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第五十九話 メイドの罠
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ハンガリー王国首都ブダは温泉が多いことでも知られている。
ブダの北部のアクインクムには古代ローマによって築かれた浴場の遺跡が現代にまで残存しており、その名にあやかった温泉が数多く稼働していた。
その温泉のなかのひとつでゆっくりと湯につかりながら俺は日本人であった風呂好きの本能を心行くまで満足させていた。
「――――たまらん。やはり温泉は日本人の魂の極みだよ」
どこかで白髪のチルドレンが言いそうな言葉を呟きつつ俺は手足を伸ばし、まるで無重力空間にいるような開放感に酔う。
温泉の主成分が肌から沁みこみ身体に活力をみなぎらせていくようだ。
瞳を閉じ、大きく息を吸って溜まりにたまったストレスと老廃物を吐き出そうとしたそのとき、俺の耳は信じられない声を聞いた。
「やはり浴場はローマ式に限るのう………」
まさかのヘレナ参戦である。
し、しまった! 俺としたことが混浴の罠に気付かなかったとは……!
きっとあの瀟洒なアサッシン侍女は脱衣場の外で会心の笑みを浮かべていることだろう。
「そ、そんなに見つめられると妾でも照れるではないか………」
大切な部分はしっかりと布で隠しているものの、ようやく少女らしい丸みを帯びてきた身体は次第に女としての色香を放ち始めていた。
さすがに欲情するほど成長してはいないが、スキンシップをためらってしまう程度にはヘレナを女性として意識せざるをえなかった。
「………すまぬの。もうじきサレスに負けないほど胸が育ったら心ゆくまで見せてやるゆえ」
(悪いけどその日は一生来ないよヘレナ………)
胸の発育はほとんど遺伝で決まってしまうんだ。
「何か言ったかの?」
「イイエナニモ」
ちゃぷんと水音を響かせてヘレナが俺の隣に寄り添う。
ヘレナの小さな頭が俺の肩にことりと置かれて、安心したようにヘレナは肩の力を抜いた。
「それにしてもなかなか厄介なことになったものだな」
「敵もどうして馬鹿じゃないってことさ」
ハンガリー占領にトゥルゴヴィシテの反乱鎮圧、ワラキアの運命を左右する危機にオスマンの介入がなかったことは僥倖であったが、だからといって何もなしには済まなかった。
1449年8月、オスマン帝国は突如として10万の兵を動員しセルビアへと侵攻を開始したのである。
ハンガリーという目の上の瘤が取れたのをみすみす見過ぎすほどオスマンも甘くはなかった。ザワディロフ一党の処分とハンガリー統治に全力を注がなくてはならない俺に為す術はなかった。
セルビアを統治するジュラジ・ブランコヴィチは決して無能な政治家ではなかったが、もともとセルビアはワラキアに勝るとも劣らぬ貴族の連合体国家である。
圧倒的多数のオスマンを跳ね返すだけの結束もなく、降伏の条件づくりをしているうちに味方に裏切られて暗殺された。
他人事でないだけに全く笑えない。
さらにオスマンはセルビアを蹂躙するだけにとどまらず、属国扱いであったボスニアを併合、完全に領国化してしまう。
セルビアとは対照的に孤軍奮闘しているのがアルヴァニアである。
スカンデルベグことジェルジ・カストリオティがオスマンの大軍を少数精鋭の騎兵で蹴散らし、十分の一の戦力で堂々と正面から渡りあっていた。
国土を焦土化してゲリラ戦に頼らざるをえなかった史実のヴラドより、おそらく彼の戦術指揮能力は高いだろう。
同等の戦術指揮官を探すとすればヤン・イスクラかフランスのリッシュモン元帥、あるいは今は亡きヤン・ジシュカくらいであろうか。
アルヴァニアとて土着貴族の連合体であることは変わらないのだが、君主のカリスマが天元突破しているせいか国内の動揺は見られない。
おそらくスカンデルベグのカリスマ健在なかぎり、あの国を占領することは難しいだろう。
それでもなおジリジリと国土を浸食されることを防ぐのはスカンデルベグにすら不可能であることを考えれば、真に恐ろしいのはやはり超大国オスマンであるというべきなのかもしれなかった。
直接の支援は今のところできないが、ヴェネツィア商人を動かして補給を支援しているのであっさり滅ぼされるようなことはないのが救いである。
ヴェネツィアは全面的にというわけではないがハンガリーの敗北を受けて親ハンガリー勢力が大幅に削減され、元老の過半数は親ワラキア派で占められることになっていた。
もちろん理に聡い彼らのことである。信用しすぎるのは危険だろうが当面ワラキア寄りの政策を実行してくれるのはありがたい。
いずれオスマンと対決するためには、彼らの経済力と海軍力は是が非でも味方につけておきたいのが本音であった。
「………味方が減っていくな………」
「小なりとはいえボスニアはアドリア海に面した港湾を有している。下手にオスマンがイオニア海を越えて地中海に艦隊を展開するようなことがあればヴェネツィアやフィレンツェも当てにはできぬやもしれぬ」
「まあ、今のところコンスタンティノポリスを超えてオスマンが大艦隊を派遣することは不可能だろうがな」
もっともそれは常識人であるムラト2世であればこそ。メフメト2世が即位すればそんな常識はどうなるか予断を許さない。
「ハンガリーの統治に軍の拡充、さらに海軍の新設か。いったいいつになったらゆっくり休めるのやら」
政務に軍務に長距離の移動と休まる暇もない激務の毎日である。
いささかげんなりと鼻まで湯につかった俺に、突然ヘレナがばしゃりと湯を跳ね飛ばして向き直った。
「忙しいばかりでなく、やや、や、休むことも大切じゃぞ? とと、特に夜などは精神的にも解放されて自由でいなくてはならん!」
「最近は毎晩ヘレナがいてくれるから助かってるよ?」
なし崩しに同衾している俺を笑いたければ笑え。
ヘレナの小さくて体温が高めの身体は最高の抱き枕なのだ。
「そ、そうではなく……じゃな。もっとこう……精神的な充足と肉体的な欲望を解放するというか………」
「おいおいヘレナ、いったい何を言い出すんだ?」
欲望とか小さい女の子が使っちゃいけません!
というかさっきから涙目で顔を赤らめてるヘレナがとても心臓に良くないんですけど!
「その、だな――――――初潮が来た」
「ぱーどん?」
所長? 署長? も、も、もしかして初潮ですか??
慌ててヘレナから身体を話すと、温泉に浸かって桜色に上気したヘレナの肌と膨らみかけのささやかな胸元があらわになる。
いかん! 見るな! これは孔明の罠だ――――!
「だ、だ、だから妾ももう大人なのじゃ! これからは我が夫も妾をちゃんと大人扱いしなければならんのじゃ!も う子供扱いして頬にキスくらいでは誤魔化されぬ!」
「思いっきり子供じゃねえか!」
ヘレナのお子様理論に一瞬でもドキリとした自分が馬鹿に思えてるから不思議だ。よかった! 人としての道を踏み外さなくてすんで!
「ち、違うのじゃ! こんなはずでは! た、た、確かサレスの教えでは!?」
がばっと全身で体当たりをするようにヘレナが俺の胸に抱きついてくる。
一度は落ち着いたはずなのに、ヘレナの柔らかい身体の感触とささやかでも弾力の富んだ胸の感触が直接胸越しに伝わってくると、下半身にイケない衝動が走るのを抑えることができない。
「え、え~~~と……………優しくして?」
「何教えとんじゃあの色ボケメイドはああああああ!!」
そのころ温泉の入口で主君の雄叫びに何事かと駆け付けようとした護衛の衛士は、瀟洒な侍女の細腕で気絶させられていた。
「く、クォ・バディスゥゥゥ!!」
ブダの北部のアクインクムには古代ローマによって築かれた浴場の遺跡が現代にまで残存しており、その名にあやかった温泉が数多く稼働していた。
その温泉のなかのひとつでゆっくりと湯につかりながら俺は日本人であった風呂好きの本能を心行くまで満足させていた。
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どこかで白髪のチルドレンが言いそうな言葉を呟きつつ俺は手足を伸ばし、まるで無重力空間にいるような開放感に酔う。
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瞳を閉じ、大きく息を吸って溜まりにたまったストレスと老廃物を吐き出そうとしたそのとき、俺の耳は信じられない声を聞いた。
「やはり浴場はローマ式に限るのう………」
まさかのヘレナ参戦である。
し、しまった! 俺としたことが混浴の罠に気付かなかったとは……!
きっとあの瀟洒なアサッシン侍女は脱衣場の外で会心の笑みを浮かべていることだろう。
「そ、そんなに見つめられると妾でも照れるではないか………」
大切な部分はしっかりと布で隠しているものの、ようやく少女らしい丸みを帯びてきた身体は次第に女としての色香を放ち始めていた。
さすがに欲情するほど成長してはいないが、スキンシップをためらってしまう程度にはヘレナを女性として意識せざるをえなかった。
「………すまぬの。もうじきサレスに負けないほど胸が育ったら心ゆくまで見せてやるゆえ」
(悪いけどその日は一生来ないよヘレナ………)
胸の発育はほとんど遺伝で決まってしまうんだ。
「何か言ったかの?」
「イイエナニモ」
ちゃぷんと水音を響かせてヘレナが俺の隣に寄り添う。
ヘレナの小さな頭が俺の肩にことりと置かれて、安心したようにヘレナは肩の力を抜いた。
「それにしてもなかなか厄介なことになったものだな」
「敵もどうして馬鹿じゃないってことさ」
ハンガリー占領にトゥルゴヴィシテの反乱鎮圧、ワラキアの運命を左右する危機にオスマンの介入がなかったことは僥倖であったが、だからといって何もなしには済まなかった。
1449年8月、オスマン帝国は突如として10万の兵を動員しセルビアへと侵攻を開始したのである。
ハンガリーという目の上の瘤が取れたのをみすみす見過ぎすほどオスマンも甘くはなかった。ザワディロフ一党の処分とハンガリー統治に全力を注がなくてはならない俺に為す術はなかった。
セルビアを統治するジュラジ・ブランコヴィチは決して無能な政治家ではなかったが、もともとセルビアはワラキアに勝るとも劣らぬ貴族の連合体国家である。
圧倒的多数のオスマンを跳ね返すだけの結束もなく、降伏の条件づくりをしているうちに味方に裏切られて暗殺された。
他人事でないだけに全く笑えない。
さらにオスマンはセルビアを蹂躙するだけにとどまらず、属国扱いであったボスニアを併合、完全に領国化してしまう。
セルビアとは対照的に孤軍奮闘しているのがアルヴァニアである。
スカンデルベグことジェルジ・カストリオティがオスマンの大軍を少数精鋭の騎兵で蹴散らし、十分の一の戦力で堂々と正面から渡りあっていた。
国土を焦土化してゲリラ戦に頼らざるをえなかった史実のヴラドより、おそらく彼の戦術指揮能力は高いだろう。
同等の戦術指揮官を探すとすればヤン・イスクラかフランスのリッシュモン元帥、あるいは今は亡きヤン・ジシュカくらいであろうか。
アルヴァニアとて土着貴族の連合体であることは変わらないのだが、君主のカリスマが天元突破しているせいか国内の動揺は見られない。
おそらくスカンデルベグのカリスマ健在なかぎり、あの国を占領することは難しいだろう。
それでもなおジリジリと国土を浸食されることを防ぐのはスカンデルベグにすら不可能であることを考えれば、真に恐ろしいのはやはり超大国オスマンであるというべきなのかもしれなかった。
直接の支援は今のところできないが、ヴェネツィア商人を動かして補給を支援しているのであっさり滅ぼされるようなことはないのが救いである。
ヴェネツィアは全面的にというわけではないがハンガリーの敗北を受けて親ハンガリー勢力が大幅に削減され、元老の過半数は親ワラキア派で占められることになっていた。
もちろん理に聡い彼らのことである。信用しすぎるのは危険だろうが当面ワラキア寄りの政策を実行してくれるのはありがたい。
いずれオスマンと対決するためには、彼らの経済力と海軍力は是が非でも味方につけておきたいのが本音であった。
「………味方が減っていくな………」
「小なりとはいえボスニアはアドリア海に面した港湾を有している。下手にオスマンがイオニア海を越えて地中海に艦隊を展開するようなことがあればヴェネツィアやフィレンツェも当てにはできぬやもしれぬ」
「まあ、今のところコンスタンティノポリスを超えてオスマンが大艦隊を派遣することは不可能だろうがな」
もっともそれは常識人であるムラト2世であればこそ。メフメト2世が即位すればそんな常識はどうなるか予断を許さない。
「ハンガリーの統治に軍の拡充、さらに海軍の新設か。いったいいつになったらゆっくり休めるのやら」
政務に軍務に長距離の移動と休まる暇もない激務の毎日である。
いささかげんなりと鼻まで湯につかった俺に、突然ヘレナがばしゃりと湯を跳ね飛ばして向き直った。
「忙しいばかりでなく、やや、や、休むことも大切じゃぞ? とと、特に夜などは精神的にも解放されて自由でいなくてはならん!」
「最近は毎晩ヘレナがいてくれるから助かってるよ?」
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ヘレナの小さくて体温が高めの身体は最高の抱き枕なのだ。
「そ、そうではなく……じゃな。もっとこう……精神的な充足と肉体的な欲望を解放するというか………」
「おいおいヘレナ、いったい何を言い出すんだ?」
欲望とか小さい女の子が使っちゃいけません!
というかさっきから涙目で顔を赤らめてるヘレナがとても心臓に良くないんですけど!
「その、だな――――――初潮が来た」
「ぱーどん?」
所長? 署長? も、も、もしかして初潮ですか??
慌ててヘレナから身体を話すと、温泉に浸かって桜色に上気したヘレナの肌と膨らみかけのささやかな胸元があらわになる。
いかん! 見るな! これは孔明の罠だ――――!
「だ、だ、だから妾ももう大人なのじゃ! これからは我が夫も妾をちゃんと大人扱いしなければならんのじゃ!も う子供扱いして頬にキスくらいでは誤魔化されぬ!」
「思いっきり子供じゃねえか!」
ヘレナのお子様理論に一瞬でもドキリとした自分が馬鹿に思えてるから不思議だ。よかった! 人としての道を踏み外さなくてすんで!
「ち、違うのじゃ! こんなはずでは! た、た、確かサレスの教えでは!?」
がばっと全身で体当たりをするようにヘレナが俺の胸に抱きついてくる。
一度は落ち着いたはずなのに、ヘレナの柔らかい身体の感触とささやかでも弾力の富んだ胸の感触が直接胸越しに伝わってくると、下半身にイケない衝動が走るのを抑えることができない。
「え、え~~~と……………優しくして?」
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