェリルは笑顔を引きつらせて私に言い捨て、チョピの背後に隠れる。
突然の試練発表に驚きながらも太にも伝えると、水を得た魚のように剣を構え突っ込んでいく。
…………。
台詞はカッコ良くって頼りになるけれど、行動がお粗末すぎてため息しか出てこない。
後先考えない。
これが太なんだよね?
【ツヨシ、一人で大丈夫なの?】
「さぁ?」
【ツヨシは凄い聖剣を持っているから大丈夫だよ】
疑うことなく断言するチョピを見て、もっと太を信じるべきだと反省する。
剣自体の強いけれど太も強くなっている。だから私もチョピのように信じよう。
と思いながら太に視線を向けた。
剣はいつの間にか炎を纏った刃に進化している。
モンスターの激しく鋭い鞭のような攻撃を交わしていて、押されているけれど相手の出方を見極めてタイミングを見計らっている。
となるとここは聖女らしく祈りを捧げてみる?
どうやって祈りを捧げるのか分からないけれど、跪いて私が思う聖女の祈りのポーズ。
太が勝てますように
心を込めて祈る。
すると体中が温かくなったかと思えば、手から溢れた光が太の剣注ぎ込まれていく。
温かい優しい光だと思うのに、モンスターにはそうじゃないのか怯んで攻撃が止み隙が出来る。
その隙を太は見逃さず、剣を空高く振りかざし、流れるようにモンスターを斬りつける。
ぐわぁ~
悲鳴を上げモンスターは血を流しその場に倒れ込む。
光に包まれあの時と同じようにパンッと弾け浄化されると思ったら、チョピ似よく似ているけれど小さく赤い毛玉の尻尾が一本の聖霊? が誕生した。
【うん。セイカって言うの。元気で明るくってボク大好き。フェイリルもきっと気に入るよ】
審判の花を目指して進んでいるとチョピの元に光がやって来たと思えば、愛らしい声で声を掛ける。チョピは元気よく話を返し、私の肩に飛び乗った。
すると光は輝きをなくし姿を現す。
金髪でブルーの瞳。色白な肌。
聖獣と言うより、妖精と言う言葉があてはまる。
「私は星歌。こっちは太」
【セイカ、ツヨシよろしくね。審判の花まで案内するね】
「こちらこそ。ありがとう」
愛らしい笑顔を浮かべ手を差し伸べられたから、そっと手を掴み笑顔で言葉を返す。小さいから普通に握手しただけでも、壊れてしまいそう。
ティンカーベルみたい。
【フェイリルは元気そうだね。ガーロットは闇に穢れてたんだよ】
【そうなの? 私は見ての通り元気だよ。そう言えば十年ぐらい前にシノブとか言ういけ好かない魔族が来てたらしい】
「え、シノブがここに来たの? ってかフェイリルは大丈夫だったの?」
何はともあれフェイリルが元気そうで私も良かったと思っていたら、そうでもなくしかもシノブの名に過剰反応してしまう。
それって結構ヤバいんじゃぁ?
ひょっとしてガーロットの件もシノブの仕業?
しかしその割には元気そうで、どこか他人ごと。
私の言葉しか分からない太はキョトンとして私達を見回しているから、簡単に説明したら目を見開き絶句。
【実は私は眠りにつかないから、ここが聖域になる前は度々抜け出してるんだよね?】
バツの悪そう気まずい表情を浮かべ、視線を泳がしながらたどたどしく語る。やらかしてしまった感がヒシヒシと伝わっていく。
フェイリルって審判の花を守護する妖精じゃないの?
放棄しても問題ない?
【そうなんだ。巻き込まれなくって良かったね】
チョピは怒る様子はなく、無邪気にフェイリルの無事を喜ぶ。
どうやら守護する義務はないらしい。
まぁチョピもガーロットも守護の役目より、これから先も私と一緒にいることを選らんだもんね。
【うん!! 所でツヨシはセイカの彼氏なの?】
「!!」
なんの前ぶりもなく聞かれた問いに、顔を赤らめながらも本当なので頷く。するとフェイリルはニヤッと笑い、私と太の周りを飛び回わる。
【お似合いのカップルね。まるで私とチョピみたい】
「え、二人はカップルなの?」
初めて聞く真実に、目ン玉が飛び出るぐらい驚きチョピに聞いてしまう。
チョピに恋人がいた?
そんなこと聞いた覚えがないし、まったく考えなかった。
【? そうなの?】
チョピ自身も初耳だったのか、不思議そうに首を傾げ確認する。
【だってチョピは私のこと大好きでしょ? 私もチョピのこと大好きだもん】
【うん。じゃぁボク達はカップルだね】
「…………」
無垢なチョピらしいけれど、絶対何かが違う。
チョピの大好きは、フェイリルの大好きと意味と言うかレベルが違う。
でも教えたらいろいろと揉めそうだから、加護を得るためには二人を祝福するしかない。
「星歌?」
「あ、二人はカップルなんだって」
「へぇ~」
余計な詮索をさせないため詳しい経緯を省いた答えに、太はあまり興味を持たず納得してくれる。相手がいるから特に羨ましいとかもないらしい。
【そう言うことだから、私もセイカを好きになる。チョピの好きな物も生物もみんな好きになる】
「? 嫉妬はしないの?」
【するわけないじゃん。そんなことしたらチョピに嫌われちゃうもん】
なかなか聞かない解釈をフェリルは当たり前とばかりにして、チョピに抱きつく。チョピもその答えに満足したらしく、ますます笑顔を浮かばせ抱き返す。
こうしてみると本当に可愛いカップルだ。
好きな人の好きを私も好きになる。
何の迷いもなくそう言えるフェイリルが羨ましくもあり、でもやっぱり私はそんなに懐が広くないから無理だと思う。
そりゃぁ好きな物や同性ならその通りけれど、異性の好きな人を好きになるなんて考えただけでも絶対に無理。そんな人がいたら発狂して太と相手に襲い掛かる。
それとも多重交際可能な世界だから、それが普通なんだろうか?
【それじゃぁ改めて審判の花までレッツゴー】
【ゴー!!】
二人は仲良くそう言い合い再び先へと進む。
が、
【セイカ、ツヨシ。私からの試練。あのモンスターを倒して】
「あうん。太、モンスター倒すのが試練だって」
「分かった。オレに任せろ!!」
審判の花までもう少しと言う所で、邪悪な気配を纏ったモンスターが行く道を塞いでいた。フェリルは笑顔を引きつらせて私に言い捨て、チョピの背後に隠れる。
突然の試練発表に驚きながらも太にも伝えると、水を得た魚のように剣を構え突っ込んでいく。
…………。
台詞はカッコ良くって頼りになるけれど、行動がお粗末すぎてため息しか出てこない。
後先考えない。
これが太なんだよね?
【ツヨシ、一人で大丈夫なの?】
「さぁ?」
【ツヨシは凄い聖剣を持っているから大丈夫だよ】
疑うことなく断言するチョピを見て、もっと太を信じるべきだと反省する。
剣自体の強いけれど太も強くなっている。だから私もチョピのように信じよう。
と思いながら太に視線を向けた。
剣はいつの間にか炎を纏った刃に進化している。
モンスターの激しく鋭い鞭のような攻撃を交わしていて、押されているけれど相手の出方を見極めてタイミングを見計らっている。
となるとここは聖女らしく祈りを捧げてみる?
どうやって祈りを捧げるのか分からないけれど、跪いて私が思う聖女の祈りのポーズ。
太が勝てますように
心を込めて祈る。
すると体中が温かくなったかと思えば、手から溢れた光が太の剣注ぎ込まれていく。
温かい優しい光だと思うのに、モンスターにはそうじゃないのか怯んで攻撃が止み隙が出来る。
その隙を太は見逃さず、剣を空高く振りかざし、流れるようにモンスターを斬りつける。
ぐわぁ~
悲鳴を上げモンスターは血を流しその場に倒れ込む。
光に包まれあの時と同じようにパンッと弾け浄化されると思ったら、チョピ似よく似ているけれど小さく赤い毛玉の尻尾が一本の聖霊? が誕生した。
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