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第一章 転生そして成長

第98話 力をつける者達。

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 クロロ達のもとにエナとミリアが合流し、再開を楽しんでいた最中……ふとクロロがある疑問を抱いた。

「あれ?そういえば……今日はルアちゃんとか由良さんとか女王様とかはどこに?」

「あやつらはあやつらで修練をさせている。だが、ルアには飯炊きを頼んでいる。そっちの娘が腹が減っているだろうからな。」

 チラリと東雲がエナの方へと目を向けると、途端に彼女のお腹が悲鳴をあげた。

「えへへ……何も食べてなかったもので~もうお腹ペコペコです。」

「じゃあ私もなんかルアちゃんに作ってもらおっかな~。」

「好きなだけ食うが良い。なにせ覚醒を終えたばかりの体だ、たんと栄養を蓄えておけ。」

「やった~!!早く行こエナちゃん!!」

 エナの手を引いてクロロは城の中へと入っていく。

 そして取り残された東雲、真琴、ミリアの三人。少しの沈黙のあと、ミリアが口を開いた。

「それにしても、こんなに短い間で覚醒させるなんて東雲ちゃんもやり手だよね~。」

「ふん、なに……猫人とミノタウロスの覚醒方法はある程度決まっている。それが上手くあやつらに当てはまっただけのことだ。」

「そないこと言うて~、これも全部東雲はんの計画通りやないの?」

「くくくくく、さぁ……どうだかな。さて妾も少し腹が空いた、ルアの作る飯でも食いに行こう。」

「あ、ほんならあての酒も一緒にどうどす?」

「それは良いな。ミリアもどうだ?」

「お酒かぁ~、まぁ飲めないわけじゃないから付き合うよ。ホントなら生き血酒が一番なんだけどね~。」

「くくくくく、それならスッポンの生き血でも割って飲んでいろ。」

 ポツリと残念そうに呟いたミリアにくつくつと笑いながら東雲は言った。

「いや~スッポンの生き血って……生臭いし私好みじゃないんだよね~。やっぱりルア君の生き血がいいなぁ~。」

「由良に殺されたくなければ諦めるのだな。」

「いやぁ~、なんとかダメかなぁ~。」

「んふふふ、まぁ無理やろねぇ~。それよりも、あての酒は生き血酒より美味しいどすえ?」

「あはっ♪それは楽しみだよ~。それじゃああやかろうかな。」

 そして三人も城の中へと入っていく。

 一方由良とロレットはというと…………。

「随分と腕を上げたではないかロレットよ。」

「フフフ、我とて毎日鍛練を欠かしてはいないからなっ!!」

 ガキン!!とロレットの剣と由良のお札がぶつかり合い、辺りに衝撃波が走る。

「まったく、我の剣でも切れぬ札なぞ聞いたことがないぞ。」

「それはそうじゃ。なにせわしが魔力を込めておる札じゃ。いくらオリハルコンで出来た剣とはいえ、切ることはできぬまい。」

「それは……どうかなっ!!」

「なんじゃと!?」

 ロレットが剣に魔力を込めると、由良のお札に徐々に彼女の剣がめり込んでいく。

「言っただろう?我も修練を欠かしてはいない……となぁっ!!」

「っ!!」

 さらにロレットが魔力を剣に込めると由良のお札が真っ二つに切れてしまった。
 それに思わず由良はお札を手放し飛び退いた。

「フフフ、我に切れぬのなど……無いっ!!」

 ダン!!と地面を蹴りロレットは由良へと距離を詰めるが……彼女の前に突然無数のお札が舞った。

「むっ!?」

「起爆札…………爆っ!!」

 そう由良が口にした瞬間、ロレットの前に舞ったお札が次々と爆発する。

 そして黒煙がロレットを包み込む。

 してやったりと由良がニヤリと口角を上げると、黒煙の中から無傷のロレットが飛び出してきた。

「くっはははは!!こんなもの我には効かんぞ!!」

 進化したロレットは爆発程度では傷一つつかない体へと進化を遂げていた。そして由良へとロレットの剣が迫ったその瞬間……。

「むっふっふ♪足元注意……じゃ。」

「なぁっ!?」

 ロレットが由良の前の地面を踏んだ瞬間、地面が陥没しロレットが由良の目の前から消えた。

 そしてくつくつとさぞかし愉快そうに笑いながら、由良はロレットが消えていった場所の上から顔を出すと、穴の下へと向かって声をかけた。

「むっふっふ、穴の底はどうじゃ?」

 くつくつと笑う由良にロレットは悔しそうに口を開く。

「……最悪だ。泥が足に纏わりついて身動きがとれん。」

「じゃろうな。わしが穴の底に水を撒いておいたからの。」

「策略負け……ということか。」

「そういうことじゃな。」

 由良はくいっと人差し指を上げる動作をすると、ロレットの体が宙に浮きあがり、穴から出てきた。

「ふむ……我もまだまだ修行が足りぬということか。」

「それよりも、お主は単純すぎる。もっと相手が何を考えておるのか考えるのじゃな。」

「フッ、相手を疑う……か。我にはなかなか難しいことだな。」

 ロレットは苦笑いを浮かべながら由良にそう言ったのだった。
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