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眩暈する秋涼編

伊達先輩vs.織田さん

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 翌日の放課後。
 今日は、生徒会に入りたい織田さんを生徒会長でもある伊達先輩に紹介しないといけないことになっている。
 という訳で、僕と織田さん、毛利さんも連れ立って、歴史研究部の部室に向かう。
 織田さんと毛利さん、最近、少しだけど話をするようになった。まあ、織田さんのほうが話をしに行っている感じなんだけど。

 僕が扉を開け、三人は挨拶をすると、いつものように伊達先輩と上杉先輩がくつろいでいた。

「「「こんにちは」」」

「来たね!」
「あら、いらっしゃい」

 伊達先輩と上杉先輩は織田さんの姿を見て、椅子の上で姿勢を正す。
 僕ら3人も椅子に座る。

「そっちは誰? 入部希望?」
 上杉先輩がちょっと嬉しそうに言う。

「違いますよ。同じクラスの織田さんです。今日、彼女は伊達先輩に挨拶に来ました」
 上杉先輩、分かってて言ってるだろう?

「織田さんね。待っていたわ」
 伊達先輩は微笑んで言った。

「はい!」
 織田さんは元気よく話し出した。
「生徒会に入りたいと思っています」

「それは助かるわ」
 伊達先輩、ちょっと嬉しそうだ。

「是非、お願いします!」

「でも、どうして生徒会に入ろうと思ったのかしら?」

「尊敬する伊達先輩にお近づきになりたくて! 学食の値下げや、女子トイレの生理用品の件とか、いろんな施策を実行されている生徒会長の仕事ぶりを見たいと思います!」

 織田さん、適当な事言ってるなあ…。本当は来年の生徒会長選挙のためにコネを作りたいというのが本音なのだが。
 でも、伊達先輩はまんざらでもないようだ。

「総務の役職が空いているから、それでどうかしら?」
 伊達先輩は提案する。

「はい。なんでも構いません!」

「部活はやってるの?」

「私は演劇部です!」

「白雪姫やった人だよね?!」
 横から上杉先輩が食い込んできた。

「そうです!」

「じゃあ、武田君に凌辱された人?」

「ちょ、ちょっと何ですか、それは?!」
 僕は抗議する。

「冗談、冗談。でなくて、ステージ上で武田君とキスした人でしょ?」
 とりあえず、上杉先輩は訂正する。

「まあ…、そうです」
 改めて聞かれると、ちょっと恥ずかしいな。

「あの舞台、見れなかったんだよねー」

 上杉先輩は残念そうにつぶやくが、織田さんがそれに反応する。

「動画を編集して、近々、YouTube にアップ予定です。今度、URLも教えます!」

「おっ、それは楽しみだ」

 上杉先輩には、“白雪姫”の動画を見られないようにしようと思っていたが、無理なようだ。

 伊達先輩が話をもとに戻す
「じゃあ、生徒会は演劇部と掛け持ちということね」

「大丈夫ですか?」
 織田さんは少し不安そうに尋ねた。

「大丈夫よ。生徒会役員は全員、部活と掛け持ちだから」

「よかったです!」
 織田さんは、再び明るい声で答える。

「じゃあ、早速、来週連休明けの火曜からお願いしようかしら?」

「わかりました!」

 話がとんとん拍子に進んで、織田さんは嬉しそうだ。
「じゃあ、今日のところはこれで失礼します。演劇部の練習もありますので。ありがとうございました」
 織田さんは、そう言うと頭を下げて礼をして部室を後にした。

 伊達先輩はホッとため息をついて言う。
「役員が増えてよかったわ。来週ぐらいから、生徒会で各部活の監査をするから、人手が必要なのよ」

「監査って何ですか?」
 僕は尋ねた。

「部費が適切に使われているかどうかを調査することよ。学園祭での売り上げと経費などの確認もするわ」

「ほほう」

「それで、パソコンを使った入力もあるんだけど」

「えっ?」
 また駆り出されるのか?
 生徒会でパソコンを使う作業があるときは手伝うと約束してしまったから、面倒だが仕方ない。

「じゃあ、来週ぐらいから始めるから、また声を掛けるわね」
 伊達先輩は僕の返事を待たずに、そう言うと微笑んだ。

 やれやれ。

「あと、週末からの3連休、お城巡り忘れないでね」

 それ、忘れそうだったけど、かろうじて、忘れていなかった。
 3連休で5つのお城回るんだっけ? 疲れそうだ。
 そして、新聞部の片倉部長と部員1人も取材したいからと言って参加する。なので、いつもより多い人数で大移動するのだ。
 片倉部長も苦手なんだけどなあ。仕方ないな。

 その後、歴史研メンバーは下校時間まで部室でダラダラして過ごした。
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