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北欧大戦 イマジンゴッドウォー
エアル隊との模擬戦
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その間、シンの言っていたマニュアルの講義も受けた。
その中にはエスパーの心理的な共通傾向の説明があり、エスパーは自分の能力に潜在的に引きずられ、自分が感じているモノを絶対視している傾向がある。
そのせいで感覚を頼りに考える事に緩慢になり易く、神の様に人の思考を把握できる為に全知全能感と言う愉悦に無意識に惹かれ、自分が人間について一番知っていると思い込んでいる。
エスパーのそれらの感覚を頼りにするとどうやら、人類の「希望」「可能性」「未来」と言う人間至上主義的な「力」を感じるらしくその考えに固執し自分が正義の味方のように振る舞う。
今回のセイクリッド ベルがまさにその典型例であり、自分達が絶対正義と多かれ少なかれ思っている以上、説得しても固執によって話を聴かない可能性が高い。
自分の事を正義の味方と思い込んでいるアニメキャラの様な人間に「お前は正義ではない、お前は悪だ」と言って、それを素直に納得するかと言えば、そんな人間は1000人探して1人見つければ上出来だろう。
だから、エスパーとの交渉は基本成立せず寧ろ、エスパーの精神干渉で自然とエスパーの言っている事が正しいように思い込むらしい。
今回の戦いを振り返ると言われてみればそうかも知れないと改めて思った。
そんな時に思い出して欲しいのが、本当にその者が正義であるかないかと言う事だ。
正義を語る上でエスパーや他の悪党がやる傾向として武力や奇跡(奇術の場合もあり)、何かしらの総意志の決定を言い訳に証する事だ。
シンはその事をこのように説明した。
考えて欲しい。
もし、武力や総意志で正義に対する証が立てられるなら議会か何かで武器を持った男が議員を脅し「俺は地球半分の人類の総意を受けた男だ!俺こそ正義だ!」と言っていたとする。
だが、人間とは完全ではなく不完全な存在に過ぎない。
どれだけ不完全品が集まろとパーフェクトにはならない。
50%の善と50%の悪があるのが人間ならいくら掻き集めたところで50%の比率は変わらない。
少なくとも純粋な善にはなり得ない。
不完全品が幾ら喚いて総意志を気取ろうとその答えもまた、不完全だ。
人口知能だろうと同じだ。
所詮、AIは不完全な人間のデータを累積し評価関数で演算し評価しただけの存在なので仮にAIが総意志になろうと意味はない。
更に仮定するなら人類の意志を集めた集合無意識が存在しているとしても不完全に人間の意志を集めたモノなので、それがいかなる正義を掲げようと同様に意味はない。
加えて、武力で正義を証してもそれは他人を抑圧し服従させて得た結果に過ぎない。
大抵は脅されれば、相手の望む答えを口にするからだ真実の証には程遠い。
そう言う手合いは証をする手間を惜しむ自己犠牲的な精神が欠如している為、いくら口先で「平和」「正義」と語ろうとそこに愛は無い。
アニメの主人公なんかも「人類の希望を見せる」などと言いながら、超兵器により発生した奇跡を見せたがるのと同じ心理だ。
どれだけ口先で綺麗事を言うとその主人公も証を怠り、武力に頼った怠け者に過ぎない。
つまり、そう言った奴らは口先では「平和」「正義」を愛していると言うが心の底からは愛していない。
ただ、自分達の意見を利己的に欲深く語りたいだけなのだ。
もし、利他的な心があるなら犠牲を惜しまず、ボランティアや普段の行いなどをして自分の行いが正しい事を証するはずなのだ。
ただ、人間はどうもアニメ的な人間に惹かれてしまうので意識していないとその人間の意見に引きずり込まれるらしい。
と言う例えだ。
シンが言うには相手の言葉をよく聴いて物事の本質をよく考える事が予防に繋がるようだ。
人は心のあり方や品性が言葉から出てきてしまう。
口では綺麗な事を言っていても態度や日頃の行い、言動などを見れば、その人間の本質がどんな人間か分かってしまう。
特にエスパーになると口先だけの論理とその証として武力や能力、奇跡に頼ろうとするのでそこを注意すれば何とかなる。
という講義を受けた。
確かに言われてみればそうかも知れないとアリシアは思った。
国家の主張や国の権力も武力的なモノを背景に正当性を主張する事がある。
そう言えば、吉火の座学の中でこんな話を聞いた。
アリシアが生まれる前に今の統合政府の母体となったアメリカと言う国があり、世界の警察を謳いテロとよく戦っていたらしい。
ただ、当時はそれに賛同する者は多かったらしいが後世となった今では湾岸戦争と言う昔の戦争により人々に反米感情が芽生え、テロが起きてそれがイラク戦争と言うモノになり、更にそこからIS(イスラム過激派)戦争と言うモノに発展し、その沈静化の為に武力を振るってもそれに起因して別の戦争が勃発した。
持続的な戦争が続く中で武器の性能も上がり、戦いは300年前よりも過激になり、今でもサレムの騎士と言う形でその因痕が残っている。
それを考えるとアメリカのやり方はシンの言っていたエスパーの思考と似ているかも知れない。
武力を扱う事とボランティアでは一見関係ないように見えるからこそ「そんな無駄な事をするのは時間の無駄だ」と考えたのだろうが実はそうではない。
武力を扱う上での自制心を鍛える意味ではボランティアは効果的だったのだと思う。
武器を取っている自分が綺麗事を言うつもりはないが、武器を取っていると無感覚に人を殺してしまいそうな時がたまにある。
生きる為に必死で武器を取り死の駆け引きをしている以上、誰かにトラウマを与えるような惨状にしてしまった事があるだろう。
同じ生きている人間を殺してどこかの故郷で大切な人が待っていたかも知れない人を自分は殺しているのだ。
だから、生きる為に余裕がなくて証を立てられないのは仕方がない気もする。
証を立てている余裕など戦場では見いだせない。
一見すると関係なさそうな事をやっている余裕などないからだ。
それは仕方がないとは思う。
ただ、セイクリッド ベルは違う。
命をかけて真剣に戦っている中で「正義」とか「人類の可能性」云々を言って余裕かましている時点で戦いを物見遊山気分で戦っているようで思い出すと不快だ。
挙句、余裕がある癖に自分達の武力に酔いしれ、証する事を怠る辺り悪辣過ぎる。
日々の態度や模範がしっかりしていれば、独善的な正義を語る感情や思いは淘汰されその言葉に力を持たせただろうが、彼等にはその力すらない。
戦う事に余裕がない兵士に証しろと言うのは酷な話かも知れない。
尤も、新兵に「正義」だの「可能性」だのを語る余裕など初めから無いだろうから証する必要はないかも知れない。
だが、戦う力に余裕のあるベテランなどはそれを言い訳には出来ないのだろう。
力を持つと人は我欲を出してしまう。
力と権力を持った分だけの責任と言う名の証を立て自制心を鍛えなければ、その力に呑まれてしまう。
かつてのアメリカと言う国が武力のままにテロを拡大したように呑まれてしまうのだ。
きっと、自分が今後、力を持つとしたらそれに相応しい自制心を持たなければならない。
これから証を立てる為に自分を犠牲にして尽くさねばならないのだろう。
シンはこの講義の中でそこまで深い意味を込めていたのだと思われた。
だとしたら、アリシアは今、自分が行なっているケジメから逃げる訳にはいかない。
自分を殺すほどの訓練はやはり体に応える。
時々、体が拒絶反応を起こしやる事に妥協を生んでしまうのだが、その妥協が自分の品格を構成し心の本質や言動に影響するならこれほど恐ろしい事はない。
それを認めたらアリシアはセイクリッド ベルと同じになってしまうからだ。
アリシアは改めて自分の指針を固く決める。
講義が終わった後、アリシアは少し仮眠を取ってから格納庫にいた中隊を捕まえて「模擬戦がしたい」とお願いすると「是非、戦ってみたい」と快く引き受けてくれた。
更に幸いな事にアリシアが1対複数を想定した模擬戦がしたいと言うと快く了承してくれた。
新兵であるアリシアが先輩達を遠回しに舐めていると思われるのではないか?と思っていたが杞憂だったようだ。
「改めて、模擬戦を引き受けて下さりありがとうございます」
アリシアはコックピット内で模擬戦の相手であるエアル中隊の面々に軽くお辞儀する。
「いや、こっちもアンタと一度やりあってみたかった。ブルーフラッシャーと模擬戦出来るなんて早々、無いからな」
エアル中隊の隊長ヴェスバー大尉は軽い感じでにこやかに微笑んだ。
心の底から喜んでいるのが伝わるからアリシアとしても安心して戦えそうだ。
ただ、少し気になる事があった。
「あの、ブルーフラッシャーって……わたしの事ですか?」
「知らんのか?多分、アンタが思っている以上にアンタ、有名だぞ。ルシファー事変やこの前のサレム襲撃での迎撃戦での活躍は俺達の間じゃかなり有名だぞ。その戦う様は”蒼い閃光”の様だったって……事で付いた異名らいしぜ」
全然、知らなかった。
想定されそうな敵のデータ集めたりはしていたけど、自分が世間でどう言われている調べる気すらなかった。
でも、自称異名持ちと名乗るのもなんか自分を誇示しているようであまり好きではないから心の片隅くらいに置いておこう。
「事情は分かりました。その異名に恥じない戦いができるか分かりませんが全力でやります」
そんな話をしているとシュミレーターのカウントタイマーが0にかける。
「アスト、あなたは手を出さないで」
『分かりました』
いつもの事だが、アリシアは自分に不利な条件で訓練したがる。
アストを使えば、戦いをある程度、楽に進められるが頼ってばかりでは強くなれないと彼女は知っている。
決して、独り善がりに自分の力でなんとかする訳ではない。
ただ、最終的にモノを言うのは自分の意志や強さによるところはある。
彼女はそれが分かるからこそ最近、余計にストイックさが増しているような気がする。
しかも、この前よりも意志の強さで言えば増している。
やはり、見ていて飽きない。
カウントが0になり模擬戦が開始された。
敵は中隊。
数は12機のワイバーンMkⅡ。
対するアリシアもワイバーンMkⅡだ。
アストが戦闘をサポート出来なくもないが、アストがここにいるのはあくまでデータ取りだけだ。
ネクシルを使えば良いかも知れないが、それでは訓練にならないと言う事で搭乗してない。
このワイバーンはアリシアのAPUSBを元にネクシルに近づけたワイバーンに過ぎない。
ただ、元々に機体特性が違うのでいつも通りとはいかないだろうが、それも訓練のうちだ。
いつも、ネクシルに乗れるとは限らないからだ。
敵は忠実に陣形を取り、4つの鶴翼の陣を形成しライフルで距離を取りながら牽制する。
おそらく、アリシア用の対策だろう。
サレムの騎士襲撃の際に長刀で戦っているところを見られているので接近戦では勝ち目がないと分かっているのだ。
万が一接近されても鶴翼にしておけば、包囲しやすいのでそのまま殲滅する算段だろう。
悪くない手だ。
アリシアでも同じ事を考えをするだろう。
だが、今のアリシア相手にそれでは足りない。
それが上手く行くのは近づかれる前提の話だ。
そもそも、前提が崩れると意味がない。
中隊の連携が良いのか、銃口がほぼ同時にアリシアに向けられるのを見切り、すぐに射線を移動しその直後にライフルを単発発射する。
ロックオンされた敵機はそれに反応しすぐに回避行動を取る。
その弾丸は避けられた。
◇◇◇
上手い。
アストですら素直にそう思った。
今の技量のアリシアの初弾を避けたのはこの中隊が始めた。
アリシアも今の一撃は決まったと思っていたようで躱された事に微かに眉が動く。
だが、2発目はどうだ?
わたしは相手を試すようにアリシアの2発目の弾丸の出方を伺う。
敵機は2発目の弾丸にも対応した。
さっきと違い僅かに動力部のある腰を掠めたが特に致命的なダメージではない。
【彼らは今まで戦った兵士の中で一番強くないか?】
そう評価せざるを得ない。
今までの奴らがアリシアに動きの癖を見抜かれ、初弾で撃墜されているのに対して彼らは間違いなく確実に避けている。
相手がセイクリッド ベルでないならこれほど強い部隊はいないだろう。
寧ろ、パイロットとしての技量なら彼等の方が上だ。
アリシアが狙いを変えて別の機体を狙って見たが結果は同じだった。
他は知らないが少なくともエアル隊の練度は非常に高い。
珍しくアリシアが苦い顔を浮かべた。
普段ならあの射撃で決まっていた。
それほど拮抗する相手に出会わなかったので射撃技術が頭打ちになってどこかで満足していたが、それが慢心だと遠回しに悟された。
だが、反面彼女は微かに笑っていた。
この苦難を乗り越えた先に新たな自分がいると心躍らせているのだ。
環境に左右されず、不平を抱かず、与えられた環境が悪くてもそれにすら感謝を覚え微笑む。
わたしにとっては彼女の成長具合が微笑ましい。
彼女の心や品性は間違いなくあの方に近づいている。
『それでこの後、どうするんですか?』
アストは思わず声をかけた。
話しかけるなと言われた訳ではないが、集中の妨げになると思い黙っていたが、今の彼女をよく知りたくなった。
「そうだね。接近戦に持ち込めば勝てると思う。でも、それだと意味がない。これを乗り切れないといずれ、わたしは死ぬ。だから、もがいてみる」
◇◇◇
アストはアリシアの様子を見守る。
アリシアの言う通りエアル隊は接近戦が得意ではなさそうだ。
これは現代戦の傾向だが、やはり射撃主体になり過ぎて接近戦をする機会が少ないのだ。
彼等の挙動や足運びから接近戦は得意ではないだろう。
人並み以上に扱えても接近戦を戦術に組み込むアリシアには及ばない。
だが、ここで接近戦を挑めば楽に勝てるだろうが、それでは訓練にはならない。
いつでも長刀が使えるとは限らない。
それに安全を確保するなら銃を使った方が断然良い。
今回は味方であるから良いが彼等のような兵士が敵になった時、それで勝てるのかと言えば絶対ではない。
長刀がその時、使えなければ確実に死ぬだろう。
昔ならあの方の加護を受けている彼女はまず死なない因果を与えられたが「権能」が破壊されたこの世界では絶対と言う者は消滅したに等しく。
それに合わせてあの方も律法を変えた。
少なくとも、昔なら「殺してはならない。」と言う律法があった。
だが、現代でそれをやるとアリシアのような人間を見殺しにする可能性が高いので積極的に殺す事は推奨されないが自衛による殺害は認められている。
それほど今という時代に絶対と呼べるモノはない。
だから、彼女自身が身を守る術を身につける事はあの方の負担が軽くなるので理に叶っている。
「さて、まずは訓練の基本からだね」
そう言って彼女は今まで通りの射撃で敵機を狙う。
だが、結果は同じでやはり避けられてしまう。
それでもアリシアは執拗に狙いをつけて弾丸を放つ。
何事も使わなければ、上手くはならない。
美しい陶器を作るには何度も研究して何度も作ってこそ、初めて完成するのと同じだ。
漫画みたいに主人公が一足飛びに天才的な能力を獲得する事など現実ではない。
それはあの方の御心でもない。
偶にDNAによって才能が決まると思い込んでいる人間がいるが人間の個体差能力は全体の3%でしか決定していない。
つまり、残りの97%は同じなのだ。
その3%の中で天才と言う名の思考バランスが悪い個体がいれば、バランスが取れた個体がいるだけに過ぎないので努力しなければ基礎アビリティはそんなに大差ない。
ただ、漫画のような主人公が現実に存在するのは実はあの方が決めた事ではないので努力に対して能力が不釣り合いな理不尽が存在するのは実はそう言う事情がある。
だから、常人並みの努力もしていないのにDNA改造手術で何でも能力伸ばし放題というのは実はあの方はかなり嫌っている。
そんな事をすれば、軋轢が生まれて争いごとが増えるからだ。
昔、ジョンと言うDNA改造された世紀の天才とも呼ばれた男がいたらしく、その男は「人類の可能性」が云々と言っていた。
だが、実は心の底では自分が人類の上位種であると愉悦を感じてそれを誇示したいが為に自分が改造者である事を世界に暴露した事で世界が混乱した。
彼が本当に天才だったら自分の発言で世界が混乱すると分かっていたはずだ。
ただの普通の人間として生まれ落ちた男が天才と呼ばれるようになったとしておけば、軋轢は生まれなかった事を考えると彼は高慢だった。
自分の言いたい事を言った事で他人を傷つけた自分を天才と思い込んでいるだけの奴に過ぎない。
彼がやった事が間違っているのはそれを証しなかった事だ。
所詮、人の能力と言う力で証した事では説得力などありはしない。
結局、彼が殺害されたのは自業自得としか言いようがない。
その点、わたしは人間が嫌いだ。
あの方が好む者と言えばDNA云々ではなく「やれば、できる」と考え愚直に努力する人間だ。
それを直向きに頑張れるからアリシアはダビデの権威、権能を預かれたのだ。
アリシアはとにかく練習する。
何度も射撃を繰り返し避けられ、何度失敗してもそれでも諦めず、直向きに頑張る。
「やれば、できる」と言うその言葉をただひたすらに信じて練習を続ける。
他の貪欲などを一切考えない勢いのある純情は勢いも増し彼女に与えられた力もそれに応じて高まる。
彼女の相応しい努力に応じて力は高まり射撃が徐々に洗練されていく。
動きも技術も相応しい形に最適化されていく。
エアル隊の猛攻の前に慣れない動きなどを取り入れ息を切らせながら自分を矯正し修正し改善していく。
サレムの騎士の大部隊を単機で迎撃した時は息切れ一つしなかったアリシアが額に汗を滲ませ肩から息をするように必死に活路を見出そうとしていた。
何回あるいは何十回、何百回か回避と射撃を繰り返す内にその瞬間がやってきた。
アリシアが放った一撃がまるで丸い穴にスッと入り込むようにエアル隊の腰の動力部に撃墜した。
その瞬間、開眼したように技が体に馴染む。
◇◇◇
アリシアは銃口を彼等に向ける。
彼等はそれに反応して避けようとする。
今までならそこで終わっていたが、アリシアは吸い寄せられるように回避した敵の動きを読み、殺気すら出さず、静かに引き金を引く。
彼等は経験則と感でアリシアの攻撃を避けていたが、今のアリシアは彼等の勘すら超え、それすら読み切り、彼等の勘に感じさせない静かな動きで引き金を引く。
時が来れば速やかに行う。
あの方が言っていた事を彷彿とさせる。
今まで膠着状態だった戦局はアリシアが開眼したと共に一気に変わった。
あとは一方的な殲滅のみ。
エアル隊の攻撃は一切届かず、アリシアの攻撃は1発毎に確実に動力部を撃ち抜く。
そうして、12発の弾丸を立て続けに撃ち終わった時にはエアル隊は壊滅していた。
その中にはエスパーの心理的な共通傾向の説明があり、エスパーは自分の能力に潜在的に引きずられ、自分が感じているモノを絶対視している傾向がある。
そのせいで感覚を頼りに考える事に緩慢になり易く、神の様に人の思考を把握できる為に全知全能感と言う愉悦に無意識に惹かれ、自分が人間について一番知っていると思い込んでいる。
エスパーのそれらの感覚を頼りにするとどうやら、人類の「希望」「可能性」「未来」と言う人間至上主義的な「力」を感じるらしくその考えに固執し自分が正義の味方のように振る舞う。
今回のセイクリッド ベルがまさにその典型例であり、自分達が絶対正義と多かれ少なかれ思っている以上、説得しても固執によって話を聴かない可能性が高い。
自分の事を正義の味方と思い込んでいるアニメキャラの様な人間に「お前は正義ではない、お前は悪だ」と言って、それを素直に納得するかと言えば、そんな人間は1000人探して1人見つければ上出来だろう。
だから、エスパーとの交渉は基本成立せず寧ろ、エスパーの精神干渉で自然とエスパーの言っている事が正しいように思い込むらしい。
今回の戦いを振り返ると言われてみればそうかも知れないと改めて思った。
そんな時に思い出して欲しいのが、本当にその者が正義であるかないかと言う事だ。
正義を語る上でエスパーや他の悪党がやる傾向として武力や奇跡(奇術の場合もあり)、何かしらの総意志の決定を言い訳に証する事だ。
シンはその事をこのように説明した。
考えて欲しい。
もし、武力や総意志で正義に対する証が立てられるなら議会か何かで武器を持った男が議員を脅し「俺は地球半分の人類の総意を受けた男だ!俺こそ正義だ!」と言っていたとする。
だが、人間とは完全ではなく不完全な存在に過ぎない。
どれだけ不完全品が集まろとパーフェクトにはならない。
50%の善と50%の悪があるのが人間ならいくら掻き集めたところで50%の比率は変わらない。
少なくとも純粋な善にはなり得ない。
不完全品が幾ら喚いて総意志を気取ろうとその答えもまた、不完全だ。
人口知能だろうと同じだ。
所詮、AIは不完全な人間のデータを累積し評価関数で演算し評価しただけの存在なので仮にAIが総意志になろうと意味はない。
更に仮定するなら人類の意志を集めた集合無意識が存在しているとしても不完全に人間の意志を集めたモノなので、それがいかなる正義を掲げようと同様に意味はない。
加えて、武力で正義を証してもそれは他人を抑圧し服従させて得た結果に過ぎない。
大抵は脅されれば、相手の望む答えを口にするからだ真実の証には程遠い。
そう言う手合いは証をする手間を惜しむ自己犠牲的な精神が欠如している為、いくら口先で「平和」「正義」と語ろうとそこに愛は無い。
アニメの主人公なんかも「人類の希望を見せる」などと言いながら、超兵器により発生した奇跡を見せたがるのと同じ心理だ。
どれだけ口先で綺麗事を言うとその主人公も証を怠り、武力に頼った怠け者に過ぎない。
つまり、そう言った奴らは口先では「平和」「正義」を愛していると言うが心の底からは愛していない。
ただ、自分達の意見を利己的に欲深く語りたいだけなのだ。
もし、利他的な心があるなら犠牲を惜しまず、ボランティアや普段の行いなどをして自分の行いが正しい事を証するはずなのだ。
ただ、人間はどうもアニメ的な人間に惹かれてしまうので意識していないとその人間の意見に引きずり込まれるらしい。
と言う例えだ。
シンが言うには相手の言葉をよく聴いて物事の本質をよく考える事が予防に繋がるようだ。
人は心のあり方や品性が言葉から出てきてしまう。
口では綺麗な事を言っていても態度や日頃の行い、言動などを見れば、その人間の本質がどんな人間か分かってしまう。
特にエスパーになると口先だけの論理とその証として武力や能力、奇跡に頼ろうとするのでそこを注意すれば何とかなる。
という講義を受けた。
確かに言われてみればそうかも知れないとアリシアは思った。
国家の主張や国の権力も武力的なモノを背景に正当性を主張する事がある。
そう言えば、吉火の座学の中でこんな話を聞いた。
アリシアが生まれる前に今の統合政府の母体となったアメリカと言う国があり、世界の警察を謳いテロとよく戦っていたらしい。
ただ、当時はそれに賛同する者は多かったらしいが後世となった今では湾岸戦争と言う昔の戦争により人々に反米感情が芽生え、テロが起きてそれがイラク戦争と言うモノになり、更にそこからIS(イスラム過激派)戦争と言うモノに発展し、その沈静化の為に武力を振るってもそれに起因して別の戦争が勃発した。
持続的な戦争が続く中で武器の性能も上がり、戦いは300年前よりも過激になり、今でもサレムの騎士と言う形でその因痕が残っている。
それを考えるとアメリカのやり方はシンの言っていたエスパーの思考と似ているかも知れない。
武力を扱う事とボランティアでは一見関係ないように見えるからこそ「そんな無駄な事をするのは時間の無駄だ」と考えたのだろうが実はそうではない。
武力を扱う上での自制心を鍛える意味ではボランティアは効果的だったのだと思う。
武器を取っている自分が綺麗事を言うつもりはないが、武器を取っていると無感覚に人を殺してしまいそうな時がたまにある。
生きる為に必死で武器を取り死の駆け引きをしている以上、誰かにトラウマを与えるような惨状にしてしまった事があるだろう。
同じ生きている人間を殺してどこかの故郷で大切な人が待っていたかも知れない人を自分は殺しているのだ。
だから、生きる為に余裕がなくて証を立てられないのは仕方がない気もする。
証を立てている余裕など戦場では見いだせない。
一見すると関係なさそうな事をやっている余裕などないからだ。
それは仕方がないとは思う。
ただ、セイクリッド ベルは違う。
命をかけて真剣に戦っている中で「正義」とか「人類の可能性」云々を言って余裕かましている時点で戦いを物見遊山気分で戦っているようで思い出すと不快だ。
挙句、余裕がある癖に自分達の武力に酔いしれ、証する事を怠る辺り悪辣過ぎる。
日々の態度や模範がしっかりしていれば、独善的な正義を語る感情や思いは淘汰されその言葉に力を持たせただろうが、彼等にはその力すらない。
戦う事に余裕がない兵士に証しろと言うのは酷な話かも知れない。
尤も、新兵に「正義」だの「可能性」だのを語る余裕など初めから無いだろうから証する必要はないかも知れない。
だが、戦う力に余裕のあるベテランなどはそれを言い訳には出来ないのだろう。
力を持つと人は我欲を出してしまう。
力と権力を持った分だけの責任と言う名の証を立て自制心を鍛えなければ、その力に呑まれてしまう。
かつてのアメリカと言う国が武力のままにテロを拡大したように呑まれてしまうのだ。
きっと、自分が今後、力を持つとしたらそれに相応しい自制心を持たなければならない。
これから証を立てる為に自分を犠牲にして尽くさねばならないのだろう。
シンはこの講義の中でそこまで深い意味を込めていたのだと思われた。
だとしたら、アリシアは今、自分が行なっているケジメから逃げる訳にはいかない。
自分を殺すほどの訓練はやはり体に応える。
時々、体が拒絶反応を起こしやる事に妥協を生んでしまうのだが、その妥協が自分の品格を構成し心の本質や言動に影響するならこれほど恐ろしい事はない。
それを認めたらアリシアはセイクリッド ベルと同じになってしまうからだ。
アリシアは改めて自分の指針を固く決める。
講義が終わった後、アリシアは少し仮眠を取ってから格納庫にいた中隊を捕まえて「模擬戦がしたい」とお願いすると「是非、戦ってみたい」と快く引き受けてくれた。
更に幸いな事にアリシアが1対複数を想定した模擬戦がしたいと言うと快く了承してくれた。
新兵であるアリシアが先輩達を遠回しに舐めていると思われるのではないか?と思っていたが杞憂だったようだ。
「改めて、模擬戦を引き受けて下さりありがとうございます」
アリシアはコックピット内で模擬戦の相手であるエアル中隊の面々に軽くお辞儀する。
「いや、こっちもアンタと一度やりあってみたかった。ブルーフラッシャーと模擬戦出来るなんて早々、無いからな」
エアル中隊の隊長ヴェスバー大尉は軽い感じでにこやかに微笑んだ。
心の底から喜んでいるのが伝わるからアリシアとしても安心して戦えそうだ。
ただ、少し気になる事があった。
「あの、ブルーフラッシャーって……わたしの事ですか?」
「知らんのか?多分、アンタが思っている以上にアンタ、有名だぞ。ルシファー事変やこの前のサレム襲撃での迎撃戦での活躍は俺達の間じゃかなり有名だぞ。その戦う様は”蒼い閃光”の様だったって……事で付いた異名らいしぜ」
全然、知らなかった。
想定されそうな敵のデータ集めたりはしていたけど、自分が世間でどう言われている調べる気すらなかった。
でも、自称異名持ちと名乗るのもなんか自分を誇示しているようであまり好きではないから心の片隅くらいに置いておこう。
「事情は分かりました。その異名に恥じない戦いができるか分かりませんが全力でやります」
そんな話をしているとシュミレーターのカウントタイマーが0にかける。
「アスト、あなたは手を出さないで」
『分かりました』
いつもの事だが、アリシアは自分に不利な条件で訓練したがる。
アストを使えば、戦いをある程度、楽に進められるが頼ってばかりでは強くなれないと彼女は知っている。
決して、独り善がりに自分の力でなんとかする訳ではない。
ただ、最終的にモノを言うのは自分の意志や強さによるところはある。
彼女はそれが分かるからこそ最近、余計にストイックさが増しているような気がする。
しかも、この前よりも意志の強さで言えば増している。
やはり、見ていて飽きない。
カウントが0になり模擬戦が開始された。
敵は中隊。
数は12機のワイバーンMkⅡ。
対するアリシアもワイバーンMkⅡだ。
アストが戦闘をサポート出来なくもないが、アストがここにいるのはあくまでデータ取りだけだ。
ネクシルを使えば良いかも知れないが、それでは訓練にならないと言う事で搭乗してない。
このワイバーンはアリシアのAPUSBを元にネクシルに近づけたワイバーンに過ぎない。
ただ、元々に機体特性が違うのでいつも通りとはいかないだろうが、それも訓練のうちだ。
いつも、ネクシルに乗れるとは限らないからだ。
敵は忠実に陣形を取り、4つの鶴翼の陣を形成しライフルで距離を取りながら牽制する。
おそらく、アリシア用の対策だろう。
サレムの騎士襲撃の際に長刀で戦っているところを見られているので接近戦では勝ち目がないと分かっているのだ。
万が一接近されても鶴翼にしておけば、包囲しやすいのでそのまま殲滅する算段だろう。
悪くない手だ。
アリシアでも同じ事を考えをするだろう。
だが、今のアリシア相手にそれでは足りない。
それが上手く行くのは近づかれる前提の話だ。
そもそも、前提が崩れると意味がない。
中隊の連携が良いのか、銃口がほぼ同時にアリシアに向けられるのを見切り、すぐに射線を移動しその直後にライフルを単発発射する。
ロックオンされた敵機はそれに反応しすぐに回避行動を取る。
その弾丸は避けられた。
◇◇◇
上手い。
アストですら素直にそう思った。
今の技量のアリシアの初弾を避けたのはこの中隊が始めた。
アリシアも今の一撃は決まったと思っていたようで躱された事に微かに眉が動く。
だが、2発目はどうだ?
わたしは相手を試すようにアリシアの2発目の弾丸の出方を伺う。
敵機は2発目の弾丸にも対応した。
さっきと違い僅かに動力部のある腰を掠めたが特に致命的なダメージではない。
【彼らは今まで戦った兵士の中で一番強くないか?】
そう評価せざるを得ない。
今までの奴らがアリシアに動きの癖を見抜かれ、初弾で撃墜されているのに対して彼らは間違いなく確実に避けている。
相手がセイクリッド ベルでないならこれほど強い部隊はいないだろう。
寧ろ、パイロットとしての技量なら彼等の方が上だ。
アリシアが狙いを変えて別の機体を狙って見たが結果は同じだった。
他は知らないが少なくともエアル隊の練度は非常に高い。
珍しくアリシアが苦い顔を浮かべた。
普段ならあの射撃で決まっていた。
それほど拮抗する相手に出会わなかったので射撃技術が頭打ちになってどこかで満足していたが、それが慢心だと遠回しに悟された。
だが、反面彼女は微かに笑っていた。
この苦難を乗り越えた先に新たな自分がいると心躍らせているのだ。
環境に左右されず、不平を抱かず、与えられた環境が悪くてもそれにすら感謝を覚え微笑む。
わたしにとっては彼女の成長具合が微笑ましい。
彼女の心や品性は間違いなくあの方に近づいている。
『それでこの後、どうするんですか?』
アストは思わず声をかけた。
話しかけるなと言われた訳ではないが、集中の妨げになると思い黙っていたが、今の彼女をよく知りたくなった。
「そうだね。接近戦に持ち込めば勝てると思う。でも、それだと意味がない。これを乗り切れないといずれ、わたしは死ぬ。だから、もがいてみる」
◇◇◇
アストはアリシアの様子を見守る。
アリシアの言う通りエアル隊は接近戦が得意ではなさそうだ。
これは現代戦の傾向だが、やはり射撃主体になり過ぎて接近戦をする機会が少ないのだ。
彼等の挙動や足運びから接近戦は得意ではないだろう。
人並み以上に扱えても接近戦を戦術に組み込むアリシアには及ばない。
だが、ここで接近戦を挑めば楽に勝てるだろうが、それでは訓練にはならない。
いつでも長刀が使えるとは限らない。
それに安全を確保するなら銃を使った方が断然良い。
今回は味方であるから良いが彼等のような兵士が敵になった時、それで勝てるのかと言えば絶対ではない。
長刀がその時、使えなければ確実に死ぬだろう。
昔ならあの方の加護を受けている彼女はまず死なない因果を与えられたが「権能」が破壊されたこの世界では絶対と言う者は消滅したに等しく。
それに合わせてあの方も律法を変えた。
少なくとも、昔なら「殺してはならない。」と言う律法があった。
だが、現代でそれをやるとアリシアのような人間を見殺しにする可能性が高いので積極的に殺す事は推奨されないが自衛による殺害は認められている。
それほど今という時代に絶対と呼べるモノはない。
だから、彼女自身が身を守る術を身につける事はあの方の負担が軽くなるので理に叶っている。
「さて、まずは訓練の基本からだね」
そう言って彼女は今まで通りの射撃で敵機を狙う。
だが、結果は同じでやはり避けられてしまう。
それでもアリシアは執拗に狙いをつけて弾丸を放つ。
何事も使わなければ、上手くはならない。
美しい陶器を作るには何度も研究して何度も作ってこそ、初めて完成するのと同じだ。
漫画みたいに主人公が一足飛びに天才的な能力を獲得する事など現実ではない。
それはあの方の御心でもない。
偶にDNAによって才能が決まると思い込んでいる人間がいるが人間の個体差能力は全体の3%でしか決定していない。
つまり、残りの97%は同じなのだ。
その3%の中で天才と言う名の思考バランスが悪い個体がいれば、バランスが取れた個体がいるだけに過ぎないので努力しなければ基礎アビリティはそんなに大差ない。
ただ、漫画のような主人公が現実に存在するのは実はあの方が決めた事ではないので努力に対して能力が不釣り合いな理不尽が存在するのは実はそう言う事情がある。
だから、常人並みの努力もしていないのにDNA改造手術で何でも能力伸ばし放題というのは実はあの方はかなり嫌っている。
そんな事をすれば、軋轢が生まれて争いごとが増えるからだ。
昔、ジョンと言うDNA改造された世紀の天才とも呼ばれた男がいたらしく、その男は「人類の可能性」が云々と言っていた。
だが、実は心の底では自分が人類の上位種であると愉悦を感じてそれを誇示したいが為に自分が改造者である事を世界に暴露した事で世界が混乱した。
彼が本当に天才だったら自分の発言で世界が混乱すると分かっていたはずだ。
ただの普通の人間として生まれ落ちた男が天才と呼ばれるようになったとしておけば、軋轢は生まれなかった事を考えると彼は高慢だった。
自分の言いたい事を言った事で他人を傷つけた自分を天才と思い込んでいるだけの奴に過ぎない。
彼がやった事が間違っているのはそれを証しなかった事だ。
所詮、人の能力と言う力で証した事では説得力などありはしない。
結局、彼が殺害されたのは自業自得としか言いようがない。
その点、わたしは人間が嫌いだ。
あの方が好む者と言えばDNA云々ではなく「やれば、できる」と考え愚直に努力する人間だ。
それを直向きに頑張れるからアリシアはダビデの権威、権能を預かれたのだ。
アリシアはとにかく練習する。
何度も射撃を繰り返し避けられ、何度失敗してもそれでも諦めず、直向きに頑張る。
「やれば、できる」と言うその言葉をただひたすらに信じて練習を続ける。
他の貪欲などを一切考えない勢いのある純情は勢いも増し彼女に与えられた力もそれに応じて高まる。
彼女の相応しい努力に応じて力は高まり射撃が徐々に洗練されていく。
動きも技術も相応しい形に最適化されていく。
エアル隊の猛攻の前に慣れない動きなどを取り入れ息を切らせながら自分を矯正し修正し改善していく。
サレムの騎士の大部隊を単機で迎撃した時は息切れ一つしなかったアリシアが額に汗を滲ませ肩から息をするように必死に活路を見出そうとしていた。
何回あるいは何十回、何百回か回避と射撃を繰り返す内にその瞬間がやってきた。
アリシアが放った一撃がまるで丸い穴にスッと入り込むようにエアル隊の腰の動力部に撃墜した。
その瞬間、開眼したように技が体に馴染む。
◇◇◇
アリシアは銃口を彼等に向ける。
彼等はそれに反応して避けようとする。
今までならそこで終わっていたが、アリシアは吸い寄せられるように回避した敵の動きを読み、殺気すら出さず、静かに引き金を引く。
彼等は経験則と感でアリシアの攻撃を避けていたが、今のアリシアは彼等の勘すら超え、それすら読み切り、彼等の勘に感じさせない静かな動きで引き金を引く。
時が来れば速やかに行う。
あの方が言っていた事を彷彿とさせる。
今まで膠着状態だった戦局はアリシアが開眼したと共に一気に変わった。
あとは一方的な殲滅のみ。
エアル隊の攻撃は一切届かず、アリシアの攻撃は1発毎に確実に動力部を撃ち抜く。
そうして、12発の弾丸を立て続けに撃ち終わった時にはエアル隊は壊滅していた。
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