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イダラマの同志編
1534.サクジの放つ二枚の式札
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「さ、サクジ様の『土蜘蛛が』……!」
「土蜘蛛はランク『6』から『6.5』はあった筈だ、前時代の『妖魔退魔師』達であっても、たった一人で何とか出来る様子ではなかったというのに、こいつはまさか『幹部』クラスの『妖魔退魔師』なのではないか?」
『土蜘蛛』をたった一人で屠ってみせた『タツミ』に『妖魔召士』達は、唖然とした表情を浮かべるのだった。
(※ランク『6』は戦力値5600から6500億前後であり、ランク『6.5』は戦力値が7000億から7600億である)
「ちっ……! そういう事か。どうやら間諜達からの報告に挙がっていた情報に偽りが紛れ込んでいたようだ。よく考えてみれば『牢』に『同志』達を閉じ込めておいて、幹部以上の戦力を全員引き連れて離れるわけはないだろうな。少しばかり焦り過ぎてしまっていたようだ」
サクジはタツミから目を離さずにそう口にすると、他の面々も確かにその通りだとばかりに頷き、やがては苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ始める。
「しかしこれだけ騒ぎを起こして『シゲン』殿達どころか『組長格』すら現れないところをみると、情報全てが眉唾モノであったというわけではあるまい。ならば結局のところ何も問題はないな」
サクジはそう告げると、新たに懐から二枚の式札を取り出し始める。
「させないっ!」
サクジが新たに『式』を使役しようとしていると察した『タツミ』が、先程のようにサクジの元に向けて刺突を行おうと飛び出した。
だが、同志の『妖魔召士』達も対応は早く、一斉に『魔力波』を放ち始めるのだった。
先程の単なる『魔力圧』とは違い、殺傷能力の高いランク『6』の者達の『魔力』が用いられた『魔力波』が『タツミ』に向かっていく。
「くっ……!!」
恐ろしい程の勢いでサクジの元へと肉薄していたタツミであったが、数人掛かりの『上位妖魔召士』の『魔力波』をその身に浴びて、これ以上は体力の危険だと判断したタツミは強引に身体を捻って間合いから抜け出すと、一気に後方へと飛んで戻って行く。
これだけの『上位妖魔召士』が、ダメージを期待しての攻撃ではなく、近づけさせないようにする事を前提とした攻撃に出た場合、それを突破する事は相当に至難となる。
そして一定の距離が出来た時点で更に各々の『妖魔召士』達が手印を結ぶと、次々と『結界』と『魔力』を周囲に『スタック』させながら守りを固め始める。
彼ら『妖魔召士』の各々が専守に出た以上、その先に相当の狙いがあるのは当然の事であり、タツミや『妖魔退魔師衆』は焦りながらも何とか隙を見つけ出そうと得の刀を握りしめる。
しかし結局はその一撃を浴びせる隙を見つけられる事が出来ぬまま『結界』の内側で笑みを浮かべた『サクジ』が二枚の『妖魔』を出現させるのであった――。
ぼんっ、ぼんっという音と共に出てきた三体の『式神』。
一体目は人型で僧侶の恰好をしているが、顔に目が三つあり、更には背中には黒い羽根が生えていた。
この『妖魔』の名は『江王門』と呼ばれており、かつてこの『ノックス』の世界で人を恐れさせた凶悪な烏天狗であった。
そして二体目もまた人型を取っているが、身長は8尺はあろうかという高さをしていて、盛り上がった腕の筋肉が服の上からでも分かる程の巨躯の『鬼人』で名は『瑠慈』であった。
『江王門』も『瑠慈』もランクが『7』に限りなく近い『妖魔』であり、当然のように人型を取っているのであった。
(※ランク『7』は戦力値が7700億から8200億相当)。
この『江王門』はかつてあの『王連』の右腕を務めた天狗であり、最初に使役した『土蜘蛛』や『鬼人』の『瑠慈』と合わせてサクジが持ち得る『式』の中で最上位を誇る『妖魔』達であった。
どうやら目の前に居る『タツミ』という若い女性妖魔退魔師を『幹部級』の存在と認めて、出し惜しみをせずにここで最大限の力でぶつかろうと考えた様子であった。
「く、くぅっ……!!」
タツミは先程までとは違い、脂汗を流しながらランク『7』の『妖魔』と相対する。
他の『妖魔退魔師衆』達は、タツミよりもさらに深刻な状況で脂汗を流すどころか、刀を持つ手に震えが走り、気を抜くとそのまま意識を失わされてしまう程の重圧に見舞われている状況である。
本来、このランク『7』に到達する程の『妖魔』と真正面から戦えるのは『妖魔退魔師』組織の中でも『副組長格』以上の存在がギリギリであり、組に属する幹部達であっても、数人程度では荷が重いとされている。
そんなランク『7』に限りなく近い相手では、流石の『特務』所属のタツミであっても分が悪すぎるといえるのだった。
「土蜘蛛はランク『6』から『6.5』はあった筈だ、前時代の『妖魔退魔師』達であっても、たった一人で何とか出来る様子ではなかったというのに、こいつはまさか『幹部』クラスの『妖魔退魔師』なのではないか?」
『土蜘蛛』をたった一人で屠ってみせた『タツミ』に『妖魔召士』達は、唖然とした表情を浮かべるのだった。
(※ランク『6』は戦力値5600から6500億前後であり、ランク『6.5』は戦力値が7000億から7600億である)
「ちっ……! そういう事か。どうやら間諜達からの報告に挙がっていた情報に偽りが紛れ込んでいたようだ。よく考えてみれば『牢』に『同志』達を閉じ込めておいて、幹部以上の戦力を全員引き連れて離れるわけはないだろうな。少しばかり焦り過ぎてしまっていたようだ」
サクジはタツミから目を離さずにそう口にすると、他の面々も確かにその通りだとばかりに頷き、やがては苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべ始める。
「しかしこれだけ騒ぎを起こして『シゲン』殿達どころか『組長格』すら現れないところをみると、情報全てが眉唾モノであったというわけではあるまい。ならば結局のところ何も問題はないな」
サクジはそう告げると、新たに懐から二枚の式札を取り出し始める。
「させないっ!」
サクジが新たに『式』を使役しようとしていると察した『タツミ』が、先程のようにサクジの元に向けて刺突を行おうと飛び出した。
だが、同志の『妖魔召士』達も対応は早く、一斉に『魔力波』を放ち始めるのだった。
先程の単なる『魔力圧』とは違い、殺傷能力の高いランク『6』の者達の『魔力』が用いられた『魔力波』が『タツミ』に向かっていく。
「くっ……!!」
恐ろしい程の勢いでサクジの元へと肉薄していたタツミであったが、数人掛かりの『上位妖魔召士』の『魔力波』をその身に浴びて、これ以上は体力の危険だと判断したタツミは強引に身体を捻って間合いから抜け出すと、一気に後方へと飛んで戻って行く。
これだけの『上位妖魔召士』が、ダメージを期待しての攻撃ではなく、近づけさせないようにする事を前提とした攻撃に出た場合、それを突破する事は相当に至難となる。
そして一定の距離が出来た時点で更に各々の『妖魔召士』達が手印を結ぶと、次々と『結界』と『魔力』を周囲に『スタック』させながら守りを固め始める。
彼ら『妖魔召士』の各々が専守に出た以上、その先に相当の狙いがあるのは当然の事であり、タツミや『妖魔退魔師衆』は焦りながらも何とか隙を見つけ出そうと得の刀を握りしめる。
しかし結局はその一撃を浴びせる隙を見つけられる事が出来ぬまま『結界』の内側で笑みを浮かべた『サクジ』が二枚の『妖魔』を出現させるのであった――。
ぼんっ、ぼんっという音と共に出てきた三体の『式神』。
一体目は人型で僧侶の恰好をしているが、顔に目が三つあり、更には背中には黒い羽根が生えていた。
この『妖魔』の名は『江王門』と呼ばれており、かつてこの『ノックス』の世界で人を恐れさせた凶悪な烏天狗であった。
そして二体目もまた人型を取っているが、身長は8尺はあろうかという高さをしていて、盛り上がった腕の筋肉が服の上からでも分かる程の巨躯の『鬼人』で名は『瑠慈』であった。
『江王門』も『瑠慈』もランクが『7』に限りなく近い『妖魔』であり、当然のように人型を取っているのであった。
(※ランク『7』は戦力値が7700億から8200億相当)。
この『江王門』はかつてあの『王連』の右腕を務めた天狗であり、最初に使役した『土蜘蛛』や『鬼人』の『瑠慈』と合わせてサクジが持ち得る『式』の中で最上位を誇る『妖魔』達であった。
どうやら目の前に居る『タツミ』という若い女性妖魔退魔師を『幹部級』の存在と認めて、出し惜しみをせずにここで最大限の力でぶつかろうと考えた様子であった。
「く、くぅっ……!!」
タツミは先程までとは違い、脂汗を流しながらランク『7』の『妖魔』と相対する。
他の『妖魔退魔師衆』達は、タツミよりもさらに深刻な状況で脂汗を流すどころか、刀を持つ手に震えが走り、気を抜くとそのまま意識を失わされてしまう程の重圧に見舞われている状況である。
本来、このランク『7』に到達する程の『妖魔』と真正面から戦えるのは『妖魔退魔師』組織の中でも『副組長格』以上の存在がギリギリであり、組に属する幹部達であっても、数人程度では荷が重いとされている。
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