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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第227話 思惑

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 力尽きて倒れこんだ東雲のことを抱きかかえて、ロレットの城へと戻ったルシファーたちはみんなのことを守っていたアルテミスと鉢合わせた。

「その狐の子、単独で七大天使を倒したのね。」

「はい。人の身で……大したものです。」

「それでそっちの天使があなたの妹の……。」

「ミカエルですっ!!」

 アルテミスに向かって元気よく自分の名前を口にしたミカエルは、アルテミスに向かって敬礼した。

「あなたも一応こっち側……なのよね?」

「はいっ!!」

 無邪気な笑顔でそう答えたミカエルに若干疑いの視線を向けた。

「まぁ現にこうして協力的だし、一旦は信じるわ。」

「ありがとうございます。」

「それよりも、その子をさっさと治療しないと心臓の鼓動がどんどん弱くなってるわ。治療は私がやるから、その子をこっちに預けてくれるかしら?」

「お願いいたします。」

 そしてルシファーは東雲のことをアルテミスに預ける。

「それではアルテミス様、私たちは後始末の方をしてまいりますので……東雲さんをお願いいたします。」

「えぇ、任せられたわ。」

 東雲をアルテミスに託したルシファーとミカエルは、ラグエルと東雲が最後に戦っていた場所へと向かって行った。

「さて……。」

 二人を見送った後、アルテミスは東雲を床に寝そべらせると、両手を床に着けて言葉を紡ぎ始めた。

「無限の生命の源である母なる大地よ、その有り余る生命力を少しこの子に分けて。」

 アルテミスがそう言葉を紡いだ瞬間東雲を中心に緑色の大きな魔法陣が床に描かれた。そしてそこからキラキラと輝く光の玉があふれだし、東雲の体の中へと吸収されていく。

 それと共に止まりかけていた東雲の心臓の鼓動がドクンと再び力強く脈打ち始め、ラグエルによって破壊された内臓が急速に修復されていく。

「かふっ……こふっ!!」

 肺にたまっていた血液が咳と共に吐き出されると、うっすらと東雲の瞼が開き始めた。

「こ………こは………。」

「喋らないで、まだ完全には治ってないから。」

 辺りの状況を見渡し整理しようとする東雲だったが、首から下が動かないことに気が付く。ギリギリ動く目で辺りを見渡すと、今いる場所がロレットの城の中であることを察した。

「かはっ……ら、ラグエルは……どう、なった?」

「だから喋るんじゃないっての。そんなに心配しなくてもラグエルならあなたの攻撃で消し炭になったわよ。」

「く……くく、そう……か。」

「満足したならちょっと眠ってなさい。まだ治療が終わってないのよ。……ってもう聞いちゃいないわね。」

 東雲のことを治療していたアルテミスは、満足そうに眠りについた東雲の姿を眺めて大きなため息を吐いた。

「まったく、仇討ちだからって無茶しすぎなのよ。少しは他人の力も頼りなさいっての。」

 そう呟きながらもアルテミスは東雲のことを治し続けるのだった。

 その頃、ルシファーとミカエルはラグエルが倒された場所へと足を運んでいた。

「フフフフ、ありました。」

 クスリと笑いながらルシファーは地面に落ちていたラグエルの神器、終焉のラッパを拾い上げた。

「至って順調ですね。」

「お姉さまミカエルはこれからどうすればいいですか?」

「ミカエルあなたはこれを持って天界に帰りなさい。」

 そう言ってルシファーはもう一つ、終焉のラッパらしきものを取り出した。

「えっ!?神器が二つ!?」

「フフフフ、カラクリは言えませんが、これであなたは疑われないでしょう?」

「ま、まぁそうなんですけど。」

 ミカエルにそれを手渡したルシファーは暗い笑みを浮かべていた。

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