雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

文字の大きさ
313 / 495
チョコレート狂騒曲編

春巻丼

しおりを挟む
 土曜日はアキバのライブハウスで、O.M.G.の手伝い。

 昼過ぎ、家を出発して秋葉原に行く。
 会場は、以前もO.M.G.が出演した雑居ビルの地下にあるライブハウス。
 今回も対バンライブで、10組程度のアイドルが出演。
 その中には、“春日局”こと徳川さんもいた。
 会場に到着すると、中はファンがいっぱいで盛況だ。
 僕は、ライブ中は特にやることもないのだが、各アイドルのパフォーマンスを見学している。
 すべてのアイドルの出演が終わると物販タイムに突入する。

 物販では、僕はO.M.G.の手伝い。
 今回もファンの列をさばいたり、ファンの対応をする。
 来週水曜日はバレンタインデーだが、当日にはライブが無い。なので、O.M.G.は、今日、物販にやって来たファンにチョコをプレゼントしている。
 このチョコは手作りで、O.M.G.の3人が分担して作ったらしい。ファンには好評のようだ。
 物販もトラブルなく終了。今日も稼いだ。

 その後、ライブハウスを出て、O.M.G.と徳川さんと一緒に近くのカフェで名古屋に行く件で打ち合わせをしようということになった。
 僕らはカフェ到着すると、丸テーブルを囲むように座る。

 それぞれ、飲み物を注文した後、僕は口火を切る。
「名古屋に行く件。歴史研と一緒に行けることになりました」

「おおっ! それは良かった!」
 真帆が嬉しそうに声を上げた。

 僕は説明を続ける。
「行くにあたっては“ぷらっとこだま”を使うということです」

「あ。私、使ったことある」
 徳川さんが言った。

「そうですか…、一応、説明しますと、新幹線が使えて8,800円で名古屋まで行ける旅行商品です。ただし“こだま”を使うので時間はかかります。名古屋まで2時間40分ほど」

「安く行けるなら、別にいいわよね?」
 竜造寺さんが、皆に確認する。

「「「いいよ~」」」
 全員、異論は無い様だ。

「では、きっぷは取りまとめて歴史研のほうで用意しておきます。お金の清算は名古屋でやるということで。あと、宿泊ですが歴史研の部長が、O.M.G.や徳川さんも一緒にどうかと言っていますが、どうでしょう? おそらく全員で大部屋に泊まることになると思います。ちなみに、徳川さんのために説明すると、歴史研の4人は僕以外、全員女です」

「いいわよ」
 徳川さんは答えた。そしてニヤつきながら言う。
「じゃあ、女7に男1という訳ね」

「春日局もいるし、大奥みたいだね!」
 細川さんが楽しそうにいう。
 しかし、僕は将軍様じゃあないんだが…。

 歴史上の春日局って、確か大奥を仕切ったんだっけ?
 徳川さんは今回のメンバーで一番年上だし、今回の旅を仕切ってくれないかな?

「で、今回もお城巡りするんでしょ?」
 真帆が尋ねた。

「うん。歴史研は岐阜城、岩村城、松阪城に行くことになってるよ、細かい行程とかは聞いていなけど…」

「「「私たちも行く!」」」
 O.M.G.の3人は行く気満々になっているようだ。

 彼女たちが行くのは全然かまわないが、ということは僕も行かないといけない流れなんだろうな…。

「徳川さんはどうしますか? 歴史研のメインの目的はお城巡りなんですよ」
 僕は念のために尋ねた。

「へー、興味あるわ。でも、ライブの出演時間と被らないのかしら?」

「はい。夕方の出演時間までには名古屋に戻ってこれるようにスケジューリングします」

「じゃあ、行くわ」

 物好きだな。
 春日局っていう芸名を付けるぐらいだから、歴史に興味あるんだろうか?
 まあ、どうでもいいや。

 そして、集合場所を早朝の東京駅にすることになった。
 2週間も先の話なので、忘れないようにスマホのスケジュールアプリに記載しておいた。
 その他にも少し、ライブ活動について話し合ってから、打ち合わせを終えることになった。
 最後に真帆からバイト代の入った茶封筒をもらう。

 カフェを出るため清算しようと立ち上がろうとしたら、真帆に声を掛けられた。
「純ちゃん、チョコあげる。これは、O.M.G.の3人からね」
 真帆がチョコの入った小さな包みを手渡してきた。
 それは、O.M.G.のファンに配るためのもので、余ったうちの1つだ。

「あ、ありがとう」
 今日もらえるとは予想外だったが、僕はチョコを受け取ると、とりあえず礼を言った。

 そして、徳川さんからも、チョコをもらえた。
 彼女も物販でファンに配るためのチョコを用意していたそうで、やはり余り物をくれた。僕は、徳川さんにも礼を言う。
 余り物とはいえ、今まで妹以外にバレンタインチョコをもらったことがない僕はちょっと嬉しかった。
 しかし、義理チョコとは言え2つももらえるとは…。
 天変地異が起こらなければいいが…。

 そんなこんなで、アキバで解散して帰路につく。
 カバンを持ってなかったので、チョコの包みを手に持ったまま移動する。
 体温で溶けなければいいけど。

 夕方遅くに自宅に帰宅して、チョコをいったん冷蔵庫で冷やそうとして台所に向かう。手に持ったチョコ入り袋を冷蔵庫に入れようとすると、背後から妹の声がした。

「お兄ちゃん、何それ?」

「ああ、これか、チョコだよ」

「チョコって…、まさか?」

「そうだよ、ちょっと早いけど、バレンタインのチョコをもらったよ」

「ええっ!!」
 妹は驚いて後ずさった。
「去年までは、だれにもチョコをもらったことがないお兄ちゃんに…、バレンタインのチョコ?!」

「悪いか? しかも2個だぞ」
 僕は、妹が予想以上に驚くので、ちょっとムッとして答えた。

 妹はムンクの絵画作品“叫び”のようなポーズを取って叫んだ。
「ハルマゲドーン!!」

「は? 春巻丼?」

 妹は力が抜けて、ヘナヘナと床に崩れ落ちるように座り込んだ。
 そして、力なく言葉を発した。
「お兄ちゃんが…、チョコもらえるなんて…、世界の終わり…、人類が滅ぶ…」

「うるさいよ」
 自分も“天変地異が起こらなければいい”とか思ったが、妹に言われると腹が立つ。
 そして、妹がブツブツ言い出したのが面倒なのでさっさと自分の部屋に籠ることにした。

 明日は、僕の部屋で歴史研の勉強会を開催する。
 なので、それに備えて少しだけ部屋を掃除したり、整理したりした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...