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第二章 呪われた運命
第105話 視線
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それ以降……ルアはどこからか視線を感じるようになり、東雲が言っていた通り、本当に幽霊がいるのではないかと不安を感じるようになっていた。
そんな彼は、この辺りで幽霊が出たりするのかを城の主であるロレットに聞きに行っていた。
そして事情を聴いたロレットは、ふむ……と考えるような仕草を見せると、口を開いた。
「幽霊……か。我もここに住んで長いが……そういった類いのものは聞いたことがないな。」
「うぅ……そ、そうですか。」
ロレットの答えに残念そうにルアは肩を落とした。
「だが、気になるな。その見られている……という感覚。そして一度見ることができたという、我ら以外の外部の者。もし本当にそんな輩がいるのならば……我らを脅かす存在になりかねん。」
しかし、ロレットは本当にルアが見たという外部の人間がいた場合のことを冷静に分析する。
「敵なのか味方なのか……今のところ何も情報がない。ただ、これだけ無防備な部分を晒しておいて、何もしてこないところを見るに我らに敵意がある者ではなさそうだが……。」
「ど、どうなんですかね……。」
「だが、何にせよ。もしそういう者がいるのなら……気になるな。」
好奇心に染まった表情でロレットはニヤリと口角を吊り上げて笑う。
そしてロレットはテーブルに置いてあったベルをチリンチリンとおもむろに鳴らした。すると、すぐに誰かがロレットの部屋を訪ねてきた。
「女王様?お呼びですか~?」
「あぁ、トリトニー入ってくれ。」
ロレットの部屋を訪ねてきたのはヒーリングスライムのトリトニーだった。どうやらテーブルの上に置いてあるあのベルはトリトニーを呼び出すためのベルらしい、
「トリトニー、一つ仕事を頼みたいのだが……。」
「はぁい……あ、もしかしてルア君のヒーリングですか?それなら新しいヒーリングを考えてたんですよ~。」
「いや、悪いが今回はルアのヒーリングじゃない。」
「あら、ざんねんです~。」
「君に頼みたいのは、この城の監視だ。」
「監視……ですか~。」
「あぁ、体を分裂させれば城の至るところを監視できるだろう?」
「それはできますけど~、今更になってどうしたんです?」
「いやな、ルアが城の中で不審な人影を見たというのだ。」
そしてロレットはトリトニーにある程度の敬意を説明すると、彼女は事情を把握し頷いた。
「わかりました~。じゃあ……んしょっと!!」
頷いたトリトニーは手のひらから無数の丸いスライムを産み出していく。
「これだけいれば城の全てを監視できると思います~。」
「うむ、映像を記録しておくだけでいい。視界を共有していると疲れるだろう?」
「お気遣いありがとうございます~。じゃあ行ってきて~。」
トリトニーにそう指示されると丸いスライム達は何処かへと行ってしまった。
「では頼んだぞトリトニー。」
「お任せください~。」
ビシッとトリトニーは敬礼すると、部屋を後にしようとする。その途中、何かを思い出したようにルアに近づく。
「ルア君、最近頑張ってるみたいですけど~疲れたらいつでも言ってくださいね~。」
「あ、ありがとうございます……。」
「新しいヒーリング、たっくさん考えてありますから……ねっ?」
それだけルアに告げるとトリトニーは部屋を後にした。
「そういえば、ルアは最近トリトニーのヒーリングを使ってないようだな?」
「あ、は、はい……ちょっとトリトニーさんのあれは、刺激が強すぎるから……。」
「ふむ、ちなみに我やミリアは毎日のようにやってもらっているぞ?」
「えっ!?」
衝撃の事実にルアは思わず目を見開いた。ロレットが毎日使っているのはわかるが、ミリアまでも使っているとは思わなかったのだ。
「どうもミリアのやつはトリトニーの全身マッサージがいたく気に入ったらしくてな。まぁ、我もその一人なんだが……。」
「そ、そうだったんですか……。」
「トリトニーのヒーリングは回復魔法では治せないような精神的な疲れも癒してくれるぞ?最近視線を感じていて多少なりともストレスがあるだろう?この後やってもらったらどうだ?」
「う~ん……か、考えておきます。」
「うむ。まぁ無理にとは言わない。気が向いたら行ってみるといい。」
「わかりました……。」
そしてロレットに悩みの種を打ち明けて少しスッキリしたルアは、そのまま何かを決心した表情で、ある場所へと向かう。
迷わずにある部屋の前に足を運んだルア。彼は少し顔を赤くしながらその扉をノックした。
すると、部屋の中から先程会ったばかりのトリトニーが姿を現した。
彼女はルアが自分の部屋を訪ねてきたことで、何をしてほしいのか察すると、ニコリと笑いながら彼の手を引いて部屋の中へと連れ込んだ。
その日の夜……一晩中トリトニーの部屋からはクチュクチュという水音と、ルアの小さく喘ぐ声が聞こえていた。
そんな彼は、この辺りで幽霊が出たりするのかを城の主であるロレットに聞きに行っていた。
そして事情を聴いたロレットは、ふむ……と考えるような仕草を見せると、口を開いた。
「幽霊……か。我もここに住んで長いが……そういった類いのものは聞いたことがないな。」
「うぅ……そ、そうですか。」
ロレットの答えに残念そうにルアは肩を落とした。
「だが、気になるな。その見られている……という感覚。そして一度見ることができたという、我ら以外の外部の者。もし本当にそんな輩がいるのならば……我らを脅かす存在になりかねん。」
しかし、ロレットは本当にルアが見たという外部の人間がいた場合のことを冷静に分析する。
「敵なのか味方なのか……今のところ何も情報がない。ただ、これだけ無防備な部分を晒しておいて、何もしてこないところを見るに我らに敵意がある者ではなさそうだが……。」
「ど、どうなんですかね……。」
「だが、何にせよ。もしそういう者がいるのなら……気になるな。」
好奇心に染まった表情でロレットはニヤリと口角を吊り上げて笑う。
そしてロレットはテーブルに置いてあったベルをチリンチリンとおもむろに鳴らした。すると、すぐに誰かがロレットの部屋を訪ねてきた。
「女王様?お呼びですか~?」
「あぁ、トリトニー入ってくれ。」
ロレットの部屋を訪ねてきたのはヒーリングスライムのトリトニーだった。どうやらテーブルの上に置いてあるあのベルはトリトニーを呼び出すためのベルらしい、
「トリトニー、一つ仕事を頼みたいのだが……。」
「はぁい……あ、もしかしてルア君のヒーリングですか?それなら新しいヒーリングを考えてたんですよ~。」
「いや、悪いが今回はルアのヒーリングじゃない。」
「あら、ざんねんです~。」
「君に頼みたいのは、この城の監視だ。」
「監視……ですか~。」
「あぁ、体を分裂させれば城の至るところを監視できるだろう?」
「それはできますけど~、今更になってどうしたんです?」
「いやな、ルアが城の中で不審な人影を見たというのだ。」
そしてロレットはトリトニーにある程度の敬意を説明すると、彼女は事情を把握し頷いた。
「わかりました~。じゃあ……んしょっと!!」
頷いたトリトニーは手のひらから無数の丸いスライムを産み出していく。
「これだけいれば城の全てを監視できると思います~。」
「うむ、映像を記録しておくだけでいい。視界を共有していると疲れるだろう?」
「お気遣いありがとうございます~。じゃあ行ってきて~。」
トリトニーにそう指示されると丸いスライム達は何処かへと行ってしまった。
「では頼んだぞトリトニー。」
「お任せください~。」
ビシッとトリトニーは敬礼すると、部屋を後にしようとする。その途中、何かを思い出したようにルアに近づく。
「ルア君、最近頑張ってるみたいですけど~疲れたらいつでも言ってくださいね~。」
「あ、ありがとうございます……。」
「新しいヒーリング、たっくさん考えてありますから……ねっ?」
それだけルアに告げるとトリトニーは部屋を後にした。
「そういえば、ルアは最近トリトニーのヒーリングを使ってないようだな?」
「あ、は、はい……ちょっとトリトニーさんのあれは、刺激が強すぎるから……。」
「ふむ、ちなみに我やミリアは毎日のようにやってもらっているぞ?」
「えっ!?」
衝撃の事実にルアは思わず目を見開いた。ロレットが毎日使っているのはわかるが、ミリアまでも使っているとは思わなかったのだ。
「どうもミリアのやつはトリトニーの全身マッサージがいたく気に入ったらしくてな。まぁ、我もその一人なんだが……。」
「そ、そうだったんですか……。」
「トリトニーのヒーリングは回復魔法では治せないような精神的な疲れも癒してくれるぞ?最近視線を感じていて多少なりともストレスがあるだろう?この後やってもらったらどうだ?」
「う~ん……か、考えておきます。」
「うむ。まぁ無理にとは言わない。気が向いたら行ってみるといい。」
「わかりました……。」
そしてロレットに悩みの種を打ち明けて少しスッキリしたルアは、そのまま何かを決心した表情で、ある場所へと向かう。
迷わずにある部屋の前に足を運んだルア。彼は少し顔を赤くしながらその扉をノックした。
すると、部屋の中から先程会ったばかりのトリトニーが姿を現した。
彼女はルアが自分の部屋を訪ねてきたことで、何をしてほしいのか察すると、ニコリと笑いながら彼の手を引いて部屋の中へと連れ込んだ。
その日の夜……一晩中トリトニーの部屋からはクチュクチュという水音と、ルアの小さく喘ぐ声が聞こえていた。
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