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第一章 転生そして成長
第64話 朝練
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そして東雲の後に着いて行って中庭に出ると、そこでは朝からロレットが剣の素振りをしていた。やはりロレットの朝は早いようだ。
彼女はこちらに気が付くと、剣を振る手を止めた。
「おぉ、ルアに東雲……今日は朝が早いのだな。今日は休みを設けていたはずだが?」
「こういうお休みの日でないとこやつに自分を守る術を教えることができんからな。」
ルアの頭の上で東雲は彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「なるほどな。」
「お前も剣の修練の最中なのだろう?ちょうどいい、少し付き合え。」
東雲に言われるがまま、ルアとロレットは中庭の真ん中に立つと、ルアの頭の上にいる東雲が言った。
「まずはルア、お前は魔力を操作して手のひらを覆うようにするのだ。」
「わかりました。」
東雲に言われた通り、ルアは自分の中にある魔力を操作して手のひら全体を覆うように動かした。回復魔法を扱えるようになった彼ならばこのぐらい簡単にやってのける。
そして言われた通りにしたルアは東雲に報告した。
「できました。」
「うむ、ではその魔力をどんどん濃く……そして柔軟にしていくのだ。」
「濃くはわかるんですけど……柔軟にってどういうことですか?」
「柔軟にするというのは、どんな形にもすぐに魔力を変えられるということだ。要するに応用性の高い魔力を練り上げろということだ。」
東雲の言葉に思わずルアは首を傾げた。というのも東雲の言う応用性の高い魔力、というものをどうやって生み出せばよいのか全く分からなかったからだ。
「由良にはそこまで深く魔力の扱い方は学ばなかったか。まぁいい、変な知識が無いぶん教えるのも容易いというものだ。」
ピョンと東雲はルアの頭の上から飛び降りると、狐の姿から人の姿へと化け、ロレットの方を向いた。
「ルアよ、今言った魔力がどういうものか……実際に見せてやろう。ロレット、妾を殺すつもりで斬りかかってこい。」
「……では遠慮なく…………参るッ!!」
地面が抉れるほど強い踏み込みで、一気にロレットは東雲との間合いを詰め、オリハルコン製の剣を振りかざす。
一方の東雲は迫り来る剣に、魔力を纏わせた手を近付けた。
すると、剣が東雲のことを避けるようなおかしな軌道を描いて空を切る。
「い、今のって……。」
「これが柔軟で応用力のある魔力というものだ。如何に優れた素材で作られた剣であっても、魔力の性質を変えるだけでこの通り……自分から妾を避けていく。」
次々に繰り出されるロレットの剣撃は、どれも東雲に触れる直前で突然軌道が変わり東雲を避けている。
そしてある程度実際にやって見せたところで、東雲はロレットの剣を弾き飛ばすと元の狐の姿へと戻り、ルアの頭の上へと飛び乗った。
「まぁまずは手に魔力を集め、その魔力を自由自在に動かせるように練習するのだな。」
「動かすぐらいだったらボクでもできますよ?ほら……。」
ルアは手に集めた魔力をうにょうにょと動かして見せる。しかし、それを見た東雲はふるふると首を横に振った。
「そんなに大雑把に動かすのではない。もっと繊細に……そして滑らかに動かすのだ。こんな風にな。」
東雲は前足を前に出し、そこに魔力を集めると集めた魔力で狐を象って見せた。それだけに留まらず、その魔力で象った狐を動かしたりしている。
「ええぇっ!?ど、どうやったらそんな……。」
「魔力を固く練るのではない、柔らかく練るのだ。そして魔力に神経を通わせるように想像し、体現する。これだけだ。」
「そ、そんな簡単に言ったって…………。」
「口を動かす前に魔力を動かせ。どうせ今日は時間は腐るほどある。せめて柔軟な魔力を生み出すぐらいこなして見せろ。」
「うぅぅ……わかりましたぁ。」
言われるがまま、ルアは柔軟な魔力を生み出すためにひたすら手に魔力を集めて動かし始める。それを見た東雲は、今度はロレットの頭の上に飛び乗った。
「さて、次はお前だロレット。」
「わ、我にも何かあるのか!?」
「当たり前だ。お前の必殺技であるドラグーンスラストを完成させねばなるまい。わかっているとは思うが、並の剣技では天使には対抗できん。だから濃縮した魔力を込めた剣技が必要なのだ。その代表例がそのドラグーンスラストだ。」
東雲はロレットの頭の上でそう説明した。
「そして、今のお前に足りていないもの……そしてドラグーンスラストが未完成な理由。それは魔力量だ。」
「魔力量?」
「お前、ドラグーンスラスト一発を打ったら魔力が底をつくだろう?」
東雲の言葉にギクリとロレットの体が震える。
「龍種はもともとの魔力量が少ない種族だ。その代わりに身体能力が高い。だが、それだけでは天使に勝てぬ。だから今からお前には魔力量の底上げをしてもらうぞ。」
「そんなことを言ったって、いったいどうすれば魔力が増えるというのだ?」
「くくくくく、簡単だ。魔力が空になった状態で何度も何度もドラグーンスラストを打ち続けろ。」
悪魔的な笑みを浮かべながら東雲はロレットにそう言い放った。
彼女はこちらに気が付くと、剣を振る手を止めた。
「おぉ、ルアに東雲……今日は朝が早いのだな。今日は休みを設けていたはずだが?」
「こういうお休みの日でないとこやつに自分を守る術を教えることができんからな。」
ルアの頭の上で東雲は彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「なるほどな。」
「お前も剣の修練の最中なのだろう?ちょうどいい、少し付き合え。」
東雲に言われるがまま、ルアとロレットは中庭の真ん中に立つと、ルアの頭の上にいる東雲が言った。
「まずはルア、お前は魔力を操作して手のひらを覆うようにするのだ。」
「わかりました。」
東雲に言われた通り、ルアは自分の中にある魔力を操作して手のひら全体を覆うように動かした。回復魔法を扱えるようになった彼ならばこのぐらい簡単にやってのける。
そして言われた通りにしたルアは東雲に報告した。
「できました。」
「うむ、ではその魔力をどんどん濃く……そして柔軟にしていくのだ。」
「濃くはわかるんですけど……柔軟にってどういうことですか?」
「柔軟にするというのは、どんな形にもすぐに魔力を変えられるということだ。要するに応用性の高い魔力を練り上げろということだ。」
東雲の言葉に思わずルアは首を傾げた。というのも東雲の言う応用性の高い魔力、というものをどうやって生み出せばよいのか全く分からなかったからだ。
「由良にはそこまで深く魔力の扱い方は学ばなかったか。まぁいい、変な知識が無いぶん教えるのも容易いというものだ。」
ピョンと東雲はルアの頭の上から飛び降りると、狐の姿から人の姿へと化け、ロレットの方を向いた。
「ルアよ、今言った魔力がどういうものか……実際に見せてやろう。ロレット、妾を殺すつもりで斬りかかってこい。」
「……では遠慮なく…………参るッ!!」
地面が抉れるほど強い踏み込みで、一気にロレットは東雲との間合いを詰め、オリハルコン製の剣を振りかざす。
一方の東雲は迫り来る剣に、魔力を纏わせた手を近付けた。
すると、剣が東雲のことを避けるようなおかしな軌道を描いて空を切る。
「い、今のって……。」
「これが柔軟で応用力のある魔力というものだ。如何に優れた素材で作られた剣であっても、魔力の性質を変えるだけでこの通り……自分から妾を避けていく。」
次々に繰り出されるロレットの剣撃は、どれも東雲に触れる直前で突然軌道が変わり東雲を避けている。
そしてある程度実際にやって見せたところで、東雲はロレットの剣を弾き飛ばすと元の狐の姿へと戻り、ルアの頭の上へと飛び乗った。
「まぁまずは手に魔力を集め、その魔力を自由自在に動かせるように練習するのだな。」
「動かすぐらいだったらボクでもできますよ?ほら……。」
ルアは手に集めた魔力をうにょうにょと動かして見せる。しかし、それを見た東雲はふるふると首を横に振った。
「そんなに大雑把に動かすのではない。もっと繊細に……そして滑らかに動かすのだ。こんな風にな。」
東雲は前足を前に出し、そこに魔力を集めると集めた魔力で狐を象って見せた。それだけに留まらず、その魔力で象った狐を動かしたりしている。
「ええぇっ!?ど、どうやったらそんな……。」
「魔力を固く練るのではない、柔らかく練るのだ。そして魔力に神経を通わせるように想像し、体現する。これだけだ。」
「そ、そんな簡単に言ったって…………。」
「口を動かす前に魔力を動かせ。どうせ今日は時間は腐るほどある。せめて柔軟な魔力を生み出すぐらいこなして見せろ。」
「うぅぅ……わかりましたぁ。」
言われるがまま、ルアは柔軟な魔力を生み出すためにひたすら手に魔力を集めて動かし始める。それを見た東雲は、今度はロレットの頭の上に飛び乗った。
「さて、次はお前だロレット。」
「わ、我にも何かあるのか!?」
「当たり前だ。お前の必殺技であるドラグーンスラストを完成させねばなるまい。わかっているとは思うが、並の剣技では天使には対抗できん。だから濃縮した魔力を込めた剣技が必要なのだ。その代表例がそのドラグーンスラストだ。」
東雲はロレットの頭の上でそう説明した。
「そして、今のお前に足りていないもの……そしてドラグーンスラストが未完成な理由。それは魔力量だ。」
「魔力量?」
「お前、ドラグーンスラスト一発を打ったら魔力が底をつくだろう?」
東雲の言葉にギクリとロレットの体が震える。
「龍種はもともとの魔力量が少ない種族だ。その代わりに身体能力が高い。だが、それだけでは天使に勝てぬ。だから今からお前には魔力量の底上げをしてもらうぞ。」
「そんなことを言ったって、いったいどうすれば魔力が増えるというのだ?」
「くくくくく、簡単だ。魔力が空になった状態で何度も何度もドラグーンスラストを打ち続けろ。」
悪魔的な笑みを浮かべながら東雲はロレットにそう言い放った。
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