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眩暈する秋涼編

東池学園祭~その3

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 中庭では、茶道部が野点をやっている。
 赤い絨毯を敷いて、その上で和服姿の茶道部員がお茶を点てていた。
 数人の和服姿の部員が居るが、その中に宇喜多さんの姿はなかった。
 まだ、生徒会室で仕事でもしているのだろうか。
 僕は残念で、思わずため息をついてしまった。

 それを見て、毛利さんが尋ねて来た。
「どうしたの?」

「あ、いや、何でもない」
 僕はとっさに誤魔化す。
「じゃあ、座ってお茶でも、もらおうよ」

 お客用には椅子が用意されていて、正座する必要はなかったので楽。
 ちょうど、伊達先輩と松前先輩が先に来て椅子に座っていた。
 僕らはその隣の椅子に座る。

「あら、どこを回っていたの?」
 僕らに気が付いた伊達先輩が話しかけてきた。

「美術部の展示、コーラス部のカフェ、演劇部の『ロミオとジュリエット』とアイドルライブを見てきました。あとはお好み焼きを食べてきました。伊達先輩は?」

「天文部のプラネタリウム、写真部、旅行部、社会問題研究部の展示を見てきたわ」

 プラネタリウムは見てみたいな。
 僕の唯一の興味のあることはSFなので、宇宙には少し惹かれる。

 しばらく、お茶を立てるのを見学する。
 部員が作法に則って、棗《なつめ》、袱紗《ふくさ》、茶匙《ちゃさじ》、茶筅《ちゃせん》などの扱いは細かく手順が決められている。
 表千家、裏千家などの流派によって、作法に違いもある。
 と、学園祭パンフレットに書いてあった。

 部員によってお茶の入った茶碗を配られ、それを飲む。
 苦い。

 お茶を飲み干し、部員に茶碗を返すと僕は毛利さんに提案する。
「次は、プラネタリウムに行ってみよう」

 というわけで、伊達先輩、松前先輩に別れの挨拶をし、茶道部を後にして、パンフレットで天文部がプラネタリウムをやっているという教室を確認してそこに向った。
 教室前では数人が順番待ちをしていたので、その後ろに並ぶ。
 少し待たされた後、お客の入れ替えがあった。入場料を払う。300円。
 部員にカーテンが閉められて真っ暗になっている教室に案内された。

 真ん中あたりに夜空を映し出す(手作り?)装置が置かれ、天井に星空が再現されていた。
 装置を中心に放射状にリクライニングチェアが10数台置かれ、寝ながら天井が見れるようになっている。
 僕らはそこに横になる。
 部員が映し出された星空の星座などの説明をする。約20分。

 プラネタリウムを堪能して教室を後にする。
 たまには夜空を見るのも良い。

 毛利さんが話しかけてくる。
「今度、本物のプラネタリウムに行ってみない?」

「え……? いいけど」
 プラネタリウムと言えば、この近くにプラネタリウムがある。中学の時に行ったことがあった。
「サンシャインシティに、“プラネタリウム満天”があるね」

「それ、行ってみたい」

「じゃあ、そのうちね」
 僕は適当に言う。

 さて、お次はどこの部の展示を見ようかな。
 お化け屋敷は回避するぞ。
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