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イダラマの同志編
1470.話の流れ
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「お話し中のところ申し訳ありません。少しよろしいでしょうか?」
ヌー達と会話を行っていたソフィは、その『ミスズ』の声に視線を向けて首を縦に振って頷くのであった。
「確かにソフィ殿の『魔力』を吸収するという『結界』の『効力』は間違いなく反映されているようなのですね。しかしどうやら皆さんの話を聞いていると、今回のソフィ殿に張って頂いた『結界』は従来のものではないという事のようですが、この『結界』はソフィ殿がこの場所を離れて『妖魔山』へ向かう事になった後もしっかりと継続されるものなのでしょうか?」
そう質問を行ったミスズの顔はとても真剣なものであった。
どうやら総長にソフィの『結界』を信じると口にした手前、その『結界』がこれまでのモノとは少し違うと聞かされた今、ミスズは改めて懸念を口にしてソフィに尋ねるのであった。
「確かに我の張った今回の『魔力吸収の地』は、これまでの『魔力吸収の地』とは違うモノではあるが『ミスズ』殿の心配している事に関しては問題はない筈だ。むしろこの『牢』の中に居る者達の『魔力』を使った『技法』に関しては今回の『魔力吸収の地』の方が都合がいい程だ。何も心配は要らぬから安心してくれてよいぞ『ミスズ』殿」
「そうですか。それを聞いて安心しました。感謝致します『ソフィ』殿!」
ミスズはソフィに頭を下げながら丁寧に感謝の言葉を告げるのであった。
「――」(ソフィの言葉を信用せずに自らも試した挙句、この上にまだ文句をつけるつもりだったのかしら?)
ミスズの喋る言葉は理解出来なかった『魔神』だが、ソフィが安心させるような言葉を口にしたことで、先程のミスズの質問の内容を把握したようで『魔神』は忌々しそうに『ミスズ』を睨みつけるのであった。
(まぁそう言うな『魔神』よ。ミスズ殿も組織の上に立つ人間として、しっかりと確認をしなければならぬ立場なのだから、不安な事を尋ねるのは当然の事だ)
『魔神』と直接契約を交わしているソフィは、隣にいる『魔神』に『念話』で説明を行い宥めるのであった。
「それでは見張りにもしっかりとソフィ殿の『結界』の説明を行い、このまま私は総長に報告に行って参りますので、もうしばらくソフィ殿達の部屋でお待ち頂いて構わないでしょうか」
「うむ、了解した。お主らもそれでよいな?」
「ああ……。さっさと戻ろうぜ。こんなやべぇ所に長居もしたくねぇ」
「俺も問題ありませんぜ、旦那! いや、すげぇモノを見させてもらいました、流石です旦那!」
セルバスの言葉を聴いたヌーは、再び嫌そうに顔を歪ませて舌打ちをするのだった。
……
……
……
そしてソフィが『結界』を施し終えた頃、エヴィを伴ったイダラマは『コウヒョウ』にある蔵屋敷の一室で『同志』達の様子を冷ややかに眺めていた。
当初の予定ではこの場に集まった者達で『妖魔山』へ向かう予定だったのだが、イダラマの『同志』であった『ライゾウ』と『フウギ』が『サカダイ』の町にある『妖魔退魔師』の本部の『牢』に捕らえられている『テツヤ』と『タケル』という二人の『妖魔召士』を救出して欲しいと、この『コウヒョウ』の町に居るイダラマ達に助けを求めてきたのであった。
本来は『ライゾウ』と『フウギ』は『イダラマ』に助けを求めてきたのだが、この場には前時代の『妖魔召士』であった『サクジ』という男も居て、彼は相当に目立つ発言を繰り返しているのであった。
この男の事は『ライゾウ』も『フウギ』も当然知ってはいる。
この『ライゾウ』と『フウギ』の両名は元々『リュウジ』という男に従って行動を取っていた『妖魔召士』なのであったが、その従っていた『リュウジ』は『キクゾウ』という男の配下であり、その『キクゾウ』と前時代の妖魔召士組織に属していた『サクジ』という男は齢の差はあれども『同志』となるほどに仲が良かったのである。
当然『キクゾウ』を可愛がっていた『サクジ』は、そのキクゾウの配下であった『リュウジ』も可愛がっていて、そのリュウジに付き従う新人であった『ライゾウ』と『フウギ』は『サクジ』の事を知っていたというわけである。
だが、それでも『ライゾウ』と『フウギ』はあくまで『リュウジ』に付き従っているだけであり、別に『サクジ』の『同志』だとは思ってはいなかった。
あくまでこの『ライゾウ』と『フウギ』がこの『コウヒョウ』の町に救出を求めた相手は『イダラマ』だったのである。
しかしこの場に来たこの両名は、いつの間にか『サクジ』の演説めいた話の神輿にされて何やら利用されてしまっているようだが、この『はぐれ』とはいっても前時代の優秀だった『妖魔召士』達が集まっている場で気後れをしていて主張など出来るような空気ではなくなっていて、話に流されている様子に戸惑っているようであった。
だが、あくまで『ライゾウ』と『フウギ』にしてみれば『サカダイ』の『妖魔退魔師』組織本部の『牢』に閉じ込められている彼の本当の『同志』である『テツヤ』と『タケル』の両名をどういう形であれ救い出せる好機には違いなく、このまま『サクジ』の扇動でその気になっている『妖魔召士』達が『サカダイ』に向かってくれるというのであれば『ライゾウ』達にとってみれば、願ったり叶ったりである。
そして先程『ライゾウ』と『フウギ』は、このままでいいのかと思いながらも『イダラマ』に視線を送ってみたが、どうやらこの状況にどうやら『イダラマ』も反対する様子は見せずにこちらの視線に気づいていたようで、何やら頷いてみせたのだった。
どうやら『イダラマ』の考えはあの『サクジ』という『妖魔召士』にやりたいようにやらせて、そのまま『サカダイ』へ向かえという事なのだろう。
ひとまずはこの話の流れの結論に至るまでは待つ事にしようと考える『ライゾウ』と『フウギ』であった――。
……
……
……
ヌー達と会話を行っていたソフィは、その『ミスズ』の声に視線を向けて首を縦に振って頷くのであった。
「確かにソフィ殿の『魔力』を吸収するという『結界』の『効力』は間違いなく反映されているようなのですね。しかしどうやら皆さんの話を聞いていると、今回のソフィ殿に張って頂いた『結界』は従来のものではないという事のようですが、この『結界』はソフィ殿がこの場所を離れて『妖魔山』へ向かう事になった後もしっかりと継続されるものなのでしょうか?」
そう質問を行ったミスズの顔はとても真剣なものであった。
どうやら総長にソフィの『結界』を信じると口にした手前、その『結界』がこれまでのモノとは少し違うと聞かされた今、ミスズは改めて懸念を口にしてソフィに尋ねるのであった。
「確かに我の張った今回の『魔力吸収の地』は、これまでの『魔力吸収の地』とは違うモノではあるが『ミスズ』殿の心配している事に関しては問題はない筈だ。むしろこの『牢』の中に居る者達の『魔力』を使った『技法』に関しては今回の『魔力吸収の地』の方が都合がいい程だ。何も心配は要らぬから安心してくれてよいぞ『ミスズ』殿」
「そうですか。それを聞いて安心しました。感謝致します『ソフィ』殿!」
ミスズはソフィに頭を下げながら丁寧に感謝の言葉を告げるのであった。
「――」(ソフィの言葉を信用せずに自らも試した挙句、この上にまだ文句をつけるつもりだったのかしら?)
ミスズの喋る言葉は理解出来なかった『魔神』だが、ソフィが安心させるような言葉を口にしたことで、先程のミスズの質問の内容を把握したようで『魔神』は忌々しそうに『ミスズ』を睨みつけるのであった。
(まぁそう言うな『魔神』よ。ミスズ殿も組織の上に立つ人間として、しっかりと確認をしなければならぬ立場なのだから、不安な事を尋ねるのは当然の事だ)
『魔神』と直接契約を交わしているソフィは、隣にいる『魔神』に『念話』で説明を行い宥めるのであった。
「それでは見張りにもしっかりとソフィ殿の『結界』の説明を行い、このまま私は総長に報告に行って参りますので、もうしばらくソフィ殿達の部屋でお待ち頂いて構わないでしょうか」
「うむ、了解した。お主らもそれでよいな?」
「ああ……。さっさと戻ろうぜ。こんなやべぇ所に長居もしたくねぇ」
「俺も問題ありませんぜ、旦那! いや、すげぇモノを見させてもらいました、流石です旦那!」
セルバスの言葉を聴いたヌーは、再び嫌そうに顔を歪ませて舌打ちをするのだった。
……
……
……
そしてソフィが『結界』を施し終えた頃、エヴィを伴ったイダラマは『コウヒョウ』にある蔵屋敷の一室で『同志』達の様子を冷ややかに眺めていた。
当初の予定ではこの場に集まった者達で『妖魔山』へ向かう予定だったのだが、イダラマの『同志』であった『ライゾウ』と『フウギ』が『サカダイ』の町にある『妖魔退魔師』の本部の『牢』に捕らえられている『テツヤ』と『タケル』という二人の『妖魔召士』を救出して欲しいと、この『コウヒョウ』の町に居るイダラマ達に助けを求めてきたのであった。
本来は『ライゾウ』と『フウギ』は『イダラマ』に助けを求めてきたのだが、この場には前時代の『妖魔召士』であった『サクジ』という男も居て、彼は相当に目立つ発言を繰り返しているのであった。
この男の事は『ライゾウ』も『フウギ』も当然知ってはいる。
この『ライゾウ』と『フウギ』の両名は元々『リュウジ』という男に従って行動を取っていた『妖魔召士』なのであったが、その従っていた『リュウジ』は『キクゾウ』という男の配下であり、その『キクゾウ』と前時代の妖魔召士組織に属していた『サクジ』という男は齢の差はあれども『同志』となるほどに仲が良かったのである。
当然『キクゾウ』を可愛がっていた『サクジ』は、そのキクゾウの配下であった『リュウジ』も可愛がっていて、そのリュウジに付き従う新人であった『ライゾウ』と『フウギ』は『サクジ』の事を知っていたというわけである。
だが、それでも『ライゾウ』と『フウギ』はあくまで『リュウジ』に付き従っているだけであり、別に『サクジ』の『同志』だとは思ってはいなかった。
あくまでこの『ライゾウ』と『フウギ』がこの『コウヒョウ』の町に救出を求めた相手は『イダラマ』だったのである。
しかしこの場に来たこの両名は、いつの間にか『サクジ』の演説めいた話の神輿にされて何やら利用されてしまっているようだが、この『はぐれ』とはいっても前時代の優秀だった『妖魔召士』達が集まっている場で気後れをしていて主張など出来るような空気ではなくなっていて、話に流されている様子に戸惑っているようであった。
だが、あくまで『ライゾウ』と『フウギ』にしてみれば『サカダイ』の『妖魔退魔師』組織本部の『牢』に閉じ込められている彼の本当の『同志』である『テツヤ』と『タケル』の両名をどういう形であれ救い出せる好機には違いなく、このまま『サクジ』の扇動でその気になっている『妖魔召士』達が『サカダイ』に向かってくれるというのであれば『ライゾウ』達にとってみれば、願ったり叶ったりである。
そして先程『ライゾウ』と『フウギ』は、このままでいいのかと思いながらも『イダラマ』に視線を送ってみたが、どうやらこの状況にどうやら『イダラマ』も反対する様子は見せずにこちらの視線に気づいていたようで、何やら頷いてみせたのだった。
どうやら『イダラマ』の考えはあの『サクジ』という『妖魔召士』にやりたいようにやらせて、そのまま『サカダイ』へ向かえという事なのだろう。
ひとまずはこの話の流れの結論に至るまでは待つ事にしようと考える『ライゾウ』と『フウギ』であった――。
……
……
……
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