最弱で最強な人形使いの異世界譚

大樹寺(だいじゅうじ) ひばごん

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三一六話

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前回の投稿設定をミスっていたので、今回は二話分になります。

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『……つまり、あのゴーレムはあくまで装置の一部で本体ではない、と?
 むしろ、この部屋自体が迎撃システムの本体だってことか?』
『あくまで仮説よ』
 
 セレスの立てた仮説とはこういうものだった。
 まず、大前提として、この巨大ゴーレムには核となる魔石がないのではないか? というのがセレスの考えだった。

 というのも、俺が巨大ゴーレムを破壊する時も、そしてバラバラ状態から復元する時も、魔石らしいものが一切確認出来なかったらしいのだ。
 ちなみに、これはマレアからの証言である。
 
 こいはマサイ族もびっくりなレベルで目が良いからな。まぁ、間違いのない情報だろう。

『あのサイズのゴーレムを動かすとなれば、その魔石も相当なサイズになるはずよ。
 あそこまでバラバラにされて、まったく見当たらないなんてありえないわ』

 とは、セレスの談である。
 そもそも、巨大ゴーレムの第一号を調べていた時も、魔石を収納するスペースが見当たらず不思議に思ってはいたそうなのだ。

 そもそも魔石とは、魔力が結晶化したものである、らしい。
 で、魔石はその内包している魔力を放出するに連れ、どんどんサイズが小さくなって行き、最終的には消滅してしまう。
 という、なんだかドライアイスみたいな性質をしているとのことだった。
 そのため、最初は魔力を使い果たしことで魔石が消滅したのではないか? と、思ってたそうだが、にしても、魔石を収納していた場所そのものが見当たらない、ということには疑問を感じていたのだという。

 しかし、この時はまだ確りと調べられたわけでもないので、見つけられていないだけか、もしくは収納場所が体内の深い部分にあるのだろうと、スルーしたそうなのだ。 
 だが、あそこまでバラされているのに魔石が見当たらないのは流石におかしいと感じたみたいだな。

 となると、一つの疑問が浮かび上がってくる。
 それは、魔石もなしにこの巨大ゴーレムは一体どうやって動いているのか? ということだった。

 魔石もなしに動くゴーレム、そして、用途不明の魔力を常時放出し続けている謎の空間……

 そこからセレスが導き出した仮説というのが、この部屋自体が巨大ゴーレムへと魔力を送っているのではないか? というものだった。
 要は、無接点充電器みたく、この部屋自体がゴーレムに魔力を供給しているということらしい。

 俺がパラボラバードで感知していた、この部屋全体を満たすような魔力自体が、巨大ゴーレムの動力源となっている、と。
 確かに、そうだとするならいくら巨大ゴーレムを破壊したところで意味はないだろう。
 何せ肝心の核がないのだ。これではいくら破壊しても意味がない。

 また、この部屋は巨大ゴーレムに魔力を送っているだけではなく、センサーの様な役割も果たしているのではないか? とも、セレスは考えているらしい。
 入り口付近をうろうろしていても何の反応もしなかったくせに、黒騎士が部屋に入った途端、迎撃行動をして来た。
 これは、通路にいる存在を感知出来なかったからではないのか? ということだな。
 実際、巨大ゴーレムは黒騎士が部屋から出たらすぐに攻撃を止めている。

 つまり、巨大ゴーレム自身が何かを識別したり感知しているわけではなく、部屋全体で感知した敵に対して、巨大ゴーレムへ侵入者を排除するよう命令を出している、と考えられるわけだ。

 と、これがセレスが部屋本体説を提唱している理由だった。

 なら、ライオットによる初手の反撃はなんだったのか?
 あれは完全に部屋の外からの攻撃だったのに反撃が来たからな。

 で、セレス曰く、感知領域外から攻撃を受けるとすれば、外部と繋がっている接続点からしか考えられないため、攻撃方向などを計測して反撃して来たのではないか? とのことだった。

 なるほど。
 大広間には出入り口が二つあるが、侵入者が来るとすれば巨大ゴーレム正面の出入り口しかないからな。

 だが、その反撃は黒騎士に阻まれたわけだが、通路にセンサーがないために俺達の生存を感知出来ず、それ以降の反撃がなかった、と考えれば追撃がなかったことの説明はつく。

 にしても、魔術ジャマーが機能している環境下であの威力……
 バジで魔術ジャマーキャンセラーがウザすぎる……
 
『じゃあ、それらも踏まえて、アレをどうやって破壊するかだが……
 部屋全体が魔力の供給源だっていうなら、いっそ部屋を機能しなくなるまで破壊するか?』

 実際、やってやれなくはない案ではある。が……

『場所を考えなさいよ? そんなことしたら、下手したらこの部屋ごと崩落するわよ?』
『まぁ、ですよね……』

 更にいえば、この大広間以外の場所まで崩れて生き埋めになる可能性だってある。
 今俺達が居るのは地下150メートルくらいの場所だ。
 これでもし、遺跡自体が崩壊するような事態にでもなれば、生きて出られるか分かったものではない。

 しかし、部屋が無事である以上巨大ゴーレムは無限に再生することになる……と。
 ん? 無限? 本当にそうだろうか……

『なぁ、ふと思ったんだが、あの巨大ゴーレムを破壊し続けたら、何処かのタイミングで魔力切れとか起こさないもんか?』

 例えば、どうにかして黒騎士ケンタウロスフォームを取り出し、復元しなくなるまで切り刻む、とかだ。
 【一機入魂】状態のケンタウロスフォームなら、それくらいは楽勝だと思うが……

『ん~、不可能ではないでしょうけど……多分無理じゃないかしら?』

 と、思いつくままにセレスにそう提案したが、セレスはこの案にあまり乗り気ではない様子だった。

『その心は?』
『この遺跡……正確には、この大広間が現在まで稼働しているからよ。
 他の大広間が機能を停止している中、この部屋だけが稼働している。それはつまり、この部屋の魔力供給ラインだけは現在も生きているということじゃないから?
 古代遺跡が作られたのは、今から数千年前とも数万年前ともいわれているわ。
 この遺跡自体が何時作られたものかは正確には分からないけれど、少なくとも一〇〇〇年以上はこの地で稼働していること思った方がいいでしょうね。
 
 前にも言ったと思うけど、遺跡は魔力を自己生成している可能性があるの。その産物が魔石なわけ。  
 そんな施設に、多少の魔力損失を与えた続けた程度で、果たして都合よく止まったりするものなのかしら?』
『川の水をいくら手桶で汲み出したところで、川自体が枯れることはない、ってことか……』
『そういうことね』

 川を干上がらせるには、源泉そのものをどうにかしなくちゃならん、ということか…… 

 ならどうやってあの巨大ゴーレムを倒せばいいんだ?
 ゴーレムを破壊しても無駄、システムの本体である部屋自体を破壊するのもダメ。
 ならば強硬突破は? ……って無理だわな。
 入った瞬間からビームでズビィィィィっ!! ってされるってのに、回避しながら対岸を目指すなんてとてもとても。
 黒騎士やドーカイテーオーなら機動力でなんとかなるかもしれないが、百貫百足ではな……しかも、当たり所によっては一撃で蒸し焼きである。

 いや? だったらドーカイテーオーで走り抜けるのはどうだ?
 ……って、やっぱ無理だな。

 そもそも、通路が狭くてドーカイテーオーが出せないんだってばよ……
 ドーカイテーオーが出せるとしてら、目の前の大広間くらいなものだ。

 でだ。
 ドーカイテーオーに乗るために、大広間に入ったら、その時点でズビィィィィっ!! が飛んで来るのは確定的に明らかである。

 喩え、なんとか上手く乗り込めたとしても、だ。
 俺以外が小柄だとはいえ、あの狭い空間に三人は流石にミッチミチ過ぎる。

 更に、ミッチミチの状態で乗り込み、対岸まで走り抜けたとしても、だ。
 ドーカイテーオーでは通路に入れないので、結局そこで降りなくてはならないわけだ。
 となれば、その停止したタイミングで、ズビィィィィっ!! とビームに焼かれるのがオチだ。

 このプランを成功させる為に、一体どれだけの幸運と偶然と奇跡に頼らねばならないのか……こんなもの、最早プランでもなんでもない。ただの博打だ。

 ならどうするか……

『ねぇ? 思ったんだけど、バラバラにしても戻っちゃうなら、最初から固めちゃえばええんでないのかい?』

 さて、どうしたものか……と、悩んでいると、今まで黙っていたマレアがそんなことを言ってきたのだった。
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