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第二章 呪われた運命
第104話 貞潔の女神
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実の兄によって自分の世界を破壊され、母親であるレトのもとを訪れたアル……こと神名アルテミス。
彼女はレトの創った世界で失った力を取り戻すと共に、レトにルア達の動向を見守るように命を受けていた。
しかし、彼女が創った世界とレトが創ったこの世界では、あるものが決定的に違うため、その違いに彼女は戸惑っていた。
そのあるものとは……
「こ、この世界の人達貞操観念緩すぎじゃない!?」
そう、彼女の世界と大きく違ったのは貞操観念である。アルテミスが創った世界では、最も尊重されるべきであると設定されていたそれは、この世界では最早……そんな貞操観念などという小さなモノは、ほとんど無視されている。
故に、アルは発情期に入った由良の行動などなどを見て驚きを隠せずにいたのだ。
「この世界には男の子があの子しかいないっていうのは聞いてたけど……ここまで貞操観念が薄れているのは予想外。特にあの吸血鬼の子と狸の子……それとあの子の育て親の狐の子。あの三人は他の子と彼を見る目がまったく違うわね。」
アルは手元にミリアと真琴、そして由良の姿を映し出し、ポツリと呟く。
「何て言うか……獲物を品定めしてるみたいな、貪欲な何かをあの子達からは感じる。一応この三人は要警戒ね。」
そして三人の映った画面を消すと、再びアルはルアの現在の様子を観察し始めた。すると、ちょうど由良がルアに口付けをしてどこかへと向かう様子が映し出された。
「~~~っ!?朝から何やってるのよ!?血は繋がってないとはいえ、一応自分の子供でしょ!?」
思わずアルは顔を真っ赤にして画面の向こうに向かって叫ぶ。そして改めてアルが由良の姿を映し出し、彼女の表情を眺めると、ため息混じりに言った。
「あぁ……これ完全に女の顔してる。自分の子供を恋愛対象として見ちゃってるわ。ついこの前まではこんなじゃなかったのに……やっぱり昨日のあれが関係あったり?」
アルは昨日、発情期の由良に襲われていたルアの姿を思い出した。両方の耳を舌で責められ、可愛い声を上げながら体をビクビクと震わせていたルアの姿が頭の中に映像で甦ってくる。
すると、アルの顔が一気に紅潮し真っ赤に染まる。それと共に、下腹部がじゅん……と熱くなる不思議な感覚に襲われた。
「はぁ……はぁ……な、なんなのよこれ。体が熱い?」
明らかに体の様子がおかしいことに気付いたアルは、その場に座り込み、必死に先ほど思い出してしまったことを忘れようとしていた。
そして数分後、ようやく体の疼きが治まったアルは一つ大きな息を吐き出した。
「ふぅ~……ダメダメ!!私は女神なんだから、こんな破廉恥なモノはっ………………っ!?」
女神としての自覚を取り戻そうとしていたアルだったが、そんなときにタイミング悪く、彼女の視界にルアの姿が映りこんでしまった。
いつものように修練に励むため中庭に出てきたのだ。
そして彼を見た瞬間にアルは再び、下腹部が熱くなるのを感じた。
「あ、あの子があんなに乱れて……はぁ……はぁ。女の子みたいな声あげて必死に体を震わせて……。」
再び脳内にあの光景がフラッシュバックしたアルの鼻からは、つつ~っと鼻血が垂れてきていた。
「もっと……もっとあの子が乱れる姿が見たい……。可愛い反応をする姿が見たいっ!!」
自分のなかで欲望が膨れ上がるのを抑えることができない。そして欲望が膨れ上がると共に体の疼きも酷くなっていく。
そして彼女が顔を紅潮させ、妄想を膨らませていたその時だった。
「っ!!」
ルアが一瞬こちらを見た。完全に油断していたアルは、彼と一瞬目が合ってしまう。
「……あれ?あそこに誰かいたような…………。」
「む?どうかしたのかルアよ。」
「あ、あそこに誰か見えた気がしたんです。」
「なんだと?」
ルアが指差した方向を東雲も見つめる。そして辺りの気配を探るが……誰の気配も感じない。
「…………誰もいないようだが?」
「えっ!?で、でも確かに目があったんです!!」
「くくくくく、幽霊でも見たのではないか?」
「ひっ!?こ、怖いこと言わないでくださいよ……。」
「妾の気配探知に引っ掛からないものなぞ、命を持たぬ者位だぞ?それか、妾よりも魔法に長け気配を完全に消すことができる存在か……まぁそんな輩が存在しているとは思えんがな。故にお前が見たものは…………。」
「も、もういいですっ!!ボク怖い話し苦手なんですよ。夜に一人でトイレに行けなくなったらどうするんですか。」
そんなやり取りをしている由良と東雲だったが、先程ルアが指差した近くの城壁の裏には、息を荒くしながらも恍惚とした笑みを浮かべるアルの姿があった。
彼女はレトの創った世界で失った力を取り戻すと共に、レトにルア達の動向を見守るように命を受けていた。
しかし、彼女が創った世界とレトが創ったこの世界では、あるものが決定的に違うため、その違いに彼女は戸惑っていた。
そのあるものとは……
「こ、この世界の人達貞操観念緩すぎじゃない!?」
そう、彼女の世界と大きく違ったのは貞操観念である。アルテミスが創った世界では、最も尊重されるべきであると設定されていたそれは、この世界では最早……そんな貞操観念などという小さなモノは、ほとんど無視されている。
故に、アルは発情期に入った由良の行動などなどを見て驚きを隠せずにいたのだ。
「この世界には男の子があの子しかいないっていうのは聞いてたけど……ここまで貞操観念が薄れているのは予想外。特にあの吸血鬼の子と狸の子……それとあの子の育て親の狐の子。あの三人は他の子と彼を見る目がまったく違うわね。」
アルは手元にミリアと真琴、そして由良の姿を映し出し、ポツリと呟く。
「何て言うか……獲物を品定めしてるみたいな、貪欲な何かをあの子達からは感じる。一応この三人は要警戒ね。」
そして三人の映った画面を消すと、再びアルはルアの現在の様子を観察し始めた。すると、ちょうど由良がルアに口付けをしてどこかへと向かう様子が映し出された。
「~~~っ!?朝から何やってるのよ!?血は繋がってないとはいえ、一応自分の子供でしょ!?」
思わずアルは顔を真っ赤にして画面の向こうに向かって叫ぶ。そして改めてアルが由良の姿を映し出し、彼女の表情を眺めると、ため息混じりに言った。
「あぁ……これ完全に女の顔してる。自分の子供を恋愛対象として見ちゃってるわ。ついこの前まではこんなじゃなかったのに……やっぱり昨日のあれが関係あったり?」
アルは昨日、発情期の由良に襲われていたルアの姿を思い出した。両方の耳を舌で責められ、可愛い声を上げながら体をビクビクと震わせていたルアの姿が頭の中に映像で甦ってくる。
すると、アルの顔が一気に紅潮し真っ赤に染まる。それと共に、下腹部がじゅん……と熱くなる不思議な感覚に襲われた。
「はぁ……はぁ……な、なんなのよこれ。体が熱い?」
明らかに体の様子がおかしいことに気付いたアルは、その場に座り込み、必死に先ほど思い出してしまったことを忘れようとしていた。
そして数分後、ようやく体の疼きが治まったアルは一つ大きな息を吐き出した。
「ふぅ~……ダメダメ!!私は女神なんだから、こんな破廉恥なモノはっ………………っ!?」
女神としての自覚を取り戻そうとしていたアルだったが、そんなときにタイミング悪く、彼女の視界にルアの姿が映りこんでしまった。
いつものように修練に励むため中庭に出てきたのだ。
そして彼を見た瞬間にアルは再び、下腹部が熱くなるのを感じた。
「あ、あの子があんなに乱れて……はぁ……はぁ。女の子みたいな声あげて必死に体を震わせて……。」
再び脳内にあの光景がフラッシュバックしたアルの鼻からは、つつ~っと鼻血が垂れてきていた。
「もっと……もっとあの子が乱れる姿が見たい……。可愛い反応をする姿が見たいっ!!」
自分のなかで欲望が膨れ上がるのを抑えることができない。そして欲望が膨れ上がると共に体の疼きも酷くなっていく。
そして彼女が顔を紅潮させ、妄想を膨らませていたその時だった。
「っ!!」
ルアが一瞬こちらを見た。完全に油断していたアルは、彼と一瞬目が合ってしまう。
「……あれ?あそこに誰かいたような…………。」
「む?どうかしたのかルアよ。」
「あ、あそこに誰か見えた気がしたんです。」
「なんだと?」
ルアが指差した方向を東雲も見つめる。そして辺りの気配を探るが……誰の気配も感じない。
「…………誰もいないようだが?」
「えっ!?で、でも確かに目があったんです!!」
「くくくくく、幽霊でも見たのではないか?」
「ひっ!?こ、怖いこと言わないでくださいよ……。」
「妾の気配探知に引っ掛からないものなぞ、命を持たぬ者位だぞ?それか、妾よりも魔法に長け気配を完全に消すことができる存在か……まぁそんな輩が存在しているとは思えんがな。故にお前が見たものは…………。」
「も、もういいですっ!!ボク怖い話し苦手なんですよ。夜に一人でトイレに行けなくなったらどうするんですか。」
そんなやり取りをしている由良と東雲だったが、先程ルアが指差した近くの城壁の裏には、息を荒くしながらも恍惚とした笑みを浮かべるアルの姿があった。
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