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イダラマの同志編
1467.二つの世界の理
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「てめぇ、俺を舐めてんのか?」
「あくまで我が今回試したかったのは『アレルバレル』世界の『理』でしか使えなかった『魔力吸収の地』を本家の『レパート』の世界の『理』に近づけてみたいという謂わば新たな試みでしかなかったのだ」
「じゃあ『妖魔召士』とかいう連中が扱う『捉術』とかいう奴は『理』を用いないんだろうから、結局『魔力』を吸収できないんじゃねぇのかよ?」
「いや『魔力吸収の地』自体の効果は、この世界でも間違いなく機能しておるよ」
再びヌーはソフィの言っている事が理解出来ずに眉を寄せるのだった。
「何で言い切れるんだ? さっき『効力』が明確に変わったか聞いたときは分からねぇって言いやがっただろうが」
「お主も知っての通り、我は『旅籠町』の『予備群』の屯所全域に『魔力吸収の地』を張っていたが、どうやら『アレルバレル』の『理』を用いた時の従来の『魔力吸収の地』では、あの場所で『魔法』を使用した場合は、直ぐに我にその使用した『魔力』に加えてその相手の情報等も全て我の元に入ってくるのだがな、今回あの『旅籠町』に施している『魔力吸収の地』では、確かに微量ではあるが『魔力』を吸収している感覚はあるが『魔力探知』や『魔力感知』などの効力などが失っているようなのだ。入ってきている『魔力』も殺傷能力がある程のモノではなく、ほんの僅かなモノである為に、何かの間違いで『魔力』を使用した者が『予備群』の中に居たのだろうくらいにしか思ってはいなかったのだ」
「何だそりゃ……。つまりお前の別世界の『理』を組み合わせた新たな『死の結界』とやらは『魔力』を使った『技法』に対して、お前に全て奪われるってのは変わらねぇんだな?」
「ああ。それは間違いない。しかし新たな『魔力吸収の地』では奪った相手の情報は分からぬし、もう少し色々と実際に使ってみなければ何が変わっているのか詳しくは分からぬという事だ」
「どっちにしろ、従来の『死の結界』も新たに生み出した『死の結界』にしても『死の結界』は『死の結界』のままって考えでいいわけだな?」
「そういう事になるな。フルーフかエルシスが居ればもっと分かることもあるだろうが、今はひとまず相手の『魔力』を使った『ありとあらゆる手段』を全て遮断させられる事だけ分かっていればそれでよいと思っている。まぁ我の『魔力』を上回る程の存在が居れば、我の『魔力吸収の地』の効力ごと掻き消されてしまうだろうが、そこまでされれば流石に相手の魔力を探知出来るだろうしな」
ソフィはそう言って最後に『レパート』の『理』を用いていた右手の『魔力』を消すと、静かに息を整えるのであった。
「しかし……、同じ『魔法』を使う為に別世界の『理』を組み合わせるか……。そんな発想はなかったな」
そう言って『結界』の張っている部屋からヌーは出ていき廊下に立つと、先程のソフィと同じように別世界の『理』を用いて何やら『極大魔法』を発動させようと『スタック』を始めるのだった。
「おい、お主……」
「分かっている。実際に放つ気はねぇよ。そもそもこの場でお前らの居る場所に放ったところで『魔神』の『結界』に妨げられるだろうし、それにそこまで本気で『魔力』を使う気はねぇしな」
どうやらソフィの話と実際に二つの世界の『理』を用いた『技法』を見たヌーは、実際に自分でも試してみたくなったのだろう。
この場に来た目的を忘れたように、自分のやりたい事を優先し始めた。
「そういう意味ではないのだが……、まぁよいか」
何やらこの後に確実に起きる事を予見したソフィが、ヌーの行いに待ったをかけようとしたが、どうやら自分で理解した方がいいだろうと思い直して、伸ばしかけた手を引っ込めるのであった。
「まさかこういった方法を思いつくとはな。だが、てめぇと違って俺は『アレルバレル』の世界と『リラリオ』の世界だけではなく、あらゆる世界を回ってきている。てめぇ如きに出来て俺に出来ない事はねぇはずだ」
ほくそ笑みながらヌーは『スタック』させた『魔力』を用いて、先程のソフィがして見せた事と同様に、それぞれ違う二つの『世界』の『理』を用いて『発動羅列』を浮かび上がらせようとした。
――その瞬間であった。
「!?」
大魔王『ヌー』の『スタック』していた『魔力』が『魔法陣』に吸い込まれた瞬間に制御が出来なくなり、あっという間に暴発を引き起こしそうになる。
「――!?」(ヌー!?)
慌てて『死神』の『テア』がヌーに駆け寄ろうとしたが、暴発に巻き込まれないようにヌーは手で制止をして『テア』をそれ以上に近づけなくしながら、自身は懸命に『魔力コントロール』に意識を注ぐ。
流石は『三色併用』や、新たに『紅』を用いてその『三色併用』の『短縮』という『技法』を編み出せるだけのポテンシャルを秘めている『ヌー』だけあって、二つの『理』を混ぜ合わせる事で生じた弊害には、現在の自分ではまだ到底制御がしきれないと判断出来て、直ぐにその場を収める為に対処を開始した。
これが『戦力値』だけに意識を向けているような『魔王』であったならば、今頃はこの場で『魔力暴発』を引き起こして大爆発を生じさせていたであろう。
――下手をすれば自爆で死んでいたかもしれない。
しかしそこは『魔神級』に足を踏み入れているだけあって、彼は自身が引き起こした失敗に対して上手く対処を行い、無事に事なきを得たのであった。
だが、そのヌーの表情は曇っていて、ソフィに出来た事が出来ない自分に納得いかず、不満そうな表情を浮かべていた。
……
……
……
「あくまで我が今回試したかったのは『アレルバレル』世界の『理』でしか使えなかった『魔力吸収の地』を本家の『レパート』の世界の『理』に近づけてみたいという謂わば新たな試みでしかなかったのだ」
「じゃあ『妖魔召士』とかいう連中が扱う『捉術』とかいう奴は『理』を用いないんだろうから、結局『魔力』を吸収できないんじゃねぇのかよ?」
「いや『魔力吸収の地』自体の効果は、この世界でも間違いなく機能しておるよ」
再びヌーはソフィの言っている事が理解出来ずに眉を寄せるのだった。
「何で言い切れるんだ? さっき『効力』が明確に変わったか聞いたときは分からねぇって言いやがっただろうが」
「お主も知っての通り、我は『旅籠町』の『予備群』の屯所全域に『魔力吸収の地』を張っていたが、どうやら『アレルバレル』の『理』を用いた時の従来の『魔力吸収の地』では、あの場所で『魔法』を使用した場合は、直ぐに我にその使用した『魔力』に加えてその相手の情報等も全て我の元に入ってくるのだがな、今回あの『旅籠町』に施している『魔力吸収の地』では、確かに微量ではあるが『魔力』を吸収している感覚はあるが『魔力探知』や『魔力感知』などの効力などが失っているようなのだ。入ってきている『魔力』も殺傷能力がある程のモノではなく、ほんの僅かなモノである為に、何かの間違いで『魔力』を使用した者が『予備群』の中に居たのだろうくらいにしか思ってはいなかったのだ」
「何だそりゃ……。つまりお前の別世界の『理』を組み合わせた新たな『死の結界』とやらは『魔力』を使った『技法』に対して、お前に全て奪われるってのは変わらねぇんだな?」
「ああ。それは間違いない。しかし新たな『魔力吸収の地』では奪った相手の情報は分からぬし、もう少し色々と実際に使ってみなければ何が変わっているのか詳しくは分からぬという事だ」
「どっちにしろ、従来の『死の結界』も新たに生み出した『死の結界』にしても『死の結界』は『死の結界』のままって考えでいいわけだな?」
「そういう事になるな。フルーフかエルシスが居ればもっと分かることもあるだろうが、今はひとまず相手の『魔力』を使った『ありとあらゆる手段』を全て遮断させられる事だけ分かっていればそれでよいと思っている。まぁ我の『魔力』を上回る程の存在が居れば、我の『魔力吸収の地』の効力ごと掻き消されてしまうだろうが、そこまでされれば流石に相手の魔力を探知出来るだろうしな」
ソフィはそう言って最後に『レパート』の『理』を用いていた右手の『魔力』を消すと、静かに息を整えるのであった。
「しかし……、同じ『魔法』を使う為に別世界の『理』を組み合わせるか……。そんな発想はなかったな」
そう言って『結界』の張っている部屋からヌーは出ていき廊下に立つと、先程のソフィと同じように別世界の『理』を用いて何やら『極大魔法』を発動させようと『スタック』を始めるのだった。
「おい、お主……」
「分かっている。実際に放つ気はねぇよ。そもそもこの場でお前らの居る場所に放ったところで『魔神』の『結界』に妨げられるだろうし、それにそこまで本気で『魔力』を使う気はねぇしな」
どうやらソフィの話と実際に二つの世界の『理』を用いた『技法』を見たヌーは、実際に自分でも試してみたくなったのだろう。
この場に来た目的を忘れたように、自分のやりたい事を優先し始めた。
「そういう意味ではないのだが……、まぁよいか」
何やらこの後に確実に起きる事を予見したソフィが、ヌーの行いに待ったをかけようとしたが、どうやら自分で理解した方がいいだろうと思い直して、伸ばしかけた手を引っ込めるのであった。
「まさかこういった方法を思いつくとはな。だが、てめぇと違って俺は『アレルバレル』の世界と『リラリオ』の世界だけではなく、あらゆる世界を回ってきている。てめぇ如きに出来て俺に出来ない事はねぇはずだ」
ほくそ笑みながらヌーは『スタック』させた『魔力』を用いて、先程のソフィがして見せた事と同様に、それぞれ違う二つの『世界』の『理』を用いて『発動羅列』を浮かび上がらせようとした。
――その瞬間であった。
「!?」
大魔王『ヌー』の『スタック』していた『魔力』が『魔法陣』に吸い込まれた瞬間に制御が出来なくなり、あっという間に暴発を引き起こしそうになる。
「――!?」(ヌー!?)
慌てて『死神』の『テア』がヌーに駆け寄ろうとしたが、暴発に巻き込まれないようにヌーは手で制止をして『テア』をそれ以上に近づけなくしながら、自身は懸命に『魔力コントロール』に意識を注ぐ。
流石は『三色併用』や、新たに『紅』を用いてその『三色併用』の『短縮』という『技法』を編み出せるだけのポテンシャルを秘めている『ヌー』だけあって、二つの『理』を混ぜ合わせる事で生じた弊害には、現在の自分ではまだ到底制御がしきれないと判断出来て、直ぐにその場を収める為に対処を開始した。
これが『戦力値』だけに意識を向けているような『魔王』であったならば、今頃はこの場で『魔力暴発』を引き起こして大爆発を生じさせていたであろう。
――下手をすれば自爆で死んでいたかもしれない。
しかしそこは『魔神級』に足を踏み入れているだけあって、彼は自身が引き起こした失敗に対して上手く対処を行い、無事に事なきを得たのであった。
だが、そのヌーの表情は曇っていて、ソフィに出来た事が出来ない自分に納得いかず、不満そうな表情を浮かべていた。
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