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10章

突然の襲撃

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「そんなことがあったんですね」

「はい、レオンさんがクラスの仲のいいご友人に宣伝をお願いしたんですけど、その効果が絶大で……」

「あらあら……あの子は昔から変に秘密主義なところがありますから。サキさんにはご迷惑をおかけしました」

「い、いえ! 大変ではありましたけど、その分お店も有名になりましたし」

「……サキさん、レオンとの時間は楽しいですか?」

「え? はい! とても!」

 私の返事を聞いてクリスティ様は無言で微笑みながら紅茶を一口呑み、カップを机に置いた。
 そして、先ほどまでの明るい雰囲気とは一変した真剣な眼差しを私に向ける。

「サキさん、ここからは少しだけ真面目な話をさせてもらいます」

「は、はい……」

 クリスティ様が口を開こうとした瞬間、塀の方から鋭い殺気を感じた。
 私はすぐに白風を取り出して殺気の方へ構える。

「クロード家当主、クリスティお覚悟!」

 殺気の主は塀からこちらに剣を構え走り込んできた。顔の半分を黒子のような黒い布で覆っている風貌から明らかに暗殺者だ。
 クリスティ様を守らないと!

「どけぇ!」

 私は暗殺者の男の剣を受け止め、激しい剣の打ち合いになる。
 くっ……こいつ、強い!
 レオンさんとの訓練で私も少しは剣の腕が上がっていると思っていたけど徐々に押されているのがわかる。

「ネル流・【刺々牙き】!」

「レインバント流・【天蓋】」

 男は私の技を全て受け切りこちらに切り返してくる。

「トゥリアフ流・【炎獅子】!」

「なっ⁉︎」
 
 これはバウアで戦ったロイさんの流派の技⁉︎ さっきは違う流派の技を使っていたのに!
 私はなんとか剣を受け止め一旦距離を空ける。
 様々な流派を扱えて、状況に応じて使い分ける……かつ、一つ一つの技は強力でどれも致命傷になりかねない。

「ローデンベルク流・【早駆け】」

 せっかく開けた距離を特殊な歩法で一気に詰めてくる。
 まずい、背後を取られた⁉︎
 こうなったら一か八か!
 私は白風を鞘に収めながら身をひねり、上段で構える男と向き合う。

「トゥリアフ流・【天躯】!」

「ネル流・【居合・颪】!」

 力強く振り下ろされた剣に私はネル流の中でも最速の技を放ち両者の剣が宙を舞った。
 男はそれに驚いたのか一瞬動きが鈍る。
 この隙を逃さない!

「ネル流魔武術・【陽光一天突き】!」

 私の右手に炎が灯り、男のお腹に当たろうかというところで男の手に短刀が握られているのがわかった。
 もしかしてこのままじゃ相打ち⁉︎ いや、でもここは差し違えてもクリスティ様を守れるなら!
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