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サカダイ編
1312.ソフィの知る鬼人
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「成程。妖魔召士に強制的に契約させられて『式』にされた貴方の同胞を探すために、貴方は『妖魔山』から下りてきて貴方自らも『妖魔召士』の『式』となったというわけですか」
決死の思いで同胞の事を告げたのだろう。鬼人の妖魔は『ミスズ』達に話終えた後に、緊張の面持ちを見せながら、何度も首を縦に振って見せるのであった。
「もしかすると俺が『ミョウイ』殿と契約を交わした後に、あいつが『妖魔山』に戻ったという可能性もあるのだが、もしまだ戻っていないとするならば、お主らにあやつの体貌を教えるからその容姿に近い『鬼人』を見かけたならば、少しだけ討伐を行うのを待って確認だけをとるようにしてもらえないだろうか! も、もちろん何か人間を傷つけるような真似をしていたとするならば、討伐をされても仕方ないと割り切ってはいる! し、しかしアイツは自分から人間を傷つけようと考える奴じゃないんだ! 操られでもしない限りは絶対に……!」
必死に早口で捲し立てるように目の前の『鬼人』の妖魔は『同胞』のことを助けてくれと口にする。その様子はまるで『妖魔』の筈なのに、中身は同じ人間のようだとミスズは考えるのであった。
「全国に散らばる組織に属する者達に伝令は出しますが、それはあくまで容姿を伝えて事情を説明するだけです。貴方という妖魔を認めたからといって、その同胞の方まで優遇するつもりは『妖魔退魔師』組織にはないということだけはご留意願います」
それはつまり『同胞』のことを見つけられたとしても、その鬼人が悪さを行っていたり、討伐されても仕方がない事を行っていた場合は、妖魔退魔師としての務めを果たさせてもらうという組織の『副総長』としての言葉であった。
「あ、ああ……! もちろんそれで構わない。全国の予備群とやら達に伝えてもらえるだけでも何もしないことに比べたら非常にありがたいことだ! お、俺も今後知り合いの『鬼人』には、人間を極力襲うなと触れ回ると約束する。鬼人は一度認めたことを絶対に撤回しないし、仲間を裏切るような真似はしない! 約束する」
拳をぎゅっと握りながら、ミスズの目をしっかりと見て気持ちを伝える鬼人であった。
「結構。申し訳ありませんがこちらも差し迫った問題が色々とありますので、貴方の同胞の体貌だけ教えておいてください。そしてこの件はこれで一度閉じさせて頂きたいのですが構いませんね?」
元々ミスズは『キョウカ』のことや、それこそケイノトに現れたのであろう『ヒュウガ一派』のことを優先するつもりだった。しかしそのキョウカの頼みでここまで隊士を運んでくれたこの鬼人のことを汲んでここまで最優先したのである。その上で同胞の話まで持ち出されては、流石に話は変わってくると釘を刺したのであった。
「あ、ああ! まず同胞の名は『動忍鬼』という。見た目は人間でいえば十代に差し掛かった少女で……」
全国に散らばる『妖魔退魔師』組織に属する予備群達にも伝えてもらうことになったことで、これまでよりも見つかる可能性が高くなるだろうと表情に現れる程に嬉しさを露にしながら、その『鬼人』は同胞のことをこの場で伝え始めたが、そこでこの場で話を聞いていた『ソフィ』は驚いた表情を浮かべると、隣で同じく話を聞いていた『ヌー』と顔を見合わせるのだった。
「お主がいま呼んだ『動忍鬼』という名の同胞とは、これくらいの長さの鉈を持っていて一本角が頭から生えているのが特徴的な、小柄な人間の少女のように見える鬼のことか?」
「えっ……?」
ミスズやシゲンに『同胞』の容姿の説明を行っていたところに、背後からまだ喋っていない『同胞』の特徴のことを告げられて、人間の青年に見えるソフィの顔を見ながら驚きの声をあげる『鬼人』であった。
「もしお主の同胞とやらが我の知っている『動忍鬼』であれば、我はその鬼人とやらと最近会ったところなのだ」
ソフィはこの『ノックス』の世界に来た最初の森で、タクシンという『特別退魔士』に無理やり従わされていた『妖魔』のことを考えてそう告げるのであった。
決死の思いで同胞の事を告げたのだろう。鬼人の妖魔は『ミスズ』達に話終えた後に、緊張の面持ちを見せながら、何度も首を縦に振って見せるのであった。
「もしかすると俺が『ミョウイ』殿と契約を交わした後に、あいつが『妖魔山』に戻ったという可能性もあるのだが、もしまだ戻っていないとするならば、お主らにあやつの体貌を教えるからその容姿に近い『鬼人』を見かけたならば、少しだけ討伐を行うのを待って確認だけをとるようにしてもらえないだろうか! も、もちろん何か人間を傷つけるような真似をしていたとするならば、討伐をされても仕方ないと割り切ってはいる! し、しかしアイツは自分から人間を傷つけようと考える奴じゃないんだ! 操られでもしない限りは絶対に……!」
必死に早口で捲し立てるように目の前の『鬼人』の妖魔は『同胞』のことを助けてくれと口にする。その様子はまるで『妖魔』の筈なのに、中身は同じ人間のようだとミスズは考えるのであった。
「全国に散らばる組織に属する者達に伝令は出しますが、それはあくまで容姿を伝えて事情を説明するだけです。貴方という妖魔を認めたからといって、その同胞の方まで優遇するつもりは『妖魔退魔師』組織にはないということだけはご留意願います」
それはつまり『同胞』のことを見つけられたとしても、その鬼人が悪さを行っていたり、討伐されても仕方がない事を行っていた場合は、妖魔退魔師としての務めを果たさせてもらうという組織の『副総長』としての言葉であった。
「あ、ああ……! もちろんそれで構わない。全国の予備群とやら達に伝えてもらえるだけでも何もしないことに比べたら非常にありがたいことだ! お、俺も今後知り合いの『鬼人』には、人間を極力襲うなと触れ回ると約束する。鬼人は一度認めたことを絶対に撤回しないし、仲間を裏切るような真似はしない! 約束する」
拳をぎゅっと握りながら、ミスズの目をしっかりと見て気持ちを伝える鬼人であった。
「結構。申し訳ありませんがこちらも差し迫った問題が色々とありますので、貴方の同胞の体貌だけ教えておいてください。そしてこの件はこれで一度閉じさせて頂きたいのですが構いませんね?」
元々ミスズは『キョウカ』のことや、それこそケイノトに現れたのであろう『ヒュウガ一派』のことを優先するつもりだった。しかしそのキョウカの頼みでここまで隊士を運んでくれたこの鬼人のことを汲んでここまで最優先したのである。その上で同胞の話まで持ち出されては、流石に話は変わってくると釘を刺したのであった。
「あ、ああ! まず同胞の名は『動忍鬼』という。見た目は人間でいえば十代に差し掛かった少女で……」
全国に散らばる『妖魔退魔師』組織に属する予備群達にも伝えてもらうことになったことで、これまでよりも見つかる可能性が高くなるだろうと表情に現れる程に嬉しさを露にしながら、その『鬼人』は同胞のことをこの場で伝え始めたが、そこでこの場で話を聞いていた『ソフィ』は驚いた表情を浮かべると、隣で同じく話を聞いていた『ヌー』と顔を見合わせるのだった。
「お主がいま呼んだ『動忍鬼』という名の同胞とは、これくらいの長さの鉈を持っていて一本角が頭から生えているのが特徴的な、小柄な人間の少女のように見える鬼のことか?」
「えっ……?」
ミスズやシゲンに『同胞』の容姿の説明を行っていたところに、背後からまだ喋っていない『同胞』の特徴のことを告げられて、人間の青年に見えるソフィの顔を見ながら驚きの声をあげる『鬼人』であった。
「もしお主の同胞とやらが我の知っている『動忍鬼』であれば、我はその鬼人とやらと最近会ったところなのだ」
ソフィはこの『ノックス』の世界に来た最初の森で、タクシンという『特別退魔士』に無理やり従わされていた『妖魔』のことを考えてそう告げるのであった。
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