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第2部 原作へ愛をこめて

第5話 友情

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この前のドラゴン退治の1件から神崎は何かと(主に男子から)ちやほやされるようになった。

だがもちろん私以外にもそれを気に入らないと思う奴が居るわけで。

「ねぇ姫華ぁ~、とぅり、しんいりのくせにムカつかなぁ~い?」

「ほんとぉ~、たいしたことないくせにちゃほゃされてさぁ~」

マジに悪女のセリフがどの作品も似たり寄ったりだ。じつはキモコもブスコも私とメアリーみたいに悪女役で色んな作品に出張してたりするんだろうか。もしそうだったらめちゃくちゃおもろいな

ちなみに今は女子トイレで2人の会話を盗み聞きしている。悪口を言っている自覚がないのかやたらと声がデカいんで思考を読む手間が省ける。

「ねえ(名前)ちゃん……止めに行かないの?」

「行っても意味ないと思うよ」

実際神から貰った指令は「世界救え」ってだけで具体的なことは何一つ言われてない。だから結局悪女組が行動起こすまで待たなきゃ行けない。

なんなら私が2人そそのかして事件起こさせて、その後はしらないふりして神崎の味方ヅラで事件解決してもいいんだけど……

それやると私の心に後味のよくないものが残るからやりたくなかった。

すみません、ワルコですけどー、まーだ時間かかりそうですかねー?(ホモはせっかち)



今日も今日とて神崎は随分仲良くなった囲いズとイチャイチャしていた。

あまりにキモイので割愛(?)するがついさっき風見が神崎に対してナチュラルにクソキモイセクハラセリフ言わされてて作者絶対ぶちのめそうと思った。キャラヘイトはちょっと……許されへんし……

というか先日サトーくん×神崎フラグが立っちゃって葉月が可哀想だと思ってたら既に葉月も神崎に惚れてて暴れそうになった。

えーもう本気で悪女組そそのかし作戦視野に入れようかな……神崎に媚びを売るのもいいけどそれはしたくない。(自分を売る(至言))



……大分と話題は変わるけど、この頃神崎はユイと仲良しだ。

今日なんか2人っきりで出かけるらしい。という訳でメアリーと一緒に2人を尾行することにした。

でもこの前の校長室の時みたいに気配でバレたらどーしよう?

「ねーメアリー、透明化魔法とかできないの?」

「そんな上位魔法私じゃできないよぉ、(名前)ちゃんがやってよぉ」

「やだよぉ、つかお前こんな世界で真面目に勉強してんじゃネーヨハゲ!」

私も魔法の勉強しようかと思ったけど元の世界に戻った時に未練のあまり暴れそうだから断念した。それなのにメアリーはそんな私と違ってクソ真面目にお勉強してるらしい。お偉いことで。

私たちは学校近くのショッピングモール的なとこにやってきている。結局今のところはまだ気配バレとかはしてない。

神崎が気づいてて黙ってるだけという可能性もあるが、占ツク夢主はその場のテンションですぐに戦闘力インフレデフレを起こしまくる。そういうものだ。

ユイと神崎はウィンドウショッピングを楽しんだ後ご飯食べたりプリクラなんか撮ったりして私たちずっと親友だょ!(キラッ)みたいなこと言ってた。なんで魔法の世界にプリクラがあるのか私には理解に苦しむね。

「ねぇ(名前)ちゃん」

「何メアリー…………お前飯食ってんじゃネーヨ!!!!!」

声につられて振り向けばメアリーはさっき買った炭水化物盛盛クレープを食べてた。マヨネーズ口のとこについてるし

「私達もプリクラ撮りたいな……////なんて」

「普通にエンジョイしてんじゃネーヨ!!!!!」

なんのために来てるかわかってる?私はキレそうになるのを抑えて(記号で文字数を稼ぐ作者の屑)メアリーの唇の端に着いたマヨネーズをティッシュで取ってあげる。メアリーは赤面した。

「プリ撮ってる間に絶対神崎とユイ見失うんだが???? もう少し賢くなることをオススメします」

私がそう言い切るとメアリーは赤い顔のまましょぼんと俯いた。

「じゃあ……また今度撮ってくれる?」

「はいはいわかったわかったいつか撮ってあげる…………ってん?」

身長差のせいでふえぇ系夢主特有のうるうる上目遣いで見つめてくるメアリーに適当に返事していると、クソデカガラス窓の向こうに、あるものを見つけた。

……神崎とユイが店の外で変なのに絡まれている。

私は慌ててメアリーの手を引っ張って外に飛び出した。

「ふえぇっ!?///(名前)ちゃん!?どうしたの!?」

「静かに!なんか……なんかバレる!(小声)」

神崎とユイに絡んでいる変なチャラい感じの男2人組の名称がわからくてイマイチ決まらない感じになってしまったが今はそんなことはどうでもいい。

どうしよう出るべきか。悩んでいたらいきなりユイが変な2人組の片方に頭を切りつけられた。

「あッ……!!」

ユイは頭から血を流して倒れる。さすがにメインキャラのユイがこんな死に方するとは思えない。とはいえユイが傷ついている姿は見ていられない!

「うわあああああああああああああああああああぁあああああぁあああああああああああああああああぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」

1歩踏み出した瞬間、神崎が00年代二次創作小説特有の肺活量お化け文字数浪費クソデカ叫び声を上げながら男2人をぶちのめしてはユイを抱えて泣き出したので、私は出るに出られなくなった。





刀裏side





『ユイ!ユイっ!しっかりして!!』





ユ「とう、り……」





『もうすぐ救急車が来るから!!死なないで!!』





私がいくら叫んでもユイの頭から流れる血は止まらない。





私が……私が弱いから、守れなかった……





目から涙が溢れた。





『ユイ、ゆい……死なないでよ……』






せっかく友達になれたのに、すぐに失うの?





ギュッと胸が締め付けられる。






いやだ、いやだよ……





深い悲しみが私の体を包み込む。私の意識はそこで途切れた。










────────力が欲しいか





……何?なんなの?





目の前が何も見えない。それなのにどこからか声が聞こえてくる。





問いかけても返事は無いままだった。
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