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リラリオの魔王編
338.桁違いの魔力を持つレア
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「覚悟は出来ておるのだろうな? 『魔』の管理をする我ら精霊に、舐めた態度を取ったお前は万死に値するぞ?」
精霊王『ヴィヌ』はどうやら個人としてであれば、魔人族の王であった『シュケイン』よりも強いかもしれない。
結界の内側から多くの精霊達が、レアに対して憎悪の視線を送り続けている。
(精霊全員を相手に青なしの通常形態で、戦うのは少し厳しいかしらねぇ……)
その視線をまともに受けているというのに、冷静に精霊達の分析を進めるレアであった。
【種族:精霊 名前:火精霊 魔力値:1100万 戦力値:3200万】
【種族:精霊 名前:水精霊 魔力値:1200万 戦力値:2800万】
【種族:精霊 名前:土精霊 魔力値:1050万 戦力値:2600万】
【種族:精霊 名前:風精霊 魔力値:1450万 戦力値:3000万】
【種族:精霊 名前:バーン(火の精霊長老)魔力値:2400万
戦力値:1億5500万 所属:トーリエ大陸】。
【種族:精霊 名前:リューカ(水の精霊長老)魔力値:2500万
戦力値:1億3500万 所属:トーリエ大陸】。
【種族:精霊 名前:ディガンダ(土の精霊長老)魔力値:2200万
戦力値:1億2500万 所属:トーリエ大陸】。
【種族:精霊 名前:トネール(風の精霊長老)魔力値:2800万
戦力値:1億4500万 所属:トーリエ大陸】。
【種族:精霊(王) 名前:ヴィヌ 魔力値:4000万
戦力値:3億4800万 所属:トーリエ大陸】。
精霊王を守るように立つ四体の精霊は、魔人の『幹部級』達が『スクアード』を使った状況と比較しても強いが、有象無象のように多くいる精霊達はどうやら『下級兵』の魔人より弱そうだった。
レアはこれだけ多くの精霊達に囲まれて殺気を向けられているというのに、全く焦りは見られない。それどころかこの状況だというのにレアは、自分の力をどこまで抑えた状態で戦えるかとまるでゲームをするような感覚でいたのだった。
(ある程度は精霊を残しておかないと『理』が使えなくなるかもしれないからねぇ)
ひとまずレアは精霊王とその周りにいる大きな魔力を持った精霊達を生かす事に決めた。その上でレアは少し精霊の『理』を直接味わっておこうと考えるのだった。
「さて……。それじゃあまずは邪魔な結界だけは、消しておかないといけないかしらねぇ」
レアは無詠唱で手を前に突き出し魔力を込める。
レアの魔力が込められた閃光が、トーリエを覆う結界に向けて放たれた。バチバチと音を立てながら閃光は、あっさりとトーリエを覆う結界を打ち砕く。
爆音が鳴り響き結界は消えてなくなり、精霊たちは驚きを隠せずレアを見る。
「あっさりと我らの結界を突破するか。どうやらあの映像は、紛い物ではなかったようだな」
精霊王ヴィヌがそう言うと戦闘態勢に入る。
「だが侮るなよ魔族! 我らの『理』を馬鹿にした報い、我らの魔法を以て受けてもらう!」
そういうと精霊王ヴィヌだけではなく『火』『水』『土』『風』の精霊長老達もまた詠唱を始める。
――そして。
一斉にこの世界の『魔』を管理する最上位に位置する精霊達はレアに向けて魔法を放つのだった。
一定距離を保った状態から数百、数千というあらゆる属性を持つ精霊達が、個々に魔法を放つのだ。魔王の領域へと昇華した『エリス』であっても、精霊達の一斉放火に耐えられはしないだろう。まだまだこの世界の魔族が、精霊を相手にするには時期尚早だと言えた。
――では何故レアはエリスを連れてきたか。それが今回の戦いにおいて、最も重要な軸話となるだろう。
…………
レアはちらりと背後で苦しそうにしているエリスを見る。目の前では精霊達が、レア達に向けて魔法を放つ詠唱をしているがそちらに意識を割いている様子はない。精霊王はそのレアの様子に注目する。
(何故ここから離れようとはしない? いや、奴ほどの魔力であれば即座に対策を取れるはずだが……)
精霊王はレアという魔王の魔力は認めている。魔人達を一斉に葬ったあの魔法は、確かに精霊とは異なる『理』を用いており、今までの魔族達とは一線を画している事に反論の余地はない。
しかし今戦っているのは魔人ではなく、魔法に対して『耐魔』を持っている精霊達である。レアが如何に魔力が高かろうとも、この『魔』に優れた精霊達を一斉に葬る事など不可能だろう。
すぐに障壁を張り距離を取るだろうと睨んでいたヴィヌは、余所見をしているレアを見て腑に落ちなかった。
「いい? エリスちゃん?『魔』には色々な使い方があるのよぉ、苦しいのは分かるけど頑張って顔を上げなさい? そして貴方が『魔王』としての自覚を持つ為に、私の戦い方を覚えなさい」
レアにそう言われて何とか頷くと、言われた通りにエリスは顔を上げた。
「いい子よぉ! さて、それじゃあやりますかぁ!」
エリスが学ぶ意思を見せたことで、ようやくレアは視線を精霊達に向ける。
目は燃えるような『紅』に染まっていた。
そして精霊達は詠唱を終えたものから順番に次々とレアに向けて魔法を放ち始める。
――最上位魔法『雷撃閃光』。
――最上位魔法『氷華暴吹雪』。
――最上位魔法『迸る炎』。
――最上位魔法『吹き荒れる突風』。
四元素からなる精霊の最上位魔法が、膨大な魔力を灯しながら至る所から発動される。天候が変わり、雨雲が生まれたかと思うとすぐに嵐が吹き荒れる。そして回避が出来ないほどの突風が、レアを中心に吹き荒れ始めて、凍結させるほどの吹雪がレアの足を止める。
さらには意思を持っているか如く、炎がレアの周りに渦を巻き始めて完全に包囲する。そこに、空から一筋の閃光がレアに注がれた。
――完全に全方位への回避を不可能にされた挙句に天からの一撃である。
これこそが自然と世界の『理』を司る精霊達の恐ろしいところであった。この世界にある四元素の属性全てが結託して、一つの結果を導くために共伝する。
誰が見ても最早どうしようもないであろう。
――まさにこれこそが自然の一撃といえた。
エリスは精霊の恐ろしさを肌で感じながらも、レアを信じその身を寄せる。
「まず、動きを止められないように動くのが基本なんだけどぉ、自分より数が多かったり、先手を取られた場合はねぇ、避ける事は頭から除外するのよぉ? まずは自分の攻撃である程度威力を殺すの」
――超越魔法『終焉の雷』。
――超越魔法『終焉の炎』。
瞬間、レアを囲んでいた精霊の炎は更なる膨大な魔力を持った炎に吸われて掻き消される。
そして光速で放たれた雷を後から発動された、別の雷が比較にならない程の速度と威力から放たれて見事に相殺される。
「これでひとまずは命を脅かす脅威はなくなったでしょぉ?」
まるでレアはエリスに対して精霊という教材を使って、授業をするかの如く説明を始める。
周囲は吹雪や突風が吹き荒れてはいるが、確かに雷のように一撃で絶命する心配はない程のダメージであった。
「まあ、私程になれば全て無効化させることは造作もないんだけどぉ、貴方にはまずこれくらいは、出来るようになってほしいからねぇ」
「す、すごい……!」
エリスはあれほどの魔法をあっさりと対処して見せたレアに驚きを隠し切れなかった。
精霊達は今の攻撃で完全に仕留めたと思っていた為に、追撃を怠ってしまった。まずいと思った時にはすでに遅く、レアは笑みを浮かべながら反撃に出る。
――超越魔法、『崩落万象』。
キィイインという音と共に魔法陣が浮かび上がり、精霊を中心に魔法陣が明滅し始めたかと思うと次の瞬間には大爆発を起こすのだった。
精霊達はその爆発に巻き込まれてその数を大きく減らしてしまう。
しかし精霊達はそれで戦意が失うことはなく、あらゆる属性の精霊達は再びレア達の周りを囲むように移動して次々と魔法の詠唱を始めた。
「我ら精霊に『魔』で挑む以上、ただで済むと思うなよ!」
『火』の精霊長老『バーン』はそう告げると、同胞達が稼いでくれた時間を利用して完成させた魔法を放つのだった。
――最上位魔法、『迸る炎渦爆』。
炎の渦が激しくレアの周囲を取り囲みながら、徐々にその形態を円状に変えてレアに迫っていく。
「はっ! 時間をかけてこの程度の炎? 仮にも『魔』を管理する存在だというのならば、時間をかけずにこれくらいは放ちなさぁい!」
――超越魔法、『炎帝の爆炎』。
レアが無詠唱で放った魔法が発動して炎の番人が出現する。彼女を囲みながら徐々に迫ってくる円情の炎を一睨みしたかと思えば、炎の番人は笑みを浮かべるのだった。
そしてバーンが放った『迸る炎渦爆』がレアとエリス、そして番人を飲み込んだかのように見えたが、次の瞬間には炎の番人はその炎を全て吸収していく。
「な……! わ、わしの炎が吸われていく!?」
精霊長老の放った炎はすべて番人に吸収された。そしてそれで終わりでは無く――。
炎の番人は今度は手の平を上にあげると、炎の玉をいくつも具現化し恐ろしい速度で放ち始めた。
その炎の火球一発一発がレア達を囲んでいる精霊達に直撃していく。取り囲んでいる精霊は、一般精霊であっても魔力値1000万を超えており、それぞれがある程度優れた『耐魔』を持っている。
しかしそんなものは全く関係がないとばかりに、番人の火球に当たった精霊は、その場から消滅させられていくのだった。
「アハハハ! さぁ、いくわよぉ!」
すでにレアを囲んでいた精霊達は全滅して、更にレアの魔力は膨れ上がっていく。まさにこれからが本番だと言わんばかりにレアは嗤う。
そのつんざくような笑い声に、精霊長老達は苦渋の表情を浮かべ始める。
――これが『魔王』レアか!
魔人を屠った映像は真実だったのだと、顔を歪めながら化け物のような強さを持つ幼女を睨む精霊達であった。
精霊王『ヴィヌ』はどうやら個人としてであれば、魔人族の王であった『シュケイン』よりも強いかもしれない。
結界の内側から多くの精霊達が、レアに対して憎悪の視線を送り続けている。
(精霊全員を相手に青なしの通常形態で、戦うのは少し厳しいかしらねぇ……)
その視線をまともに受けているというのに、冷静に精霊達の分析を進めるレアであった。
【種族:精霊 名前:火精霊 魔力値:1100万 戦力値:3200万】
【種族:精霊 名前:水精霊 魔力値:1200万 戦力値:2800万】
【種族:精霊 名前:土精霊 魔力値:1050万 戦力値:2600万】
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戦力値:1億5500万 所属:トーリエ大陸】。
【種族:精霊 名前:リューカ(水の精霊長老)魔力値:2500万
戦力値:1億3500万 所属:トーリエ大陸】。
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戦力値:1億4500万 所属:トーリエ大陸】。
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戦力値:3億4800万 所属:トーリエ大陸】。
精霊王を守るように立つ四体の精霊は、魔人の『幹部級』達が『スクアード』を使った状況と比較しても強いが、有象無象のように多くいる精霊達はどうやら『下級兵』の魔人より弱そうだった。
レアはこれだけ多くの精霊達に囲まれて殺気を向けられているというのに、全く焦りは見られない。それどころかこの状況だというのにレアは、自分の力をどこまで抑えた状態で戦えるかとまるでゲームをするような感覚でいたのだった。
(ある程度は精霊を残しておかないと『理』が使えなくなるかもしれないからねぇ)
ひとまずレアは精霊王とその周りにいる大きな魔力を持った精霊達を生かす事に決めた。その上でレアは少し精霊の『理』を直接味わっておこうと考えるのだった。
「さて……。それじゃあまずは邪魔な結界だけは、消しておかないといけないかしらねぇ」
レアは無詠唱で手を前に突き出し魔力を込める。
レアの魔力が込められた閃光が、トーリエを覆う結界に向けて放たれた。バチバチと音を立てながら閃光は、あっさりとトーリエを覆う結界を打ち砕く。
爆音が鳴り響き結界は消えてなくなり、精霊たちは驚きを隠せずレアを見る。
「あっさりと我らの結界を突破するか。どうやらあの映像は、紛い物ではなかったようだな」
精霊王ヴィヌがそう言うと戦闘態勢に入る。
「だが侮るなよ魔族! 我らの『理』を馬鹿にした報い、我らの魔法を以て受けてもらう!」
そういうと精霊王ヴィヌだけではなく『火』『水』『土』『風』の精霊長老達もまた詠唱を始める。
――そして。
一斉にこの世界の『魔』を管理する最上位に位置する精霊達はレアに向けて魔法を放つのだった。
一定距離を保った状態から数百、数千というあらゆる属性を持つ精霊達が、個々に魔法を放つのだ。魔王の領域へと昇華した『エリス』であっても、精霊達の一斉放火に耐えられはしないだろう。まだまだこの世界の魔族が、精霊を相手にするには時期尚早だと言えた。
――では何故レアはエリスを連れてきたか。それが今回の戦いにおいて、最も重要な軸話となるだろう。
…………
レアはちらりと背後で苦しそうにしているエリスを見る。目の前では精霊達が、レア達に向けて魔法を放つ詠唱をしているがそちらに意識を割いている様子はない。精霊王はそのレアの様子に注目する。
(何故ここから離れようとはしない? いや、奴ほどの魔力であれば即座に対策を取れるはずだが……)
精霊王はレアという魔王の魔力は認めている。魔人達を一斉に葬ったあの魔法は、確かに精霊とは異なる『理』を用いており、今までの魔族達とは一線を画している事に反論の余地はない。
しかし今戦っているのは魔人ではなく、魔法に対して『耐魔』を持っている精霊達である。レアが如何に魔力が高かろうとも、この『魔』に優れた精霊達を一斉に葬る事など不可能だろう。
すぐに障壁を張り距離を取るだろうと睨んでいたヴィヌは、余所見をしているレアを見て腑に落ちなかった。
「いい? エリスちゃん?『魔』には色々な使い方があるのよぉ、苦しいのは分かるけど頑張って顔を上げなさい? そして貴方が『魔王』としての自覚を持つ為に、私の戦い方を覚えなさい」
レアにそう言われて何とか頷くと、言われた通りにエリスは顔を上げた。
「いい子よぉ! さて、それじゃあやりますかぁ!」
エリスが学ぶ意思を見せたことで、ようやくレアは視線を精霊達に向ける。
目は燃えるような『紅』に染まっていた。
そして精霊達は詠唱を終えたものから順番に次々とレアに向けて魔法を放ち始める。
――最上位魔法『雷撃閃光』。
――最上位魔法『氷華暴吹雪』。
――最上位魔法『迸る炎』。
――最上位魔法『吹き荒れる突風』。
四元素からなる精霊の最上位魔法が、膨大な魔力を灯しながら至る所から発動される。天候が変わり、雨雲が生まれたかと思うとすぐに嵐が吹き荒れる。そして回避が出来ないほどの突風が、レアを中心に吹き荒れ始めて、凍結させるほどの吹雪がレアの足を止める。
さらには意思を持っているか如く、炎がレアの周りに渦を巻き始めて完全に包囲する。そこに、空から一筋の閃光がレアに注がれた。
――完全に全方位への回避を不可能にされた挙句に天からの一撃である。
これこそが自然と世界の『理』を司る精霊達の恐ろしいところであった。この世界にある四元素の属性全てが結託して、一つの結果を導くために共伝する。
誰が見ても最早どうしようもないであろう。
――まさにこれこそが自然の一撃といえた。
エリスは精霊の恐ろしさを肌で感じながらも、レアを信じその身を寄せる。
「まず、動きを止められないように動くのが基本なんだけどぉ、自分より数が多かったり、先手を取られた場合はねぇ、避ける事は頭から除外するのよぉ? まずは自分の攻撃である程度威力を殺すの」
――超越魔法『終焉の雷』。
――超越魔法『終焉の炎』。
瞬間、レアを囲んでいた精霊の炎は更なる膨大な魔力を持った炎に吸われて掻き消される。
そして光速で放たれた雷を後から発動された、別の雷が比較にならない程の速度と威力から放たれて見事に相殺される。
「これでひとまずは命を脅かす脅威はなくなったでしょぉ?」
まるでレアはエリスに対して精霊という教材を使って、授業をするかの如く説明を始める。
周囲は吹雪や突風が吹き荒れてはいるが、確かに雷のように一撃で絶命する心配はない程のダメージであった。
「まあ、私程になれば全て無効化させることは造作もないんだけどぉ、貴方にはまずこれくらいは、出来るようになってほしいからねぇ」
「す、すごい……!」
エリスはあれほどの魔法をあっさりと対処して見せたレアに驚きを隠し切れなかった。
精霊達は今の攻撃で完全に仕留めたと思っていた為に、追撃を怠ってしまった。まずいと思った時にはすでに遅く、レアは笑みを浮かべながら反撃に出る。
――超越魔法、『崩落万象』。
キィイインという音と共に魔法陣が浮かび上がり、精霊を中心に魔法陣が明滅し始めたかと思うと次の瞬間には大爆発を起こすのだった。
精霊達はその爆発に巻き込まれてその数を大きく減らしてしまう。
しかし精霊達はそれで戦意が失うことはなく、あらゆる属性の精霊達は再びレア達の周りを囲むように移動して次々と魔法の詠唱を始めた。
「我ら精霊に『魔』で挑む以上、ただで済むと思うなよ!」
『火』の精霊長老『バーン』はそう告げると、同胞達が稼いでくれた時間を利用して完成させた魔法を放つのだった。
――最上位魔法、『迸る炎渦爆』。
炎の渦が激しくレアの周囲を取り囲みながら、徐々にその形態を円状に変えてレアに迫っていく。
「はっ! 時間をかけてこの程度の炎? 仮にも『魔』を管理する存在だというのならば、時間をかけずにこれくらいは放ちなさぁい!」
――超越魔法、『炎帝の爆炎』。
レアが無詠唱で放った魔法が発動して炎の番人が出現する。彼女を囲みながら徐々に迫ってくる円情の炎を一睨みしたかと思えば、炎の番人は笑みを浮かべるのだった。
そしてバーンが放った『迸る炎渦爆』がレアとエリス、そして番人を飲み込んだかのように見えたが、次の瞬間には炎の番人はその炎を全て吸収していく。
「な……! わ、わしの炎が吸われていく!?」
精霊長老の放った炎はすべて番人に吸収された。そしてそれで終わりでは無く――。
炎の番人は今度は手の平を上にあげると、炎の玉をいくつも具現化し恐ろしい速度で放ち始めた。
その炎の火球一発一発がレア達を囲んでいる精霊達に直撃していく。取り囲んでいる精霊は、一般精霊であっても魔力値1000万を超えており、それぞれがある程度優れた『耐魔』を持っている。
しかしそんなものは全く関係がないとばかりに、番人の火球に当たった精霊は、その場から消滅させられていくのだった。
「アハハハ! さぁ、いくわよぉ!」
すでにレアを囲んでいた精霊達は全滅して、更にレアの魔力は膨れ上がっていく。まさにこれからが本番だと言わんばかりにレアは嗤う。
そのつんざくような笑い声に、精霊長老達は苦渋の表情を浮かべ始める。
――これが『魔王』レアか!
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