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プロポーズ編

485.語られた真相

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「まさか『が分かったのか!」

 ソフィが大きな声をあげて椅子から立ち上がる。

「これはあくまで、ワシが独自に調べて得た情報なんじゃがな。組織の連中がこの僅かな期間でワシら『魔王軍』を追い抜く程の戦力を増強出来たのは、お主と仲が良かったフルーフが関係しておるようじゃ」

 ソフィにとって『組織』の者達の強さを語られてもピンとは来ない。他者を別世界へと跳ばす魔法は面倒だと思うが、それ以外にからである。

 あくまで組織の総帥という立場に居る『ミラ』という男が執念深く、そして巧妙な手口を使うので、面倒な奴だと思っているくらいである。

 その証拠に先日戦った『など、ソフィからすれば

 結界を施してその中で対峙した瞬間に、ソフィの中では興味は無くなり『ことわり』の成果を確認するに至ったくらいであった。

 しかしそれでもディアトロスが脅威だと認めている以上は、現時点では『魔王軍』にとっては、無視出来ない程に強くなっているという事なのだろう。

 この話を聞いてソフィは、組織がどう強くなったという話よりも、フルーフが奴らに関係しているという事のほうが、より重要な情報になるのだった。

「そういえば『ヌー』の奴がこの前にこの世界へ来た時に、フルーフの事をどうとかこうとか言っていた気がするな」

 ソフィがそう言うとディアトロスは一瞬驚いた様子を見せたが、直ぐに納得するような表情に変わっていった。

「フルーフのような男が自発的に組織の若造達に手を貸しているとは思えぬ。奴らはフルーフを利用する目的で連れ去り、洗脳か暗示等を用いて強引に協力させているとワシは思うておる」

 ソフィはその言葉を聞いて、ヌーの言葉を思い出す。確かに奴はレアと戦っていたソフィの前で、レアを滑稽と罵り、を繰り返していた。

 もしヌーやミラが組織に属する配下達の力の向上のために『魔』の天才であるフルーフを連れ去り、強引に働かせているのだとしたら許されざる行為である。

「ディアトロスよ、もしその話が本当であれば、我はミラだけではなく、

 ――ソフィがそう口にした瞬間、その場に居た『ディアトロス』を含めた全員が背筋を凍らせた。

 口調を荒げるような大きな声を出したわけでもなく、ただ単に決定事項を口にしただけだというのに、それは明確な殺意が込められていた。

『九大魔王』としてこの場に居る魔族全員が、世界を支配出来る程の力を持っているというのに、彼らの主が発した言葉の意味を耳から、脳へと情報が届けられて理解した瞬間に、言いようのない恐怖が襲い掛かったのである。

 直接自分達を消滅させると言われた訳でもないのに、ソフィが行うであろう殺意ある行為を想像しただけで、この場から離れて今聞いた言葉をすぐ様忘れてしまいたくなるような、そんな経験をこの場に居る全員が味わうのであった。

 ディアトロスはこの後に話そうとしていた言葉が口から中々出す事が出来ずに、カタカタと手を震わせている事を周りに知られないように必死で隠す事が精一杯であった。

「特に『ミラ』だけは駄目だ。あいつはレアを二度も狙っておる。我は必ず許すわけにはいかぬ!」

 とばかりに『ディアトロス』は立ち上がってソフィの言葉を遮る。

「ま、待て! 分かっておる!! ワシらもあやつらを許すつもりはないのだ! ソフィよ! 落ち着くんじゃ!」

「そ、そうですソフィ様! お願いですから落ち着いて下さい!!」

 リーシャは泣きそうな、いやうっすらとすでに涙を浮かべているリーシャが、ディアトロスの言葉に同調する。

 そしてイリーガルでさえ、少し肩が震えていた。

 ――ブラストもまた身体を震わせていたが、

(ゆ、許さん……! 殺す、必ず殺す! 必ず殺してやる……!! 心優しきソフィ様を、ここまで苦しめた者は絶対に許さんぞ!!)

 ソフィの痛い程伝わってくるミラへの殺意をその身に受けて、ソフィと同じように、いやそれ以上にブラストは、ミラへの『破壊』の衝動に打ち震えていたのだった。

「すまぬな、少しばかり気分が昂ってしまったらしい」

 配下達に落ち着くように言われたソフィは、自分が知らず知らずの内にこの場に必要以上の殺意の感情を持ち込んでしまい、周りに気を遣わせてしまったと反省するのだった。

「ワシら九大魔王はお主と共に生きていく事を誓った者達じゃ。お前が敵と認めた者はワシらにとっても敵なんじゃからな。いずれ決着をつけようではないか」

 ディアトロスはソフィの目を見て、気持ちは一緒だという事を伝えるのだった。

「ああ。すまぬな、宜しく頼む」

 ソフィの言葉に九大魔王一同は、同時に頷きを返すのだった。
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