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眩暈する秋涼編
東池学園祭~その4
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次に回ったのは、毛利さんが行ってみたいと言っていた、文芸部の出展。
その教室は、文芸部の作った同人誌が何冊か売られているだけの地味なところだった。
毛利さんが、同人誌を物色している。僕は手持無沙汰だったので、適当に立ち読み。小説やエッセイが書かれていた。
しばらくして、毛利さんは1冊購入して、僕らは教室を後にした。
まだまだ学園祭が終わるには時間がある。
どうしようか?
そこへ、毛利さんが悪魔の言葉を発した。
「お化け屋敷、行こうよ」
「うーん…」
僕は戸惑う。何とか回避できないものか?
「怖いんでしょ?」
毛利さんは、雑司が谷高校の学園祭の時と同じく、侮蔑をしたような口調で尋ねて来た。
「そ、そ、そんなことないよ」
とりあえず否定する。
「じゃあ、行こうよ」
毛利さんは僕の腕をつかんで、無理やり引っ張ってお化け屋敷のある教室の方向へ進んで行く。
逃げ切れないのか。
しょうがない、僕は腹を括った。
それにしても、毛利さんお化け屋敷に行く時は生き生きしているな。何故だ?
そんなに、お化け好きなのか?
そして、ついにお化け屋敷の教室の前に。
受付をやっている白装束のお化けコスプレの生徒に、お金を払って中に入る。200円。
そして、なんやかんやで、出口まで。
滅茶苦茶怖かった…。まだ、ドキドキしている。息が出来ん…。
特に、最後にプレデターみたいなやつが出てきたので、びっくりした。
それにしても、プレデターって、お化けじゃないだろ。
そういえば、雑司が谷高校の学園祭のお化け屋敷もエイリアンみたいなやつがいたな。
お化けでも宇宙人で、なんでもいいのかよ。まったく。
「あー、怖かった」
毛利さん、少し嬉しそうなんだが…、何故?
そして、彼女はぴったり僕に張り付くように体を寄せていた。さらに、お化け屋敷の中で僕に何回も抱き着いてきたよな。僕は怖すぎて、早く出たくて、それどころじゃあなかったけど。
ともかく、今日、一番最悪なイベントが終了した。
「次、どうする?」
毛利さんが明るく尋ねてきた。
「喉、渇いたな」
僕は暗く返す。
お化け屋敷で叫んだから、とりあえず、何か飲んで落ち着きたい。
毛利さんは、ペラペラとパンフレットを見る。
「近くでカフェやってるみたいだから、そこに行こうよ」
そう言うと、毛利さんは再び僕の腕を引っ張って進んでいく。
到着したのは、同じ階でやっている映画研究部のやっているカフェ。
教室内は映画上映のために、少し暗くなっていた。
僕らは部員に案内されて席に着く、そして、僕はコーラ、毛利さんはオレンジジュースを注文。
教室の前面に設置されたプロジェクターに映画を上映している。
古い著作権の切れたパブリックドメインの映画らしくて、モノクロの作品。音声も無い。時折、入る字幕。
僕らは、コーラをストローで啜りながら映画を見る。
映像は戦艦の甲板らしきところで、水兵たちが何やら揉めている場面。
「何の作品だろう?」
思わず口に出た。
たまたま、それを聞いていた部員がタイトルを教えてくれた。
「これは、『戦艦ポチョムキン』です」
「ほほう」
タイトルを、聞いたことあるような、ないような。
「映画、好きなんですか?」
部員が尋ねて来た。
「まあまあかな、SFぐらいしか見ないけど」
「『アエリータ』というSFを、この後に上映するので、よかったら観てってください?」
それは興味あるな。
「でも、あまり長居すると悪いよ」
「別にいいですよ。そんなに混んでないし」
部員はそう言って微笑んだ。
「毛利さん、いいかな?」
一応、毛利さんにも許可を得る。
「いいよ」
毛利さんは頷いた。
そして、『戦艦ポチョムキン』を観て、続いて『アエリータ』を観る。
『アエリータ』もモノクロで無声映画だったが、なかなか面白い内容だった。いずれもロシアの作品だったようで、時折入る字幕の文字が変わってて、それも面白かった。
部員の一人が、ロシアの映画にも詳しくらしく、DVDのジャケットを見せてくれて、いろいろ教えてくれた。
タイトルの『戦艦ポチョムキン』、『アエリータ』は、ロシアのキリル文字で、
『Броненосец «Потёмкин»』、『Аэли́та』
と書かれる。
キリル文字には、英語のアルファベットにはない文字があったり、発音が違う文字があったりして、
Рをエル。
Нをエヌ。
と発声するらしい。
その映画を2本見たら時刻は夕方となり、学園祭も終わりの時間が近づいた。
僕と毛利さんは、学園祭を後にすることにした。
宇喜多さんと会えたのは今日の一番の収穫。今後もっとお近づきになる作戦を考えたい。
明日は、僕の部屋で歴史研のメンバーと一緒に中間試験対策の勉強会をすることになっているので、また毛利さんはじめ皆と会うことになる。
帰り道で、僕は気が付いた。
しまった、先に映画研究部のカフェに行けば、お化け屋敷に行かなくて済んだのでは?
今日一番の失敗であった。
その教室は、文芸部の作った同人誌が何冊か売られているだけの地味なところだった。
毛利さんが、同人誌を物色している。僕は手持無沙汰だったので、適当に立ち読み。小説やエッセイが書かれていた。
しばらくして、毛利さんは1冊購入して、僕らは教室を後にした。
まだまだ学園祭が終わるには時間がある。
どうしようか?
そこへ、毛利さんが悪魔の言葉を発した。
「お化け屋敷、行こうよ」
「うーん…」
僕は戸惑う。何とか回避できないものか?
「怖いんでしょ?」
毛利さんは、雑司が谷高校の学園祭の時と同じく、侮蔑をしたような口調で尋ねて来た。
「そ、そ、そんなことないよ」
とりあえず否定する。
「じゃあ、行こうよ」
毛利さんは僕の腕をつかんで、無理やり引っ張ってお化け屋敷のある教室の方向へ進んで行く。
逃げ切れないのか。
しょうがない、僕は腹を括った。
それにしても、毛利さんお化け屋敷に行く時は生き生きしているな。何故だ?
そんなに、お化け好きなのか?
そして、ついにお化け屋敷の教室の前に。
受付をやっている白装束のお化けコスプレの生徒に、お金を払って中に入る。200円。
そして、なんやかんやで、出口まで。
滅茶苦茶怖かった…。まだ、ドキドキしている。息が出来ん…。
特に、最後にプレデターみたいなやつが出てきたので、びっくりした。
それにしても、プレデターって、お化けじゃないだろ。
そういえば、雑司が谷高校の学園祭のお化け屋敷もエイリアンみたいなやつがいたな。
お化けでも宇宙人で、なんでもいいのかよ。まったく。
「あー、怖かった」
毛利さん、少し嬉しそうなんだが…、何故?
そして、彼女はぴったり僕に張り付くように体を寄せていた。さらに、お化け屋敷の中で僕に何回も抱き着いてきたよな。僕は怖すぎて、早く出たくて、それどころじゃあなかったけど。
ともかく、今日、一番最悪なイベントが終了した。
「次、どうする?」
毛利さんが明るく尋ねてきた。
「喉、渇いたな」
僕は暗く返す。
お化け屋敷で叫んだから、とりあえず、何か飲んで落ち着きたい。
毛利さんは、ペラペラとパンフレットを見る。
「近くでカフェやってるみたいだから、そこに行こうよ」
そう言うと、毛利さんは再び僕の腕を引っ張って進んでいく。
到着したのは、同じ階でやっている映画研究部のやっているカフェ。
教室内は映画上映のために、少し暗くなっていた。
僕らは部員に案内されて席に着く、そして、僕はコーラ、毛利さんはオレンジジュースを注文。
教室の前面に設置されたプロジェクターに映画を上映している。
古い著作権の切れたパブリックドメインの映画らしくて、モノクロの作品。音声も無い。時折、入る字幕。
僕らは、コーラをストローで啜りながら映画を見る。
映像は戦艦の甲板らしきところで、水兵たちが何やら揉めている場面。
「何の作品だろう?」
思わず口に出た。
たまたま、それを聞いていた部員がタイトルを教えてくれた。
「これは、『戦艦ポチョムキン』です」
「ほほう」
タイトルを、聞いたことあるような、ないような。
「映画、好きなんですか?」
部員が尋ねて来た。
「まあまあかな、SFぐらいしか見ないけど」
「『アエリータ』というSFを、この後に上映するので、よかったら観てってください?」
それは興味あるな。
「でも、あまり長居すると悪いよ」
「別にいいですよ。そんなに混んでないし」
部員はそう言って微笑んだ。
「毛利さん、いいかな?」
一応、毛利さんにも許可を得る。
「いいよ」
毛利さんは頷いた。
そして、『戦艦ポチョムキン』を観て、続いて『アエリータ』を観る。
『アエリータ』もモノクロで無声映画だったが、なかなか面白い内容だった。いずれもロシアの作品だったようで、時折入る字幕の文字が変わってて、それも面白かった。
部員の一人が、ロシアの映画にも詳しくらしく、DVDのジャケットを見せてくれて、いろいろ教えてくれた。
タイトルの『戦艦ポチョムキン』、『アエリータ』は、ロシアのキリル文字で、
『Броненосец «Потёмкин»』、『Аэли́та』
と書かれる。
キリル文字には、英語のアルファベットにはない文字があったり、発音が違う文字があったりして、
Рをエル。
Нをエヌ。
と発声するらしい。
その映画を2本見たら時刻は夕方となり、学園祭も終わりの時間が近づいた。
僕と毛利さんは、学園祭を後にすることにした。
宇喜多さんと会えたのは今日の一番の収穫。今後もっとお近づきになる作戦を考えたい。
明日は、僕の部屋で歴史研のメンバーと一緒に中間試験対策の勉強会をすることになっているので、また毛利さんはじめ皆と会うことになる。
帰り道で、僕は気が付いた。
しまった、先に映画研究部のカフェに行けば、お化け屋敷に行かなくて済んだのでは?
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