8 / 9
姉と弟の恋(第四話)
しおりを挟む弟も中学生になりました。
私たちはまた同じ学校に通うようになりました。
私たちは人前ではいつも避けていました。
学校で会っても、まったく挨拶もしませんでした。
まるで赤の他人でした。
二人が一緒に下校するようなことも一度もありませんでした。
学校に行く時も、別々の時間に家を出ました。
弟が先に家を出たり、私が先に家を出たり・・・
どうしてもっと仲良くしないのかと両親が心配したほどでした。
同じ学校に行くのにどうして一緒に行かないのかと両親が不思議に思うほどでした。
でも、決して私たちは仲が悪かったわけではありません。
隠していたのです。
どちらかが先に家を出て、途中で待っているのです。
大抵は、例の森の中の神社で待っているのです。
そして、そこで二人は・・・
朝、学校に行く途中なのです。ほとんど時間がありません。
遅刻すれば、二人の関係がばれてしまいます。
でも、私たちは必ず・・・
二人は神社の裏に隠れて・・・
でも、私たちは見つめ合うだけだったのです。
手を握るだけだったのです。
ほほを寄せ合うだけだったのです。
それもほんの少しだけ・・・びくびくしながら・・・
私たちは唇が少し触れただけで、互いに体をはげしく突き放したほどでした。
それほど、互いが近づくことを恐れていたのです。でも、近づこうとして・・・
学校から帰る時も、やはりその神社で待ち合わせて・・・
帰りは朝とは違ってたくさん時間があります。
でも、私たちは、やっぱり見つめ合うだけだったのです。
手を握り合って、相手の指の形を一本一本確かめ合うだけだったのです。
顔を寄せ合い、ほほをくっつけて、相手の体の温かさを感じ合うだけだったのです。
私たちは怖かったのです。
それは許されない行為だから・・・
そして、それを一度経験したなら、もう二度と元には戻れないことを知っていたから・・・
でも、それはとても意外な形で終わってしまいました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる