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第三章 終焉を呼ぶ七大天使

第178話 七大天使の裏切り

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「女神……レト!?」

 ルシファーが跪き、忠誠を示した相手に思わずミカエルは驚いた表情を浮かべた。

「レト様、この天使は私の妹のミカエルです。」

「あなたに妹がいたの?初耳だわ。」

「それもそうでしょう。なにせ、私とミカエルが姉妹である……ということは私達しか知らないことなのですから。」

「なるほどね。」

「それで、本題なのですが……ミカエルは私達に協力したい。と申し出ています。」

 ルシファーのその言葉にレトの目が細くなる。

「へぇ?別に協力してくれるのなら、歓迎したいけど……問題は…………。」

 レトはふわりとドレスを揺らしながら、ミカエルに近付き、彼女の顎に手を当てた。

「あなたは信用できるのかしら?」

「み、ミカエルは……姉様を裏切ったりはしません!!絶対にッ!!」

「…………良い目の色ね。あの女神とはかけ離れてる。」

「えっ……。」

 ミカエルから手を離すと、レトはルシファーへと歩み寄った。

「ルシファー、この子の管理はあなたに一任するわ。」

「承りました。感謝致しますレト様。」

「いいのよ、今は一人でも人手がほしいの。それで?この子にはこれから何をしてもらうつもり?」

「ミカエルは今七大天使に名を連ねています。その役職を使って、あちらの情報をこちらに流してもらおうかと思います。」

「それは良い考えね、賛成だわ。」

「せ、精一杯頑張ります!!」

「ふふふ、そんなに気張らなくても大丈夫よ。私はあのメンヘラと違って失敗とかそういうのは気にしないわ。」

「はわぁ…………。」

 レトが優しくミカエルのことを撫でると、彼女の口からそんな声が漏れた。

「あら、ずいぶん蕩けた表情ね?」

「あ、す、すみません……。こんな風に優しくされたことなかったもので……。」

「まぁ、アイツが優しくすることなんて滅多にないしね~。」

 暫くレトがミカエルのことを撫でていると……。

「レト様、そろそろ……。」

「あ、そうね。ついつい撫ですぎちゃったわ。」

「あ…………。」

 ルシファーに指摘され、レトがミカエルの頭から手を離すと、ミカエルは少しもの足りそうな表情を浮かべる。

「さぁ、ミカエル。そろそろ戻りなさい。怪しまれてはなりません。」

「わ、わかりました姉様。それじゃあ動きがあったら伝えます!!」

「えぇ、待ってるわ。」

 ルシファーに促されると、ミカエルはレトに向かって一礼し姿を消した。

「さてと、ルシファー?」

「はい。」

「あの子の管理と併用して、お願いしたいことがあるの。」

「私にできることであれば、何でも承りましょう。」

「そう言ってくれると助かるわ。それで、お願いなんだけど……。」

 レトは両手にとあるアルバムを出現させると、そのページをパラパラと捲り、ある写真をルシファーに見せた。

「これは……。」

「この子は私が連れてきた、この世界唯一の男の子。あのメンヘラの狙いもこの子よ。」

「なるほど。」

「あなたにはこの子の護衛についてもらうわ。」

「天界の守護は良いのですか?」

「あなたの妹がちゃんと情報を送ってくれるなら大丈夫よ。」

「レト様がそう言うのであれば……承ります。」

「あぁ、それと……この子の周りにいる子達の成長も手伝ってあげて?七大天使が来たときに戦力になるように。」

「承りました。」

 ペコリと一礼したルシファーを見て満足そうな表情を浮かべたレトは、天界に一本大きな亀裂を入れた。ルシファーはその亀裂に向かって歩きだす。そして足を踏み入れる直前……。

「頼んだわよルシファー。」

「お任せください。では……。」

 そしてルシファーは亀裂の中へと入っていった。
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