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第二章 呪われた運命
第113話 バカンス
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アルテミスというお騒がせな女神による一騒動が収まった後、ルア達は息抜きと称してビーチへとやってきていた。というのも、今この国は夏真っ盛り……海を堪能するのには十分な季節なのだ。
「にゃははははっ!!海、海っ~♪たっくさん楽しむぞ~!!」
「クロロちゃんダメですよぉ~?海に入る前にはまず準備運動をしないと~。」
我先にと、クロロとエナが砂浜を駆けていく。そんな彼女たちの後ろから少し遅れてルアたちがやってきた。
「まるで子供のようにはしゃいでおるのぉ~。」
「フフフッ、久しぶりの息抜きなのだ。あぁいう風に楽しむのが当然というものだ。」
もうすでに海の中に入って泳ぎ回っているクロロ達の姿を見て由良とロレットは笑った。
「若い子は元気やねぇ~。」
「うむ、まったく……若さとは羨ましいものだな。」
真琴と東雲も温かい目で彼女たちを見守っていた。しかし、もちろん由良もロレットも、真琴も東雲も海を楽しむために来ている。故に、いつになく心の中に遊び心が宿っていた。
そんな彼女たちだったが唯一一人だけ、この状況を楽しめずにいる人物がいた。
それは……。
「うぅ~……日光キッツい。これだからあんまり海は好きじゃないんだよなぁ~。」
日光を遮る黒い傘をさして、ルアとともに一行から遅れて歩くミリア。そう、彼女は吸血鬼である。ゆえに強い直射日光が嫌いなのだ。
一歩歩き出すのも億劫そうなミリアにルアが心配するように声をかけた。
「み、ミリアさん大丈夫ですか?」
「う~……なんとかね~。日傘があるおかげで何とかなってるって感じかな。これがなかったら、干からびちゃってるかも。」
いつになく弱気なミリア。普段のはつらつとして、常に笑みを浮かべている彼女の面影はどこにもない。
「あんまり無理しちゃ駄目ですよ?」
「わかってる~。」
そして砂浜についたルアは、海で遊ぶクロロ達の代わりにせっせと日差し避けのパラソルを広げ、休めるスペースを確保する。パラソルで日陰になったシートの上にミリアはぐったりと横になった。
「うへぇ~……。私はここで見てるから、ルア君も海に入って遊んできなよ。」
「ほ、ホントに大丈夫ですか?」
「うん、日陰だからなんとか大丈夫。せっかくのバカンスなんだし楽しんできなよ。」
「じゃ、じゃあ……行ってきます。」
「は~い、行ってらっしゃい。」
そしてミリアはルアのことを送り出そうとしたのだが、あることを頼み忘れていたことに気が付き、咄嗟に呼び止めた。
「あっ!!ちょ、ちょっとまってルア君!!」
「え、あ、は、はいっ!?」
砂浜を走り、海へと飛び込もうとしていたルアだったが、ミリアの声に反応し急ブレーキをかけて振り返る。
「あのさ、私体固くて……背中に手が届かないから、日焼け止めのクリーム塗ってくれないかな?」
「あぅ……そ、それボクじゃない方が良いんじゃ……。」
「他の皆は水遊びに夢中だから、ちょっと声をかけにくいんだよね。だから……お願いっ!!背中だけでいいから。」
そうミリアに頼み込まれると、ルアは断れなくなってしまい渋々承諾してしまった。
「わ、わかりました。」
「あはっ♪じゃあお願いね~♪」
ミリアはごろんとうつ伏せになると、水着のブラのホックを外し、吸い込まれそうなほど真っ白な背中をルアに差し出した。
「はい、これクリームね。たっぷりつけちゃっていいから。」
「は、はいっ!!」
恥ずかしそうに顔を赤らめたルアに、ミリアはにんまりと表情を歪ませた。
ルアは日焼け止めクリームを両手に馴染ませると、恐る恐るミリアの背中に触れた。
「あっ♥️冷たっ……♪気持ちいい~♪」
「うぅ、ミリアさん変な声出さないでくださいっ。」
「あはは、ごめんね~。ルア君の手が気持ち良くってさ~。……あ、羽にもしっかり塗ってね?」
「は、はい……。」
ミリアに言われた通り、彼女の背中に生えている蝙蝠のような羽にも日焼け止めクリームを塗るが……どうやら羽は背中の肌に比べて敏感らしく、ルアの手が羽に触れる度にミリアは気持ち良さそうに艶やかな喘声をあげていた。
それを聞く度にどんどんいけないことをしているような気持ちになってきたルアは、顔を赤くしながらも手早くミリアの背中に日焼け止めクリームを伸ばす。
そして満遍なく全体に日焼け止めクリームを塗り終わったルアは、彼女の背中からすぐに手を離した。
「お、終わりましたっ!!ま、前は自分で塗ってくださいね!!」
それだけミリアに告げるとルアは恥ずかしさを隠すように海へと走っていってしまう。
そんな彼の姿を見てミリアはクスリと笑っていた。
「にゃははははっ!!海、海っ~♪たっくさん楽しむぞ~!!」
「クロロちゃんダメですよぉ~?海に入る前にはまず準備運動をしないと~。」
我先にと、クロロとエナが砂浜を駆けていく。そんな彼女たちの後ろから少し遅れてルアたちがやってきた。
「まるで子供のようにはしゃいでおるのぉ~。」
「フフフッ、久しぶりの息抜きなのだ。あぁいう風に楽しむのが当然というものだ。」
もうすでに海の中に入って泳ぎ回っているクロロ達の姿を見て由良とロレットは笑った。
「若い子は元気やねぇ~。」
「うむ、まったく……若さとは羨ましいものだな。」
真琴と東雲も温かい目で彼女たちを見守っていた。しかし、もちろん由良もロレットも、真琴も東雲も海を楽しむために来ている。故に、いつになく心の中に遊び心が宿っていた。
そんな彼女たちだったが唯一一人だけ、この状況を楽しめずにいる人物がいた。
それは……。
「うぅ~……日光キッツい。これだからあんまり海は好きじゃないんだよなぁ~。」
日光を遮る黒い傘をさして、ルアとともに一行から遅れて歩くミリア。そう、彼女は吸血鬼である。ゆえに強い直射日光が嫌いなのだ。
一歩歩き出すのも億劫そうなミリアにルアが心配するように声をかけた。
「み、ミリアさん大丈夫ですか?」
「う~……なんとかね~。日傘があるおかげで何とかなってるって感じかな。これがなかったら、干からびちゃってるかも。」
いつになく弱気なミリア。普段のはつらつとして、常に笑みを浮かべている彼女の面影はどこにもない。
「あんまり無理しちゃ駄目ですよ?」
「わかってる~。」
そして砂浜についたルアは、海で遊ぶクロロ達の代わりにせっせと日差し避けのパラソルを広げ、休めるスペースを確保する。パラソルで日陰になったシートの上にミリアはぐったりと横になった。
「うへぇ~……。私はここで見てるから、ルア君も海に入って遊んできなよ。」
「ほ、ホントに大丈夫ですか?」
「うん、日陰だからなんとか大丈夫。せっかくのバカンスなんだし楽しんできなよ。」
「じゃ、じゃあ……行ってきます。」
「は~い、行ってらっしゃい。」
そしてミリアはルアのことを送り出そうとしたのだが、あることを頼み忘れていたことに気が付き、咄嗟に呼び止めた。
「あっ!!ちょ、ちょっとまってルア君!!」
「え、あ、は、はいっ!?」
砂浜を走り、海へと飛び込もうとしていたルアだったが、ミリアの声に反応し急ブレーキをかけて振り返る。
「あのさ、私体固くて……背中に手が届かないから、日焼け止めのクリーム塗ってくれないかな?」
「あぅ……そ、それボクじゃない方が良いんじゃ……。」
「他の皆は水遊びに夢中だから、ちょっと声をかけにくいんだよね。だから……お願いっ!!背中だけでいいから。」
そうミリアに頼み込まれると、ルアは断れなくなってしまい渋々承諾してしまった。
「わ、わかりました。」
「あはっ♪じゃあお願いね~♪」
ミリアはごろんとうつ伏せになると、水着のブラのホックを外し、吸い込まれそうなほど真っ白な背中をルアに差し出した。
「はい、これクリームね。たっぷりつけちゃっていいから。」
「は、はいっ!!」
恥ずかしそうに顔を赤らめたルアに、ミリアはにんまりと表情を歪ませた。
ルアは日焼け止めクリームを両手に馴染ませると、恐る恐るミリアの背中に触れた。
「あっ♥️冷たっ……♪気持ちいい~♪」
「うぅ、ミリアさん変な声出さないでくださいっ。」
「あはは、ごめんね~。ルア君の手が気持ち良くってさ~。……あ、羽にもしっかり塗ってね?」
「は、はい……。」
ミリアに言われた通り、彼女の背中に生えている蝙蝠のような羽にも日焼け止めクリームを塗るが……どうやら羽は背中の肌に比べて敏感らしく、ルアの手が羽に触れる度にミリアは気持ち良さそうに艶やかな喘声をあげていた。
それを聞く度にどんどんいけないことをしているような気持ちになってきたルアは、顔を赤くしながらも手早くミリアの背中に日焼け止めクリームを伸ばす。
そして満遍なく全体に日焼け止めクリームを塗り終わったルアは、彼女の背中からすぐに手を離した。
「お、終わりましたっ!!ま、前は自分で塗ってくださいね!!」
それだけミリアに告げるとルアは恥ずかしさを隠すように海へと走っていってしまう。
そんな彼の姿を見てミリアはクスリと笑っていた。
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