152 / 409
眩暈する秋涼編
東池学園祭~その3
しおりを挟む
中庭では、茶道部が野点をやっている。
赤い絨毯を敷いて、その上で和服姿の茶道部員がお茶を点てていた。
数人の和服姿の部員が居るが、その中に宇喜多さんの姿はなかった。
まだ、生徒会室で仕事でもしているのだろうか。
僕は残念で、思わずため息をついてしまった。
それを見て、毛利さんが尋ねて来た。
「どうしたの?」
「あ、いや、何でもない」
僕はとっさに誤魔化す。
「じゃあ、座ってお茶でも、もらおうよ」
お客用には椅子が用意されていて、正座する必要はなかったので楽。
ちょうど、伊達先輩と松前先輩が先に来て椅子に座っていた。
僕らはその隣の椅子に座る。
「あら、どこを回っていたの?」
僕らに気が付いた伊達先輩が話しかけてきた。
「美術部の展示、コーラス部のカフェ、演劇部の『ロミオとジュリエット』とアイドルライブを見てきました。あとはお好み焼きを食べてきました。伊達先輩は?」
「天文部のプラネタリウム、写真部、旅行部、社会問題研究部の展示を見てきたわ」
プラネタリウムは見てみたいな。
僕の唯一の興味のあることはSFなので、宇宙には少し惹かれる。
しばらく、お茶を立てるのを見学する。
部員が作法に則って、棗《なつめ》、袱紗《ふくさ》、茶匙《ちゃさじ》、茶筅《ちゃせん》などの扱いは細かく手順が決められている。
表千家、裏千家などの流派によって、作法に違いもある。
と、学園祭パンフレットに書いてあった。
部員によってお茶の入った茶碗を配られ、それを飲む。
苦い。
お茶を飲み干し、部員に茶碗を返すと僕は毛利さんに提案する。
「次は、プラネタリウムに行ってみよう」
というわけで、伊達先輩、松前先輩に別れの挨拶をし、茶道部を後にして、パンフレットで天文部がプラネタリウムをやっているという教室を確認してそこに向った。
教室前では数人が順番待ちをしていたので、その後ろに並ぶ。
少し待たされた後、お客の入れ替えがあった。入場料を払う。300円。
部員にカーテンが閉められて真っ暗になっている教室に案内された。
真ん中あたりに夜空を映し出す(手作り?)装置が置かれ、天井に星空が再現されていた。
装置を中心に放射状にリクライニングチェアが10数台置かれ、寝ながら天井が見れるようになっている。
僕らはそこに横になる。
部員が映し出された星空の星座などの説明をする。約20分。
プラネタリウムを堪能して教室を後にする。
たまには夜空を見るのも良い。
毛利さんが話しかけてくる。
「今度、本物のプラネタリウムに行ってみない?」
「え……? いいけど」
プラネタリウムと言えば、この近くにプラネタリウムがある。中学の時に行ったことがあった。
「サンシャインシティに、“プラネタリウム満天”があるね」
「それ、行ってみたい」
「じゃあ、そのうちね」
僕は適当に言う。
さて、お次はどこの部の展示を見ようかな。
お化け屋敷は回避するぞ。
赤い絨毯を敷いて、その上で和服姿の茶道部員がお茶を点てていた。
数人の和服姿の部員が居るが、その中に宇喜多さんの姿はなかった。
まだ、生徒会室で仕事でもしているのだろうか。
僕は残念で、思わずため息をついてしまった。
それを見て、毛利さんが尋ねて来た。
「どうしたの?」
「あ、いや、何でもない」
僕はとっさに誤魔化す。
「じゃあ、座ってお茶でも、もらおうよ」
お客用には椅子が用意されていて、正座する必要はなかったので楽。
ちょうど、伊達先輩と松前先輩が先に来て椅子に座っていた。
僕らはその隣の椅子に座る。
「あら、どこを回っていたの?」
僕らに気が付いた伊達先輩が話しかけてきた。
「美術部の展示、コーラス部のカフェ、演劇部の『ロミオとジュリエット』とアイドルライブを見てきました。あとはお好み焼きを食べてきました。伊達先輩は?」
「天文部のプラネタリウム、写真部、旅行部、社会問題研究部の展示を見てきたわ」
プラネタリウムは見てみたいな。
僕の唯一の興味のあることはSFなので、宇宙には少し惹かれる。
しばらく、お茶を立てるのを見学する。
部員が作法に則って、棗《なつめ》、袱紗《ふくさ》、茶匙《ちゃさじ》、茶筅《ちゃせん》などの扱いは細かく手順が決められている。
表千家、裏千家などの流派によって、作法に違いもある。
と、学園祭パンフレットに書いてあった。
部員によってお茶の入った茶碗を配られ、それを飲む。
苦い。
お茶を飲み干し、部員に茶碗を返すと僕は毛利さんに提案する。
「次は、プラネタリウムに行ってみよう」
というわけで、伊達先輩、松前先輩に別れの挨拶をし、茶道部を後にして、パンフレットで天文部がプラネタリウムをやっているという教室を確認してそこに向った。
教室前では数人が順番待ちをしていたので、その後ろに並ぶ。
少し待たされた後、お客の入れ替えがあった。入場料を払う。300円。
部員にカーテンが閉められて真っ暗になっている教室に案内された。
真ん中あたりに夜空を映し出す(手作り?)装置が置かれ、天井に星空が再現されていた。
装置を中心に放射状にリクライニングチェアが10数台置かれ、寝ながら天井が見れるようになっている。
僕らはそこに横になる。
部員が映し出された星空の星座などの説明をする。約20分。
プラネタリウムを堪能して教室を後にする。
たまには夜空を見るのも良い。
毛利さんが話しかけてくる。
「今度、本物のプラネタリウムに行ってみない?」
「え……? いいけど」
プラネタリウムと言えば、この近くにプラネタリウムがある。中学の時に行ったことがあった。
「サンシャインシティに、“プラネタリウム満天”があるね」
「それ、行ってみたい」
「じゃあ、そのうちね」
僕は適当に言う。
さて、お次はどこの部の展示を見ようかな。
お化け屋敷は回避するぞ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
お兄ちゃんは今日からいもうと!
沼米 さくら
ライト文芸
大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。
親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。
トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。
身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。
果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。
強制女児女装万歳。
毎週木曜と日曜更新です。
「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話
赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。
「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」
そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる