341 / 1,906
リラリオの魔王編
332.新たに魔王領域へと足を踏み入れたエリス女王
しおりを挟む
その後も訓練場で魔族達の模擬戦闘を見ていたレアだが、何度目かの試合の後にレアは立ち上がった。
「お前達の戦い方は見させてもらったわぁ。よく研鑽が出来ていたわよぉ? これからもエリスちゃんの言う事を聞いて学び続けなさい」
レアがそういうと訓練場にいた魔族達は、自分達のやってきていた事は間違っていなかったのだと再認識が出来たようで嬉しそうな笑みを浮かべた後に、分かりましたとばかりにその場で跪くのであった。
その様子を見たレアは、満足そうに訓練場を後にするのだった。
…………
「お待ちください! レア様」
レアが訓練場を出た後『ラルグ』魔国へ転移しようと魔力を込め始めた時、突如声を掛けられるのだった。
「どうしたのぉ? エリスちゃん」
声を掛けて来たのは必死にレアの後を追いかけてきたエリス女王だった。
「お帰りになられるところ、お引止めしてしまい申し訳ありません。す、少しだけ私の研鑽の成果も見て頂けないでしょうか」
どうやら折角レイズ魔国に顔を見せに来てくれていたレアに、訓練場にいるときからずっと彼女は指南を仰ぎたいと考えていたのだろう。そのまま自国へと帰りそうになっていたレアに焦り、追いかけてきた様子だった。
「ええ、いいわよぉ? 私と実戦形式で見てもらいたいのかしら?」
レアはそれでも構わないとばかりに訓練場に戻ろうとするが、エリスは首を振って否定する。
「いえ、それも魅力的なのですが。今回は少しこちらのほうを見てもらおうと思いまして」
そう言うとその場でエリスは魔力を込め始めると――。
――何と『淡く青い』オーラが、微弱ながらエリスから漏れ始めたのだった。
「なっ……!?」
レアは驚いた様子で『エリス』の纏う『青』を観察する。まだまだレアから見ればエリスの纏う青の練度は研鑽の余地があるが、それでも立派にエリス女王は、青の領域に立っていた。
それはつまり『最上位魔族』から『覚醒した魔王』の領域へと昇華したという証であった。
「ど、どうでしょうか……!」
この世界ではまだレア以外に『魔王』の領域へと昇華した魔族はいない為、エリスは不安気にレアからの言葉を待つ。
「よくやったわよぉ、エリスちゃん! 貴方はやっぱり私の見込んだ魔族だったわねぇ」
レアはそう言うと、エリスに優しい笑みを浮かべるのだった。
「あ……、ありがとうございます!!」
期待以上の言葉をレアからもらったエリスは歓喜に震えるのだった。
【種族:魔族 名前:エリス(覚醒した魔王) 状態:青1.4
魔力値:2200万 戦力値:6300万 地位:レイズ魔国女王・ラルグ魔国女王レアの直属の配下】。
レアは『漏出』でエリスの戦力値と、魔力値を確かめた後に口を開いた。
「でもそこで満足はしないでねぇ? 確かに魔王への領域には到達したけれど、まだまだ私たちの使う『理』を会得出来ている訳ではないからねぇ?」
「も、勿論です! レア様のお力になれるようこれからも精進して参ります! 呼び止めて申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げるエリスに、釘をさす必要はなかったわねぇとばかりに頷くレアであった。
……
……
……
その頃『ラルグ』魔国ではラクスもまた自己研鑽を続けており『スクアード』を使わない状態でもすでに『魔人族』の『幹部級』十体に肩を並べられる程に成長していた。
「強敵と戦う自分を模倣して、何がダメで何がいいかを考える」
ラクスはレアに教わった瞑想と、過去の魔人の教えを交互に試しながら研鑽を続ける。
すでに空想上での対象となる敵は決まっていた。
――『魔王』レアである。
しかし空に流れていた映像のオーラを纏ったレアが相手では、何をしても勝ち目がなく、仕方なくレアに攻撃をする自分ではなく、レアが映像上で手を出していた攻撃パターンを何度も思い浮かべて回避のパターンを構築していくラクスであった。
ある程度上達が見込めたらレアに再び『スクアード』を使った状態で戦うつもりである。
もうラクスの中でレアは一族の仇ではなく、いつか越えたい師匠のような存在へと変わった様子であった。
「お前達の戦い方は見させてもらったわぁ。よく研鑽が出来ていたわよぉ? これからもエリスちゃんの言う事を聞いて学び続けなさい」
レアがそういうと訓練場にいた魔族達は、自分達のやってきていた事は間違っていなかったのだと再認識が出来たようで嬉しそうな笑みを浮かべた後に、分かりましたとばかりにその場で跪くのであった。
その様子を見たレアは、満足そうに訓練場を後にするのだった。
…………
「お待ちください! レア様」
レアが訓練場を出た後『ラルグ』魔国へ転移しようと魔力を込め始めた時、突如声を掛けられるのだった。
「どうしたのぉ? エリスちゃん」
声を掛けて来たのは必死にレアの後を追いかけてきたエリス女王だった。
「お帰りになられるところ、お引止めしてしまい申し訳ありません。す、少しだけ私の研鑽の成果も見て頂けないでしょうか」
どうやら折角レイズ魔国に顔を見せに来てくれていたレアに、訓練場にいるときからずっと彼女は指南を仰ぎたいと考えていたのだろう。そのまま自国へと帰りそうになっていたレアに焦り、追いかけてきた様子だった。
「ええ、いいわよぉ? 私と実戦形式で見てもらいたいのかしら?」
レアはそれでも構わないとばかりに訓練場に戻ろうとするが、エリスは首を振って否定する。
「いえ、それも魅力的なのですが。今回は少しこちらのほうを見てもらおうと思いまして」
そう言うとその場でエリスは魔力を込め始めると――。
――何と『淡く青い』オーラが、微弱ながらエリスから漏れ始めたのだった。
「なっ……!?」
レアは驚いた様子で『エリス』の纏う『青』を観察する。まだまだレアから見ればエリスの纏う青の練度は研鑽の余地があるが、それでも立派にエリス女王は、青の領域に立っていた。
それはつまり『最上位魔族』から『覚醒した魔王』の領域へと昇華したという証であった。
「ど、どうでしょうか……!」
この世界ではまだレア以外に『魔王』の領域へと昇華した魔族はいない為、エリスは不安気にレアからの言葉を待つ。
「よくやったわよぉ、エリスちゃん! 貴方はやっぱり私の見込んだ魔族だったわねぇ」
レアはそう言うと、エリスに優しい笑みを浮かべるのだった。
「あ……、ありがとうございます!!」
期待以上の言葉をレアからもらったエリスは歓喜に震えるのだった。
【種族:魔族 名前:エリス(覚醒した魔王) 状態:青1.4
魔力値:2200万 戦力値:6300万 地位:レイズ魔国女王・ラルグ魔国女王レアの直属の配下】。
レアは『漏出』でエリスの戦力値と、魔力値を確かめた後に口を開いた。
「でもそこで満足はしないでねぇ? 確かに魔王への領域には到達したけれど、まだまだ私たちの使う『理』を会得出来ている訳ではないからねぇ?」
「も、勿論です! レア様のお力になれるようこれからも精進して参ります! 呼び止めて申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げるエリスに、釘をさす必要はなかったわねぇとばかりに頷くレアであった。
……
……
……
その頃『ラルグ』魔国ではラクスもまた自己研鑽を続けており『スクアード』を使わない状態でもすでに『魔人族』の『幹部級』十体に肩を並べられる程に成長していた。
「強敵と戦う自分を模倣して、何がダメで何がいいかを考える」
ラクスはレアに教わった瞑想と、過去の魔人の教えを交互に試しながら研鑽を続ける。
すでに空想上での対象となる敵は決まっていた。
――『魔王』レアである。
しかし空に流れていた映像のオーラを纏ったレアが相手では、何をしても勝ち目がなく、仕方なくレアに攻撃をする自分ではなく、レアが映像上で手を出していた攻撃パターンを何度も思い浮かべて回避のパターンを構築していくラクスであった。
ある程度上達が見込めたらレアに再び『スクアード』を使った状態で戦うつもりである。
もうラクスの中でレアは一族の仇ではなく、いつか越えたい師匠のような存在へと変わった様子であった。
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
最弱賢者の転生者 ~四度目の人生で最強になりました~
木嶋隆太
ファンタジー
生まれ持った職業によって優劣が決まる世界で、ロワールは僧侶という下級職として生まれた。下級職だったため、あっさりと死んでしまったロワールだったが、彼は転生した。――最強と呼ばれる『賢者』として。転生した世界はロワールの時代よりも遥かに魔法のレベルが落ちた世界であり、『賢者』は最弱の職業として知られていた。見下され、バカにされるロワールだったが、彼は世界の常識を破壊するように大活躍し、成り上がっていく。※こちらの作品は、「カクヨム」、「小説家になろう」にも投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる