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ギルド対抗戦編
32.召喚術士レン
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――Fブロックの試合が行われている。
現在戦っているのは『ウィラルド』の冒険者ギルドと『パール』の冒険者ギルドの試合である。
例年『ウィラルド』は惜しい所まで勝ち上がるが、あと一歩で決勝まで辿り着けないといった成績の冒険者ギルドなのだが、今年は『レン』が大将として入った事で一日目も無事に勝利して、二日目も現在勝ち抜き中であった。
レンを庇うように魔物である『ゲル』達が相手の攻撃を防ぐが、弱点である『魔法』を使われて『ゲル』達はやられてしまうのだった。
「へへへ『召喚術士』の冒険者とは珍しいが相手が悪かったな。魔法で一網打尽にしてやったぜ」
『パール』の大将である『魔法使い』のサモアと呼ばれる冒険者が、レンの使役した魔物達を倒して、一気に決着をつけようと詠唱を始めた。
「うーん……。ゲルゲルたちやられちゃったかぁ、しっかたっがない! ハピハピおいでぇ」
レンがそう告げると『ピー』という鳴き声と共に、女面で鳥の体をした『ハーピー』という生物が突然現れた。
「ハピハピ、歌ってぇ!」
「ピーーー♪♪♪」
ハピハピと呼ばれた可愛らしい顔をした鳥の生物は突如、その場で歌い始めた。
「~~~♪ ~~~♪」
ハーピーは気持ちよさそうに歌うが、それを聞いている魔法使いのサモアは耳を抑えて詠唱を中断させられた。
「ぐ、ぐあああ、み、耳が痛い!」
ハーピーの歌声は攻撃者に対しては、超音波でツンざくような高音に聴こえてダメージを与える為に、魔法使いの天敵と言ってもよかった。
「ハピハピありがとぉ! じゃあデビデビおいでぇ」
ハーピーが歌っている横で、デビデビと呼ばれた『アークデーモン』が姿を現した。
「グオォォォッ!!」
地底にまで轟くかという程の低い唸り声と共に、一匹の悪魔がリング上にその姿を現すのであった。
「デビデビ、やっつけちゃってぇ!」
ハーピーの歌声で耳を抑えてるところに、横から三メートルはあろうかという大きい悪魔が、持っている棍棒をサモアに振り下ろす。
ドォンッ! という衝撃音と共に魔法使いサモアは、そのままリングに叩きつけられて気絶した。
「しょ、勝者、レン!」
審判コールの後、慌てて救護班が数名程リングに上がり『回復魔法』で治癒を行い始めた事でサモアは何とかその一命を取り留めた。
どうやら大会ルールを守る様にレンに指示を出されていたのだろう。
本来ならば『アークデーモン』の腕力であの棍棒を振りかぶって相手に落とせば、そのまま絶命していてもおかしくはない。
「みんな、ありがとねぇ! また呼ぶからねぇ!」
レンが笑顔で手を振ると、ハーピーはその羽をはためかせてレンに笑顔を向けて、アークデーモンは、レンに手を振って消えていった。
「わぁい、かったよぉ!」
Fブロックの『ウィラルド』もレンの活躍によって、決勝トーナメント進出が決まったのだった。
ディラックたちと合流した後、宿の近くの食堂のモニターに映し出されていた試合を観戦していたソフィ達は、レンの試合を見て呆気に取られていた。
「あやつは人間だと思ったが……。実は魔王か何かだったりするのか……?」
レンが次々と魔物を使役して相手を倒すところを見ていたのだから、ソフィがそう思っても仕方がなかった。
「いや、あれは『召喚術士』っていう職業で、手懐けた魔物と契約して自分の仲間に出来るようなんだよ」
そんな職業を聞いた事もなかったソフィは驚いた。
『ハーピー』や『アークデーモン』は当然ソフィ達の元々居た世界でも魔王達の手によって生み出されてはいたが、まさか魔族でもない人間が、あのように魔物達と楽しそうに手を組んで、一緒になって戦う姿を見て感銘を受けた様子だった。
(この世界はやはり面白い! あんな風に手を取り合う事が出来る冒険者も居るのか! そうか、それで『サシス』に来る前にあやつから魔物の匂いを感じられたというわけだな)
馬車便から降りて『セス』地域を歩いてここまでくる道中で、レンと出会った時の事を思い出したソフィは、その時にレンから魔物の匂いを感じた事で『漏出』を使って人間かどうかも確かめていた。
もしかしたら人間に化けているのかと思っていたが『召喚術士』だったという事を理解したソフィは、化けているワケでもない人間から、何故魔物の匂いがしていたのかを納得するのだった。
(しかしそれにしても『召喚術』か。今後あやつが『魔力』をさらに伸ばしていけば、従えられる、いや、契約か? どちらにせよ強力な魔物達をどんどんと従えられていくという事だろうか? そうなれば『召喚術士』という事を理解していない者達から見れば、レンの事を魔物を束ねる魔王と勘違いしてもおかしくはないだろうな……)
しかしソフィが言うように他人から見れば全く同じにしか見えないが『召喚術』と魔王が魔物を生み出したり、配下にするのとでは全くと言っていい程違うのだった。
その最たるものはやはり『名付け』だろう。
『名付け』は自分の配下の魔物に名前を付けることでその魔物本来の力をより、大きく上げることができる。
そして魔王の力が強ければ強い程に『名付け』はより一層、その強さが際立っていくのである。
対して召喚術で使役された魔物に、名前やあだ名をつけた所で強さは変わらない。
それに契約期間が過ぎれば、もう一度再契約を使役者と魔物の間で交わさなければならず、一方的に従わせようとすれば、今まで契約関係があったとしても魔物は契約を破棄する事が出来る。
対して魔王の配下となった魔物の生権与奪を魔王が決める事が出来る上、もし逆らえば魔王がいつでも、その命を奪う事でさえ出来るのである。
魔王に逆らおうとしても一度配下になってしまえば攻撃は魔王に出来ず、絶対服従となる為に忠誠を誓う程の覚悟がなければ、魔物は魔王の配下にはならないのである。
ソフィに忠誠を誓った魔物たちの多くは、元々は別の魔族の配下であったり、別の魔王が生み出した魔物だったりするのだが、ソフィが『アレルバレル』の世界の魔族達の住む大陸を統治し始めてからは、そういった魔王を含めた魔族達もまたソフィの配下となった為に、その更に魔族達の配下である魔物達もソフィの忠実なる配下となった。
ソフィは配下となった魔族が生み出した魔物達に対して、無理に自分に忠誠を誓わずに、これまで通りに自分達の主に仕えよと、契約を無理に迫る事はなかったが、魔物達はカリスマ性のあるソフィに心を奪われて全員が忠誠を誓ったのであった。
普段は温厚で優しいソフィなのだが、ひとたび仲間を傷つけられた時に豹変して、全てを消し炭に変える。
しかしその圧倒的なそのソフィの強さにどうやら『アレルバレル』の世界に生きる、強力な魔物達は惹かれたようであった。
現在戦っているのは『ウィラルド』の冒険者ギルドと『パール』の冒険者ギルドの試合である。
例年『ウィラルド』は惜しい所まで勝ち上がるが、あと一歩で決勝まで辿り着けないといった成績の冒険者ギルドなのだが、今年は『レン』が大将として入った事で一日目も無事に勝利して、二日目も現在勝ち抜き中であった。
レンを庇うように魔物である『ゲル』達が相手の攻撃を防ぐが、弱点である『魔法』を使われて『ゲル』達はやられてしまうのだった。
「へへへ『召喚術士』の冒険者とは珍しいが相手が悪かったな。魔法で一網打尽にしてやったぜ」
『パール』の大将である『魔法使い』のサモアと呼ばれる冒険者が、レンの使役した魔物達を倒して、一気に決着をつけようと詠唱を始めた。
「うーん……。ゲルゲルたちやられちゃったかぁ、しっかたっがない! ハピハピおいでぇ」
レンがそう告げると『ピー』という鳴き声と共に、女面で鳥の体をした『ハーピー』という生物が突然現れた。
「ハピハピ、歌ってぇ!」
「ピーーー♪♪♪」
ハピハピと呼ばれた可愛らしい顔をした鳥の生物は突如、その場で歌い始めた。
「~~~♪ ~~~♪」
ハーピーは気持ちよさそうに歌うが、それを聞いている魔法使いのサモアは耳を抑えて詠唱を中断させられた。
「ぐ、ぐあああ、み、耳が痛い!」
ハーピーの歌声は攻撃者に対しては、超音波でツンざくような高音に聴こえてダメージを与える為に、魔法使いの天敵と言ってもよかった。
「ハピハピありがとぉ! じゃあデビデビおいでぇ」
ハーピーが歌っている横で、デビデビと呼ばれた『アークデーモン』が姿を現した。
「グオォォォッ!!」
地底にまで轟くかという程の低い唸り声と共に、一匹の悪魔がリング上にその姿を現すのであった。
「デビデビ、やっつけちゃってぇ!」
ハーピーの歌声で耳を抑えてるところに、横から三メートルはあろうかという大きい悪魔が、持っている棍棒をサモアに振り下ろす。
ドォンッ! という衝撃音と共に魔法使いサモアは、そのままリングに叩きつけられて気絶した。
「しょ、勝者、レン!」
審判コールの後、慌てて救護班が数名程リングに上がり『回復魔法』で治癒を行い始めた事でサモアは何とかその一命を取り留めた。
どうやら大会ルールを守る様にレンに指示を出されていたのだろう。
本来ならば『アークデーモン』の腕力であの棍棒を振りかぶって相手に落とせば、そのまま絶命していてもおかしくはない。
「みんな、ありがとねぇ! また呼ぶからねぇ!」
レンが笑顔で手を振ると、ハーピーはその羽をはためかせてレンに笑顔を向けて、アークデーモンは、レンに手を振って消えていった。
「わぁい、かったよぉ!」
Fブロックの『ウィラルド』もレンの活躍によって、決勝トーナメント進出が決まったのだった。
ディラックたちと合流した後、宿の近くの食堂のモニターに映し出されていた試合を観戦していたソフィ達は、レンの試合を見て呆気に取られていた。
「あやつは人間だと思ったが……。実は魔王か何かだったりするのか……?」
レンが次々と魔物を使役して相手を倒すところを見ていたのだから、ソフィがそう思っても仕方がなかった。
「いや、あれは『召喚術士』っていう職業で、手懐けた魔物と契約して自分の仲間に出来るようなんだよ」
そんな職業を聞いた事もなかったソフィは驚いた。
『ハーピー』や『アークデーモン』は当然ソフィ達の元々居た世界でも魔王達の手によって生み出されてはいたが、まさか魔族でもない人間が、あのように魔物達と楽しそうに手を組んで、一緒になって戦う姿を見て感銘を受けた様子だった。
(この世界はやはり面白い! あんな風に手を取り合う事が出来る冒険者も居るのか! そうか、それで『サシス』に来る前にあやつから魔物の匂いを感じられたというわけだな)
馬車便から降りて『セス』地域を歩いてここまでくる道中で、レンと出会った時の事を思い出したソフィは、その時にレンから魔物の匂いを感じた事で『漏出』を使って人間かどうかも確かめていた。
もしかしたら人間に化けているのかと思っていたが『召喚術士』だったという事を理解したソフィは、化けているワケでもない人間から、何故魔物の匂いがしていたのかを納得するのだった。
(しかしそれにしても『召喚術』か。今後あやつが『魔力』をさらに伸ばしていけば、従えられる、いや、契約か? どちらにせよ強力な魔物達をどんどんと従えられていくという事だろうか? そうなれば『召喚術士』という事を理解していない者達から見れば、レンの事を魔物を束ねる魔王と勘違いしてもおかしくはないだろうな……)
しかしソフィが言うように他人から見れば全く同じにしか見えないが『召喚術』と魔王が魔物を生み出したり、配下にするのとでは全くと言っていい程違うのだった。
その最たるものはやはり『名付け』だろう。
『名付け』は自分の配下の魔物に名前を付けることでその魔物本来の力をより、大きく上げることができる。
そして魔王の力が強ければ強い程に『名付け』はより一層、その強さが際立っていくのである。
対して召喚術で使役された魔物に、名前やあだ名をつけた所で強さは変わらない。
それに契約期間が過ぎれば、もう一度再契約を使役者と魔物の間で交わさなければならず、一方的に従わせようとすれば、今まで契約関係があったとしても魔物は契約を破棄する事が出来る。
対して魔王の配下となった魔物の生権与奪を魔王が決める事が出来る上、もし逆らえば魔王がいつでも、その命を奪う事でさえ出来るのである。
魔王に逆らおうとしても一度配下になってしまえば攻撃は魔王に出来ず、絶対服従となる為に忠誠を誓う程の覚悟がなければ、魔物は魔王の配下にはならないのである。
ソフィに忠誠を誓った魔物たちの多くは、元々は別の魔族の配下であったり、別の魔王が生み出した魔物だったりするのだが、ソフィが『アレルバレル』の世界の魔族達の住む大陸を統治し始めてからは、そういった魔王を含めた魔族達もまたソフィの配下となった為に、その更に魔族達の配下である魔物達もソフィの忠実なる配下となった。
ソフィは配下となった魔族が生み出した魔物達に対して、無理に自分に忠誠を誓わずに、これまで通りに自分達の主に仕えよと、契約を無理に迫る事はなかったが、魔物達はカリスマ性のあるソフィに心を奪われて全員が忠誠を誓ったのであった。
普段は温厚で優しいソフィなのだが、ひとたび仲間を傷つけられた時に豹変して、全てを消し炭に変える。
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